そろそろ本来の旅の話に戻りたいと思っているのですが、実際に旅に出かけていないと、自分の感性が鈍くなって、旅の中での感動を味わう心や伝える力が相当に低下してしまいます。反面、旅の最中は新鮮な感動をたっぷり味わいたいと思っているものですから、メモや記録を残すのが面倒となり、ついおろそかになってしまいがちです。同じ自分であるのに、その時々の状況で相矛盾した気持が錯綜するというのは、元々がいい加減な人間であるからなのでありましょう。
私は旅に出ると3つの作業をすることにしています。その一つは毎日の行程に従って随時メモをとること。この為には自分で所定のメモ用紙を用意し、行程の区切りごとに時間と場所、気づいたことなどを書き込むようにしています。2番目は毎日日記を付けることです。これは集文社という所の発行する横線当用日記というのを利用して書き込んでいます。そして3番目は、旅が終わった後に旅での出来事などを綴った記録の「でこぼこ日記」というものを自家製本で作ることです。この3つの作業は、旅での暮らしの大きな柱としてこの8年間継続してきました。
この他にも旅が長期にわたる時には、毎日ブログに昨日の出来事などを綴って載せるようにしています。これらの作業は相関連しており、同じ内容のことを重ねて書いたりしますので、考えてみれば無駄が多いのですが、元々無駄が気にならない人間なので、あまり苦になることはありません。でもこの中で、ブログの内容とでこぼこ日記の内容は相当に重なっていますので、この頃はブログの発表の内容をほんの少し修正する程度で、それをそのままでこぼこ日記に使うようにしています。従ってでこぼこ日記とブログの内容は殆んど同じですので、これだけでは旅の本当の面白さや楽しさを残せないのではないかと考え、その時の旅の中で特に印象の深かった事項を取り上げ、エッセーとして綴ってゆきたいというのがこれからの課題です。
このような記録作業を始めたのは、10年ほど前にくるま旅を本格化させたいと考えた頃からですが、でこぼこ日記を製本して残すようになったのは、2003年の北海道くるま旅くらしからです。それから早や8年が過ぎようとしており、この間に作成した旅の記録は23冊になりました。先日改めてこれらの記録を整理したのですが、全記録の冊子の厚さを測ってみたら、11cmになっていました。大型の辞典でも10cmを超えるものは殆どありませんから、結構なボリュームとなっているのを実感しました。B5判の冊子が殆どですが、中にはA4判のものも入っています。
又因みにこれらの旅の日数を合計してみましたら、664泊665日となりました。更にオッドメーターでの走行距離を合計しましたら95,573kmとなりました。これがここ8年間の旅の見かけ上の規模なのだなと思いました。勿論この他にも、特に記録を製本などしていない短期間の旅に、思いつくままに何度も出かけていますから、実際はこの8年間での旅に出た時間はもっと多いことは確実です。
さて、どうにかここまで記録を残してきたのですが、実は今までそれらを振り返って読んでみたことは殆どありませんでした。特別に思い出さなければならないニーズがあった時に、取り出して必要な個所だけを覗くくらいで、思い出に浸るというようなことはありませんでした。まだまだ過去を振り返るよりも、これから先どこへどんな旅をしようかと思いを巡らすことの方が自分にとっては遥かに大切なことだと思っていたからです。
それがこのところ少し気が変わりつつあります。もう少し同世代の方々たちに旅の楽しさ、面白さを知って頂くために、これまでの記録を活用したいと思うようになり、その気持ちが次第に膨らみ始めています。残された人生の有効活用(?)のためにも、様々な形での旅を楽しんで欲しいと願っています。
残された時間を活き活きと生きることこそがリタイア後の人生を価値あるものとする最も大切な生き方ではないかと思っています。そのための最も有効な方法が旅ではないかと思っているのです。人は固定化された観念に取り巻かれた環境の中に呼吸をしているよりも、より自由な変化と刺激のある世界を覗くことによって、生きるための感覚が鍛えられるような気がします。世の中には、今までの人生で気づかなかったものが無数に存在しています。それらの一つひとつを、ある時は偶然に、ある時は目的を持って訪ねてみるというのが旅であり、そこに出会いと発見の喜びを感じ、たくさんの感動の後に満たされた心の平安を確認できるのが旅の本質であると思うのです。旅をすると元気になるというのは、このような生きる喜びを実感できる、自らを力づけるパワーが旅の中にたくさん秘められているからなのだと思います。
リタイア後の人生をどう過ごすかは個々人の自由な判断によるものであり、何人もそれに干渉する権限も資格もないと思います。家の中に籠ってTVなどを見ながら気ままに過ごすことも悪くはないと思いますし、家族と共に平穏な暮らしを楽しむことも大切なことでしょう。とっかえひっかえ趣未を探すのも面白いことだと思いますし、まっしぐらに趣味に没頭できる人は最高かも知れません。人には様々な生き方がありますから、皆それぞれに気に入ったことをすればいいのだと思います。そう思いつつも、私としてはおせっかいの虫を抑えきれずに、やっぱり、今までの自分の世界から抜け出して世の中を眺めてみるという、旅への衝動を解き放つことをお勧めしたいのです。
ということで、これからは今までの自分のくるま旅の経験とそれに絡めた想像を膨らませて、旅への誘惑にこれ努めたいと思います。つまりは旅の誘惑者になりたいと思っています。そのために今までの記録を大いに活用したいと思っています。自分の書いたものを改めてじっくり読み返すというのは、何だか自家中毒症に罹るような感じがして、ほんとはあまり好きではないのですが、ネタ探しのつもりで振り返るのであれば、耐えることができるような気がしています。只今準備中ですが、いずれ遠からず、それらの話などをブログでも紹介させて頂きたいと思っています。








