大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2019年11月06日 | 植物

<2859>  大和の花 (928) テンニンソウ (天人草)                                     シソ科 テンニンソウ属

              

 山地の湿気がある森林帯に生える多年草で、群生することが多い。茎は四角形で硬く、直立し、高さは50センチから1メートルほどになる。葉は長さが20センチほどの楕円状披針形で、先が尾状に尖り、基部はくさび形。縁には鋸歯が見られ、葉柄を有して互生する。

 花期は9月から10月ごろで、茎頂に10センチ前後の穂状の花序を立て、淡黄色の唇形花多数を密につける。花は下側から順次開花し、雄しべ4個と雌しべ1個がともに長く花冠より突き出る。テンニンソウ(天人草)の名の由来ははっきりしていない。

 同属のミカエリソウ(見返草)と同じく日本固有の植物で、本州、四国、九州に分布。大和(奈良県)の自生地は西大台のナゴヤ谷がよく知られる。辺りは広葉樹林帯で、湿気がある。 写真はテンニンソウ。群生する花期の姿(左・中)、花序のアップ(右)。

    晩秋や生き急ぐもの野末にも

<2860>  大和の花 (929) ミカエリソウ (見返草)                                シソ科 テンニンソウ属

             

 テンニンソウ(天人草)の仲間の落葉低木で、山地の木陰などに群生する。高さは50センチから1メートルほどで、茎は四角形に近く、根元では木質化し、和名では草と見えるが、図鑑では低木と捉えている。葉は長さが10センチから20センチの広楕円形で、先が尖り、縁にははっきりとした鋸歯が見られ、裏面には星状毛が密生し、葉脈が浮き出ている。また、葉は柄を有し、互生する。

 花期は9月から10月ごろで、茎頂に穂の花序を立て、淡紅色の小さな唇形花を密につけ、下側から順に開花する。ミカエリソウ(見返草)の名は人が振り返って見るほど美しいという意によるという。本州の中部地方以西に分布する日本固有の植物で、大和(奈良県)ではよく見かける。 写真は林内に群生し花を咲かせるミカエリソウ(左・中)と花序のアップ(右)。ともに十津川村の玉置山。  紅葉の燃えの広がり水面にも