元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

折形

2007-07-25 | 仕事について
ずっと以前にある雑誌で折形の存在を知りました。
詳しいことは何も分かりませんでしたが、何か厳格で凛々しい日本人の精神性が感じられ、気になっていました。
ずっと心の片隅に仕舞っていましたが、最近ある女性からその形や背景を教えてもらいました。
昔、絹の文化を持っていた貴族に対し、和紙の文化の武家から折形は生まれたとのことでした。
贈り物やちょっとしたお裾分けのときに和紙や半紙でその物を、それぞれの家に伝わるやり方で包む。
中身が何か分かるように、ちょっとだけ見せたり、見せることのできない物は、折り方を変えて、その形で中身を知らせる。
こんなにも謙虚で、奥ゆかしい文化が日本にあったのだと知りました。
そんな折形のテイストや気持ちを取り入れ、商品の包装ができるようにアレンジしたものをその人は研究の末形にしました。
私の店はまだ姿ができていないけれど、感謝の気持ちを形にする折形を手に入れました。
古くからある武家では、姑から嫁に、そしてまた嫁に、それぞれの家に伝わる折形が伝えられたそうです。
そんなふうに伝えられた、折形のストーリーにも心惹かれますし、そこに込められた、他人を思いやる奥ゆかしい日本人の心にも感動を覚えました。