【今日(8/31)の予定】
道の駅:もち米の里☆なよろ →(R40)→ 旭川方面
【昨日(8月30日:(土)のレポート】天気: 晴れ
<行程>
朱鞠内湖畔キャンプ場 →(道道・R275・道道)→ 士別市。日向森林公園キャンプ場 →(道道・R40・道道)→ 士別市・水郷公園キャンプ場 →(道道・R40)→ 道の駅:もち米の里☆なよろ(泊)
<レポート>
ブログを書き終えて外に出た時の朱鞠内湖は全てが霧の中だった。鳥たちの声が聞こえているだけで、何も見えなかったのだが、やがて霧は薄れ出し湖の半分が湖水を鏡にして現れ出した。この湖は風がないと本当に鏡になるのである。風が吹くとさざ波が立って、ほんの少しの刺激にでも敏感に反応する多感な少年の様でもあった。朱鞠内とは、狐沢という意味らしい。アイヌ語では、シュマリというのがキツネ、すなわちキタキツネを指し、ナイは沢という意味とのことである。このダム湖は日本では一番古くて、16年の歳月を要して昭和18年に完成したもので、満水時の表面積は24㎢、周囲は40kmもある日本最大の人造湖であると案内板に書かれていた。その昔はこの辺りにはたくさんのキタキツネが棲んでいたのであろう。その子孫たちは今でもこの辺りで活躍しているらしく、昨夜も誰かさんのテントに訪問があったとか聞いた。
今日の朱鞠内湖の景観。雲が湖面に映る姿は、日本一かもしれないなと思った。
やがて霧が晴れて、雲が湧いてくると、湖面にそれらが映って、何とも言えない美しい景観となった。同時に暑さがじわっと膨らんできて、今日のこれからも悩まされるなと思った。今日の予定としては、14時頃まではここで過ごすことにして、その後に士別市のキャンプ場に向かうつもりでいる。食事を終えて一段落していると、トイレに向かうはずの相棒が何やら外で話を始め出した。相手は昨夜ここにテントで野営したバイクで来ている若い女性だった。中型のそのバイクには「日本一周中」という勇ましい旗が掲げられていた。SUN号の傍に停まっていたそのバイクが女性のものだとは思わなかったのだけど、相棒の話を聞いてそれと判り、少し驚いた。昨日はその女性は知り合いの仲間と話をしておられたようなので、バイクはその仲間の方のものなのかと思って居たのだが、どうやら逆のようで仲間の方は自転車で来ておられるとのことだった。
自称ファットガールさんの日本一周中の掲額?日本一周へのチャレンジは珍しくはないけど、若い娘のバイク旅は珍しいと思う。
相棒が話し出すと、傍にいる自分は必ず引き出されることは解っているので、多分今回もそうなるだろうと思っていたら、案の定その通りとなった。ま、しかし偶には若い女性との会話に参入するのもいいかと思った。何しろ我ながら扱いにくいジジイなので、遠慮するのである。なにわナンバーのその女性は(というよりも娘といった方が正確であろう)なかなかしっかりしていて、相棒のようなババアとの話も見事にこなしていたようだった。後で名刺を出したら、手作りのネームカードを頂戴したので恐縮した。ブログを書かれているというので、相棒と話し続けている間にちょっと覗いてみたら、この4月から日本一周のバイク旅にチャレンジしているらしい。もう4カ月にもなるのだから、これはもう大変なものだなと思った。バイクの旅というのはやったことがないが、自転車で四国88カ所の旅をしたことがあり、屋根のある車とは違った幾つもの困難が付きまとうのは知っている。雨の日などは相当に厳しい。4カ月といえば、もう一通りの労苦は体験済みなのだと思うけど、それにしてもその根性は見上げたものだと思った。
ネームカードにはファットガールとあり、ブログはアラサーデブスと名乗っておられるようだったが、この頃の若い娘たちは、ジジイ世代とは違って外国語的日本語をどんどん新造して使うので、その種の辞書がないとなかなか解らないことが多い。しかしまあ、アラサーがアラフォーと同じようにアラウンドサーティであるとか、ファットがふわっと膨らんでいるということぐらいは理解している。ブログには日本一周婚活などとも書かれていたが、思うにこの娘にはよほどに意を決するような出来事があったに違いない。賑やかなネームカードにも、何かその出来事を笑い飛ばそうという必死さが現れているように思った。なにわの人たちは、笑いを商売にして日本中を乗っ取ってしまおうという魂胆が誰にでも潜んでいる感じがするが、暮らしの中に笑いを大事にするのは大事な心がけだとは思う。自分が出した名刺などは、固まってしまった能面のようなもので、彼女にとっては時代と世代の格差を実感したに違いない。自分から見れば孫娘のような世代であり、幾つか話を聞いている内に、世代を超えて通ずるものがあるのを知り安堵した。
彼女の思い違いについて一つコメントするとすれば、デブズというのは、デブ・ズなのか、それともデ・ブスなのか。そのどちらかを強調したい気持なのかと思うけど、ジジイから見るとデブでもブスでもないと太鼓判を押したい。ご本人が本心でそう思っているように、あなたは美人です。美人というのは顔でも身体でもなく、生きている姿そのものです。活き活きと生きていることこそが美人の第一の要件です。人が悩み、苦しみ、それらを乗り越えようと懸命に集中して何かにチャレンジしている姿こそが美の対象となるのだと思います。婚活などと旗を掲げなくても、日本一周バイクの旅を見守る3000人超のブログファンの中には、あなたの美しさに心を打たれる男がもう存在しているに違いありません。既に選んでもらう立場ではなく、選ぶ立場にあると思います。ジジイはそう思った次第です。
11時頃彼女はこれからオロロンラインを走って、稚内まで行くのだと出発して行った。まだ怪我が治っていないと聞いている。くれぐれも安全に留意して是非とも日本一周のバイク旅を成し遂げて欲しいと思った。
手を挙げて、勇ましく、ファットガールさんは稚内に向かって出発していった。無事、安全を祈る。
さて、若者の出発を見送った後は、しばらくのんびりして、昼はグリーン麺を茹でて食す。冷たい水がふんだんにあるので、心おきなく麺を味わった。その後14時過ぎまで湖の景観などを眺めながら過ごす。一人600円は高すぎると思ったけど、この景観を車の窓に掲げて見られるのは、無上の贅沢だなと思った。一泊なら元をとったなと思った。こんなときでも損得の物差しを考えているのは、まだサラリーマン根性が抜けていないのか。それとも、年金暮らしの新たな価値観の為せる仕業なのか。いずれにしても、哀しい習性ではある。
14時半過ぎキャンプ場を出発して、士別の日向森林公園キャンプ場に向かう。昨夜この近郊のキャンプ場を調べて候補地を4カ所ほど選んである。いずれも無料か小額での利用が可能なキャンプ場である。40分ほど走って日向温泉を過ぎ、森林公園キャンプ場へ行って見ると、入口から少し下った先に駐車場があるらしいのだが、SUN号では木が邪魔をして入ってゆけない状況だった。これじゃあダメだと諦め、次の候補の水郷公園キャンプ場というのに向かうことにした。そこから20分ほど走って、天塩川の傍にそのキャンプ場はあった。いいキャンプ場に見えたのだが、駐車場がないのである。川の土手に車が何台か停まっていたが、そこはかなり傾斜があるので、泊るのには無理がある。やむなくここも諦めて、さて、第3の候補地に行くかどうか。だんだん嫌気がさしてきた。それで、結局は一番近い名寄の道の駅:もち米の里☆なよろに行って泊ることにした。
昨日とは打って変わったみじめな今日の後半だった。結局キャンプ場が探しきれずにこの辺りをウロウロして終わったということになる。16時過ぎに道の駅について、まだまだ日は高くそれから涼しさが戻って来るまで、ただただTVなどを見て時間を過ごす。夕刻、鳥取県は米子市在住の知人から電話があり、明日旭川入りするとの知らせがあった。兼ねてより2年ぶりの再会を果たしたくて、この辺りで待っていたという思いもあったのである。念願が叶うことになって嬉しく、安堵した。明日の宿は旭川の道の駅ということになる。この道の駅にはかなりの数の旅車が泊っていた。いつものように夜を迎える。