Vision&Education

木村貴志の徒然なるままの日記です。

わかりやすく日本の歴史を学ぶ

2021年02月04日 | Weblog

わかりやすく日本の歴史を学ぶには何を読めば良いですか?という質問に対して、今まで、随分悩んでいました。なぜなら、ジャンル毎に良い本はそれぞれにあるのですが、全体として、うまくまとめたものを私はなかなか知らなかったからです。

やっと迷わず紹介したい本が出ました。

『初等科国史』

まずは、これだと思います。これを学べていた戦前の人をうらやましく思います。これまで断片的に学んでいたことが、スムーズに繋がっていく感覚でした。言葉遣いも配慮があって好きです。

例えば、こんな感じです。

「(前略)松陰は、こう歌って、国家の前途をうれえながら、まだ三十歳という若さで、惜しくもたおれました。しかし、松下村塾で育った人たちは、よく松陰の志を受けつぎ、また水戸の弘道館からも、続々尊皇の志士が現れました。こうして直弼は、攻撃の矢面に立ち、万延元年三月三日、ついに水戸の浪士におそわれて、桜田門外でたおれました。昨日は心ならずも志士を斬り、今日は思いがけなく志士に刺される。わが国にとってよくよくの難局でありました。(後略)」

殺されたのでも首をはねられたのでもなく、「たおれた」のです。そして、吉田松陰にも井伊直弼にも、等しく「たおれた」という表現が使われています。それは「心ならずも」であり、「思いがけなく」であり、それがやむを得ず必要な時代だったことを、「よくよくの難局だった」と捉えているのです。

全ての国民に温かいまなざしを向け、敬意を払い、記述がなされているのは、読んでいて心地よいと思います。

立場が違う人をボロクソにけなし、快哉を叫ぶような書き方ではなく、こうした品位ある、そして、誰に対しても暖かいまなざしを向けている、この書きぶりこそが、日本人の感性によるものだと思います。

 

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