<国東の寺と宇佐神宮を訪ねる>
昨日の宿は急な変更だったのですが、温泉は不意になったものの泊りの方は、トラックの騒音も無く、静かな一夜を過ごすことが出来ました。この道の駅には「童話の里」とあり、駅の構内に桃太郎と犬,猿、雉をイメージした子供向けの大きな像があるので、どういうことなのかと不思議に思い、説明書きを読んでみたら、この町出身の日本のアンデルセンと言われた口演童話家の久留島武彦という方が、子どもの豊かな心を育むことに生涯をかけて世界中の子どもたちを訪ねて童話の口演をされた活躍を記念して子どもたちの心のふるさととなるような「童話の里の町づくり」をめざしてつくられたとありました。そのような立派な方が居られたのだということを初めて知りました。
さて、今日は九州を訪ねる最後の日となる予定で、先ずは御佛(みほとけ)の里国東半島の二つのお寺を訪ねて、その後に宇佐神宮に参拝してから東九州自動車道に入り、山陽道を経て尾道からしまなみ海道の大三島を目指すことにしています。尤も長距離となるので、どこか途中のSAで泊ることを考えています。
ということで、先ず国東までは大分道を利用することにしました。目の前に玖珠ICがあり、直ぐに高速道に入り、由布岳や鶴見岳を見ながら大分農業文化公園という、ちょっと変わった名のICで降りて、山里の道を辿って、先ずは真木大堂を訪ねました。国東の寺巡りにはかなりの時間を要するので、今回はこの真木大堂とその近くにある富貴寺の二カ所だけに参詣することにしました。お寺の方は家内の関心事が大きいので任せることにして、自分はちょっと覗いてあとは待機するだけなのです。
真木大堂は平安時代には大伽藍を構えた大きなお寺だったということですが、現在はその名残がほんの少しあるだけです。次は富貴寺ですが、ここは家内の関心大でかなり時間をかけて参詣していました。拝観料が要るので、自分は門前の階段を上って、石の仁王さまを拝むくらいで、あとはその辺をぶらぶらしていました。真木大堂の方は今はほんの一部の建物しか残っていないのに、富貴寺は立派に残っているのはなぜなのか少し気になりました。富貴寺は宇佐神宮の別当でもあったということですので、違う運命を辿ったのかな、などと考えました。詳しいことは分かりません。
あとで家内に聞いた話では、真木大堂に残る仏像を今回初めて見たということですが、富貴寺の仏像と合わせ見て、どれも素晴らしい魅力的なものなのだということでした。家内は仏教史だとか、仏像に関する勉強をしているので、専門的知識を持っており、門外漢の自分とは違って、この二つのお寺に対する評価は相当に高いものでした。仏像を拝することもせず、暇を持て余して、外でぶらぶら歩いている者は、お寺の姿だけを見てつべこべ言うのは僭越過ぎるのだなと反省した次第です。
家内が戻って来て、次は宇佐神宮参拝です。しばらく宇佐市の郊外を走って国道10号に出て少し行くと宇佐神宮です。今日も天気が良くて日差しがきついので、神宮の広い境内を歩くのは厳しいなと思いながらの参拝でした。宇佐神宮と言えば、ここは全国の八幡神社の総本山ということですから、格式も高く、参拝する人も多いことになります。今はどのような時期なのか広い駐車場は3割ほどしか車はありませんでした。とにかく暑いので、木立の蔭を探しながら歩きました。どこの神社も同じ様なのですが、大木の森に囲まれているので、その中に入ると自然と清浄な気持ちになり、暑さなどは忘れてしまうものです。しばらくその澄んだ空気を呼吸しながら参拝を済ませました。
これで九州の旅は終わりとなるのです。どこから高速道に入るか考えながら走っているのですが、その前にガソリンを満タンにしておく必要があります。どこか安いところはないかと走っていると、中津の手前あたりに少し安いエリアがあったので助かりました。そして少し行くと、道の駅:なかつがあったので、ここで昼食休憩にすることにしました。中津と言えば唐揚げが有名です。なので、唐揚げ定食をオーダーして食しました。まあまあといった感じでした。休憩の後出発して、椎田南ICから東九州道に入り、そのあとは九州道から中国道、山陽道と走って、山口県の下松SAで泊ることにしました。
九州道から中国道に入る頃から天気は急激に悪化して、雨も風も強くなり出しました。下松SAは往路の際も泊ったのですが、今度は上りなので場所は異なります。とにかく酷い風なので、明日のことが心配です。予報を見ると、この天気は収まらないようで、しまなみ海道の大三島の方も同様の天気らしいのです。どうするかしばらく迷いましたが、思い切って行くのを止めることにしました。大三島に行くのは、しまなみ海道にある大三島と隣の生口島に架かる多々羅大橋というのを歩いて渡るというのが目的だったのです。海面から100mの高さのこの橋を渡るのは、空中散歩の感があり、その途中には拍子木を打つとその反響の音である「鳴き龍」を聞くことが出来て、何度かそれを体験しているので、もう一度あの恐怖と快感が綯い交ぜとなる不思議な体験を味わいたかったのです。しかし、明日も今日と同じように風雨の厳しい天気では、明後日を待つというわけにもゆかないので、断念せざるを得なかったのです。
ではどうするか?これは大きな変更です。とにかく四国方面に行くことは諦めて、山陰の方に行くことにしました。明日は天気の良し悪しに係わらず広島から三次の方へ行って、三次からは一般道で出雲大社の方へ行くことにしました。大雨の中の決断でした。
*忽然と現われ消える由布岳は旅の車のガラスを飾る
*麦秋と田植の景色交々(こもごも)の御仏の里の春は過ぎゆく
*平安の夢は何処に消えたやら真木大堂に仏像(ほとけ)を残して
*富貴寺の石の仁王も又我も老を噛みしめ此処に立つなり
*宇佐の神善男善女四泊の祈り叶えよその力もて
*空中の散歩は不意となりにけり多々羅大橋鳴き龍遠く