魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

三葉入り

2013年06月18日 | 日記・エッセイ・コラム

スーパーの総菜売り場で、「みつば入り」と強調した太巻き(海苔巻き)が売られていた。

カッパ巻きは好きだが、キュウリを入れた太巻きは本来の太巻きとは全く違う味なので、買わないようにしている。もちろんカッパ巻きの味でもない。

キュウリを入れると、緑があって、一見、普通の太巻きに見えるし、安くて手間もかからない。どこの総菜売り場でも太巻きはキュウリだ。
しかし、これはニセ物だ。
本来の太巻きは、湯がいた三葉が入っている。まれに三葉が無い時、ほうれん草などを湯がいて入れることもある。

キュウリでは太巻きにならない理由は、香りが強く、堅いことだ。
口に入れた時、他の具が米に馴染んだ柔らかさなのに、キュウリ一人が無神経にも、ガリガリと存在を主張する。

カッパ巻きなら、このガリガリと香りが楽しめて、『キュウリって、ええやっちゃなあ』と、好きになるが、太巻きは他の具が、みな火を通し、上品に着替えている中で、フンドシ一丁で「祭だ、祭だ」と暴れ回る。無神経この上ない。
キュウリ入りの太巻きを初めて食べた時、腹が立って涙目になった。

みつば入り
太巻きへの思いは、だれもが同じらしく、近頃、「みつば入り」とわざわざ表示した太巻きを見かけるようになった、と思ったら、一気に、その現象が広がってきた。
「当たり前だ当然だ」とつぶやきながら、考えれば、こんな事を一々断らなくても、全ての太巻きはキュウリ禁止だ。

一度も三葉入りの太巻きを見かけたことのない店に、今日、ついに「みつば入り」が登場した。トレンドを無視できなくなったわけだ。
今日は太巻きの気分では無かったが、「発売記念」にと、買って帰った。

パックを開けて、「あれっ?」と、思ったが、とにかく口に入れた。
「?????」
「なんじゃこりゃ?・・・・・・三葉が生だ!!!

スシも近頃は世界化して、アボガドやらサラダ巻きが普通になった。
だが、かんぴょうに「生」三葉はないだろう!!!

どう考えても、作っている人が太巻きを知らないとしか思えない。
しかも、その店の全員が知らないということだ。
何が「みつば」だ。これじゃあ、しけたサラダ巻きだ。

スシの世界化は大いに結構だが、総菜売り場という、ごく普通の人が作る、ごく普通の伝統的な日本食の常識が、失われている。

これは、文句を言う方が間違っているのかも知れない。
食の喜びは、慣れだ。近頃の子供には、堅くにぎったお母さんのおにぎりより、コンビニのスカスカおにぎりの方が美味しいらしい。
そもそも、おにぎりを握れないお母さんも、増えている。