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元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

日日是好日(にちにちこれこうじつ)森下典子著(新潮文庫)

2009-01-18 | 万年筆
お茶のお稽古に行き出して季節が一巡りと少ししました。
相変わらずお手前は上手くなりませんが、お茶のお手前の全てがお客様をおもてなしするためという目的達成に徹底的に向かっていると言えます。
型通りのお手前も何かイレギュラーが起こって何か咄嗟の判断が必要な時でも、その判断の基準はどの方法がお客様のためになるか、ということだと解釈していて、お茶のお稽古は販売を仕事とするものにとっての他にはない心の有り方の勉強になると思っていました。
しかし、この本をお客様のMさんに薦められて読んで、それだけではないということを知りました。
道具、掛け軸、お花など全てにおいて季節感を出すように努力するのは、忘れかけている自然の営みを心と体で感じて楽しむことですし、指輪や時計など身に着けているアクセサリーを全て外さなければならないのはお道具に傷を付けないためではありますが、お茶室には外界の虚栄心や気忙しさなどを持ち込まず、日常から自分自身を解放することなのだということも思いました。
それは茶道の精神的なルーツになっている禅の思想が関係しているのかもしれません。
日常生活や集団行動の中では人はどうしても競ったり、比べてしまったりしてしまいますが、上下、優劣はなく、それらは単なる違いであり、自分らしく堂々としていればいいというのがお茶だということを知りました。
そのような悟りの境地に達するのに作者も20数年かかったそうですが、私もあと20年はかかるようですが、幸運にもお茶を習う機会を得たお稽古にさらに身が入りそうな気がします。
お茶をしていない方でも、この本に書かれている考え方を日々の生活に取り入れることによって、より張合いのある時間を過ごすことができると思いました。

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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いい言葉です ()
2009-01-19 20:33:34
日日是好日(にちにちこれこうじ)
どんな日もかけがえのない一日。

唐代の僧・雲門文偃(うんもんぶんえん)は、ある日、大勢の弟子たちに向かって「いまから十五日以後の自分の心境をひとことで言ってみよ」と問いかけた。
誰も即答できずにいると、雲門はみずから「日日是好日」と答えた。
快晴の日も、大雨や強風の日も大事な人生の一日です。
楽しいことばかりを見つめようとせず、辛いことや悲しいことも受け止めながら、一日一を大事に生きる。
その日から見えてくる充実感、それが「日日是好日」ですね。98
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日日是好日 (penandmessage.)
2009-01-20 19:28:58
禅様
ありがとうございます。確かにどんな日も、1日1日は無駄にできない人生においてとても大切な時間ですね。
若い時からそのような考えを持っていれば良かったと反省しています。
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