魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

大往生記

2013年06月13日 | 動物

12日も梅雨とは思えぬ暑さだった。
バイクで、例のゴンちゃんの前を通りがかったので、『また、出てきて吠えられるかな?』と、そーっと覗きながら走った。

すると、玄関が開いて、何やら数人の人が出て立っている。
その瞬間、『もしや』と、思って下を見ると、ゴンちゃんが向こう向きに横になっていた。ゴンちゃんの前に立っている男の人は、様子からして家の人ではない。

2~30分して、帰りにもう一度覗くと、水を流して掃除がしてあった。
ゴンちゃんの姿は無い。

本名は「ジョン」、それ以外のことは何も知らない。
玄関先の犬小屋に暮らし、時々、大きなウンコを転がしていた。
学校帰りの小学生には、大人しく嬉しそうに柵から鼻を突き出していたが、バイクの音を聞くと吠え立てた。

バイクでにらまれてしまったが、「ジョン」と呼ぶと面食らっていた。
『怪しい奴なのに、俺の名前を知っている
歩きながら近寄っていくと、吠えてやろうと出て来た。
「ジョン」と呼ぶと、『ギョッ』とした顔で、しばらく見ていたが、とうとう座り込んでしまった。

それから後も、通りながら「ジョン」と呼ぶと、横を向いてしまう。
終いには、遠くでこちらを発見すると、その瞬間、慌てて横を向くようになった。その度に、可笑しくてしょうがない。
気に入られてはいないが、確実に記憶している。
頭の良さに、感心していた。

近頃、家の中で飼われる犬は、10年以上生きるようになった。
昔ながらの番犬として、表の犬小屋で飼われていたジョンが、何歳だったのかは知らない。

同じ日、京都の高齢記録ギネス保持者の木村次郎右衛門さんが116歳で亡くなった。116年の人生の記録は伝えられるが、木村さんの喜びや悲しみは知るよしもない。