shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Del Pueblo Del Barrio

2009-06-02 | World Music
 今日はフォルクローレである。もちろん南米のアンデス地方に伝わる民俗音楽のことなのだが、アンデス地方と言われても私はチリとペルーの区別もつかないし、イメージとしては、サイモンとガーファンクルが歌い、ジリオラ・チンクエッティもカヴァーした「コンドルは飛んでいく」、同じくポール・サイモンがライブ盤で歌った「ダンカンの歌」、ユーミンの「帰愁」「輪舞曲(ロンド)」の4曲ぐらいしか頭に浮かばない。そもそも何でいきなりフォルクローレなん?と思われて当然だ。
 以前レッド・ゼッペリンの「天国への階段」のカヴァーを101ヴァージョン集めた驚異のサイト WFMU’s BEWARE of the BLOG を紹介したことがあった。このマニアックなサイトを見つけた時はもう大コーフンし、それこそ天にも昇るような気持ちで全曲ダウンロードさせていただいたのだが、そんな101ヴァージョン中、最も強いインパクトがあったのが Del Pueblo Del Barrio という未知のグループだった。デル・プエブロ・デル・バリオ??? プエブロって、プエブロ・インディアンのことかなぁ... などと考えながらネットで調べても日本語はおろか英語のサイトにも載っていない。スペイン語らしき南米系のサイトには色々と載っているのだが当然何のこっちゃである。音を聞いた限りではインディアンというよりは南米のフォルクローレをベースに、ジプシー・キングスみたいな情熱的なギターとヴォーカルで味付けしたコンテンポラリー・エスニック・ミュージックという感じである。やっとのことでタイトルが「Escalera Al Infierno」だということを突き止め、ようやくUSアマゾンでこの曲の入っているCD「Manco Inca No Manco」(←とてもカタカナでは書けません...)を発見、これですべて解決!と思っていたら世間はそんなに甘くなかった(>_<)
 届いたCDの8曲目に入っている「Escalera Al Infierno」を聴いたらいきなりイントロからして違う。あの風雲急を告げるようなテンションの高い演奏とは打って変わってテンポが遅く、全体的にユルいのである。それでいて間奏になるとハードなエレキ・ギター・ソロが炸裂するというワケのわからない展開だ。まぁこれはこれで悪くはないが、パンパイプの音とはどう聴いてもミスマッチだ。後でわかったのだが、私が手に入れたのは「Escalera Al Infierno ‘95」という “再演物” で、探している音源は85年に出たそのオリジナル。どうやら未CD化らしい。こーなったら意地でも手に入れてやるぞとコレクター魂に火がついた私はeBayに網を張って待つこと数週間、運良くピカピカ盤を15ドルで手に入れることができたのだった。
 届いたLPには CBS DISCOS DEL PERU とある。なるほど、ペルーのグループか。やっぱり最初に聴くのはB①「Escalera Al Infierno」だ。いやぁ~大音響で聴くフォルクローレもエエもんやねぇ... しかもメロディーのモチーフはゼッペリンの「階段」ときた。これ以上何を望めるというのだろう?(←出来れば24bitでCD化... するワケないよな) B②「A Papa」もそのままB①の勢いを受け継いだような曲で、コンドルも乱舞しそうなノリの良さがたまらない。B③「Jueves De Otono」は哀愁舞い散るフォルクローレの典型のようなキラー・チューンで心地良いリズムに乗ったロス・インディオスな旋律に涙ちょちょぎれる。
 A面ではタモリの空耳アワーのネタになりそうな①「Orgullo Aymara」、パンパイプの音を大きくフィーチャーしてフォルクローレの魅力全開の②「Posesiva De Mi」、切ない女性ヴォーカルが郷愁を誘う笛の音と絶妙なマッチングを見せる④「Gregorio」と、フォルクローレ初体験の私でも感動しまくりの名曲名演が目白押しだ。
 興味を引かれたのは「Escalera Al Infierno」のクレジットで、Page/Plant ではなく Agustin Bustos となっていたこと。どこをどう聴いても「階段」ラストの “And she's buying a stairway to heaven...” のメロディーなのだが、そのあたりは南米らしい大らかさというか、まぁエエやん!ということだろう(笑) そもそもこういうのを見つけるとすぐに「パクリや!」と鬼の首でも取ったかのように騒ぐ輩がいるが、そんなことを言い出したらロックもポップスもジャズも成り立たなくなってしまう。名曲のおいしいフレーズを基に曲想を膨らませて全く別の名曲が誕生する... 我々リスナーにとっては両方楽しめて非常にありがたいことである。 “似てる曲” を見つけてニヤリとする瞬間も又、音楽を聴く楽しみの一つだと思う今日この頃だ。

EsCaLeRa Al INfIernO_deL pUeBlO y dEl BaRrIo


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