shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

La France et Les Beatles

2009-06-01 | Beatles Tribute
 この1週間、すっかりフレンチ・フィーバーで盛り上がっているのだが、月も変わったということでここらでビシッと... いかないのが当ブログなんである。しかしいくら好きでも毎日同じものばかりは食べないように、ノーテンキにイエイエばっかり聴いているわけにもいかない。ということで思いついたのがこの「ラ・フランス・エ・レ・ビートルズ」(Fance & Beatles)である。
 このシリーズは60'sフレンチのリイシューで定評のあるフランスの Magic Records というレーベルがコンパイルした、フレンチ・アーティストによるビートルズ・カヴァー集で、Vol.1からVol.5まで出ている。1枚のCDにはそれぞれ20曲以上収録されていおり、歌手(グループ?)もシェイラ、ペトゥラ・クラーク、ジョニー・アリディを除けば顔も名前も知らない人たちばかりで、フレンチ・ポップス界には詳しくないのでよく分からないが、 “とりあえずビートルズをカヴァーして一発当ててやるべ” 的なノリの、チープでちょっと怪しげなカヴァーが結構多いように思う。だから他のカヴァー集のように “ビートルズ・カヴァーの名演” を期待して聴くと肩透かしを食うことになりかねない。例えるなら “フランス版「フロム・リヴァプール・トゥ・トーキョー」” といったところか。
 やはり何と言ってもフランス語の響き、ハッキリ言ってこいつがロックンロールに合わない。ビートルズやストーンズをまるごとカヴァーしたアルバムを出しているフランスきってのモンド・パロディ・バンド Bidchons(“ビドションズ”って読むのかな?)を聴いた時にも強く感じたことだが、語尾の子音を発音しないせいか、何か歯切れが悪くスカスカしていてロックンロールに一番大切な “ノリ” が損なわれているように思えるのだ。日本でいえば、ちょうど60年代のGSバンドがロックのメロディーに日本語の歌詞を乗せるのに苦労していたような、そんな感じである。だから本CD収録の、特に初期のロックンロール曲のカヴァーを聴く時は “東京ビートルズ” を聴くのと同じような(←あれほどヘンなのはないけど...)寛容な心、 “ビートルズ・カヴァーなら何でも許せちゃう” 的な広~い心が必要だ(笑)
 そんな中で気に入って聴いているのがリチャード・アンソニーの④「オール・マイ・ラヴィング」で、原曲の雰囲気を壊すことなく上手くフランス語に置き換えて歌っている。歌詞は何を言っているのか全く分からないので判断不能だが...(>_<)  Les Lionceaux(←読み方わからん!)の⑤「ドント・バザー・ミー」は何の変哲もないカヴァーだが、フランス語の違和感もなく、演奏も64年頃の平均的マージー・ビート・グループとしての水準はクリアしているように思う。ジャン・クロード・バートンの⑥「アイ・ワナ・ビー・ユア・マン」はヴォーカルがミック・ジャガーっぽい歌い方をしているし、バックのコーラスも含めてストーンズ・ヴァージョンのカヴァーと言っていいと思うが、これが結構クセになる演奏で、まさにB級グルメの味といった塩梅だ。レ・フィズの⑦「ユー・キャント・ドゥー・ザット」、私はこの曲が大好きなのだが、日本のGSバンドみたいなぎこちない演奏をバックに堂々と歌う女性ヴォーカルが潔い。スプリームズが「ア・ビット・オブ・リヴァプール」で歌ったヴァージョンに迫る傑作カヴァーだ。
 フランソワーズ・ファブリの⑪「シンク・フォー・ユアセルフ」、イントロのファズ・ベースといい、マラカスやタンバリンの使い方といい、そして何よりもジョージそっくりの歌い方といい、ビートルズ愛に溢れた楽しいカヴァーだ。ドミニクの⑫「ミッシェル」はフランス語部分の歌詞が少し変えられていて“ミーッシェル マー ベェ~ル♪” ではなく“ミーッシェル ミッシェル♪” となっているのが???だが、例の “I Love You 3連発” はちゃーんと “ジュテーム ジュテーム ジュテェ~ム♪” になっている。フランス人の歌うミッシェルも中々オツなものだ。ダニエル・デニンの⑭「アイム・ルッキング・スルー・ユー」は女性ポップ・ヴォーカルかくあるべし、と思わせる明朗快活な歌いっぷりが◎。⑮「エリナー・リグビー」はオリジナルに忠実に再現したオケをバックにエリック・セント・ローレンがポールになりきって歌っている。ダブル・トラックまでご丁寧に再現してるのにはワロタ(^o^)丿 ジェラード・セント・ポールの(21)「マックスウェルズ・シルバー・ハンマー」、桑田師匠渾身のケッ作「アベー・ロード」のおかげでこの曲を聴くとどうしても舛添のオッサンの顔が浮かんでしまう(笑)のだが、このフランス語ヴァージョンを聴いて名曲はどんな言語で歌われてもやっぱり名曲やということを再認識した次第。CD1枚通してここまで聴いてくると、もう意味は分からなくても気分はすっかりおフランスだ(^.^)
 この「ラ・フランス・エ・レ・ビートルズ」シリーズはどちらかと言うと堅気のビートルズ・ファンよりも、酸いも甘いも噛み分けたベテランのビートルマニア向けの “面白ネタ” 探しの1枚だと思う。

Dominique - Michelle
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