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消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例

2009年12月08日 | 消費者トラブルと消費者契約法
◎消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例

 全国の消費生活センターには、消費者と事業者との間で締結される商品やサービスの契約に関して多数の相談が寄せられており、消費生活相談の現場では各種の法令等に基づき、その被害の救済に取り組んでいる。なかでも消費者契約法は、あらゆる消費者契約を対象として、事業者の不当な勧誘や不当な契約条項によって被害を受けた消費者の事後救済を可能とするものであり、消費者契約にかかわるトラブルを解決する有効な手段として活用されている。

 国民生活センターでは、消費者契約法に関連する消費生活相談を整理し、事業者の不当な勧誘や不当な契約条項について、その代表例と傾向をまとめている。また、消費者契約法施行後、消費者契約法に関連する主な裁判例について収集し情報提供している。
今回は昨年10月公表以降に把握できたものをとりまとめた。



◎消費者契約法に関連する消費生活相談の概要

 消費者契約法に関連する消費生活相談として、事業者の「不当な勧誘(4条関連)」と「不当な契約条項(8~10条関連)」の代表的な例とその件数について直近5年分をまとめた。また、2008年度の件数は、以下のとおりである。

(1)「不当な勧誘(4条関連)」では、「販売方法」に関する相談のうち、代表的な販売手口等を挙げている。このうち、「[1] 消費者を誤認させる勧誘」では、「虚偽説明」が31,823件、「説明不足」が29,447件、「サイドビジネス商法」が14,605件となっているが、これらは主に事業者のセールストークに問題のあったものである。また、「販売目的隠匿」が16,513件、「無料商法」が23,204件、「点検商法」が5,053件、「身分詐称」が8,842件となっているが、これらは主に勧誘の入り口の段階で消費者を誤認させる手口である。「[2] 消費者を困惑させる勧誘」では、「強引・強迫」行為に関する相談件数が多く、45,903件であった。「[3] その他不適切な勧誘」では、「二次被害」が12,152件、「次々販売」が10,183件、「判断能力に問題のある人の契約」が5,732件となっている。
(2)「不当な契約条項(8~10条関連)」では、「契約・解約」に関する相談のうち、不当条項に関連する相談の内容を挙げている。消費者契約法9条1号に関連する「解約料」に関する相談は18,563件、9条2号に関連する「遅延金」に関する相談は7,672件、10条に関連する「保証金等」の相談は20,476件となっている。



◎消費者契約法に関連する主な裁判例

 消費者契約法に関連した訴訟のうち、判決があった事案で国民生活センターが把握しているものは、2009年8月末日現在158件である。2008年10月16日に公表した「消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例」以降に把握した22件の判決を掲載した。

 22件の内容を見てみると、「不当な勧誘(4条)」関連の判決が3件、「不当な契約条項(8~10条)」に関連する判決が16件、適格消費者団体が消費者契約法に基づいて差止請求を行う「消費者団体訴訟」に係る判決が3件であった。

 「不当な契約条項(8~10条)」に関連する判決16件のうち、半数以上の9件が、不動産賃貸借関係の裁判であり敷金・礼金・保証金・更新料・定額補修分担金に関する条項(特約)の有効性が争点となっており、このうち5件が消費者側に有利な判断となっている。特に大阪高裁平成21年8月27日判決は、月額賃料4万5,000円、更新料10万円という賃貸借契約に関する事例だが、「月額賃料と対比するとかなり高額であるから、控訴人にとって経済的に大きな負担となる」こと、「控訴人に対して本件更新料約定が置かれている目的、法的根拠、性質が明確に重要事項説明の際にも説明されていない」ことなどを理由として、高裁レベルとして初めて更新料を無効とした判決である。本件は、現在上告中であり判決が確定していないが、消費生活相談においてもこの分野でのトラブルは少なくないことから、相談現場への影響があると思われるので、最高裁の結論を注視する必要がある。

 また、適格消費者団体が消費者契約法に基づいて差止請求を行う「消費者団体訴訟」に係る判決が、同制度施行後初めて出された。今後も適格消費者団体による差止請求や、裁判が予想されるため引き続き注目していきたい。(国民生活センター)








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