<2243> 余聞、余話 「ヒレンジャクの撮影」
飛ぶ鳥も泳ぐ魚も這ふ虫も生あるものは縁(ゑにし)によれる
東大寺参道の南大門近くの三社池(春日野園地)にこのところ連日カメラの放列が出来ている。冬の渡り鳥であるヒレンジャクがときおり群になって池の水を飲みに舞い降りて来る一瞬を捉えるためで、近隣のみならず、大阪方面から訪れる愛鳥家も見られる。ほとんどが弁当持参という熱の入れようで、多い日には数十人に及び、辺りは終日カメラに望遠レンズをつけた一団が見られる。
ヒレンジャクはレンジャク科の仲間で、体長二十センチ弱、冠毛を有する渡り鳥で、主にシベリア東部から中国北東部のアムール川やウスリー川の流域で繁殖し、越冬のため群になって日本などに渡り来る冬鳥で、カモのように毎年一定の場所に規則正しく渡ることのない不規則な渡りをする鳥と見られている。今冬は多雪になった日本列島の気象状況によるものか、奈良公園には珍しく五十羽以上が飛来しているという。
三社池のにぎわいは先月からのようであるが、何度も撮影に足を運んでいる人は群の中に数羽いると言われるキレンジャクを狙っているようである。尻尾の先が紅いヒレンジャクは西日本に、尻尾の先が黄色いキレンジャクは東日本に渡って来て越冬すると言われ、奈良でキレンジャクが見られるのは非常に珍しい。という次第で三社池のにぎわいは当分続きそうである。果たして、私も撮影に挑戦してみたが、かくのごとくである。
なお、三社池の一帯ではほかにも、ニューナイスズメ、スズメ、カワセミ、アオバト、アトリ、セキレイ類、メジロ、シジュウカラ、ツグミ、ヒヨドリ、シラサギなどの野鳥が見られる。 写真上段は水を飲みにやって来たヒレンジャクの群。写真下段は左から飛翔するカワセミ、イチョウの高枝で羽を休めるヒレンジャク(左・尾羽の先が紅色)とキレンジャク(右・尾羽の先が黄色)、水辺から飛び立つヒレンジャク (奈良公園春日野園地の三社池)。
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