『西郷南洲翁遺訓』を読んでいると、今の世相において、大切だと感じるメッセージが沢山あります。例えば、税金に関して、以下のような言葉があります。
第13章 租税の心得
「租税を薄くして民を裕にするは、即ち国力を養成する也。故に国家多端にして財用の足らざるを苦しむとも、租税の定制を確守し、上を損して下を虐げぬもの也。能く古今の事事迹を見よ。道の明かならざる世にして、財用の不足を苦しむ時は、必ず曲知小慧の俗吏を用い巧みに聚斂して一時の缼乏に給するを、理財に長ぜる良臣となし、手段を以て苛酷に民を虐げたるゆえ、人民は苦悩に堪え兼ね、聚斂を逃れんと、自然橘詐狡猾に趣き、上下互いに欺き、官民敵讐と成り、終に分崩離析に至るにあらずや。」
【訳】
「税金を軽くして国民を豊かにするのは国力を養成する基である。それによって、初めて国力が養われることになるのである。そのためには、国家の仕事が多くなり、財政が不足して苦しむことがあっても、定まった税金の制度を守り、簡単に改めることはすべきではない。上を損じて下を虐げぬものなりと言うことは、政府が損をしても民間を苦しめないということである。昔からの歴史をよく見なさい。道理の明らかでない世の中で財政が不足し困ると必ず、邪智に富んだ小役人を用いてうまく民を惑わして、一時の窮乏をまぬかれるが、そういう搾り上手な役人を財政に明るい良い役人としてほめる。しかし、人民は苦しみに耐えかねて酷税を免れることを考え、上下は互いに欺き合い、官民は仇敵のような間柄となり、遂に民心は政府から離れ、国は崩壊することになるものである。 」
世の政治家たちに読んで欲しいメッセージだと感じつつ、こうしたメッセージは子どもの頃から心に刻んでおかなければ、そのような生き方はできないだろうと思います。リーダーになる人たちは、未来の決断のために、『西郷南洲翁遺訓』を読んで、胆識を身に付けた方が良いと思います。他人のことをあげつらっている場合ではありませんから、勿論、必死で私も学びます。