元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

西へドライブ

2010-11-14 | 仕事について

非常に近い県民会館でワーグナーの神戸大会があり、賑やかな土曜日でした。
週末はいつもこんなに混んでいるのですか?と驚かれる初めて当店を訪れるお客様には、いつもは空いていますよと変な言い訳をする日ですが、ワーグナーの会場での活気が当店にも伝わってくる嬉しい1日です。
会場でたくさんの万年筆を見た後も、当店をこうやって訪れて下さる皆様のお気持ちがとても嬉しく思っています。

営業時間が終わった後、土曜日の定例になりつつある分度器ドットコムの谷本氏と夕食へ出かけました。
グルメなお客様Oさんのお勧めの店のひとつ加納町の洋食味加味へ行きました。
味加味は、非常にジャンルを超えたたくさんのメニューがあって、いろいろ食べてみたいと思うのですが、どうしても一番ボリュームがありそうなビフカツをオーダーしてしまいます。
今回は、ビフカツを食べながら、谷本さんが細かくオーダーしたものがあって、一緒にそれらも味見してみました。
土曜日の夜、神戸の飲食街は以前よりもお客様の行き来が少なくなっていると肌で感じていますが、街外れにありながら味加味の店内はお客様でいっぱいで、多くの人たちに味の良さが認知されているようです。
出会った頃の谷本さんはあまり多くを話さない口数の少ない人でした。
出会って間もない頃、一緒に加藤製作所を訪ねたことがありましたが、二人とも黙って隣あって電車の座席に座っていたりしていましたが、今ではいろいろ考えていることを話してくれるようになって、お互いの仕事のことを大いに話しながら食事をしました。

味加味を出た後、アルファロメオで例のごとく西へコーヒーが飲める店を探してドライブに出ました。
私は車を運転すると、父親譲りの前に前に行こうとする典型的な関西系せっかち運転ですが、谷本さんはゆったりと気持ちよく流すように運転します。
須磨、垂水、明石と来て、明石城を北上して伊川谷に辿り着きました。
ファミリーレストランの場所で思いつくのが、伊川谷しかありませんでしたので、谷本さんに道案内しながら本当にどこにでもある店に入りました。

谷本さんと一緒に仕事をしてくれている人たちの話をしました。
私たちの店は、文房具や万年筆を主な商品として扱っていて、そのように認知されていますが、特長になっているのは、松本さん、永田さん、カンダさん、大和出版印刷さんをはじめとする人たちとの関係や、そこから生まれる独自の商品だと思っています。
メーカー商品以外に、力のある職人さんたちの作品を扱えていることや、アイデアを出し合って次々と違ったものを生み出せる関係に感謝しています。
お互い自分の店の目先の得だけを見るのではなく、相手がいかにさらに成功できるかということをいつも考えていられることは、本当に恵まれていて、良い人たちに囲まれていると思えます。
相手が良くなると、その結果自分が良くなることができる。
自分の利益だけを主張しても、その関係は長くつづかないし、それは成功しないように思います。
でもそう相手のことを思いやりながら仕事できるのも、人間的に合う、好きだと思える人たちだからで、そのように思える人たちと出会えていることがとても幸せなのだと思います。
店や会社は利益をあげて採算をとらないと続いていくことができませんが、その前に一緒に仕事をしていく人たちとのそのような関係が、続いていくにおいてとても大切なことだと話し合いました。

結局また家の前まで、谷本さんに送っていただいて楽をしてしまいました。
阪神高速神戸線の京橋と摩耶の間が工事で通行止めになっているので、西宮に帰る谷本さんは時間がかかるだろうなと心配しながら別れました。
谷本さんとのこういう話は、仕事をさらに楽しくする、何かし続けたいと思わせる力になります。