shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

クロース・トゥ・ユー ~遥かなる影~ / ケイト・ザ・キャット

2009-08-03 | Cover Songs
 バート・バカラックという人はコンテンポラリーなソングライターにしては珍しく格調高い曲を書く。彼の曲は、チャートを急上昇してピークを極めたと思ったらすぐに急降下していくような一過性音楽ではなく、何度も耳にしているうちに感動がジワジワと押し寄せるような長~くつきあえる持続性音楽である。しかしだからといって一聴して分かりにくいということは決してない。むしろその逆で、「雨にぬれても」や「恋よさようなら」といったバカラック・クラシックスから「アーサーのテーマ」(クリストファー・クロス)や「愛のハーモニー」(ディオンヌ&フレンズ)といった80年代の作品に至るまで、彼の書くメロディーは覚えやすく、親しみやすい。その品格滴り落ちるメロディアスな作風はまるでジェローム・カーンやリチャード・ロジャースといったティン・パン・アレイ時代の名作曲家たちが書いたスタンダード・ソングを思い起こさせるものだ。
 そんなバカラック曲の中で私が一番好きなのがこの「クロース・トゥ・ユー~遙かなる影~」である。初めて聴いたのはもちろんカーペンターズのヴァージョンで、世界最高の女性シンガー、カレン・カーペンターが曲の魅力を120%引き出しており、屈指の名曲名唱として私の心に刻みつけられた。それ以降、この曲のカヴァーをチェックするようになったが、あれほどの決定的名唱を残されるとカヴァーする方はツライ。カレンの歌声と比較すれば他のヴォーカル・ヴァージョンは瞬時にして砕け散るが、今日は敢えてカレンやダスティ以外の、世界各国のちょっと変わったカヴァーをご紹介。題して “玉砕覚悟のインターナショナル・クロース・トゥ・ユー” 大会です!!!

①Kate The Cat
 ケイト・ザ・キャットは正体不明のドイツ人シンガー。彼女の2枚組CD「ラヴ」にはこの曲が2ヴァージョン(しっとり系の“ラウンジポップ”とオラオラ系の“ラテン・ジャズ”)入っておりどちらもごっつうエエ感じなのだが、そのハジケっぷりからここでは後者をオススメ。ちょっと他所では聴けないオルガンバー・サバービアな “遙影” をどうぞ。
ケイト・ザ・キャット


②Cranberries
 クランベリーズはアコースティック・ポップを得意とするアイルランドの紅一点ロック・バンドで、このヴァージョンはインディーズ系バンドによるカーペンターズへのトリビュート企画アルバム「イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター」に収録されたもの。このアンニュイな雰囲気横溢の何ともいえない気だるさがたまらない(≧▽≦)
The Cranberries - (They Long To Be) Close To You


③Claudine Longet
 フランスからは激甘ささやき系女性ヴォーカルの元祖であるクロディーヌ・ロンジェがエントリー。別にカマトトぶってるんじゃなく元々こういう歌い方の人なのだが、まるでハチミツの中を泳いでいる様な気分にさせられる甘~い歌声はその筋の(どんな筋や?)ファンには堪えられない。CD1枚通して聴くとフニャフニャの抜け殻になっちゃいます(笑)
Claudine Longet - They Long To Be (Close To You)


④Birgit Lystager
 以前このブログで取り上げたこともあるデンマークの歌姫ビアギッテ・ルゥストゥエア。その可憐で伸びやかな歌声は女性ヴォーカル好きにはたまらない魅力なのだが、ここでは何とデンマーク語(NAER VED DIG)で歌っている。英語以外で聴く「クロース・トゥ・ユー」って結構レアじゃないッスか?
ビアギッテ・ルゥストゥエア


⑤Pacifists
 これは敬慕か冒涜か... 屋敷豪太がイギリスで活躍するミュージシャンを集めて作ったパシフィスツはカーペンターズの珠玉の名曲群をレゲエ・ヴァージョンでカヴァー。最初は“おっ、面白そうや!”と思ったけれど、リズムが単調なのですぐに飽きてしまった。正直、レゲエは何を聴いても同じに聞こえてしまう(>_<) ただ、ヴォーカルのシャローナ・ホワイトは中々エエ声してて掘り出し物やと思うけど...
パシフィスツ 遥かなる影