殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ざるそばのたたり

2008年12月01日 16時50分52秒 | 不倫…戦いの記録
夫が自分の給料を家計に入れてくれる習慣は

いつの間にか途切れていました。


九州から帰ってから

毎月10万だけは義務として入れてくれていたのですが

今度の彼女になってからは、その習慣は消えていました。


資金難で給料が遅れる…と何度か言われたと思いますが

催促もしなかったので、そのままになっていったようです。

困ることがなかったので、長い間気がつきませんでした。

モップの彼女の懐に入っているのでしょう。


家でごはんを食べながら

よそに給料を貢いでいるのは確かに面白くないですが

この頃にはもう、どこまでバカか見てみたい気がしていました。


それに、何か欲なことを言ったら

たいした資格も特技も無い自分が運だけで得ている収入に

ミソがつくような気がしていたのです。



お盆休みのことでした。

夜、義母から電話がありました。


「あの子、入院したらしいの。すぐ行ってやってくれる?」


        「…なんで…」


「食中毒らしいのよ。今、K病院から連絡があったの。

 着替えがいるらしいわ」


またK病院です。

K病院と私は、よほど相性が悪いのでしょう。


車で30分の私より、町内の義母のほうがよほど近いのですが

着替えがいるのでは仕方がありません。

のろのろと支度をして出かけました。


K病院は、以前の小規模な総合病院的形態から

来たるべき高齢化社会に備えて

リハビリ主体の医院に改革をしている最中でした。

入院応需を取りやめる移行期間だったので

その頃、病室は二つしか残しておらず

食事も近所の仕出し屋が請け負っていました。


二階の病室に入ると、夫はこの暑いのに布団を被って寝ています。

声をかけても反応が無いので、掛け布団をめくりました。

              「…」

夫は汗びっしょりになってメールに夢中でした。


            「何してんの…」


「…」

 
見れば服もシーツもウ○チの跡だらけでびしょ濡れです。

さっき階下で会った夜勤の看護師さんが不機嫌だったわけがわかりました。


…死んでもラッパを離しませんでした…

という戦時中の兵士の逸話を聞いたことがありましたが

下痢ピーの海でも携帯を離さない夫は、ただの阿呆です。


これ以上長居をして

尻の始末をさせられる羽目になるのはゴメンなので

帰ろうとしました。


「待ってくれ…」

         「…」   

「あいつの…」

           ほら、きた…

「頼む…あいつのことも、なんとかしてやってくれ…」

      
      …てことは、あのかたも、同じ境遇に…
   
  隣のお部屋で寝てるのを、メールで励ましていたってことね…


         「私にどうしろと…」


「子供が家で待ってるんだ。

 着替えを取りに行ってやってくれないか?

 俺、動いたら出ちゃうしさ、あいつはもっと重症なんだ…」

      
         「なんで私が…」


「こんなこと、頼める身じゃないことはわかってる。

 でも、そこを何とか…お願いします…」


    「他に友達とか、いるんじゃないの?」


「ここの生まれじゃないし、親しいのは会社の人だから

 ばれたら困るんだ」


   「困るんなら最初からしなきゃいいじゃんけ」


無視して帰りたいのはやまやまでしたが

私は以前、生牡蠣にあたったことがありました。

お産より数倍つらかったです。


こうして後でとやかく言うくらいなら

関わらなければよいのですが

偽善者の私としては、見捨てることが出来ませんでした。


夫に家を聞いて、行くことにしました。

夫はついでに、こうなった事情も説明しました。

二人で食事をした後、少しドライブして

ホテルに入ってから発病したそうです。


トイレの取り合いで醜い修羅場となったあげく

救急車を呼ぶ勇気もなくて

心やすいK病院に二人で駆け込んだのでした。



     「ところで…何食べたの?」


「ざるそば…。ウズラの卵が怪しい…」


     「もっと、いいもん食えよ…」
コメント (2)
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