東京多摩借地借家人組合

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契約書に中途解約の規定がないが、中途規約をできるか

2006年05月23日 | 借地借家の法律知識
(問)まだ1年程契約期間が残っているが、経済的理由から廃業する。だが契約書には中途解約に関する条項が何も書かれていない。貸主は残存期間家賃を全額払えば中途解約に応じると答えたが、家賃を払わないと中途解約出来ないのか。

(答)中途解約を禁止する特約がある場合は借主の利益を一方的に害する特約として消費者契約法10条に違反し、特約は無効になる。それにより借主からの中途解約は認められる。
 しかし中途解約について何も契約書に書かれていない場合はどうなるか。民法は、「期間の定めの無い契約」の場合、3ヵ月の解約予告で契約は終了すると規定する(民法617条)。また期間の定めのある契約で解約権の留保がある場合にも3ヶ月の予告期間で中途解約を認めている(民法618条)。期間の定めがある場合、当事者はその契約期間に拘束されることになり、特約が無い場合、中途解約は許されない。一方の当事者は他の当事者に契約違反がない限り、一方的に借家契約を終了させることが出来ない。勿論、当事者が合意すれば中途解約は可能である。
 だが、最近は店舗が空いた場合、次の借り手が長期間決まらないことから貸主は契約の継続を望み、合意解約には応じない。その場合、契約期間が終了するまで契約は継続し、家賃の支払義務も当然終了しない。
 以上のことから期間の定めのある借家契約は、契約期間内では借主から解約の申入れが出来ないという結論になる。
 定期借家契約は原則として契約の中途解約を認めていない。しかし借地借家法38条5項では居住用に限られるが、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情がある場合は解約の申入れをすることができ、解約予告から1ヶ月で契約は終了すると規定されている。これは契約後の事情変更により契約の継続が困難になった場合にまで家賃の支払義務を負わせ続けるのは借主にとって過酷過ぎるということで契約上、特約が無くても強行規定で借主の中途解約を認めている。
 従って、相談者の場合も当事者の予測困難な事情の変化によって借家契約を継続することが著しく困難になった場合は「事情変更の法理」により解約が認められる可能性が高い。

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