日本的な物の美しさを求めると、薄く削ぎ落とした、軽いものに行き着きます。
私はそれを茶道の道具や知識のあるお客様などから教えられました。
本当に美しい物は、シャープで、手に取る前にイメージした重さよりも軽い、極限まで削ぎ落とされたものであることが多いと思っています。
素材感のあるざっくりした、厚い、重いものも私はそこから豪快さや、丈夫さを感じとることができて好きですが、美しさや洗練を追及すると残心シリーズのような答えに行き当たるのだと思っていて、これらが最も都会的で洗練された第1番に上げられるべき物の美しさや価値なのだと思います。
ル・ボナーの残心シリーズは、この日本的な物の美のあり方を表現したものですが、ル・ボナー松本さんの中にこのような日本的な物の美の理想があったことに驚きました。
今までのル・ボナーの製品の数々は、日本的からかけ離れたヨーロッパ、特にイタリアの革製品を意識したものだと思っていました。
ブッテーロなどの素材感のある革を贅沢に使い、長年使い込むことでその物が完成する。
そんな製品作りをル・ボナーさんから感じていましたので、残心シリーズはル・ボナーさんが新しい境地へと辿り着こうとしている意欲作、問題作だと捉えられると思っています。
その残心シリーズの中の中核を占める製品、折財布が入荷してきました。
極限まで薄く、軽く仕上げられたこの財布は職人仕事以上に、その前の構想や設計など松本さんの頭脳やセンスによって作り上げられたものだと思います。
大きい長財布は既に使っていて、それはカードや現金、領収書などを充分保管携帯することができるけれど、例えば休みの日にちょっと出掛けるという時にその大きな財布があるために鞄を持たなければならないと思っている人も多いと思います。
そんな休日、ポケットに無理なく入る残心の折財布なら鞄を持たなくても出掛けることができるのではないかと、物の美以外にも実用的な理由が残心折財布からイメージすることができます。
黒桟革11,000円、クリスペルカーフ10,000円、シュランケンカーフ8,500円、ブッテーロ(近日入荷予定)8,500円