shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Chill Out volumen 1

2009-06-13 | Beatles Tribute
 ちょうど2年前のこの時期に、私は仕事上のシガラミで、あろうことか文楽鑑賞につきあうハメになった。日本文化にも古典芸能にも全く何の興味も関心もない私は “そもそもブンラクって何なん?” 状態だったのだが、とにかく貴重な土曜日をつぶされ、わざわざ早起きして日本橋くんだりまでのこのこと出かけて行った。無意味な事に時間を取られるのはハッキリ言って不愉快である。傍から見て誰の目にも明らかに分かるほどの仏頂面で同僚と合流した私は、 “何でもエエからとにかく早よ終わってくれ!” と念じながら席に着き、やがて舞台が始まった。何じゃい、ただの人形劇やんけ、アホくさ... しかもセリフの日本語が古文すぎて全然わからんわ(>_<) クソ面白うもない... と思っていると数分で気を失ってしまった。もう爆睡である... (-_-)zzz やがて気がつくと周りの観客がみな私の方を見て笑っている。もうお分かりと思うが、私は首を直角に真上に向けた状態で大イビキをかいていたのだ。あぁ恥ずかしい... と思っていると隣に座っていた女性上司が「お疲れなんやねぇ(笑)」と私にトドメの一言。もう踏んだり蹴ったり気分の私は同僚たちとのランチも断り、会場を後にした。このままスゴスゴと奈良へ帰れるか!と思った私は久々のCDハンティングで憂さを晴らそうと考え、そこから一番近い千日前の大十へと向かった。
 ここはOSビルの一角にあるお店で2階の中古CD売り場には大量のCDが置かれているが、サウンドパックやディスクJJといった近辺のお店とは少し違う商品構成なので、時々とんでもないレア盤が眠っており、一瞬たりとも気を抜けない。この時も手ぶらで帰ってなるものかと気合十分で “カバー物” のコーナーを見ていたのだが、それはまるで私に見つけられるのを待っていたかのようにひっそりとそこにいた。それが「ザ・ビートルズ・チルアウト・ヴォリューム1」(緑盤)と「同ヴォリューム2」(赤盤)の2枚である。以前からネットでその存在は知っていたものの、eBayにもヤフオクにも出てこず、アマゾンでも “品切れでお取り扱いできません” 状態だった希少盤が1枚1,480円で私の手の中で “買ってぇ~♪” とアピールしているのだ。私は小躍りしながらレジへ直行した\(^o^)/
 chill outとは英語で “落ち着いて、リラックスして” という意味のスラングで、今では “クラブなどで激しく踊った後に昂った気持ちを落ち着かせるために聴くダウンテンポな音楽の総称” として用いられている言葉。つまりこれはお洒落で洗練されたヒーリング系ビートルズ・カヴァー・アルバムなのだ。ブランコ・ネグロ(白黒?)という名前のスペインのレーベルらしい。この妖しさがたまらんなぁ(≧▽≦)
 CDにはそれぞれ15曲ずつ入っており、わざとレコードのスクラッチ・ノイズを被せたりとか、曲の終りと次曲の頭を切れ目なく繋げるとか、中々凝った作りになっている。そのほとんどがチル・アウト、つまりスローなビートが支配するお洒落なサウンドをバックに癒し系女性ヴォーカルが囁くようにビートルズ・クラシックスを歌うという趣向で、私の好みにピッタリだ。そんな中で特徴的だったのが③「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」で、まるでポリスの1・2枚目のようなホワイト・レゲエ・サウンドにビックリ(゜o゜) 横溢する気だるさがたまらない④「ノルウェーの森」もクセになるし、ダリダみたいなヴォーカルがエエ感じの⑦「サムシング」や⑨「ヒア・カムズ・ザ・サン」も言うことなしだ。ユルユルな①「オール・マイ・ラヴィング」は凛としたピアノの音色がアクセントになっており、極上のチルアウト・サウンドになっている。囁き系女性ヴォーカルが続いた後いきなり炸裂するルイ・アームストロングみたいなダミ声の男性ヴォーカル⑥「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」には耳が潰れるかと思った(笑) ちょっと電子音楽に走り過ぎた感のある⑫「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」やベンチャーズの「ジョーカーズ・ワイルド」を想わせるシュールなモンド系カヴァー⑬「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」みたいなちょっと変わったサウンドも混じっているのでCD1枚約55分飽きずに一気呵成に聴けるのも嬉しい。
 とまあこんな具合に超掘り出し物を見つけて大収穫に終わったCDハンティングだったが、もしあの文楽鑑賞に駆り出されてなかったらこの2枚と巡り合えなかったかもしれないと考えると、CDやLPとの出会いなんてホンマに何が幸いするか分かりませんね(^o^)丿

The Beatles Chill Out - Norwegian wood