元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

理想の文房具

2012-04-22 | 仕事について

世界中の中でも最も選択肢の多い日本の文房具ですが、種類はあるけれど学用品的なものが多数を占め、大人の人が仕事で使うには物足りないということが多いと思います。

文房具は安くなければいけないという業界の固定概念のようなものもあるので、良いものを作ることが難しい。

安く売るためには、たくさん作って、たくさん売るようにしないといけないということにどうしてもなってしまいます。

安く作る大量生産品ではバラつきの出る自然の素材は使いにくい。

良い素材ほど丁寧に扱わないといけないデリケートさもあるので、どこにでもデリバリーすることができないなどの理由で文房具には握り心地や使い込む楽しみのあるものは非常に少ない。

日々文房具を使っている人が使わなければならないから我慢して使っているものを満足して使えるようにする、ということが商品を考える時の考え方だといつも思っています。

本当は理想のものがあるのだけど、これしかないから我慢して使っているもの。

工房楔のカッターナイフ(https://www.p-n-m.net/contents/products/category2-12.html)は、そんな我慢して使われている人が多い文房具であるカッターを銘木で仕上げています。

握り心地も自然の木を良い腕、丁寧な仕事で仕上げていますのでとても良いし、木の魅力を一番感じられるエージングすることの楽しみ。

使い込むうちに木は艶を増して、何とも言えない良い光沢を持ちます。

そういった文房具はお仕事をより楽しいものにしてくれるし、仕事が楽しくなると1週間のほとんどが楽しくなります。

新品の時が一番美しいものは使ってボロくなっていくのを見るのが辛いですが、使うごとに良い変化をしてくれるものを使いたい。

実用的には何も変わらないけれど、良いものを使いたいという自分のこだわりに叶ったものを少しずつでも増やしていきたい、毎日使って気付けばとても艶やかになっていたウォールナットのカッタナイフを手に取るたびに私は思います。