大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2018年08月10日 | 植物

<2414> 大和の花 (579) ミゾホオズキ (溝酸漿)                         ハエドクソウ科 ミゾホオズキ属

       

 山間地から標高1000メートル以上の深山まで、水気の絶えないところに生える多年草で、群生することが多い。茎は4角形で、斜上し、高さは10センチから30センチほどになり、茎の下部の節から白いひげ根を出す。葉は長さが1センチから4センチほどの卵形もしくは楕円形で、先は尖り、縁には鋸歯が見られ、全体に軟らかい。上部の葉は無柄、下部の葉は有柄で、対生する。

 花期は6月から8月ごろで、上部の葉腋から細い花柄を出し、黄色の1花をつける。花冠は長さが1.5センチ弱。萼は緑色で、筒状。5本の稜があり、果期には実を包み、その形がナス科のホオズキ(酸漿)に似るのでこの名がある。

 北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島、中国、ヒマラヤ地方に見えるという。大和(奈良県)には多く、登山道の水場などでよく見かける。よく似たものにオオバミゾホオズキ(大葉水酸漿)があるが、大和(奈良県)では見かけない。なお、ミゾホオズキはゴマノハグサ科からハエドクソウ科に変更された。 写真はミゾホオズキ(稲村ヶ岳登山道ほか)。

     科学は神へのアプローチ、神を理解するための方途

 

<2415> 大和の花 (580) クガイソウ (九蓋草)                              オオバコ科 クガイソウ属

           

 山地の日当たりのよい草地に生える多年草で、茎は直立し、高さが80センチから130センチほどになる。葉は長さが5センチから18センチの長楕円状披針形で、先は細く尖り、縁には細かい鋸歯が見られ、4個から8個が茎の数段に輪生する。この輪生して層をなす葉によりこの名がある。

 花期は7月から8月ごろで、茎頂に穂状の総状花序を出し、淡紫色乃至は淡青紫色の花を密につける。花が白色のものをシロクガイソウ(白九蓋草)という。花序軸に短毛が生える特徴があり、よく似るナンゴククガイソウ(南国九蓋草)との判別点になる。花冠は長さが5、6ミリの筒状で、基部に短い柄があり、先は4裂してやや尖る。雄しべは2個が花冠より伸び出し、糸状の雌しべの花柱も伸び出す。

  本州の青森県から滋賀県と紀伊半島、隠岐の島に分布する日本の固有種で、大和(奈良県)で野生のものは紀伊山地の一部に見られるが、生育地も個体数も極めて少なく、シカの食害も懸念されるとして絶滅寸前種にあげられている。なお、クガイソウはゴマノハグサ科とされていたが、オオバコ科に変更された。

  あまりポピュラーではないが、食用や薬用として知られる。まず、春に若芽を採取し、ゆでて水で晒し、あくを抜くと、浸し物や和え物になる。また、根茎を日干しにしたものは草本威霊仙と呼ばれる民間薬で、これを煎じて服用すれば、リュウマチ、関節炎、利尿等に効能があると言われる。写真はクガイソウ(左の2枚は山上ヶ岳の個体・花序の中軸に短毛が見える。右の2枚は金剛山の個体・植栽起源と思われる)。 事実は一つ

<2416> 大和の花 (581) ナンゴククガイソウ (南国九蓋草)     オオバコ科 クガイソウ属

              

 クガイソウと同じくゴマノハグサ科からオオバコ科に変更された多年草で、山地の日当たりのよい草地に生える。茎は直立し、高さは80センチから130センチほど。葉は長楕円状披針形から楕円状披針形で、先は尖り、縁には鋸歯が見られ、クガイソウとほぼ同じく、数段に輪生する。

 花期は7月から8月ごろで、茎頂に穂状の総状花序を出し、淡青紫色の花を密につける。花冠は長さが数ミリの筒状で、先が4浅裂、雄しべ2個と糸状の雌しべの花柱一個が花冠より外に長く伸び出し、目につく。花は下から順次開き結実する。クガイソウとの判別は花序軸が無毛であることと葉の幅がこころなしか広いことによる。

 本州の紀伊半島、中国地方、四国、九州に分布する日本の固有種として知られ、大和(奈良県)では大峰山脈の一部稜線の岩場や草地に生えるが、自生地が限られ、個体数も少なく、シカの食害が懸念されるところから絶滅寸前種にあげられている。なお、食用や薬用はクガイソウに等しい。 写真はナンゴククガイソウ(山上ヶ岳の高所部)。 真実は顳顬の中