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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

生きるに要求されること

2011-05-21 | 仕事について

齢をとればとるほど、生きるということに周りから希望または要求されること、あるいは自分でこうありたいと思うことのハードルが高くなっていきます。

子供の頃は生活の糧を自分で稼ぐことができなくても、自分を磨く努力、今後どのように人生を送っていくかを探すことをしていればよかった。
親は自分の子供が自立して生きていくために教育を受けさせ、必要なことを教える。

でもある程度の齢になると人生を自分の力で生きていかなくてはならなくなります。

それは当たり前のことで、それまで生活させてくれた親も齢をとって体力も収入も減っていく。

健康で働くことができる人が、ただ死ぬまでの時間をつぶして生きるのではなく、精神的にも経済的にも自立して生きていく。
それが最低限大人に要求されることだと思います。子供はいつまでも親の子供であってはいけません。

さらに私くらいの年齢になると、自分自身の生活の基盤を固めるだけでなく、まわりの人たちの幸せな生活や将来を考えなくてはならなくなります。

齢とともに少しずつ上がる生きることに要求されるハードル。
それが上がっていることに気付かずにいると、ある日突然とんでもない高さをクリアしないといけなくなるのだと思うことが時々あります。

 


モンブランの古いボトル

2011-05-20 | 仕事について

両親が万年筆を使っていたため、子供の頃から家にボトルインクがあって、万年筆のインクあるいはモンブランのインクだということは万年筆に興味のない小学生の時から認識していました。

モンブランに限らず、興味はなかったけれどステッドラー、パーカー、シェーファーくらいは知っていて、外国製品独特の雰囲気は感じていましたが、これは完全に両親の、特に母親の影響によるものだと思っています。

もし母が生きていたら、長野の従兄弟のHちゃん(いい大人ですが)同様に当店の顧客になっていたかもしれないとふと思いました。

話を戻すと、母はいつもモンブランのインクを使っていて、有名な靴型のものやプラスチック製の四角い形の角を底にして足をつけたようなものも遠い子供の頃の記憶としてあります。

万年筆に興味を持った時に、実家に帰って探せば家のどこからか古いモンブランのボトルインクが出てくるかもしれないと思って探したことがありました。

確かにボトルインクは、きれいな黄色い外箱に入った新品未開封の状態で2つ出てきました。

しかし、その紙の外箱の上にマジックで「黒」、もうひとつには「ブルー」とマジックで書かれていました。

母の右上がりの懐かしい文字で・・・。


映画「阪急電車」

2011-05-19 | 仕事について

原作を読み終えて、映画「阪急電車」を観に行きました。

三宮のミント神戸にある映画館は新しく、前の人の頭が気にならないし、隣との距離も広いので妻と肘掛の取り合いをしなくてすみます。

映画館の下にはレストラン街やお店もあって、待ち時間をつぶすこともできます。

震災まではミント神戸があったところは新聞会館があって、やはり中に映画館がありました。

学生の頃、彼女や友達とよく来た懐かしい場所ですが、今では信じられないくらいのおしゃれなファッションビルになっています。

「阪急電車」は西宮市の西宮北口から宝塚までの阪急電車の支線今津線が舞台になっていて、正確に言うと神戸は地元ではありませんが、映画の中で何度かハーバーランドでロケしたシーンがありましたし、同じ兵庫県ということでご当地映画といえないこともありません。

そのせいか割と年配の人たちもおられて、比較的年齢層が高いよう思いました。

原作とは構成が変更されていたところがありましたが、原作の全体にある優しい雰囲気のようなものは再現されていて、それがこの物語の一番の特長だと思っていますので、満足しましたし、こじんまりとした西宮の街をえんじ色の電車が走る風景をスクリーンの中で見ることができて、その土地に情感を感じました。

 


情報

2011-05-18 | 仕事について

春はセーラープロフィット30周年ブライヤー、ペリカンM101Nなど話題の限定品がありましたが、まだまだおもしろいものが発売されます。
6月、7月に発売が予定されていて、当店に入荷する商品をご案内いたします。

セーラー100周年万年筆島桑 5月下旬発売予定
木軸に強いこだわりを見せるセーラーが大台である100周年を記念する万年筆の素材として選んだのは、江戸指物などで珍重される超希少な素材である島桑です。
円筒形で潔い造形、短めのキャップ、専用デザインのクリップなどデザインの上でも新しい試みがされています。
かなり前評判の高い万年筆です。

ラミーサファリアクアマリン 6月上旬発売予定
初代オレンジから恒例になったラミーサファリの限定色です。美しいブルーで好まれる方も多いと思います。

オリジナル3本差し薄型ペンケース 6月上旬発売予定
人知れず実現に向けて動いていた、当店オリジナルの薄型の3本差しのペンケースです。
独自の工夫を盛り込んだものになります。

楔コンプロット4、コンプロット4ミニ 6月上旬発売予定
万年筆の収納具であってそれだけではない楔のコンプロット10をコンパクトに持ち運びできるようにしたものです。極上の銘木を使用しているのは大きさがコンパクトになっても変わらず、モノとし大変魅力のあるものに仕上がっています。

ラミーサファリフレンドシップペン 6月下旬から7月上発売予定
日独交流150周年を記念したラミーサファリの限定品です。
ボディを黒、クリップを黄色、キャップトップを赤にしてドイツ国旗カラーとしています。人気が出そうだと私は思っています。

                           
ペリカン M1005デモンストレーター 6月下旬発売予定
M1000をシルバートリムにしたデモンストレーターモデルが発売されます。M800タイプの限定品は多いですが、M1000ベースの限定品は珍しく、期待されている方も多いと思います。
M1000の書き味は本当に柔らかく、他の万年筆と全く違っています。

 

 


阪急電車(有川浩著 幻冬舎文庫)

2011-05-17 | 仕事について

寝る前のわずかな時間、枕元のスタンドを点けて読んでいましたが、読みやすく、内容も大変面白かったのですぐに読み終えてしまいました。
これで寝る前の楽しみがなくなってしまったという残念な想いを感じています。

今映画が上映されていて、非常に興味があります。
きっといつまでも思い出したい、味わい深い、日本映画らしい映画になるだろうと原作を読んで思いました。

私たちはきっとこんな日常を過ごしたいと思っていて、そんな時間の舞台になっている阪急電車今津線に乗ってみたくなります。

ゴールデンウィークに今津線に乗りましたが、私たちが乗ったのは今津線でも浜側の線でしたので。

私は神戸市西部の垂水区に住んでいますので、阪急電車にはあまり馴染みがありません。

私たちのような西部の人間から見ると、阪急電車はお金持ちの街を走っている、上品な客層の電車、阪急沿線は洗練された都会的な場所と思っています。

沿線には大学もいくつかあるので、そういった良いイメージばかり持っています。

閑静な住宅街を通る、阪急電車今津線の風景を思い出しながら、小説の舞台としてサマになる風景だと思いました。

でもどこの電車でもその場所での物語や情緒があって、阪急電車ではなく、例えば山陽電車で月見山と明石の間だったとしたらまた違うストーリーがあったのだと思います。


「紳士の文房具」(板坂元著 小学館)

2011-05-16 | 仕事について

出版されて17年ほど経つ本で、ご存知の方も多いと思います。

文房具の仕事に就いたばかりの時から、ことあるごとに開いて大切に読んでいる、あるいはパラパラと見ている本です。

この本での文房具は、それぞれが安っぽい消耗品ではなく、色やデザインだけを楽しむだけの軽い存在のものではありません。

使う人のセンスを表現し、生き方さえも物語ってしまう厳選して愛用している万年筆のような存在の文房具ばかりです。

この本の中で、私はブランドの手帳が数冊出ているページが好きで、よくぼんやりと見ています。

17年間、この本は私の仕事のモチベーションを高める本であり、ネタ帳であったと告白します。


髪型

2011-05-15 | 仕事について

髪が少し伸びてきて、耳にかかりだしたり、不揃いになってくるととても気になってしまいますので、1ヶ月に1度は散髪屋さんに行くことになります。

家の近所の10年ほど通っているお店で、中学時代の同級生も来たりするお店で、マスターも同い年だったりするので、本当に気軽に訪れることができます。

散髪屋さんでどのようにするか聞かれた時、「いつも通りで」とか「いつもより少し短めで」とかザックリとした言葉で言えることは、ボヤーッとしたイメージしか持っていないので、任せても可笑しくなくやってくれる店の存在に本当に有り難く思っています。

私が髪を切る時に唯一こだわっていることはパリッとしないこと。

本当に好みの問題で、人がパリッとしてても何とも思いませんが、自分がパリッとしているのは許せない。
散髪に行って来たばかりですと言わんばかりの髪型はどうも嫌で、散髪屋さんに最初に唯一お願いしたのはパリッとしないようにだけでした。

朝髪をセットする時も、努めて無造作な感じにしようとしています。
無造作に見えるように細心注意を払うのも可笑しいですが、色とか形ではなく、そんな変なこだわりを持っています。


懐かしいボトルインク

2011-05-14 | 仕事について

万年筆を使い出した時、シェーファーのインペリアルという万年筆を使っていたこともあって、シェーファーのブルーのボトルインクを使っていました。

非常に鮮やかなブルーで、黒い文字ばかり書いてきた身には、万年筆を使っているということをその書き味とともに実感できました。

今では近未来的?なデザインになっていますが、当時のシェーファーのボトルインクは黄色のラベルに、青いシンプルな書体が書かれていて、アメリカ的なかっこいいセンスを感じていましたが、すごいと思ったのはそのボトルの形状でした。

外観は何てことのない円柱形でしたが、インクが残り少なくなった時に吸入しやすくするためのポケットが口の近くにありました。

大雑把で、あまり細かいことにこだわらないというイメージをその国民性として思っていましたが、インクの最後の一滴まで使うためにこんな工夫をする国民なのかと思いました。

シェーファーはインクの最後の一滴まで使うことに情熱を傾けている万年筆メーカーで、時代はかなり遡りますが、シュノーケルという万年筆からストローが伸びて吸入する機構もありました。

当時のシェーファーのボトルインクのもうひとつの特長は、メタル製の蓋でした。

プラスチックの方がコストも安くて、開け易いのに、ジャムの瓶の蓋のようなメタルの蓋がついていました。

ハズレを引くと大そう固くて開けにくいこともありましたが、でもプラスチックを使っていないところにアメリカのこだわりのようなものを感じていました。

今から考えても、あの時のシェーファーのインクにはまだアメリカの古き佳き物作りの伝統が残っていたのかと思っています。

 


映画「SP 革命編」

2011-05-13 | 仕事について

定休日の水曜日大雨の中、映画「SP」を観に行きました。

前売り券を買っていたのに、なかなか行く機会がなく、気が付けばレイトショウ中心になっていました。

昼間にやっている映画館は難波まで足をのばさないとありませんでした。
でも最近やっと難波にくる機会もたまにですが、増えてきました。

吉本の劇場も近くにあり、ここは立地的にも精神的にも、まさに大阪の中心だと思います。
店の数、特に飲食店の数は相当に多いと、商店街を歩いてみて思いました。

梅田ではあまりそういうことは思いませんが、難波まで来ると神戸人の私たちは他所者な感じがします。

小学校の校区外に出てしまったような、少し不安な感じです。

何度も訪れている人、もっと遠くから来ている人はあまり思わないかもしれませんが、神戸人にとって難波は近いからこそそんなふうに思うところなのかもしれません。

妻が好きで、半ば付き合いで観に行きましたが、「SP」のようなアクション映画は観ていて、本当に気持ちがいい。

主人公たちが、観ている自分たちの代わりに敵を倒していく、主人公の気持ちが自分たちの気持ちと一緒になっていくような感じがあります。

尊敬できない政治家たちを命を賭けて守らなければいけないことに葛藤を覚えながらも、自分たちが誇りとしている職務を忠実に遂行するということで気持ちを治めているという、SPたちの気持ちも織り交ぜながらの全編アクションの映画でした。

遊園地の絶叫マシンのように物語の展開に身を任せて考えずに観ることができるこのような映画は、お茶の間のテレビで観ていても、その迫力は伝わらないのかもしれません。

次は、今原作を読んでいる「阪急電車」を観にいきたいと思っています。

 


ファーバーカステル250周年記念 エレメントオリーブ(5月19日まで予約受付)

2011-05-12 | 仕事について

ファーバーカステルの250周年記念限定万年筆エレメントオリーブが9月中旬に発売されます。

私はファーバーカステルに弱くて、発売されるもの全てが気に入ってしまいます。
でもこの万年筆は盲目的にカステルが好きな私でなくても素敵だと思えるものだと思います。

素材はオリーブ、ベースはイントゥイションプラチノ。
なかなか雰囲気のあるオーラのある万年筆だと思っています。

ファーバーカステル240周年の時にもオリーブの万年筆を発売していて、それは次の年からスネークウッドでスタートしたペンオブザイヤーの原型になりました。

ペン先はF,M,B。世界限定2500本。価格は157,500円です。

5月19日(木)まで、ご予約承り中です。