goo blog サービス終了のお知らせ 

元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

大人の磨く楽しみ

2008-08-11 | 万年筆
ペンは文字を書くものであり、万年筆はそれを楽しむことができる唯一の道具だと思って、書くことばかりに気を取られていて、他の楽しみを知りませんでした。
万年筆に見て楽しむことや所有する楽しみがあることは理解していましたが、書くこと以外に自分が楽しみを見出すとは思ってみませんでした。

万年筆を磨く楽しみを最近知りました。
プラチナブライヤー、カステルエボニー、楔パトリオットブライヤーなど気がつくと自分のペンケースの中に木軸のペンがいくつも入っていて、それらは自分の手の油で何年もかけて光沢や艶を出が出るくらいに思っていましたので、特に手入れなどはしていませんでした。
でも何人かのお客様が佐々木商店のつやふきんや椿油などで木軸のペンを磨いてピカピカに仕上げていることを知り、私もやってみました。
銀座の佐々木商店からつやふきんを取り寄せて、それでブライヤーの万年筆を磨き出しました。
つやふきんは説明書にありましたが、カメ虫科の昆虫が分泌するイボタロウが含まれていて、木製品はもちろん、エボナイト、金属などの艶出しにも威力を発揮するとのこと。
オイルなどと違って、すぐにはピカピカにはなりませんが表面に透明感が出て、木目が際立つといった表現がピッタリくるような効果があります。
ぼんやりしていたブライヤー万年筆の木目がとてもはっきりとしてきました。
辛抱強く磨かないとその効果が出ませんが、その木本来の美しさを引き出してくれるようでした。
ブライヤー以外のペンもつやふきんで磨きたくなって、いろいろ試してみました。
その中でも黒柿が特に変わったように思いました。
さすが神秘の素材、磨くことで、その素材の味わいの深さに感心しました。
昔から茶道具などで手に触れるものに使われてきたものだけに、手を入れるとツヤが出て、美しくなっていくことを古人は知っていたのでしょう。
本当に暇があったらいつまでも研いていたい気持ちになります。
その過程、手間を楽しむ。木を磨くのは大人の楽しみなのかと思います。

7 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
使っていますよ~! (小野英一)
2008-08-11 12:34:33
昨日は有難うございました。早速、つやふきん、使っていますよ。中々良いですね。普通の黄色のタオルに見せかけて・・というのがにくい演出ですね。ちなみに洗濯してもいいのですか?しないと思いますが・・ではまたお伺いします。
返信する
洗濯すると (つきみそう)
2008-08-11 22:43:58
ふきんにしみこませてあるというイボタロウが出てしまうのでは?という感じがしますね。
佐々木商店(03-3561-3554)に電話して聞き、報告してくれる人が、そのうち現れるでしょう。
返信する
Unknown (BOB)
2008-08-11 23:27:20
この「つやふきん」はバイオリンやギターのフィニッシュに使うvarnishと同じ素材が使われているようですね。家具にも使われてますね。
フレンチポリッシュという手法で根気よく塗り重ねることで、非常に薄い被膜でコーティングされ、独特の艶が出てきます。
ボクが買ったら万年筆じゃなくて楽器磨きに使っちゃいそうです^^;
返信する
つやふきん 恐るべし (pretty-punchan)
2008-08-12 07:44:28
譲っていただいたつやふきん、パトリオットペンを磨いてみました。徐々にしっとりとした艶が出てきました。次にライターを磨いてみました。つやふきん、真っ黒。それでもってライターはツヤツヤ。通常ライターの磨きは表面のメッキを傷めるので注意が必要ですが、つやふきんは殆ど表面を傷めることはありませんでした。恐るべし!普通の金属磨き用クロスには研磨剤が使われているのに対し、つやふきんには「イボタロウ」。驚嘆すべき「イボタロウ」!「イボタロウ」という名前からして凄い!「イボタロウ」はエライ!
返信する
つやふきん (penandmessage.)
2008-08-12 09:22:57
皆さまありがとうございます。つやふきんの効果はゆっくりで気が付いたら、ピカピカで木目がくっきりしていたといった感じですね。
でも磨く作業、意外と楽しいことを知りました。
ちなみに佐々木商店に問い合わせみましたが、洗濯するとやはり効果がなくなってしまうとのことです。
返信する
イボタノキ (つきみそう)
2008-08-12 09:49:30
って、可憐な花が咲くのですね。
http://ryoya.blog1.fc2.com/blog-entry-917.html

これの枝を取り巻くように群生(これが気持ち悪い)したイボタロウカイガラムシのオスの幼虫が、ロウを出すのだそうで・・・。

脱線しますが、この手の芋虫、毛虫の類は、なぜか怖がる人を狙って落ちてくるように感じます。私の祖父は虫なんぞ平気、という人で、枝が見えないほど虫がついているような木の下でも平気で昼寝をしておりましたが、一匹も落ちてこないのです。私がそんな木に近づくと、警戒しているのにぷら~んと降りてきたり、ぽとっと落ちてきたり・・・。
返信する
虫嫌い (penandmessage.)
2008-08-12 23:57:18
つきみそう様
確かに虫を嫌って、警戒している人に限ってその被害に遭うようです。どんな所にも虫がいて当然なのですが・・・。でも昔の人は本当にすごいと思います。その虫が木製品の艶出しに効果があると発見したのですから。
返信する