転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



都会の人たちは既にさんざん議論したことかもしれないのだが、
私は今更ながら、「女性専用車両」は、これでいいのだろか?と
先日、京都・大阪に行ったときに思った。

8月15日の昼前、京都から大阪までJRで移動するのに、
たまたま乗った車両が「女性専用」で、
こういう設定があるのは朝のラッシュ時だけかと思っていたら、
終日「女性専用」であると、車内放送で繰り返し案内があった。
一旦座ったあとで、それを聞いて車両を換える男性客も何人かあった。

この日はお盆のためか、あるいは時間が遅かったからか、通勤姿の女性客は少なく、
普段着の年配の方や、子供連れのお母さんたちがまばらにいるだけだった。
私は長い座席の一番端に座っていたが、はじめ隣には誰も居ず、
いくつ目かの駅で私同様の中年女性が乗ってきて、少し離れたところに座った。
彼女はやがて、静かに文庫本を開いて読み始めた。

私は、空いた車両で快適だなとしばらくは思っていた。
日頃、電車を利用する機会が少ないが、
「女性専用」は、ある種の開放感があるなあと思い、
こういう空間なら、オニギリを食べたり化粧を直したりする人がいるというのも、
まんざらわからないわけではない、などと考えたりもした。

だがあるとき、ふと気がついてみると、
「女性専用」でない隣の車両は、案外、混雑していた。
少なくとも、ほぼ全部の座席が埋まっているようで、立っている人も何人か見えた。
何両もあるのだから、全体がどういうバランスになっているかは不明だったが、
どう考えても、女性客の多くは普通車両に分散して乗っていて、
女性専用車両そのものは女性によって存分に活用されているとは言えなかった。

男性はこちらに来ることは常識的に言ってできないわけだから、
女性客たちがまずは「女性専用車両」を埋めるべきではないか。
女の人ひとりとか、女友達だけのグループの人たちは、
先に「女性専用車両」に来てみるべきだろうと私は思わずにいられなかった。
そういう人たちが「女性専用」を利用しなかったら、ほかの誰にできるというのだ。
こっちがいっぱいになってからなら、普通車両に女性が行くのもわかるが。

車内放送は、
「終日『女性専用』となっております。ご協力をお願いいたします」
だけでなく、
「女性は積極的に『女性専用車両』を利用して下さい」
という趣旨のアナウンスも(言葉遣いは工夫するとして)したら良いのではないだろうか。
なんなら、先日みたいな状況のときには「大変空いております」等々と付け足して。
混んだ普通車両でも座っている女性がいて、かたや女性専用車両のほうはガラ空き、
というのは、私などにはどうも、キモち良いとは言えないものがある。

だいたい、「女性専用」はあるのに「男性専用」が無い、というのは良いのか?
権利を侵害されている側でもない私が、何か言うのはお節介かもしれないが、
女性客が、男性の目を気にせず「女性専用車両」で和んでいるのと同様に、
男性だって、チカンと間違えられる被害のない「男性専用車両」で寛ぎたい、
と考えることが、本当のところ、あるのではないだろうか。想像だが。

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という話を、私が鼻息荒く語っていたら、娘が言った。
「そういや小学校の頃にさぁ。私、歌舞伎座のトイレで並んでたら、
列にいた、全然知らないおばちゃんが、『ほら、男の子は、あっちよ』って
男子トイレを指さしてくれてねぇ」
娘は今でも『息子さん』と間違えられるが、小さいころは尚更、男の子にしか見えなかった。
私が歌舞伎座に行ったとき、娘も同伴していて、彼女ひとりでトイレに並んだ、
ということが、あったのだろう。
「そいで、どうしたんだ。『いえ、こっちです』って主張したのか?」
「いや、『ありがとうございます』って行ったさ、男子トイレに。空いとった。
けど、さすがに、今の私が男子トイレに入っちゃ、犯罪だよねえ」

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