CDを買う時に一番迷うのが輸入盤にするか、国内盤にするかということである。一昔前なら “そんなモン安い方がエエに決まってるやん!” ということで迷わずに輸入盤を買っていた。今のご時世、歌詞・対訳を知りたければネットですぐに出てくるし、一部の例外を除けばCDの解説なんてゴミ同然で、ロクなことが書いてあったためしがない。それと、一部のマニアが後生大事に取っておく “オビ” も要らない。あれこそムダの最たるものだろう。このように無意味なモンばかりゴテゴテと付けて値段を上げるという売り方は日本に古くから根付いている悪しき商売法で、賢い消費者を目指す私としては輸入盤を買えばすむ話だったのだが、最近はそうも言っていられない。
一番困るのは “国内盤のみボーナス・トラック2曲追加” とかいうキッタナイやり方である。まぁ冷静に考えれば今まで聴いたボートラで大したものはほとんど無かったことぐらいすぐに分かりそうなものなのだが、 “今度のヤツはひょっとしたら凄い名演かもしれん...” とか考えるといても立ってもいられなくなってしまう。だからこういう “ファンの足元を見るような” 売り方は不愉快だ。もっと言わせてもらえば、ボートラも含め、 “発売国によって収録曲が違う” というのは紛らわしくて買う方にとってはいい迷惑だということである。グレイテスト・ヒッツ物なら国によってヒット状況が違うので(クイーンの「手をとりあって」が日本盤のみ収録とか...)まだ分からんでもないが、フツーのオリジナル・アルバムで何の説明もなしに曲目が違うというのはやめてほしい。今日取り上げるパンクルズの「ピストル」も何も知らずに国内盤を買って失敗した1枚だ。
パンクルズといえばラモーンズ・スタイルでビートルズをパンク・カヴァーするドイツの “おバカ” バンドで、以前このブログでも「ヘルプ!」をもじった黄色いジャケの「パンク!」を取り上げたことがあったが、このモノクロ・ジャケの「ピストル」が「リヴォルヴァー」のパロディーであることは一目瞭然。タイトルは銃器つながりの単語で、パンクの元祖、セックス・ピストルズに引っ掛けたものだろう。
で、何が問題なのかと言うと、国内盤はオリジナルのドイツ原盤に入っていたストレートアヘッドな演奏をカットして、代わりに⑯「レヴォリューション1-2-3-4」という、「レヴォリューション№9」まがいのワケの分からん演奏を収録しているのだ。この7分21秒は資源の無駄使い以外の何物でもない。パンク・バンドが前衛に走るというのも問題アリだが、それを “興味深い” とか “意欲的” などという中途半端な形容詞で持ち上げる音楽ジャーナリズムも最低だ。誤魔化さずに “良い” のか “ダメ” なのかハッキリしてほしいし、私はこんな “前衛くずれ” を聴くほどヒマではない。ヤフオクで安かったからといってしっかり調べもせずに飛びついた自分が情けない...(>_<)
何だかグチっぽくなってしまったが、先述の出来そこないアヴァンギャルド⑯とキモいレゲエ調の⑮「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」以外のトラックは相変わらず楽しいロックンロール大会だ。これぞパンクルズの真骨頂というべき “やけくそパワー” 炸裂の①「マジカル・ミステリーツアー」、ゆったりした原曲を高速回転させることによって新たなグルーヴを生み出すことに成功した②「ヘイ・ジュード」、テンポを上げても独特のブルージーな味わいは変わらないのが凄い③「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」、ガレージ・バンドっぽい荒々しさが新鮮な⑦「ザ・ナイト・ビフォア」、駆け抜けるような疾走感がエエ感じの⑧「アイム・ルッキング・スルー・ユー」、サイケ色を一掃して痛快なロックンロールとして生まれ変わった⑨「アイ・アム・ザ・ウォルラス」、ラウドなギターがエエ味出してる⑫「アナザー・ガール」、ジョージア・サテライツの名カヴァーに迫る勢いの⑭「ドント・パス・ミーバイ」といったところは文句なし。ただし、原曲がそこそこアップテンポであまり変わり映えがしない④「マネー」、⑤「バッド・ボーイ」、⑥「エニータイム・アット・オール」といった曲ではヴォーカルの吸引力に圧倒的な差(まぁ天下のジョン・レノンと比べるのも酷な話だが...)を感じてしまうし、⑩「ウイズ・ア・リトル・ヘルプ...」、⑪「トゥ・オブ・アス」、⑬「ハニー・ドント」あたりはいまいちハジケ方が足らず、もっと心を鬼にして高速化してほしかったというのが正直なところ。
このバンドは存在自体がジョークみたいなモンなので、サウンドの完成度など1曲1曲をどうこう言ってもしゃあないところがあり、 “こんなん聴くんやったらオリジナル聴くわ!” の一言で片付けられそうだが、だからこそ “おバカ” に徹して超高速パンク化に命をかけるべきだったように思う。せっかく開拓した新たな世界、これからもカタイことは抜きにしてみんなの大好きなビートルズ曲で楽しいハイスピード・ロックンロールを聴かせてほしいものだ。
The Punkles "Hey Jude" (2003)
一番困るのは “国内盤のみボーナス・トラック2曲追加” とかいうキッタナイやり方である。まぁ冷静に考えれば今まで聴いたボートラで大したものはほとんど無かったことぐらいすぐに分かりそうなものなのだが、 “今度のヤツはひょっとしたら凄い名演かもしれん...” とか考えるといても立ってもいられなくなってしまう。だからこういう “ファンの足元を見るような” 売り方は不愉快だ。もっと言わせてもらえば、ボートラも含め、 “発売国によって収録曲が違う” というのは紛らわしくて買う方にとってはいい迷惑だということである。グレイテスト・ヒッツ物なら国によってヒット状況が違うので(クイーンの「手をとりあって」が日本盤のみ収録とか...)まだ分からんでもないが、フツーのオリジナル・アルバムで何の説明もなしに曲目が違うというのはやめてほしい。今日取り上げるパンクルズの「ピストル」も何も知らずに国内盤を買って失敗した1枚だ。
パンクルズといえばラモーンズ・スタイルでビートルズをパンク・カヴァーするドイツの “おバカ” バンドで、以前このブログでも「ヘルプ!」をもじった黄色いジャケの「パンク!」を取り上げたことがあったが、このモノクロ・ジャケの「ピストル」が「リヴォルヴァー」のパロディーであることは一目瞭然。タイトルは銃器つながりの単語で、パンクの元祖、セックス・ピストルズに引っ掛けたものだろう。
で、何が問題なのかと言うと、国内盤はオリジナルのドイツ原盤に入っていたストレートアヘッドな演奏をカットして、代わりに⑯「レヴォリューション1-2-3-4」という、「レヴォリューション№9」まがいのワケの分からん演奏を収録しているのだ。この7分21秒は資源の無駄使い以外の何物でもない。パンク・バンドが前衛に走るというのも問題アリだが、それを “興味深い” とか “意欲的” などという中途半端な形容詞で持ち上げる音楽ジャーナリズムも最低だ。誤魔化さずに “良い” のか “ダメ” なのかハッキリしてほしいし、私はこんな “前衛くずれ” を聴くほどヒマではない。ヤフオクで安かったからといってしっかり調べもせずに飛びついた自分が情けない...(>_<)
何だかグチっぽくなってしまったが、先述の出来そこないアヴァンギャルド⑯とキモいレゲエ調の⑮「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」以外のトラックは相変わらず楽しいロックンロール大会だ。これぞパンクルズの真骨頂というべき “やけくそパワー” 炸裂の①「マジカル・ミステリーツアー」、ゆったりした原曲を高速回転させることによって新たなグルーヴを生み出すことに成功した②「ヘイ・ジュード」、テンポを上げても独特のブルージーな味わいは変わらないのが凄い③「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」、ガレージ・バンドっぽい荒々しさが新鮮な⑦「ザ・ナイト・ビフォア」、駆け抜けるような疾走感がエエ感じの⑧「アイム・ルッキング・スルー・ユー」、サイケ色を一掃して痛快なロックンロールとして生まれ変わった⑨「アイ・アム・ザ・ウォルラス」、ラウドなギターがエエ味出してる⑫「アナザー・ガール」、ジョージア・サテライツの名カヴァーに迫る勢いの⑭「ドント・パス・ミーバイ」といったところは文句なし。ただし、原曲がそこそこアップテンポであまり変わり映えがしない④「マネー」、⑤「バッド・ボーイ」、⑥「エニータイム・アット・オール」といった曲ではヴォーカルの吸引力に圧倒的な差(まぁ天下のジョン・レノンと比べるのも酷な話だが...)を感じてしまうし、⑩「ウイズ・ア・リトル・ヘルプ...」、⑪「トゥ・オブ・アス」、⑬「ハニー・ドント」あたりはいまいちハジケ方が足らず、もっと心を鬼にして高速化してほしかったというのが正直なところ。
このバンドは存在自体がジョークみたいなモンなので、サウンドの完成度など1曲1曲をどうこう言ってもしゃあないところがあり、 “こんなん聴くんやったらオリジナル聴くわ!” の一言で片付けられそうだが、だからこそ “おバカ” に徹して超高速パンク化に命をかけるべきだったように思う。せっかく開拓した新たな世界、これからもカタイことは抜きにしてみんなの大好きなビートルズ曲で楽しいハイスピード・ロックンロールを聴かせてほしいものだ。
The Punkles "Hey Jude" (2003)