まだ3,4歳の子供の頃、武蔵境にある伯母の家から伯母に手を引かれて病院に通っていた時期がありました。
それがどれくらいの期間で、いつ頃の季節だったかなどは全く覚えていなけれど、家の中や武蔵境の駅、その周辺の商店街、井の頭公園の噴水、従妹のYちゃんと遊んだことなど、けっこう覚えています。
その家は国鉄の線路のすぐそばに建っていて、電車が通過する音や、踏み切りの音がいつも聞こえていました。
奈良の「くるみの木」の中で踏み切りを通過する電車の音を聞いていると、その時の気持ちを思い出され、懐かしい気持ちになりました。
余所のお店を訪ねるとお客様目線ではなく、お店の人の目線で何もかも見てしまう癖がついてしまっていて、このお店でもそれは変わらない。
開店して25年経ち、今でこそ超人気店になっているものの、開店当時は寂しい気持ちでこの電車の音を聞いた日も少なくなかったのではないかと想像してみたりします。
地元の人は通るけれど、国道から離れているためたまたまここを通り掛かる人は非常に少ないと思われ、近所に住む人がある程度来店すると、あとは客足が途絶えたのではないかということは自分の経験から推測できるし、創業者の石村由起子さんの本にも近いことが書かれていました。
一人の主婦が電車からたまたま見えたこの場所でカフェをオープンさせて、雑貨や服も扱うようになり、今では日本中の人が知る人気のある有名店となっていることに、お店をする人のストーリーが感じられ、買い物したり、お茶を飲んだりするいつも利用するお店と同じようには、とても見ることができません。
行きたいと思いながら2年も経ってしまいましたが、「くるみの木」をやっと訪ねることができました。