大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年06月11日 | 写詩・写歌・写俳

<1011> 入 梅

       入梅や 梅酒琥珀に 透き通る

 今日六月十一日は暦の上の入梅。大和は梅雨独特の鬱陶しい空模様で、周辺の青垣の山並も山頂付近が厚い雲に被われ、すっきりしない一日だった。我が家の庭には、十一年前に自宅の改築祝いにもらって植えた一本の南高梅がある。高さが三メートルほどになり、三年ほど前から実をつけるようになった。今年は花が多かったので期待していたが、わずか十数個だった。それでも、実は大振りの粒ぞろいで、妻が「そろそろいいのでは」と収穫して、梅酒にした次第である。で、梅酒は今まさに醸成中。琥珀色に透き通って見える。

                                                    

 十年も経つのに、実があまり生らないのは、大きくなり過ぎると困るので、枝を全部切ってしまうからであろう。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言われるのを聞いたこともあって、とにかく、枝を短く切り揃えて来た。この間、テレビを見ていたら、多少は枝を残さねば、実の付きが悪くなると言っていた。そのとき、実の少ない原因がわかったような気がした。

 四月にやって来た燕は、巣作りを終え、卵を産み、今は雛たちの巣立ちがあり、にぎやかになっている。田植えを終えた田の上を変幻自在に飛び交い、勢いがいい。どこに巣を作っているのかと思っていたら、商店が軒を連ねるコンクリートの屁の下、雨に濡れないところであった。巣の写真は撮らずじまいであったが、近くの電線に止まっているところを撮った。

 今年の梅雨はどんよりとした雨模様の日が多く、梅雨らしいところがある。果たして今後はどうなのだろうか。写真は左から醸成中の南高梅の梅酒。電線にとまる燕、梅雨空の下、田植えを終えた田(田に影を映しているのは法起寺三重塔)。  入梅や 塔も少しく その気分