私たちは誰かが作ったものをお客様に買ってもらうことで必要最小限の利益を得ています。
必要最小限の利益なのは、それがないと続いていけないし、それが大きすぎるとお客様から相手にされなくなるからで、そのバランスを取らなくてはいけない。
お客様に買ってもらうのが仕事だけど、ただ普通に物を手に入れていただくだけではだめで、やっぱり他のお店とは違うと思って買ってもらわないと次はないと、小さなお店は肝に銘じておかないといけないのだと思う。
売上が悪くなってから、何かが良くないと気付いて慌てるようでは遅く、お客様に商品以外に何か喜びを提供できているかを自分でいつもチェックできていないといけないということは、少し使い方が違うけれど、君子義にさとり、小人利にさとる、という言葉から連想されます。
前にこのブログで、物を売っている自分の仕事について迷いがあったことについて書きましたが、その時私は思想と利益が両立しないものなのだと思っていました。
志の高い仕事は利益のことなど考えないような、それが尊いことなのだと思っていて、何か仕事において利益を得ようと思ったら、理想とか志と違う気持ちの整理をつけて、利益を得ると割り切らないと得られないものなのだと勘違いしていました。
でもそれは先ほどの小人の商いで、本当は理想とか志に則って商売をして、その結果得られるものが利益であると考えることは、きれいごとでもなんでもなく、仕事をして商売をしている以上追究するべき基本中の基本の考え方で、自信を持って利益を得られる仕事をしないといけない。
理想と生活は、何か相反するものに感じられるけれど、それを両立させようと人が努力している様が生き様であって、どちらか一方に偏りすぎてしまうと、それはただのきれいごとだったり、ただの狩猟と変わらないものになってしまいます。
本当に、心から思っていないと実践できない難しいことだけれど、相反する様々なものの間でバランスをとっている仕事こそが、美しいものなのだと私は信じている。
たぶんどんな仕事であっても同じなのだと思います。