大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2018年08月08日 | 植物

<2412> 大和の花 (577) ヒナノウスツボ (雛の臼壺)                    ゴマノハグサ科 ゴマノハグサ属

                      

 山地のやや湿ったところに生える多年草で、地中の塊根から茎を直立し、高さが30センチから1メートルほどになる。葉は長さが5センチから10センチほどの卵状長楕円形で、先は尖り、縁には鋸歯が見られ、対生する。

  花期は7月から9月ごろで、茎頂に円錐花序を出し、長さが6ミリから8ミリの暗赤紫色の壺形の花をまばらにつける。花冠の上唇は2裂し、4個の仮雄しべと一個の雌しべがあり、雌しべは花冠より外に突き出る。萼は5深裂し、裂片の先は尖る。

 本州の関東地方以西、四国、九州に分布する日本の固有種で、大和(奈良県)では紀伊山地の谷筋などで見かける。なお、ヒナノウスツボ(雛の臼壺)の名は、小さな壺形の花の形に由来する。 写真は天川村の御手洗渓谷ほか。 立秋の我が誕生日母の声

<2413> 大和の花 (578) オオヒナノウスツボ (大雛の臼壺)       ゴマノハグサ科 ゴマノハグサ属

                       

 日当たりのよい山地や丘陵の草地などに生える多年草で、4角形の茎が肥大した根茎から直立し、高さは大きい個体で1メートルを越える。葉は長さが6センチから10センチほどの卵形乃至は長卵形で、先は尖り、縁には鋸歯が見られ、質はやや硬く、対生する。花期は8月から9月ごろで、茎は上部から先端にかけて多数の小枝が生じ、その枝先に暗赤紫色の小さな壺形の花をつける。

  北海道、本州、四国、九州に分布し、国外では朝鮮半島に見られるという。大和(奈良県)では北、中部の一帯で見られる。奈良県版データブック『大切にしたい奈良県の野生動植物』2016改定版は「産地が少なく、個体数も少ない。産地数が増加したので絶滅寸前種から絶滅危惧種に変更する」としている。だが、産地の1つである曽爾高原ではシカの食害が見られ、減少が懸念される状況にある。 写真はオオヒナノウスツボ(曽爾高原)。   身に及ぶ酷暑一日日一日この日々をしてなりゆけるもの