魯生のパクパク

占いという もう一つの眼

先進国病

2011年12月02日 | 日記・エッセイ・コラム

国立社会保障・人口問題研究所の未婚者アンケート調査で、
男の61%女の50%は、交際している人が無く、うち45%は特に望まず、30代後半の25%は未経験で、16~9才の男36%女59%が、セックスに感心ないか嫌悪している・・・
という結果が出たと、香港(CNN)の報道で教えてくれた。

なんだか、何が言いたいのか、良く解らない話だが、
「ゆゆしき問題」なのだそうだ。
確かに、二十歳前の「いい若い衆」にしては普通ではないが、少子化を問題とは思わない者には、あまりピンと来ない。
むしろ問題は、この原因が定かではないことだ。

誰でも、先ず思い浮かべるのは、世界に冠たる日本のAV産業だが、中国では、日本のAVのおかげで、性教育レベルが上がったと喜んでいるぐらいだから、必ずしもAVの害毒だけとは言えないようだ。

しかし、何でも真面目に「学習」する中国人には良い「教材」でも、基本的に淡泊で情緒的な、日本人の若者には毒なのかも知れない。
親切な知人がわざわざ送ってくれた最近のAVを見たが、超リアリストの中国人には、役に立つかも知れないが、日本人にはカエルの解剖のような話は、楽しくない。しかも必ず、顔面フィニッシュだ。

良い作品?に当たってないのかも知れないが、全編まともに見られるものが一本もなかった。あんなものをセックスだと思ったのでは、若者がやる気を失うのも当然だ。

金持ち興奮せず
AVと比べれば、ロマンポルノにはまだ情緒があったが、当時、野坂昭如がしきりに訴えていたのは、伝統としての性文化の崩壊だ。
時代の変化で、桂米朝も古典落語がやれなくなったと嘆いていた。
炭に火を起こしてご飯を炊く話に、若者がきょとんとしている。

人間の性は、動物のように、季節が来れば自動的にそこに向かうのではない。人間が勝者になったのは、「常時繁殖期」で増えたからだが、季節に左右されない人間は、文化で発情するようになった。

「やりたい」「気持ちいい」と思うのも、その最中に、自分の予備知識と照合して再確認しているからで、文明が高度になるほど、セックスを文化で行うようになる。

動物は、常に絶滅の危機に瀕しているので、可能な限り繁殖を試みるが、頂点に立つ人間は、種の保存のためのセックスは必要無い。
ことに、満ち足りた先進国になるほど、繁殖は何時でも出来るから、切実ではなくなり、文化の力を必要とするし、文化によってコントロールすることが出来る。それが草食化であり、少子化につながる。

しかし、生活苦にあえぐ地域では、やはり、絶滅の危機感があり、本能的な性欲が高まる。貧乏人の子だくさんだ。

先進国の女が、後進地域から現れた男に惹かれるのは、野性的ギラギラに刺激を受けるからであり、昔からの図式「美女と野獣」はこのドラマだ。(昔の春本に多い「お嬢さんと運転手」のからみなど)

うんざりだ
また、もう一つ、日本男子の草食化の原因として、何度も言うことなのだが、本質的に日本は女系社会であることだ。

日本の男尊女卑は表向きで、本当は、女の掌で男が甘えている社会だ。
にもかかわらず、欧米的男系社会の「女性を立てるルール」を持ち込んだことで、日本の男が身も心も「出る幕」を失ったことがある。

男を「男」と呼びながら、女は「女性」と呼ばなければ非難されそうな空気や、何か、うかつなことを言えば、セクハラと言われそうだし、女の方が収入にゆとりも出てきている。

男女平等と言いながら、家事から子育てまで、「やらせてもらう」代償としては、あまりにも失うものが大きい。
今の若い男なら、「セックスってそんなにいいですか」と言いたくなるのではなかろうか。
ただし、欧米式にやるならトコトン育児環境を整えれば、男の立場に関係なく出産も増えるだろう。ついでに、もっと進めて、出産の苦痛を除去する必要がある。

ところで、若い女がセックスに興味がないのは、生理的に自然のことで、男と比べたのでは、男がかわいそうだ。