<2878> 大和の花 (944) ワレモコウ (吾木香・吾亦紅) バラ科 ワレモコウ属
日当たりのよい山野の草地に生える多年草で、高さが50センチから1メートルほどになる。丈の低いほかの草と混生する。葉は奇数羽状複葉で互生。小葉は長さが4センチから6センチの長楕円形乃至は楕円形で、多いもので13個つき、縁には粗い鋸歯が見られる。
花期は8月から10月ごろで、茎頂や枝先に長さが2、3センチの楕円形の穂状花序を点頭し、暗紅紫色の小花を多数団子状につける。花に花弁はなく萼片が目につく。開花は上から下に向かい、萼片、雄しべはともに4個で、葯は黒色。
ワレモコウ(吾木香・吾亦紅)の名は、葉に微かな芳香があるため、キク科のモッコウ(木香)に由来するとか暗紅紫の花が自分も紅色であると主張するという説など諸説あるが、「吾もまた紅」と主張する見方はユニークで、名の由来にはこの説を採りたい気分になる。
北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島、中国、シベリアなどに見られるという。大和(奈良県)では高原や棚田の畦など、草丈の低い草地でよく見かけるが、葛城山では見かけるものの曽爾高原では出会わない。何故か。ススキの成長を促す火入れが毎年実施あれているのが影響しているのかも知れない。
なお、ワレモコウはリンドウとともに秋のしんがりの花で、風情があり、花材として定評がある。また、漢方では乾燥させた根茎を地楡(ちゆ)と称し、煎じて止血薬とし、口内炎のうがいにも用いる。若葉は食用になる。 写真はワレモコウ。花序には多数の小花が密につき、花弁のように開いて見えるのは萼片で、4個。萼片の内側に雄しべが見え、これも4個(生駒市高山町ほか)。 吾亦紅日当たりに咲く畦の道