大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年06月21日 | 写詩・写歌・写俳

<1021> 夏 至

        輝きは そこに生まるるものとこそ 全身汗のジャパンイレブン

  今日は夏至で昼の時間が一番長い日である。大和は雨の予報だったが、朝から高曇りで、雨は降らず、一日中どんよりとしていた。この時期になると、ドクダミ科のドクダミ(蕺草)やハンゲショウ(半夏生)の花が見られるようになる。ドクダミは半日蔭に、ハンゲショウは湿地や水辺に群落をつくり生える多年草で、ともに全国的に自生分布し、薬草として知られる。

    

 ドクダミは暗緑色の心形の葉を有し、六、七月ごろ、茎の上部に花弁のような白い十字形の苞が印象的な花を咲かせる。清楚な花であるが、全草に独特の臭気があるため、その印象はこの臭いと相殺されるところがある。薬草として名高く、その名は毒を矯め除く意、即ち、人体の毒を取り除く効能によっていると言われるほどで、その薬効は利尿、便通、高血圧予防などに及び、全草を乾燥し煎じて服用する。

 また、化膿止めにも効能があり、これには生の葉を火に炙り、軟らかくして患部に貼るのがよいと言われている。この薬効により、十薬の生薬名も見えるが、根が強いので畑や庭に入り込むと、なかなか取り除けないので、シブトグサという異名も持っている。

 一方、ハンゲショウは夏至から十一日目に当たる日を半夏生(今年は七月二日)と言い、この時期になると花穂を上部の葉腋から伸ばし、淡黄色の小さな花を多数つける。また、卵形の葉が一部白くなるので、半夏生のほか半化粧、片白草(かたしろぐさ)などこの葉の白変に因む名も見られる。ハンゲショウも薬用植物として知られ、利尿や腫れものに効能があると言われる。漢名は三白草(さんはくそう)で、生薬名にもなっている。

 じめじめとする梅雨の時期は病気も蔓延する季節の先がけで、薬草が暮らしの中で役立てられて来たことがドクダミやハンゲショウには思われるところである。サッカーのW杯が開催中のブラジルは湿度の高い国らしくJリーガーの玉の汗が印象的であるが、その光る汗も見る者に感動を呼ぶ。夏至が過ぎ、W杯が終わるころはいよいよ真夏である。 写真はドクダミ(左)とハンゲショウの花。