【今日(9/12)の予定】
道の駅:いなかだて →(R102)→ 東北道黒石IC →(東北道)→ 何処まで行けるか未定
【昨日(9月11日:(木)のレポート】天気: 曇り後晴れ
<行程>
大間崎キャンプ場 →(R279)→ 道の駅:よこはま →(R279・R4)→ 道の駅:しちのへ →(県道・R394)→ 酸ケ湯温泉 →(R349・県道・R102・県道)→ 田舎館村役場(田んぼアート第一会場見学) →(県道・R102)→ 道の駅:いなかだて(温湯温泉へ往復する)(泊)
<レポート>
今日からは帰途が本格化する。しかし、少しは楽しみも残っている。それは青森県田舎館村の田んぼアートを見ることである。田んぼアートのことは、このところかなり有名だ。写真では見たことがあるけど、まだ本物の田んぼの絵を見たことがない。今年の春の東北の旅で田舎館村の道の駅に泊った時は、まだ田植えの準備中で稲は植えられておらず、それがどのようなものかは見当もつかなかった。その時、是非とも今年は出来上がった田んぼアートなるものを見物したいと思った。先日ネットでその様子をチエックしたら、まだ当分は見物が可能だということを知り、帰りには必ず見ようと思っていたのだった。今日明日でそれが実現できると思っての朝の出発だった。
朝のニュースを見ていたら、北海道の道南、道央などの各地で大雨が降り続いていて、特別警報が出ているエリアもあるということである。その中にはつい先日過ごしていた場所も含まれており、今ここにいるということがどれほど恵まれているかというのを改めて実感するとともに、今年の異常気象のしつこさと不気味さを思った。大間崎から見る函館方向には真っ黒な雲が気味悪く膨らんでおり、その向こうの方の札幌や恵庭などではとんでもない大雨が降っているのだなと思った。あの入道雲が何時こちらの方へ向かって来るやもしれず、先ずは海の傍からは早めに遠ざかるのが良かろうと、朝ドラも見ずに軽い朝食の後、7時過ぎには出発する。
今日の予定コースとしては、先ず横浜町の道の駅で休息した後、野辺地からR4に入って青森市を経由してR7で弘前に向かい、途中からR102に入って田舎館村に向かうことにしている。8時半ごろ横浜町の道の駅について一息入れている内に考えが変わり、青森市内経由は止めて七戸の道の駅に寄った後、八甲田の山を越えて酸ケ湯温泉のある道を経由して黒石市に出て田舎館村に向かうコースをとることにした。というのも、七戸の道の駅には魅力的な食材が揃っており、また久しぶりにR394を辿っての山道を行くのもいいのではないかと思った。まだ紅葉には早い季節なので、楽しみは少ないかもしれないけど、空気は美味いに違いない。坂道はSUN号にはきついかもしれないけど、まあ、なんとかなるだろうと思った次第。
七戸の道の駅で豆腐や野菜類の食材を手に入れて一息入れた後、山越えの道を八甲田山の方に向かう。以前酸ケ湯温泉の方を通った時もこの道を行ったように思っていたのだが、実際に走っている内にどうやらここは初めて通る道だなと気付いた。思ったよりも坂道が長く続いて、SUN号にはかなり厳しい走りとなった。前に通ったのは十和田湖経由で来た道だったのが次第に甦った。傘松峠の1040mという表示を見た後は下りに入り、間もなく酸ケ湯温泉館へ。ここで停まって辰五郎名水を汲む。風呂には入らない。この湯は酸性がきついので、相棒には無理である。水だけ汲ませて貰って、直ぐに出発して更に坂を下り続けて黒石郊外の伝統工芸伝承館近くのR102の交差点に出る。ここからは春にも来ている勝手知ったる道だ。温湯温泉入口を通り過ぎて、その後田舎館村の役場に直行する。12時半近くで、思ったよりも早い到着だった。天気は上々で、雨の心配など全くない。
田んぼアートは二つの会場があり、その一つはここ村役場の東側の田んぼで、これは役場の展望台から俯瞰することが出来るようになっている。又もう一つは道の駅:いなかだての近くにある田んぼで、こちらにも展望台が用意されている。役場の方が第1会場、道の駅の方が第2会場となっていて、いずれも入場料200円也を収めなければならない。先ほど第2会場の方を通りすがりにちらっと見てきたのだけど、第1会場の方が規模が大きいようである。

町役場の入り口周辺に立てられた田んぼアートの幟。この自転車置き場の向こうの方には、田んぼアート商店街なるものが出現していた。
田舎館村は、津軽平野の中にあって村の全域が平野の中にある豊かな村のようだ。農業以外にも産業振興がうまく展開されている感じがする。弘前や黒石と行った昔からの中核都市の間にあって、経済的には有利なロケーションを活かした活動が展開されてきたのではないか。そのように見ている。村役場は城郭の風格があって、天主閣風の展望室も造られている、全国でもユニークな建物ではないかと思う。初めて見た時はあまりいい趣味ではないななどと思ったものだが、何度も見ている内に却ってこれでいいのだと思うようになった。村民を代表する村のアイデンティティが表現されているようにも思えるのである。

威風堂々たる田舎館村の町役場の建物。天守閣なのか櫓なのか、遠くから見てすぐにその存在に気づく建物である。手前の田んぼに作品が描かれている。
さて、いよいよ田んぼアートを鑑賞することとなった。役場の入口で入場券を買って、エレベーターに乗り3階まで行って、そこから2階分ほどの階段を上って展望室へ。展望室は四角の通路があり、逆戻りはルール違反のようである。これ一回りが200円なのかと思いながら田んぼを見下ろしたのだが、そこに浮かび出ている天女と富士山の絵を見て、息をのむほどに驚いた。みごと!という他にことばがない。今年のテーマは羽衣伝説と富士山の世界遺産登録を祝ってのイメージなのか、見事な天女の舞姿と富士山が描かれていた。田んぼの大きさが縦・横100m以上もあって、自分のカメラではその全景を写すことができず残念だった。やむなく二つに分けて天女と富士山を撮った。特に天女の絵は微細を極めて表現されており、その表情までもが絵ごころに満たされていた。素晴らしい。これは生きている芸術だなと思った。絵は平面だけど、描かれている天女や富士山は立体であり、それを描いている稲穂たちはまさに生きているのである。6月ごろに植えられた10種類もの稲たちが、巧みに計算されているとはいえ、ここまで見事に生長し、稔り、息づいているとは何ということなのだろうか、と思った。この企画の素晴らしさと、その実現・実行に携わった方々に絶賛のエールを送りたいと思った。

左側の田んぼの、羽衣伝説の天女の舞の絵。これが田んぼに植えられた稲たちが描き出しているとはとても思えない。大いなるロマンである。

右側の田んぼの富士山と三保ノ松原のある駿河湾の景観の表現か。右方の住宅の大きさと比較してみれば、この絵のスケールの大きさが判るというものだ。
下に降りて田んぼの周辺をしばらく歩き回ったのだが、そこに植えられている稲たちを見ても絵のことは全く判らない。ただ黒っぽい稲穂や微妙に稲穂の色合いが違う稲たちが時折り固まって配置されているだけで、道端にはイナゴたちが跳ねまわって、豊作の喜びをうたっているだけだった。このようなとてつもない絵が描かれているなどとは、誰も気づかない風景なのだった。我々の暮らしの周辺にはこれと同じような気付かないアートのようなものが、もしかしたら無数に点在しているのかもしれない。田舎館村の知恵者の人たちは、弥生時代からこの地で作られていたという田んぼの稲作の中に、そのアートを発見したのかもしれない。ギネス級の凄いことだなと思った。
一通りの見物が終わり、感動の中に車に戻ると、向こうの方から紳士がやって来られて「どちらから来られたのですか?」と尋ねられた。「茨城県のつくばの方からです」と答えると、「それはどうも、遠いところからごくろうさまです」と挨拶され、その後しばらく会話を交わした。今年の田んぼアートの描かれた名刺を頂戴したら、何と村会議員さんだった。旅車だったので、目立ったのかもしれない。村を代表して外来者を歓迎するという、温かさが沁みてくるというようなお方だった。お話の中で、近々天皇・皇后両陛下がここにお出でになるということをお聞きした。米はこの国家の食の基幹に位置する作物であり、古来からの様々な種類の米を使ったこの田んぼの芸術を、両陛下も感嘆されながらお楽しみ下さるに違いないと思った。
さて、その後は道の駅の方に向かう。第2会場の方は、明日見ることにして、今日は午後はゆっくり休むことにした。朝からかなりの距離を走っており、運転者も横に座っている人もかなり疲れている。遅い昼食の後は、相棒は午睡の床へ。自分はTVなどを見て過ごす。16時を過ぎたので、近く(と言っても往復15km以上あるけど)の温湯(ぬるゆ)温泉へ。いつもの鶴の湯という公衆浴場へ入り、温泉を楽しむ。18時前には道の駅に戻って、旅の実質的な最後の夜を迎えることが出来たのを祝って乾杯する。乾杯の理由は無限である。その後は何時もの通り。明日からはただの移動行程だけである。先ずは安眠・熟睡こそ大事。