shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「ソー・マッチ・イン・ラヴ」特集

2009-06-07 | Cover Songs
 音楽ファンならふと耳にした歌声に心を奪われ、それが気になって仕方なくなり、色々手を尽くしてその曲名や歌手名を探し当て、何とかその音源を手に入れようとした経験が一度や二度はあると思う。私の場合、これが “一度や二度” どころか日常茶飯事で、喧騒の中から聞こえてくる素敵なメロディーの断片に耳が吸いついてしまい、それがきっかけで未知の曲や歌手たちと出会い、新たな世界が開けていくといった展開が非常に多い。それはふと足を踏み入れた店内に流れている有線放送だったり、テレビから聞こえてきた番組BGMやCMソングだったりする。最近は下らない番組ばかりで見たくなるようなものが皆無だし、痴デジにかこつけたコピー・ワンス放送の蔓延で満足に録画もできないのでほとんどテレビを見なくなってしまったが、昔は普通にテレビを楽しんでいて、番組と番組の合い間に流れるCMソング(特に80年代の...)から様々な音楽的影響を受けてきた。キリン淡麗のCM(ボラーレ)がなければジプシー・キングスを知らないままで過ごしていたかもしれないし、アリナミンVのCM(テイク・ファイヴ)を耳にしていなければジャズとの “幸せな出会い” も無かったかもしれない。そんな数々のCMソングの中でも特に心に残っているのが80年代初め頃に聞いたティモシー・シュミットの「ソー・マッチ・イン・ラヴ」で、確かパイオニアのステレオのCMだったと思うが、ユラユラと空中を飛ぶ紙ヒコーキの映像とバックに流れる軽快なコーラス・ハーモニーが絶妙にマッチしていて大いに感銘を受けた覚えがある。ということで今日はこの名曲の様々なヴァージョンをご紹介:

①The Tymes
 この曲のオリジナルはフィラデルフィアの黒人コーラス・グループ、タイムズが63年に放った全米№1ソングで邦題は「渚の誓い」。あまりR&B臭さを感じさせない、ジョニー・マティス風のスウィートでロマンティックなコーラスは素朴そのものだが、原点の光が輝いている。
The Tymes, "So Much In Love" 1963


②Timothy B Schmit
 他に挙げた4つの音源も素晴らしいのだが、私の場合「ソー・マッチ・イン・ラヴ」といえばどうしてもこのティモシー・シュミット・ヴァージョン、という刷り込みがなされてしまっているようだ。それほどあのCMのインパクトが大きかったということになるのだが、そういった思い入れを抜きにしても、彼の甘~いハイトーン・ヴォイスを上手く活かしたシンプルな音作りで、心の奥にポッと灯がともるような温かさを感じさせる名唱だと思う。
TIMOTHY B. SCHMIT - So Much in Love


③Huey Lewis & The News
 ヒューイ・ルイス&ザ・ニューズが82年の来日時に小林克也さんの「ベスト・ヒットUSA」に出演した時の貴重な映像。インタビュー開始と同時にメンバー全員がいきなりこの曲をアカペラで歌い始めたということだが、本領発揮というか、もうお見事という他ない素晴らしいハーモニーだ。
Huey Lewis and The News - So Much In Love(1982)


④Art Garfunkel
 ソロ・アルバム「レフティ」(88年)収録のこのヴァージョン、ハッキリ言ってバックのシンセは要らない!せっかくの名唱が台無しだ。そんな中、アーティの透明感溢れるソフトな歌声は健在で、彼がこの曲を取り上げてくれただけで嬉しい。
Art Garfunkel So Much In Love


⑤山下達郎
 ドゥーワップ、アカペラといえばやはりこの人! 何でも彼は私と同じくTVで②を聞き、“これなら自分の方が上手い!”ということで「オン・ザ・ストリート・コーナー2」に入れたとのこと。いやはや凄い自信だが、実際 “一人多重録音” の教科書のような音作りで、細部に至るまで実によく練られたアレンジとヴォーカルにはただただ圧倒される。
山下達郎 / So much in love


いやぁ~、改めて “人間の声” の素晴らしさを実感させてくれるような名唱ばかりですね。こんな名曲名唱との出会いがあるから音楽ファンはやめられませんわ(^o^)丿
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