転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



以前、通販で利用した某洋菓子屋さんから、数日前にメールが来て、
時節柄、お中元やお盆のお土産に手頃な商品がいろいろと案内されていたのだが、
その中で、タイトルに「おもたせにピッタリ」というのがあって、ぎょっとした。

『おもたせ』とは、私のこれまでの理解では、お客様が持ってきて下さる品物のことを
こちらが敬って言う場合に使う語のはずだが、『ピッタリ』とは?
私は最初、洋菓子屋さんが言葉の使い方を完全に間違っているのだと思い、
こんなプロの仕事がそこまで抜けていることがあり得るだろうか、とうろたえたのだが、
いや、これは何か、私の理解していない用法があるに違いないと思い直し、検索してみた。
すると、私が思っていたように、「来客の手土産」を敬う側が「おもたせ」と言う、
のが確かに第一義的ではあったが、なんと最近ではそれ以外に、
「私が持参する手土産」を自分で「おもたせ」と呼ぶ場合があり、
しかもそれが、かなりの市民権を得ているということがわかった。

おもたせ(Hatenaキーワード)

『おもたせにピッタリ』、『おもたせベスト10』、『おもたせの定番』、
こういう言い方はとっくに各所で使用されているのだった。

私はこれまで、先方が持ってきて下さったお菓子などを接待で出すときに、
「おもたせで、失礼ですが……」
と言ってかしこまっていたものだが(笑)、最近の若い子だと、人様のお宅に伺うのに、
「きょうのおもたせには、これがいいわ♪」
などと考えて、ケーキなどを選んで持参するわけだな?そして、
「おもたせです♪つまらないものですけど~」
などと、自分の手土産を差し出すのか???

更に、『おもたせ』でもう少し調べてみると、
「客をもてなす主人側が、パーティーなどの最後に来客が帰るときに渡す、
大仰でない手土産」の意味で使っているページもあった。
それは三十代前半の、お料理研究家の方のサイトだったが、
そこには、お食事でもてなしたお客さんたちが、いよいよ帰宅するとなったとき、
お別れの挨拶に、手作りの小菓子を予め用意しておき、
『おもたせにするのも良いですね』、と書かれていたのだ。
相手に持たせて帰らせるから、「おもたせ」ということのようだ。

来客が持ってきて下さったおみやげが、「おもたせ」。
自分がよそを訪ねるときに持って行く手みやげも、「おもたせ」。
来客が帰って行くときに持って帰って貰うおみやげも、「おもたせ」。

ここまで込み入った用例になると、日本語ネイティブの私でも、
相手の発した「おもたせ」に対して、とっさに発想を転換し、
相応しい返答をすることは、かなり難しいのではないかと思った(汗)。
というか、今時の感覚においては、つまるところ、来客か主(あるじ)かは関係なく、
どちらがどちらに渡すものでも、直接手渡すミヤゲは全部「おもたせ」なのだった。
しかし一定年齢以上の人は、そういう前提はおよそ持ち合わせていないと思うので、
この言葉は、特に若い人が使うときには注意したほうが、良いかもしれない(^_^;

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