殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ドリーム

2012年05月01日 16時00分52秒 | みりこんぐらし
               「♪庭のハ~ナミズキ♪」

♪ど~こにも行けず~ こんな近場の花で~ ごまか~して~すいません~♪

一青窈の“ハナミズキ”♪うす紅色の~♪の部分のフシでお願いします。


菊桃はさっさと枯れ果て、義母ヨシコのワイルドガーデンには

今、ピンクのハナミズキが満開。

隣りには白いハナミズキがありますが、まだ花が少ないです。




先日、知人から「離婚するつもり」と電話があった。

原因は、長年に渡る性格の不一致というやつだ。

昔から話を聞いていたので、今さらどうということはない。


「親が生きている間は、不仲を隠し通したけど

 死んだ両親も、草葉の陰で泣いていると思うわ」

知人は、しみじみと言う。


   「へえ~!

    あなたの親って、草むらにいるんだ!」

「…」

   
“草葉の陰で泣いてる”とか、簡単に言う人は多い。

なんでわざわざ、死んだ親を草むらに行かせるんだ。

死んだ上に、草むらで泣かねばならんとは…気の毒すぎるじゃないか。

子供のほうは、それで満足なのが気に食わん。

よって、いつもにも増して、意地が悪くなる私である。

    
   「ヤブ蚊がウヨウヨしてる所で、夫婦で泣いてらっしゃるの!

    大変だ~、そりゃ」

「もののたとえよっ!」

知人は、怒ったり笑ったりしていたが

こいつに話しても面白くないと思ったのか、早々に電話を切った。



これも先日、お馴染みの友人、ラン子。

人間ドックに行ったら、かなり深刻な糖尿病だと宣告され

SOSの電話をかけてきた。

内科病院の厨房勤めで得たわずかな知識と

義父アツシの糖尿病悪化の経緯を25年ほど、見てきただけで

とても人様をお助けできるような身の上ではないが

放ってはおけないので、首を突っ込む。


「栄養バランスを考えて…」「食物繊維を多く摂って…」

などとありきたりな説明をしたって

栄養面に関心を持つ習慣の無い人は、右から左へ抜けてしまうことが多い。

そこであれこれ言わずに、3つの約束を書いて渡した。

“最初の一口を野菜にする”

“飲み物に顆粒のファイバー(食物繊維)を入れる”

“キャベツを週にひと玉、とにかく食べきる”


他にも気をつけることはたくさんあるけど

わかりやすいものを小出しにしてやらなければ、実行しない。

ほうれん草をゆでろ、キュウリをもめ、なんて言ったって

今までやってないんだから、するわけないのだ。

キャベツでいいんだ、キャベツで。

これを実践したところ、10日後に行われた精密検査で

通院や投薬はまぬがれ、経過観察になったと喜んで電話してきた。


良かったねということで、また会う。

こころなしか、ラン子はスッキリと痩せたように見える。

待ち合わせたファミレスでは、セットでなく単品で注文し

スープと山盛りのサラダから食べさせて、外食のコツを教える。

割高にはなるけど、糖尿病の薬代に比べたら安いものだ。


そこでラン子、新たな心配を話し始める。

「糖尿と言われてから、老後がますます心配になってね…。

 娘は最近、老人ホームで働き始めたの。

 これから資格を取って、介護士になるんだって。

 よその年寄りの世話ばっかりして、私の介護はどうなるんだろうって考えたら

 眠れなくなっちゃって。

 痩せたのは、そのせいもあるの」

    「あら、あんた、娘に介護されたいの?」

「そりゃそうよ…私には、あの子しかいないもん」

    「そうなんだ~、娘にシモの世話させたいんだ」

「親なら誰でもそう思うんじゃない?」

    「は~ん、寝たきりになりたいんだ…あんた」

「…」

    「オシメが夢なんだ…ドリームズ・カム・トゥルー…」


こういうことになると、さらに意地が悪くなる私である。

訪れてもいない未来にクヨクヨし、誰かに何かしてもらうことばかり考えて

自分が誰かに何かしてあげようとは小指の先ほども思わないから

不安にさいなまれる。

不安なもんで、とりあえずの安心が欲しくなり

他者の将来を拘束しようとする、その傲慢が気に食わん。


「オシメしたくないっ!」

ラン子は言った。

   「じゃあ、オシメを願わずに、元気でいようと思いなさいよ」

「わかった…」

   「もし寝たきりになっても、まあちゃん(娘)は面倒見てくれるわよ。

    もっと回りを信じなさいよ。

    私もお見舞いに行くから」

「来てね…」

    「生きてたらね」

すっかり元気になったラン子であった。
コメント (26)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする