大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年06月12日 | 写詩・写歌・写俳

<1012> 柚 子

       梅雨寒や 素足の少し 冷ゆるなり

 入梅の日の昨日、待望の実が出来て梅酒にした南高梅の話をしたが、我が家の庭には今一つ果実の生る木がある。四年前に山茶花が根切り虫にやられて枯れてしまったので、その跡に柚子の苗木を植えた。柚子は根切り虫にやられることなく、順調に成長し、幹が大人の手首ほどの太さになって、高さも二メートルを越え、濃い緑の葉を繁らせている。

 この柚子に今年はじめて実がついた。わずか二個であるが、繁る葉の中に隣り合わせに生っているのを妻が見つけた。二つとも飴玉ほどの大きさで、まだ、葉と同じ濃い緑色をしている。実は果たして大きくなって収穫出来るだろうか。楽しみでもあるが、気がかりでもある。収穫出来れば、冬至の柚子湯に用いてもよかろうか。

                                      

 柚子は中国原産のミカン科の常緑小高木で、初夏のころ柑橘類特有の白い五弁花を咲かせ、実は晩秋から初冬のころ黄色く熟したものを収穫する。奥吉野の十津川村ではこの実を用いて柚べしを作り、山里の特産品として売り出している。

 柚子は成長の遅い木で、「桃栗三年柿八年」と言われ、「柚子は九年で生り兼ねる」と続けられる。また、地方によっては「柚子の大馬鹿十三年」とも言われる。「大馬鹿」とは失礼千万な言葉であるが、飛び抜けていることをいうもので、半分は誉め言葉と言えそうである。

 花は小さくまばらにつくので気づかなかったが、咲いていたのだろう。苗木から四年ほどで実をつけたということになる。実生からだとやはり九年ほどはかかるのだろうと思われる。とにかく、柚子には頑張って実を大きく育ててほしいものである。写真は繁る葉の中に二つの実をつけた柚子。