山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

09北海道くるま旅くらし: 第41日

2009-08-21 03:11:15 | くるま旅くらしの話
行程:クッチャロ湖畔キャンプ場→ベニヤ原生花園→浜頓別温泉:ウイング→道の駅:ピンネシリ→美深アイランドオートキャンプ場(泊)


今日はここを出て南下を開始する日である。この気候では、これ以上北上しても寒いばかりで、あまり得るものも無さそうな気がして、そろそろ帰途に就かなければと考えた次第。この近くの美深のキャンプ場に、くるま旅の大先達のお一人のWさんご夫妻が滞在されており、先ずはそこにご挨拶に行くことにしている。今朝は青空も見えて、晴れのムードになっていた。相棒がここの上にある温泉に入ってから美深に向かいたいというので、そうすることにした。温泉は11時からの営業である。
出発の準備をした後、かなり時間があるので、近くのベニヤ原生花園に行ってみることにした。ベニヤ原生花園は、クッチャロ湖とオホーツク海との間に広がる広大な湿地帯である。車で数分の距離である。直ぐに到着。良い天気になり、暑さを回復出来そうだ。相棒は虫に刺されるのを恐れて、原野の中を歩くのは止めるというので、一人でちょっと覗いて来ることにした。以前来た時は、中途半端な時期で、花を咲かせている野草はほとんど無かった。今回も似たようなタイミングなので、あまり期待していなかったのだが、案内所の人がサワギキョウが咲いているし、ウンランも咲いているというので、少し期待が膨らんで行ってみることにした。案内所の傍の土手に見事に育ったツリガネニンジンが何本もあり、たくさんの花を咲かせていた。その横にマンテマの株があり、これも開花真っ盛りだった。湿原の索道に入ると、風に揺れる科本科の草に混じって、サワギキョウの花がその高貴な紫の花を咲かせていた。先日の釧路湿原では、ほとんどが開花前の蕾の状態で、心残りだったのだ
が、それをいっぺんに取り戻してくれる嬉しさだった。数も多い。何回もカメラのシャッターを切った。その他エゾミソハギやクサレダマ、シオガマギク、エゾトリカブト、コウリンタンポポなど予想外の盛況だった。昨日のブログには何ということを書いてしまったのかと反省しきりだった。勿体無いので一度引き返し、相棒にサワギキョウだけでも見た方が良いと勧めたら、どうやらその気になったらしく、カメラを取り出し、長靴を履いた厳重装備で出掛けて行った。今年は湿原の付近に熊が出没しているらしく、注意の看板があり、一部立入禁止のエリアも設定されていた。こんなことは今まで無かったと案内所の人が話していた。熊君たちの暮らしは、いよいよ追い詰められて来ているのだろうか。困惑するばかりである。相棒が出掛けた後、もう一度少し違うコースを歩くことにして出発。まだウンランを見ていない。ウンランは浜辺近くにあるはずだと、海岸線を歩いて発見する。久しぶりの出会いである。厳しい北の海の砂浜に根を張って、小さな花を咲かせているその姿は、健気
にして且つ雄々しい。そんな風に見えた。浜辺近くの野草たちは、皆小型だが、ウンランはその代表選手のように思えた。1時間半ほど湿原の散策を楽しみ引き上げて、撮った写真をパソコンに入れチェックする。花の写真は難しい。なかなかコレはと言えるものは少なかった。でも十二分に満足した。
その後は再びキャンプ場近くに戻り、浜頓別温泉ウイングへ。肋骨の打ち身には、まだ温泉は早いのかなと思ったが、ぬるめの湯なら大丈夫だろうと、気をつけながらの入浴だった。一時間ほどで温泉を出て、軽く昼食を済ます。スイカを食べただけ。
その後、美深に向かって出発。途中道の駅:ピンネシリに寄り黄色いトマトなどの野菜を買う。美深の道の駅の裏のオートキャンプ場に着いたのは14時を少し過ぎた頃だった。手続きを済ませ、Wさんの近くのサイトへ。
ご夫妻は直ぐに気付かれて手を挙げて下さった。お元気そうで何よりのことだった。お二人とも、満身創痍のごとく体にハンディをお持ちである。それをものともせず、はるばる四国の松山から旅車を駆って、北海道まで避暑を兼ねた旅にお出でになるのである。もうその歴史は25年を超えようとしているのだから凄い。挨拶を交わした後は、Wさんの設営されたテントにお招き頂き、お茶をご馳走になりながら、2時間近くの歓談となった。何しろ相棒は旅の中ではWさんご夫妻の長女ということになっているのである。自分はその女婿ということになる。Wさんの巧みな話術に誘導されて、あっという間に時間が過ぎ、気がつけば空は雲を増し、怪しげな様相になり、寒くなり出していた。車に戻り、宿泊の準備と夕食の準備に取り掛かる。
私はWさんご夫妻はくるま旅くらしの鑑(かがみ)のような方だと尊敬して止まない。リタイア後の人生をどう生きるかについての、明確な信念を実践されて来られた方であり、これからもその実践は続けられるのだと願っている。何故そうなのかについては、改めて機会を見つけて書いてみたい。今、ご夫妻は命がけでくるま旅を楽しんでおられるのだと思う。これは常人にはできない一つの人生へのチャレンジなのだと思う。奥さんはほとんど歩行困難な車椅子暮らし、そしてご主人は先年脊椎をやられて、腰が曲がった状態でのくるま旅なのである。そんな無理を押して、どうしてそこまでやるのかというのが、世間の一般的なコメントなのだと思う。常識的には、危険ではないかということになるに違いない。しかし、私はWさんご夫妻の生き方を支持したい。命がけでご夫妻で生きていることを実証・確認されておられるように思えるのだ。そしてそれは、自分が目指したいこれからの理想でもある。Wさんの感性はいささかも衰えてなどいない。新聞を読み、文芸春秋を読み
、世間の動向把握にも敏感である。その姿を拝見するにつけ、我が身を正す思いに駆られるのである。
相棒と二人、Wさんご夫妻の凄さを話ながらの夕食となり、今日も又雨降りとなった夜を迎えたのだった。
コメント
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