＜１００３＞ 忘れてはならないこと
忘れてはならぬものより声がする まぼろしならね その声まさる
写真はイメージ。ノートとヘミングウェイの『武器よさらば』
灰は生きものを焼いて出来るもの
空から降って来る灰を
みんな死の灰だと言って恐れた
あの脅威の核兵器 原子爆弾による灰
一九四五年八月六日のヒロシマ
一九四五年八月九日のナガサキ
あの核爆弾は 一瞬にして
灰と瓦礫の山をつくり
黒い死の灰の雨を降らせた
人々の日常は 一瞬にして裂かれ
死と呻きの声に変えられた
これをみんなピカドンと言って
この酷たらしい光景に
誰もが戦争の行き着くところを知った
だが あの惨憺は忘れられてしまったのか
またしても 戦争をする国にしようという
お粗末 お粗末 お粗末 お粗末
いくら言っても言い足りない
まことに お粗末なことだ
平和とは汝に平和の失はれたるとき気づくものと知るべし
一冊のノートに見ゆるその昔 歩みて来しは平和な時代