夜行、森見登美彦著
短編小説のように5章に分かれているけど、全体では繋がっています。
1:尾道
2:奥飛騨
3:津軽
4:天竜峡
5:鞍馬
章が5つに分かれているが、いづれも夜行列車で話が始まる。
でも「乗り鉄」の話じゃありません。
鉄マニでもありません。
昔、昭和の頃が全盛だった夜行寝台を思い浮かべればよい。その寝台列車の話でもなく、夜行列車に乗っていくイメージだけを話のきっかけにしている。
ファンタジーで奇怪小説でもあり、先日読んだ「かなたの子」角田光代ともずいぶん違う。サスペンスでもない、空想奇怪ファンタジー小説なんでしょう。
角田光代の「かなたの子」は主人公の身の回りの話で、話のエリア(土地)が動かなかった。土地、地域、家族に根差した不気味な空想ファンタジーだった。
「夜行」は5人の友人を語り部にしているが、自分は客観的な第三者においているが、、、実は最後の章で大どんでん返しがある。
友人の話がひとつひとつ章になっている。
その章で語られるのが「夜行」にまつわる話で、その友人たちが各地で奇妙な出来事に出くわす。最初の章で一人の女性が行方不明になり、自分と友人たちは「版画家の夜行48作」にある尾道や奥飛騨・・・で出会った不思議な出来事を話した。
行方不明の女性を探して、ようやく最後の章で、行方不明になった鞍馬で判明した驚愕の、、、事実(現実は人の数だけある)がわかった。
もしかして、行方不明になったのは私だったのか。だったら今までのことは夢だったのか?彼らのほうが現実だったのか、私が生きていたのが現実なのか、もしかして現実はいくつもあるんじゃないか、、、。
行方不明になった女性を追い求めていたが、10年後に電話で連絡が付いたら、自分のほうが10年間行方不明になっていた。どっちが事実なんだ!?
自分が知っていた「夜行48作」が京都の画廊には無くなっていて、「曙光48作」と言うのが掲げられていた。新たに出会った世界では「曙光48作」は名作だが、「夜行」は幻の作とされていた。それは逆じゃないかー自分の今までの世界とは、、、。「夜行48作」は力作で、それと対になるはずの「曙光」は誰も目にしていなかったはず。それが反対になっている、、、。
自分は夜行の世界に入ってしまっていて、曙光の世界でも同じような現実が時を刻んでいた、、、。10年後に鞍馬で2つの現実が合体したのか?
頭の中が若干混乱するけど、面白い筋書きです。
話が各地に飛ぶのが「男の作家」なんだなーて今更ながら感じました。
男は旅人なんです。
古本だったのに、著者サイン入りのPOSTCARDがついていた。
「曙光」はあけぼの、サンライズを意味していて、JRで現存する夜行寝台列車が、サンライズ出雲とサンライズ瀬戸の2本だけです。夜行列車の旅はいつも違う世界への旅立ちだった記憶があります。学生の頃、北海道の旭川から網走方面へ夜行の普通寝台列車に乗ったことがある。普通列車の寝台車両だったが、急行などに使われているのと同じ車両だった。ただ各駅停車で駅に止っている時間がえらく長かった。ゆっくりゆっくり目的地に向かう。それをけん引するのが蒸気機関車だった。北海道では蒸気機関車が当たり前のように走り回っていた。吹雪の網走の線路を走る蒸気機関車は情緒があった!
本書は2016年に単行本化されて、昨年2019年に加筆改稿されて文庫本になったものです。面白い作家が出てきました。発想と言い構成力と言い、作家さんはすごいなー
陽気なギャングは3つ数えろ 井坂幸太郎 明るく陽気なギャングシリーズ
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ハリーポッター賢者の石 JKローリング著
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夜行 森見登美彦著 不思議な短編小説です
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かなたの子 角田光世箸 おどろおどろした、女性独特なブツブツした感性です
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君たちはどう生きるか 吉野源三郎著、80年前に書かれた名著で、今でも十分に通用します
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紀の川、有吉佐和子 女3代にわたるお話、親子供は反発しあっても、思いが繋がっていく
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日の名残り カズオ・イシグロ 英国愛をユーモアで語る ブッカー賞受賞作!
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イザベラバードの日本紀行㊦ 1880年代に1人で北海道に渡る
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イザベラバードの中国奥地紀行㊤ 1880年代、ちょうど日清戦争が終わった頃です
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イザベラバードの中国奥地紀行㊦
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