殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

手抜き料理・10

2018年05月30日 07時39分06秒 | 手抜き料理
本日ご紹介させていただく料理、簡単ではあるものの

手抜きという見解においては疑問。

ただし評判はいいので、隠し球として持っておくと便利かもしれない。



『三色和え』

①サヤエンドウまたはサヤインゲンは、ゆでて斜めの細切り

ゴボウとニンジンはささがきにしておく。

②少量の砂糖と少量の麺つゆで、ごく薄く味付けした水に

まずゴボウ、煮立ってきたらニンジンを入れ

煮詰まったらサヤエンドウを入れて一煮立ちさせ、火を止める。

③鍋のまま放置して、冷めてきたらマヨネーズで味付け。

以上。


ゴボウとニンジンのささがきに時間がかかるため

手抜き料理とは呼びにくいが

ゴボウのグレー、ニンジンの赤、豆の緑が美しい

食物繊維たっぷりの野菜料理。


ニンジンはゴボウと一緒に入れると柔らかくなり過ぎるので

あえて遅れて鍋に入れ、型崩れを防ぐ。

仕上がりに、ほぐしたカニカマや

酒蒸しして裂いた鶏ササミなどをプラスしてもおいしい。



30代前半の頃、仕事の絡みで

年上の知人とお花見をすることになった。

料理は持ち寄りということなので、私は一応、無い頭で考えた。

参加者にバーのオーナーママ、Aさんがいたからだ。

彼女は当時、60代後半。

独身で、店と住まいと貸事務所のある自社ビルを持ち

非常に気位が高く、また料理上手であることも知られていた。


姉御肌の彼女のことだから

皆の持ち寄った料理がかすんでしまうほど

あれこれ作って来るに違いない。

こっちは最年少のペーぺー。

唐揚げや卵焼きなど、ポピュラーな料理を持って行って

ブッキングしたらご機嫌を損ねそう。

とはいえ、いい加減な物を持参して笑い者になるのもごめんだ。

年配の女たちの口は、千里を走る。

みりこん、ピーンチ!


メインを避けつつ、そこそこ一生懸命が伝わる脇役料理‥

考えたあげくにたどり着いたのが、三色和え。

控えめ、かつ当時としては珍しかった

ゴボウにマヨネーズの組み合わせはとても喜ばれた。

Aさんは店の付き出しにしたいと言い、作り方をたずねた。

恐怖のお花見が無事終了して、ホッとした。


それから時代は10年余り下って、病院の厨房時代。

厨房のメンバーで料理を持ち寄り、パーティーをしたことがあった。

ここにも三色和えを持参したら

一同はもとより、栄養士がひどく気に入って

さっそく病院食のメニューに加えられた。

味、栄養、彩りの面で得点が高く、老若男女の大半に喜ばれる一品だと思う。



『レンコンだんご』

①レンコン、ニンジン、缶詰のギンナン数粒をフードプロセッサーでガー。

②鶏ミンチと刻みネギと①のガーに

生卵、酒、塩、醤油、ショウガ汁を適当に入れて混ぜ合わせる。

③直径5センチほどの小判型に丸め、そのまま油で素揚げ。

以上。


これは病院の厨房で作っていたものだ。

変わったミニハンバーグとして辛子醤油を付けて食べるもよし

澄まし汁に片栗粉でゆるくトロミをつけ

揚げただんごを沈めて和食の達人を気取るもよし

どうやっても香ばしくておいしい一品。

ガーして、カサが減った野菜と鶏ミンチの割合は、3対7ぐらい。

しかし、どんな割合でもそれなりにおいしく仕上がる。


私は義母ヨシコの友達、バランスのおシマがレンコンを持って来た時に作る。

おシマはこの数年、山奥のレンコン農家と懇意になり

頼みもしないのにレンコンを買って来てはヨシコに売りつけるのだ。

けれどもこのレンコン、硬くて不味い。

煮ても焼いても食えないとは、このことだ。

そこでガーに放り込まれる運命となる。


ヨシコは鶏を食べないので、レンコンだんごを食すことは無い。

レンコンを超薄切りのキンピラにして与え、友情に浸らせている。


材料をフードプロセッサーにかける時

レンコンとニンジンをギンナンの大きさに合わせてカットしておくと

きれいなみじん切りが早くできる。

みじん切りの程度は粗めでも、ペースト状でもそれぞれにおいしいので

気にせずガー。

ギンナンは、かすかな苦味と香りが

単なるレンコンだんごをグレードアップさせるので

必ず使っていただきたい。


レンコンのデンプンがつなぎの役目をするため

材料に片栗粉を仕込む必要ないが、心配な人は少し入れてもかまわない。

多過ぎるとだんごが固くなる。


フードプロセッサーが無い場合

レンコンとギンナンはおろし金ですりおろし

ニンジンは細かいみじん切りで大丈夫。

これでやったことも何度かあるが、仕上がりは変わらず

ニンジンのツブツブ感も楽しい。


材料の下ごしらえに少々時間がかかるため

これも私にとっては手抜き料理とは呼びにくい。

しかし作り手の株は必ず上がる。



これを選挙事務所の賄いで出したところ、反響の大きさに驚いた。

選挙が終わって解散する時まで

「もう一回、あれが食べたい」と、多くの人が言い続けたものだ。

そんなに好かれる料理とは思わなかった。


賄いを手伝う人の実力には、落差がある。

ツーカーで連携できる戦力はわずかで

皿の数すら数えられなくなったお年寄りや

エプロンだけ可愛い役立たずなら大勢いる。

その人たちに楽で簡単な仕事を振り

達成感を味わってもらうのも大切な任務。

仕事の振り分けがうまくいかなくて、和が乱れることはよくあるのだ。


ひたすらだんごを丸めるレンコンだんごは

その点を考慮した献立に過ぎない。

大半が「来て座って、食べて帰るだけ」の有象無象たちを

喜ばせる必要はなかったと、苦々しく思ったものである。
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ご近影

2018年05月26日 07時47分19秒 | みりこんばばの時事
ここしばらく鳴りをひそめた感のある、お二方。

寂しいったらありゃしない。

でもこんな時こそ水面下で

せっせとコトが運ばれているものなのよね。




ショーメのイベント。

こういうのが俺様にふさわしいもんね。

つい笑顔も出るってもんよ。





出勤はダリ〜わ。

腰掛けだと、なおダリ〜わ。




電車を待つ俺様。

誰か気づけ。




普段着の俺様。

ゴールデンウィークに誰からも誘われず

どこへも行かないなんて格好つかね〜じゃん。

だからわざわざ電車乗って、都内の図書館行ったった。




電話中の俺様。

電話は初見じゃね?

ちゃんと撮ってる?

え?シャツがシワシワだって?

GIファッション、知らないの?

“逆玉で一獲千金”の略だよ。




お母様と出勤。

お母様はSPを取り上げられちゃったから、俺様のSPと兼用さ。

守ってあげなきゃ。

え?守ってあげるどころか、すごい破壊力だって?

IJファッション、知らないの?

“居直ったら地が出た”の略だよ。




あ、間違えた。

これは秋田児童連続殺人の人だった。
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悲報

2018年05月24日 10時21分12秒 | みりこんばばの時事
大好きな料理話に興じている間に西城秀樹さんが亡くなり

星由里子さんが亡くなり

続いて朝丘雪路さんが4月に亡くなっていたことが明らかになった。

残念だ。


同じ広島県の人ということで、ヒデキには親近感を持っていた。

バンドをやっているお兄さんがいて、そのお兄さんはもっとカッコいい‥

などの地元情報が、中学生だった私の耳にも入ってきたものだ。

昔から、ヒデキにまつわる噂の一つに

実年齢より若く公表しているというのがあったが

地元では、お兄さんと混同されたのが原因だろうと一笑に付している。


ちなみに、亡き義父アツシは

パチンコ屋を経営していたヒデキの父親とゴルフ仲間だったので

子供だったヒデキと何度か会ったことがあった。

アツシの弁によると、彼は「がんぼ」だったという。

がんぼとは、広島弁で「わんぱく」という意味。

ただのわんぱくではなく、枕詞に「手のつけられない」が付くのを

この辺りではがんぼと呼ぶ。

「こいつはチョコマカ動き回って、悪さばっかりしよった」

テレビで熱唱するヒデキを見ながら、ぼそりと言うアツシは

南田洋子さんのファンであった。


20何年か前まで、県内の老舗ゴルフ場で

有名人を大勢招いたゴルフコンペが毎年開催されていた。

そのイベントはアツシが世話人の一人だったので

我ら一家も観戦チケットをもらい、何度か見に行った。


この大会に、ヒデキが呼ばれた年がある。

その年の目玉、という位置であった。

当時の彼は大ヒット曲「ヤングマン」の熱狂が過ぎ去った、中年期。

シックなグレーのセーターを着た彼は

テレビで見るのと同じで背が高く、脚が長く、カッコよかった。

芸能人オーラはハンパなく、遠くからでも一目でわかった。

屈託のない笑顔が印象に残っている。


彼が脳梗塞を患って以降は、痛々しい思いで見ていた。

それでも人前に出る意味は何だろうと考えさせられた。

彼の知名度、才能、人脈をもってすれば

成功する、しないは別として、作曲やプロデュース

あるいはデザイン方面への進路変更は不可能ではなかったと思う。


確実な収入だけを重視すれば、何かの団体の広告塔にもなれたはずだし

雑誌のコラムなんかを受け持ち

主義思想を前面に押し出して、ご意見番を気取ることもできたはずだ。

そこで政権批判や反日思想なんかを語ってごらんよ。

マスコミは大喜びで、もてはやしてくれる。

三流芸能人やスポーツ人でさえ、この手でテレビ局に媚びて

出演を繋ぐご時世なのだ。

一流の彼ならば言わずもがなである。


けれども私の知る限りでは、彼は欲を出さず

ステージに立ち続けた。

ファンが大事、歌が好きというのもあろうが

お子さんに見せたかったというのが大きいかもしれない。

生涯、一歌手に徹した姿は潔いと思う。



星由里子さんは近年、健康食品会社のCMで

血糖コントロールのコーヒーを飲む姿をよく見かけていた。

愛らしい娘役を演じていた頃は

生まれていないか、子供だったためによく知らない。


私には、脚本家の花登筺(はなとこばこ)氏と結婚した中年期に

ご主人の脚本で演じたテレビドラマ

『ぬかるみの女』の印象が強い。

上品な奥様が遊び人の夫と別れ、キャバレーのホステスになって

子供3人を育て上げる根性物語である。


「子供が3人いたら、離婚すると大変‥」

ぬかるみの女を見ながら、何度も思ったものだ。

画面の星由里子さんは、どの場面を切り取っても気高く美しく

そこにいるだけで絵になった。



朝丘雪路さんといえば、私には誘拐の二文字が浮かんでしまう。

生後5ヶ月の一人娘が、身代金目的で若い男に誘拐された事件だ。


私は当時小学生だった。

3才の時、吉展(よしのぶ)ちゃん事件と呼ばれる誘拐事件が起き

吉展ちゃんは墓石の下から、無残な遺体で発見された。

以来、世の親たちは子供の誘拐に敏感になっていたのだが

有名人も例外ではないとわかり、大人たちの話題は持ちきり。

そこで初めて、朝丘雪路という名前を知った。


それからしばらくして、朝丘雪路さんの歌

「雨がやんだら」か大ヒット。

ここで宝塚出身だということを知った。


やがて娘さんが大きくなって女優デビューしたが、鳴かず飛ばず。

そのうち母娘でバラエティ番組に出演し始め

日本画家、伊東深水の娘であることや

とてつもないお嬢様育ちのエピソードを話すようになった。


魚の骨を取ってくれる人がいなければ食事ができなかった‥

お金を持って買い物をしたことがなかった‥

などの微笑ましい話が次々と紹介されたが

これらのエピソードが頻繁に出回るようになった時期は遅い。

この時期については、朝丘さんが本妻の子供ではないため

本宅の人々が他界して静かになった頃と一致しているかもしれず

ゆえに解禁されたのではないかと勝手に思っている。


そのおっとりとした風情で

あの厳しい宝塚に在籍できた不思議はともかく

彼女がヒロインの母親役や上司役で出演するドラマは

テンポがあって面白かった。

パッと画面が華やかになる芸達者だった。


好きだったお三方が立て続けに、この世からいなくなってしまった。

心よりご冥福をお祈りします。
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手抜き料理・9

2018年05月21日 13時18分06秒 | 手抜き料理
前回の記事、炊き込みごはんで鶏モモ肉に触れてから

病院で出していた楽ちんメニューを思い出した。

おいしいので、家でもよく作っている。


『鶏モモの味噌焼き』

①大きいままの鶏モモ肉の身を広げ

3センチ間隔で縦横の切り込みを入れて塩胡椒。

②裏返して、皮の面にも大まかに切り込みを入れる。

③身の方を上にして、コンロの魚焼きグリルで焦げ目がつくまで焼く。

④市販の田楽味噌を身の面にスプーンで隅々まで塗り、再び軽く焼く。

⑤田楽味噌が適度に焦げたら、全体に刻みネギをたっぷり乗せて三たび焼く。

⑥ネギが柔らかくなったら取り出して、一口大に切る。

以上。


つまりこれは、味噌味の焼き鳥みたいなもの。

合計3回も焼くのが面倒といえば面倒だけど

これさえやっておけば

味噌が多かろうが少なかろうが、それなりのおいしさになり

焦げようが形が崩れようが、最後に乗せるネギで全てが隠蔽できる。

失敗の無い安定感が嬉しい料理だ。


病院では普通の味噌汁用のものに、酒、砂糖、醤油、みりんを入れて

甘い味噌を作って塗っていたが

目標とするのは甘い田楽味噌のような味だったので

忙しい人は市販のもので十分。

味噌にマヨネーズを足したり

柚子や山椒の粉を振ったりとアレンジも自在。

簡単で、見栄えのする鶏料理である。


ついでに、鶏モモつながりで思い出した料理も書いておこう。

『鶏モモのクリーム煮』

①鶏モモは半分に切って塩胡椒、白ネギは5センチほどの長さのぶつ切り。

②フライパンで肉の裏表をしっかり焼きながら

そのかたわらで白ネギにも焼き色をつける。

③鶏とネギが焼けたら、そのままたっぷりの水と

コンソメスープの素を入れて煮込む。

④煮詰まる頃、肉が柔らかくなるので

生クリームを好みの分量加えてひと煮立ち。

以上。


白ネギは煮込むとクタクタになるので

常識の範囲内なら何本入れても大丈夫。

煮詰まった煮汁に生クリームを入れると

仕上がりがベージュ色になるので、パセリなんぞ振りかけたら美しい。

コンソメスープの素は、煮詰めることを計算して少なめに使うといい。

煮詰めても薄ければ、塩か薄口醤油で対処できる。


この料理は、お嫁に持って来た料理辞典に載っていたもの。

まだ料理に不慣れだった頃のことである。

赤ん坊がいても片手間で作れ、こってりとおいしいのと

フランス料理風の見栄えから、お気に入りの一品であった。



メインばかりでなく、野菜も食べなくちゃ‥

ということで、簡単な副菜もご紹介させていただく。

『パルメザン・キャベツ』

①千切りキャベツに粉チーズを振りかける。

以上。


私は千切りキャベツをスライサーで切る。

キュウリなんかの薄切りに使う、厚みを調整できるアイデア商品だ。

包丁で極細に切る実力が無いので、もっぱらこの道具を利用している。

刃を薄く設定すると、フワフワの千切りキャベツになり

口当たりが良いので、皆喜んでたくさん食べる。


千切りキャベツに粉チーズは、昔からやっていた。

チーズと醤油系のドレッシングがよく合うので気に入ってはいたものの

私はこれをなぜか邪道と認識していたため、こっそりやっていた。

が、『孤独のグルメ』にこの食べ方が登場して以来

解放された気分で大っぴらに行っている。



『もやしのナムル』

①もやしをゆでて、触れる温度になったら軽く絞る。

②鶏ガラスープの素と、ごま油を適当に振りかけて混ぜる。

以上。


野菜をたくさん食べたい時は、もやしと一緒に

細切りの人参やニラをゆでて作るといい。

その際は人参、もやし、ニラと、煮えにくい物から順番に入れる。

盛り付けにトマトを飾ると、美しい。


鶏ガラスープだけでは心もとない人は、少量の醤油を足すといい。

もっと味に凝りたい場合は「塩っぺ」を少々投入。

どこにでも売られているであろう、細切りの塩昆布だ。

味もグレードアップするが、塩っぺの黒でナムルの色が引き締まり

何やら良さげに見える目的もある。



『経歴詐称サラダ』

①春巻きの皮を素揚げし、バラバラにしてレタスなんかに振りかける。

以上。


春巻きを作って、何が困るかというと残った皮。

一袋10枚入りの皮は、一度封を開けると保存が難しい。

そこで春巻きを揚げた油で、素揚げにする。

春巻きの皮は油と相性が良いため

そのままペラッと油に突っ込んでも、おとなしく揚がってくれる。


キツネ色を通り越して茶色になる頃、カリカリに揚がる。

それをガサガサと破壊して、グリーンサラダの上に振りかけてみ。

ドレッシングを吸って柔らかくなり

とても香ばしいトッピングに変身する。

言わなきゃ誰も、これが春巻きの皮とは気づかない。

おいしい、おいしいと言って食べること請け合いだ。
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手抜き料理・8

2018年05月19日 10時39分15秒 | 手抜き料理
私の暮らす田舎ではPTA活動、お寺の行事、公民館活動、葬式など

大人数のシロウトが集まって料理をする機会がままある。

そしてそこには自薦、他薦に関わらず料理の得意な女性が多勢いる。


人口の多い都会のことはいざ知らず、田舎の料理自慢‥

ことにお年を召した方々は、何かと厄介だ。

複数いる場合、必ずゴタゴタが起きる。

「味付けは私が‥」

「いや、これこれこういう理由で私こそふさわしい」

「私はこんなに頑張ってるのに、評価されない」

「私が作った物だけ、人気があった」

私、私、私‥準備から後片付けまで自己主張が続く。

料理をテキパキする人には負けず嫌いが多いのと

娯楽が少ない田舎では、他に輝ける舞台が無いのが理由だと思う。


一回り年上の友人で、自他共に認める料理上手のヤエさんですら

最初の出会いは快いものではなかった。

彼女は長年、地元のスーパーで働いていたので、若い頃から顔は知っていた。

「スラッとしてて優しそうで、綺麗な人だなぁ」

優雅に微笑みながら接客をする彼女を見ては、いつもそう思っていた。

やがて私はウグイス、彼女は賄い係として

4年に一度、選挙事務所で顔を合わせるようになるが

挨拶程度で話をしたことはなかった。


親しくなったのは、7年前の選挙。

事務所がゴタゴタして落ち着かないということで、候補から依頼を受けた私は

騒動をおさめるために、告示までの1ヶ月間、賄いを手伝うことになった。

ところが、ゴタゴタは事務所だけでなく台所も同じだった。

ヤエさんの仕切る台所は、複数の料理自慢がしのぎを削り

憎しみ合いの修羅場と化していたのだ。


騒動の元は例のごとく、私が、私が‥。

連日の争いで、ヤエさんのテンションはマックス。

そこに私まで新しく入ったのだから、心穏やかであろうはずがない。

「私も調理師免許、取ろうと思ってたけど仕事が忙しくてねっ!」

これが挨拶の次に言われた言葉である。


ヤエさんは私に冷淡だった。

別に行きたいわけでもなく、面倒臭いので辞めたかったが

候補と約束したので引くわけにいかず

1ヶ月後にはウグイスとして、結局行かなければならないので通う。


そんなヤエさんにとって、今回の選挙は今までと勝手が違った。

我々の候補は市会議員を辞職し、この時は県会に立候補していたからだ。


トップのヤエさんを始め、賄いをする人たちは市議選の経験しか無い。

市議選と県議選の規模は、当たり前だが全く異なる。

20人分ほど作ればよかった市議選と、大所帯の県議選とでは

献立の立て方や仕入れ、作り方、配膳のやり方などが根本から違うのだ。

「おいしいわ、お料理が上手ね」

「あらそんな、おほほ」

なんて流れを期待するお花畑では、逆立ちしたって間に合わない。


30人、50人、70人‥

事務所で食事をする支援者は日増しに増加していく。

大人数に対応するコツや段取りを知らない面々はたちまち行き詰まり

悠長に小競り合いをしていられなくなった。


ここがヤエさんの立派なところ。

「みりこんさん、教えてください」

と申し出た。

私に迎合したのではなく、引き受けた使命を全うしようとする責任感である。

親しくなったのは、それ以降だ。

料理上手のヤエさんと、段取りイノチの私が組んだことによって台所は落ち着いた。


このように何かと厄介な料理自慢に比べ

料理が苦手と言う人たちの謙虚さはどうだ。

「料理はヘタなので、せめて洗い物は任せてください」

「指示してくだされば、いくらでも材料を切りますからね」

老いも若きも、素直で可愛らしい。


口ではそう言うものの、家ではちゃんとやっているだろうし

苦手と言うだけに、おいしい店やテイクアウトの情報が豊富。

「あすこの山にワラビが‥栗が‥」

家食にこだわる料理自慢のショボい話題より、よっぽど楽しくて垢抜けている。

家で何か煮ているより、外に出たいタイプの人が多いので

色々経験していて話が面白く、意外な資格や特技を持っていたり

着る物もおしゃれだったりするのだ。

だから苦手派の人には、自信を持ってもらいたい。


また前置きが長くなってしまった。

手抜き料理、本日のお勧めは炊き込みごはん。

面倒臭そうだが、やってみると意外に簡単。

材料を準備したら、後は炊飯器が作ってくれる楽な料理である。


私がこれをお勧めするのは、一点豪華主義の見地から。

一品に少々の手間をかけておけば、副菜は汁とおひたしくらいでいい。

おひたしがかったるければ、冷奴か刺身こんにゃく。

野菜が足りなきゃ青汁でも飲んどいて。


炊き込みごはんは米を炊く作業と主菜の製作を兼用でき

ごはんをよそうのと主菜の盛り付けも兼用できる。

まして食後の洗い物も少ないとくれば、これはもう立派な手抜き料理。

楽でありながら食卓は華やぎ、家族は喜ぶ。


『炊き込みごはん』

①炊飯器で、普通に米をセット

②鶏モモ肉を2センチ角に切り、少量のめんつゆを振りかけておく。

③その間にゴボウと人参を皮むき器でスライスし、油揚げを小さめに切る。

④米に、顆粒の昆布ダシとめんつゆ、塩一つまみで味を付ける

⑤鶏肉と野菜、油揚げを米に投入して炊飯器のスイッチを入れる。

以上。


大切なのは①。

欲張って、炊飯器の容量ギリギリまでの米を炊こうとしないこと。

具材が入る分、1〜2合少なめの米を用意するのが失敗しないコツ。


それでも万が一、生煮えで仕上がった場合は

米の芯が無くなるまで、何度か炊飯ボタンを押せばいい。

炊飯器はすぐに炊飯をやめてしまうが

気にせずにその都度、食べて確認する。


それでも芯が残っていたら、湯を少し入れて再び炊飯ボタンを押す。

経験上、柔らかくなるが、何とか食べられる。

主食と主菜を兼ねる便利な料理だけに

失敗したら一巻の終わりというイメージが先行して

炊き込みごはんを敬遠する人もいるので

御守り代わりに、この対処法を覚えておくといい。


他に強いてポイントを挙げるなら、④の味付け。

米だけの状態で味を決めるのは、生の鶏肉を入れてしまった後だと

味見をするのに抵抗があるから。

めんつゆだけでも味は付けられるが、たくさん必要になって色が黒くなる。

顆粒ダシで旨味を高め、塩で引き締める方が見た目、味ともに効率がいい。

味付けの目標は、濃いめのすまし汁。

時間的、精神的に余裕のある人は

昆布とカツオで取ったダシを使い、薄口醤油で味付けをするといい。

仕上がりがあまりにも薄味になり過ぎた場合は

塩を振りかけて全体を混ぜたら何とかなる。


中に入れる具材に里芋や栗、缶詰のギンナンなどをプラスしてもおいしい。

米を研ぐ時、1合分をもち米に変えたら「おこわ」と言い張れる。

全部をもち米にすると、前日から水に浸けたり

炊飯器でなく蒸し器を使う必要が生じて面倒になるが

もち米の量が少なければ、普通の白米と同じ扱いで大丈夫。

炊き上がりに、市販されている味付け山菜を混ぜ込んだら山菜おこわだ。


具材の量は適当でいい。

ゴボウは栄養と風味のために、ぜひ入れて欲しい具材ではあるが

手がかかるので、ほんのおしるしでもいいし

いっそ使わなくても何ら問題はない。

盛ったごはんの上に、生のミツバなんぞ1枚乗っければ

そこに視線が集まって、おおかたのことは誤魔化せる。
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手抜き料理・7

2018年05月16日 11時28分34秒 | 手抜き料理
すみこはんから「高血圧に良い食事」というお題をいただいた。

そこで義母ヨシコと同居してきた、この6年間を思い出してみる。


大腸癌で腸が人より15センチ短く

胆嚢摘出、狭心症で心臓カテーテル入り

血糖、血圧、中性脂肪‥いずれもかなり深刻な数値を誇っていたヨシコと

同居に踏み切るきっかけになったのは、6年前に見つかった胃癌であった。


彼女が長生きするとは、誰も思っていなかった。

もちろん本人もそのつもりで、すっかり悲劇のヒロインになりきっていた。

が、ヨシコは今のところ元気バリバリ。

こんなに長い間、入院や手術をしないことは無かった。


同居して1年ほど経過した頃、まずヨシコの血圧が下がり始めた。

それからさらに1年後、血糖値が下降を始め

連動して中性脂肪や高脂血症も徐々に平常値に近づいていった。

今では心疾患者特有のゼーゼーと音を立てる呼吸、頻繁な生あくびも消えた。


「それは私が治療食の調理師だったから〜!」

と言いたい。

言いたいが、違う。

この状況には、思い当たるフシがあった。


まず、倒産しかけていた義父アツシの会社が合併によって救われ

億単位の負債から解放されたことが大きい。

ストレスは血圧にとって最大の敵である。


加えて、何もかも失った親を我々夫婦が扶養するようになったため

食卓からヨシコの好物が消えたことが挙げられる。

複数の漬物、昆布や海苔の佃煮、金山寺味噌やひしおの類い

梅干し、ラッキョウ、ふりかけなんかだ。


私はこれらを買い与えなかった。

ヨシコの体を思って、ではない。

ゼニが惜しいからだ。


たかが漬物、たかが佃煮‥人はそう思うかもしれない。

しかし、おびただしい嗜好品まで面倒を見たくない。

毎日どれかが欠品するので、買い物も追いつかないのだった。


さらに彼女の好物、1日1リットルのコーヒー牛乳も切った。

ヨシコは当初、冷たいだのケチだの自分は不幸だのと私を恨んだ。

中毒の禁断症状である。


買いに行くのが面倒なので、無視。

最初のうち、ヨシコは娘に頼んでいたが

自腹を切るのがバカバカしくなったのか、コーヒー牛乳からも足を洗った。

血糖値、並びに糖尿病の進行を表すhbA1cの数値が下がり始めたのは

それ以降である。



やがて全ての数値が劇的に改善したのは、昨年の夏。

血液検査の数値は全て理想的水準で、月に一度の検診は今年から隔月になった。

大好きな主治医とたまにしか会えなくなって、不満げなヨシコである。


つまり私がやったのはケチと意地悪だけであり

食事の面では、ヨシコに何ら気を使わなかった。

よって病食調理の経験は、ほとんど役立っていない。

「早く元気になりたい」

口ではそう言いながら、その同じ口で逆の食品を食べる図は

病院勤めの8年間でさんざん見てきたが

同じ例が我が家にも存在したことを再確認したまで。


これに気づかないため、改善がされにくいケースが多々あるので

すみこはんのテーマから外れるが、ついでに記しておく。

例えば野菜がいいと聞いて、サラダを食べる。

真面目な人ほど、毎日たくさん食べる。

が、たくさんのサラダを食べるためには、ドレッシングがたくさん必要になる。

ドレッシングの塩分やカロリーは、あなどれない。

これを毎日続けたら、野菜のビタミンや食物繊維を摂取しているのか

ドレッシングの塩分とカロリーを摂取しているのか、わからなくなる。


だったら、と、ノンオイルドレッシングを使ったとする。

けれどもノンオイルドレッシングの糖分は、けっこう高い。

瓶の横っ面に細かい字で印刷された、成分表示を見てみるといい。

成分表示は、多く使用されている原料から順に記載されている。

ノンオイルドレッシングは、最初に糖分が書かれているはずだ。


ということは、何よりも糖分が一番多く配合されているわけで

糖分が多いということは、カロリーもそれなりにある。

健康な人に向けた健康志向の食品と、病状を改善する食品は

別物の場合が多いのだ。

医者も糖尿病患者にはノンオイルドレッシングを勧めず

何もつけないサラダ食を勧めている。

何もつけないサラダ‥つらそうだ。



病の陰にはこのように、盲点が存在するケースが少なくない。

気をつけても数値の改善が見られない場合は、今一度

ご自身の食習慣を見直してみるといいかもしれない。



前置きが長くなってすみません。

さあ、やっとお料理よ!

『レタス鍋』

鍋には白菜が定番である。

が、白菜は入れるだけで食べた気になってしまい

案外、量は食べてないものだ。

高血圧には減塩も大切だけど、同じく大切なのは食物繊維。

そこでレタス。


レタスは準備が早い。

半分に割って洗っておけば、すぐ登板できる。

しゃぶしゃぶにも、味をつけた鍋にもよく合う。

あんまり煮えないうちに、シャリシャリとした食感を楽しむ。


牛、豚、鶏、鴨、肉団子に小腸ホルモン‥

魚の鍋以外は、たいてい合う。

レタスの食物繊維はあまり多いとは言えないが

熱を加えると小さくなるので、たくさん食べられる。

総合した摂取量をかんがみれば、レタスに軍配が上がる。


レタスに加え、小松菜も入れるといい。

小松菜は価格が安定しており、食物繊維、ビタミン、鉄分、カルシウムが豊富だ。

彩りも良くなる。

肉で釣り、ニラと混同させれば、子供や男も食べる。


うちは小松菜の葉っぱの部分をちぎって、ウズラやインコに与えているので

彼らが食べない茎の部分を料理によく使う。

鳥のおこぼれを人間がいただくという、惨めな状態である。


『肉団子鍋』

レタスと小松菜を入れた鍋の肉団子バージョン。

①豚ミンチと鶏ミンチに白ネギ、人参、生椎茸のみじん切りを入れる。

②少量の酒と醤油、生卵、しようが汁を加えて混ぜる。

③団子にして片っ端から湯を張った鍋に入れ、めんつゆで薄く味付け。

④アクをすくい、野菜を投入。

以上。


めんつゆでなく、塩味や味噌味にしてもおいしい。

鶏ミンチを入れるのは、あっさりさせるのと

フワフワの柔らかい団子にするため。

豚ミンチだけでもいいし、団子に入れる野菜も自由。


もっと凝りたければ、豚と鶏に白身魚のすり身を少し加えると

ちゃんこ屋の味になる。

息子が小学生の頃、親子で参加する学校行事があり

これを子供たちに作らせたことがある。

児童は嬉々として団子を丸め、親子ともども大いに楽しめた。


鍋の時、血圧の高い人はポン酢とシメを避ける。

鍋ものが体に良くても、塩分の多いポン酢をジャブジャブ使ったら何もならない。

シメとして食べるうどんなどの麺類は、製造工程で塩が多く使われており

塩味がしなくても体内には塩分が取り込まれる。

煮詰まって凝縮されたダシを吸う雑炊も

塩分摂取量が増えるので、回避する方が賢明である。


血圧にはこれ!といった献立ではなくて申し訳ないが

食べ方のコツが少しでも伝わっていれば幸いだ。
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手抜き料理・6

2018年05月12日 15時16分06秒 | 手抜き料理
いかどんぶりさんから、もう一つ、お題をちょうだいしている。

『肉が苦手でも卵で生きていける!料理』。


で、卵料理を思い浮かべる。

ゆで卵、卵かけごはん、目玉焼き、卵焼き

オムレツ、オムライス、いり卵、茶碗蒸し‥

みんな知っているものばっかりで、オリジナリティに欠ける。


仕方がないので、錦糸卵のことを書こう。

『錦糸卵』

生卵を溶いて薄焼きにして重ね、冷ましてから細く切る。

以上。


油は、キッチンペーパーに含ませて引くと失敗が少ない。

溶き卵に、ごく少量の水溶き片栗粉を入れて焼くと

破れにくくなって上手にできる。


裏返す時は、横から長い菜箸を一本差し入れ

卵をいったん持ち上げてから、ひっくり返す。

ゲーム感覚で、早く楽しくできる。

フライ返しを使うと洗い物が増えるじゃないか。

卵を溶いた箸で十分だ。


一枚一枚焼いた薄焼き卵をまな板の上に重ねていき

冷めてから切ると細く切れる。

散らし寿司や、そうめんの飾りにどうぞ。


そうよ、そうめんの季節がやってくるわ。

我が家では、そうめんを席巻する量の錦糸卵が必要。

夫にとってそうめんの錦糸卵は、お飾りや付け合わせではない。

主役のそうめんと同等の身分

いや、錦糸卵の方が格上かもしれない。


夏のお昼、ササっとゆでるそうめんのはずが

うちでは、延々と薄焼き卵を焼くという灼熱地獄から始まる。

まあ、他にワガママを言う男ではないので譲歩している。


そうめんの時は、定番の千切りキュウリや干椎茸の甘煮

味付け海苔の細切り、ネギ、トマトの他に

鶏ササミの酒蒸しを細く裂いたもの

ササミが面倒な時はシーチキンをそれぞれ別の皿に用意する。

シーチキンとそうめんつゆはよく合うので、食欲が出る。


錦糸卵の出番は、寿司やそうめんだけではない。

酢の物の横に添えると、キュウリ、オクラの緑や

トマトの赤に映えて美しく

甘酢を吸った錦糸卵は少し固めになって、おいしいものだ。

寿司やそうめんで使ったものが、余ったらやる。


また、焼いた薄焼き卵を切らずに

粉飾寿司を小さく丸めて包み込んだら、茶巾寿司(ちゃきんずし)。

この時、溶き卵に仕込んだ水溶き片栗粉がものを言う。

破れにくいので、綺麗に包める。


『卵豆腐』

病院では蒸し器で作り

冷やしてキュウリもみやトマトと一緒に小鉢で出していたが

買ったものの方が安くてなめらかでおいしい。


私は卵豆腐を汁の浮き身に使う。

高校の家庭科の授業で「すまし汁」を習った時のこと。

各自が思い思いの浮き身を入れた汁を作り

先生に試食してもらう試験があった。

ダシの取り方と、浮き身のアイデアを競うのだ。


私は自宅の庭に生えている赤ジソの芽と、冷蔵庫にある卵豆腐にした。

そしてこの時のみ、トップの成績だった。

浮き身の珍しさ、汁との調和も採点の対象になるが

先生に食べさせる直前、汁を温めたのが功を奏した。

熱い汁を提供したのが私一人だったという、偶然の産物である。

以来、思い出として時々使っている。



次に、手抜き料理とは呼べないが、私の得意料理

天津飯(てんしんはん)をご紹介しよう。

『天津飯』

“タレ”

①水にラーメンスープの素、寿司酢、醤油少々を入れて煮立たせる。

②味を見て、酸っぱければ砂糖かハチミツで調整し

水溶き片栗粉でトロミを付けたら火を止める。

③そこへショウガ汁を入れて混ぜておく。


“卵”

①人参、玉ねぎ、ピーマン、あればキクラゲを短い細切り。

②エビと一緒に塩胡椒で炒め、フライパンから出して別の皿に取る。

③多めのごま油を引いたフライパンに、溶き卵を流し入れる。

④炒めた人参以下の材料とネギを入れて混ぜながら

裏表をしっかり焼き、丸くて大きなオムレツを作る。


“タレと卵の出会い”

①焼き上がったオムレツもどきを

ケーキのように4等分か6等分に切り分ける。

②丼ごはんの上に乗せ、上からタレをかける。

以上。



昔、ママさんバレーのチームメイトが中華料理店を出した。

有志の一人として、開店当初に短期間手伝ったことがあり

その時に天津飯の作り方を覚えた。

以来、研究?を重ねて現在に至る。

ちなみにチームメイトの店は、すでに無い。


天津飯が面倒くさいのは、一人に一つずつ

丸いオムレツもどきを作る作業だと思う。

最初から大きいオムレツもどきを焼いて切り分けたら

形に目をつぶれば、ちゃんと天津飯。

小さめの丼を使うと、円形でないことが目立たない。


タレはケチャップ入りや酸味の無いタイプなど

食べ歩きと試行錯誤を経て

ラーメンスープの素と寿司酢の組み合わせが

一番簡単でおいしいという結果に落ち着いた。


最初にタレを作っておくと、あとはオムレツを焼くだけなので

面倒くささが半減する。

タレは少々失敗しても、卵のマイルドで落ち着く。

卵は少々失敗しても、タレをかければ隠蔽できる。


一人で食べたら元気が出て、家族に出せば見直され

お客に出したら料理好きと思われる。

気軽に作っていただきたい。



『たらこスパゲティ』

たいした卵料理が出てこないので

苦しまぎれに卵つながりで、たらこスパゲティを紹介させていただこう。

たらこスパゲティ、皆さんどうやって作っていらっしゃる?

たらこを室温に戻したバターと練ってウンヌン‥

が広く知られていると思うが、そんな面倒なことはしなくていい。


薄皮から出したたらこに、同量のマヨネーズを入れて混ぜ混ぜ。

そこへゆでたスパゲティを投入して混ぜ混ぜ。

以上。


いっつもマヨネーズでごまかしてんじゃん!

と言われそうだけど、まあ、まあ。

これ、同級生のけいちゃんが

大阪でカフェの店長をしていた時のれっきとしたメニュー。

塩胡椒すら、いらん。


私は彼女の家でこれを食べ、おいしかったので作り方を教わった。

簡単、なんてもんじゃなかったので驚いて

「よくぞ離婚して大阪から帰ってきてくれた!」

そう叫んだものよ。

手間暇かけたのと変わらないから、やってみ。
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手抜き料理・5

2018年05月11日 07時14分03秒 | 手抜き料理
左手を負傷中のいかどんぶりさんから

“片手でもできる手抜き料理”というお題をいただいた。


経験から言うと、片手でもできる手抜き料理とは

負傷した方の手を濡らさずに作れる物。

また、痛い方の手も大事だが、それをかばうために

無事なもう片方に無理がきては元も子もない。

重たい鍋などの器材をいくつも使うことは避け

負担をかけないようにすることも大事。

そのため、洗う作業と切る作業ができるだけ少ない食材を選ぶ。



洗わなくていい食材として、まず思い浮かぶのはモヤシとキノコ。

昔のモヤシは黒ずんでいたため

漂白剤のようなもので色白にしてから販売されていた。

そこで今だに「よく洗わなければ身体に悪い」という伝説が流通しているが

品種改良の進んだ現代は、中国製でなければ大丈夫。

袋から出してそのまま使える。

なまじ身体に悪かったとしても、私と家族は今のところ元気だ。


シイタケは屋外で栽培することが多いので洗うが

エノキ、シメジ、マイタケなど密室栽培のものは洗わない。

洗うと、水を含んで扱いにくくなる。

こちらも、私と家族は今のところ無事だ。



『モヤシとキノコの炒め物』

モヤシとキノコをラーメンスープの素で炒める。

以上。


味付けには塩胡椒と醤油、または焼肉のタレ

またはウスターソースを使ってもいい。

包丁の登場は、キノコの根っこを除去する時のみ。

キノコはさっくりしているので、片手でも切れる。


ここで『手抜き料理・2』で紹介した刻みネギが威力を発揮。

モヤシとキノコの白っぽい炒め物に入れると、彩りが良くなる。

主婦だって、いつ何が起こるかわからない。

刻みネギのストックは、緊急時の料理に彩りという余裕を添えてくれるのだ。

「どうにもならないから、冷奴」という場面でも

ネギの有無で食卓の雰囲気は変わる。


肉がお好きでない、いかどんぶりさんには適応しないが

“火の通り1分”と銘打った「伊藤ハムのポークビッツ」

という小さいウィンナーをそのまま入れて一緒に炒めると

ボリュームが出る。

おててが回復されたあかつきにはニラや人参、アスパラガスなどで

さらに彩りと栄養を添えるといい。

また、肉の代わりにカマボコを入れてもあっさりしておいしい。


『干し大根の煮物』

干し大根を袋から出し、そのまま20分ほど水に浸けて戻す。

ポイントは、浸けた水を捨てずに取っておくこと。

干し大根が柔らかくなったら適度に絞り、少量のごま油で炒める。

そこへ干し大根を浸けていた水をひたひたに入れる。

砂糖と麺つゆで薄く味付けし、煮詰めたらできあがり。

以上。


戻した干し大根は握ると小さくなるので、片手でも絞れる。

戻したものをそのまま煮る、昔ながらのやり方もあるが

柔らかくなるので年寄り向き。

炒めて水分を飛ばすのは、歯ざわりを残すためである。


干し大根は見た目が地味なので、人気の食材とはいえない。

けれどもそのおいしさと便利さ、豊富な栄養を知れば

乾物の女王として崇めたくなる。

昔は水に浸けたら独特の匂いが漂い、食べる気がしなかったが

今どきのものは改良されているのか、あまり匂わない。


干し大根を戻した水で煮ると、ダシがよく出るので

改めて昆布やカツオのダシを入れる必要は無い。

さらに麺つゆにはダシが入っている。

ダシの味が強いため、ごく薄味で十分旨味を楽しめる。


干し大根の用途は、意外に幅広い。

煮物の仕上げに黒胡椒を振れば、ガラッと洋風に変わる。

黒胡椒のピリッとした辛味は若者にも受け、食欲をそそる。


かために仕上げた煮物を冷まし、マヨネーズで和えたら

おいしくも珍しいサラダになる。

サラダの定番、キュウリや玉ねぎともよく合う。

とびっ子と呼ばれる安いトビウオの卵や、細切りのタクアンを混ぜたら

一風変わったおつまみになる。


また、肉じゃがと一緒に煮ることもできるし

今思い出したが、こうや豆腐と合わせた煮物も

病院のメニューにあった。

病院のは豚肉の薄切り、じゃがいも、人参

サヤインゲンと干し椎茸が入っていた。



さて、暖かくなったので季節はずれではあるが

私の手抜きぶりを知っていただくため、恥をしのんで紹介する。

『キムチ鍋』

キムチ、豚バラか豚ロースの薄切り、豆腐を鍋に入れて醤油で味付け。

以上。


キムチは、すでに切ってある物を多めに買う。

生の白菜を入れようとするから、台所が散らかって大がかりになるのだ。

キムチを煮てみ。

白菜に戻るから。

もんだり漬けたり、こねくり回されている分

元の白菜より滋味と歯ごたえがあっておいしい。


豚肉は切らずにそのまま。

な〜に、煮たら縮まる。

キムチの酵素で柔らかくなるので、肉の寸法なんて誰も気にしない。


豆腐は一丁をそのまま沈めて、鍋の中で崩す。

散り散りバラバラの豆腐とダシがよく絡まって、うまいぞ。


まな板と包丁をどうしても使いたければ、ニラと油揚げを入れる。

モヤシとキノコもどうぞ。

シメにうどんや中華そばを入れてもおいしい。

全部キムチが味付けしてくれる。


これは病院勤めで遅くなった冬の夜

冷えた身体を早く温める方法として考案した。

水で野菜を洗いたくない一心からである。

着替えをしている間に湯を沸かし、材料を入れたらすぐできる。


以来、家族にも食べさせているが、評判はいい。

これまで、白菜が実は全部キムチだということに

気がついた者はいない。


肉を入れず、豆腐だけでもおいしいし

ダシをたっぷり吸う油揚げもいい仕事をする。

鯛などの白身魚ともよく合う。

冬になったら‥また、夏に汗をかきたいかたには

ぜひお試しいただきたい一品である。
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手抜き料理・4

2018年05月09日 09時17分37秒 | 手抜き料理
手の込んだご馳走が食べたければ、外食すればいい。

家では手早く作って、サッと出す。

手間ひまかけてこねくり回すより、早く出てくることが重要である。

早いことはおいしいこと。

早いことは愛なのだ。

少なくとも、子供や男や年寄りにとってはそうであり

女が料理との格闘を強いられる原因もまた、彼らである。


『手抜き料理・2』のチキンライスの素で触れた

ケチャップライスを釜で炊く大家族の奥さん。

自分がいかに家族を愛し、料理を頑張っているかを披露しては

まだ家事に不慣れな私の甘さや物知らずを笑ったものだが

やがてよその旦那さんと二人で駆け落ちした。

そのまま30年以上、帰って来ない。

疲れたのだと思う。


疲れてはいけない。

疲れないようにしなければならない。

粉飾、ごまかし、上等ではないか。

どんなに頑張っても、続かなければ意味が無い。

家族の健康を願って作る料理で、自分の心身をいためてはならない。

日々、料理と格闘する同志の健闘を祈る私である。



『三色丼』

まず、フライパンで味付け無しのいり卵を作り、それを皿に取る。

そのまま同じフライパンで鶏ミンチを炒め

砂糖、醤油、ショウガ汁で甘辛く味付けして煮詰める。

その間にさやえんどうをゆでて細切りにするか

グリンピースの缶を開ける。

丼にごはんを盛り、卵、肉、豆を三色に分けて飾る。

仕上げとして、真ん中に紅ショウガを少し置く。

以上。


三色丼の三色は、鶏ミンチの茶色といり卵の黄色

それにさやえんどう、または缶詰のグリンピースの緑色で構成される。

ちょっと手がかかるのは鶏ミンチの味付けだけ。


これは病院の厨房に勤めていた時のメニュー。

カレーの次に人気があった。

病院には8年いたが、早くて簡単な主菜といえば

これしか記憶に無い。


病院食は、職員食も兼ねるため大量なので

いり卵とミンチを別の鍋で作っていたが

家庭では同じフライパンで作っても問題は無い。

緑の担当は、サヤインゲンでもそら豆でも

ピーマンでも、緑色なら何でもいい。


うちは姑が鶏を食べないので、牛ミンチや豚ミンチ

または合挽きで作ることもある。

牛や豚だと匂いが強いので、ショウガ汁を多めに入れる。

また、牛や豚は脂が多く出るため、キッチンペーパーで吸い取りながら作る。


ミンチに玉ねぎのみじん切りを入れることもある。

ミンチが残ったら、翌日の卵焼きに入れることもある。

もっと簡単に三色丼を作りたい人は、瓶詰めの鶏そぼろを使うといい。

どうやっても、そこそこの体裁が繕える便利な料理である。



『牛丼』

牛肉と玉ねぎを強火で炒め、砂糖と醤油で甘辛く味付け。

ネギを飾ればできあがり。

以上。

ツユだくをご所望なら、仕上げに湯を少し入れて煮立てるといい。


我が家の丼ライフに登場するのは

男どもの好物、カツ丼

私の得意料理、天津飯

簡単で派手な三色丼

そして、とにかく早くできる牛丼である。

欲を出して、白ネギやら人参やらゴボウやら

入れてみたこともあるが、シンプルが一番おいしいようだ。


さらにおいしくしようと思ったら、コツがある。

牛肉はロースを使う。

醤油は、よその地方にあるかどうか知らないが

刺身に付ける、濃くて甘い“刺身醤油”を使う。

この刺身醤油、進物のセットに入っていたのを持て余し

一度、サバを煮る時に使ってみたら

あまり辛くなく、こってりと仕上がったので気に入った。

今では買い求めて使用している。


技術面のコツは、砂糖。

肉と玉ねぎを炒める時、水分が出る前に

フライパンの隅に砂糖をパラパラとまいて、少し焦がす。

つまり材料を炒めているかたわらで、カラメルを作るのだ。

すると良い香りがして、さらにおいしくなる。

そこへ刺身醤油を投入すると、誰が作っても食堂の看板メニューになる。



主菜にはならないが、ゆで卵を使った楽しい一品を紹介しよう。

『おしゃれ卵』

ゆで卵を半分に切って、黄身をボールに取り出す。

黄身にマヨネーズと塩こしょう、少量の薄口醤油を加え

つぶして練り合わせる。

それをスプーンですくい、白身に戻す。

卵を上向きでちゃんと立たせるため、白身のお尻をまっすぐ削る。

以上。


パセリのみじん切りを飾れば、おしゃれと思われる。

イクラ3粒で、すごくおしゃれと思われる。

キャビアなんか飾ったら、とってもおしゃれと思われる。


子供と一緒に作れば喜び、お客に出すと珍しがられ

一人で食べても、もちろんおいしいおしゃれ卵。

命名はみりこんでした。
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手抜き料理・3

2018年05月08日 07時59分26秒 | 手抜き料理
結婚する時に持って来たのは、母の嫁入り道具だった分厚い料理辞典。

内容はかなり本格的で、老舗ホテルや老舗料亭の有名料理長が

料理を伝授してくれている。

和洋中だけでなく、シシカバブやピロシキの作り方なんかも載っていた。


「鯉(こい)のおろし方って、必要なんだろうか?」

そんなことを思いながら、硬くて重たい料理辞典を広げては

ページをめくる新婚の日々。

母の方は「夫婦喧嘩でこの本を投げたら、旦那が危ない」

と心配していたらしい。



『マカロニグラタン』

小麦アレルギーのかたには申し訳ないけど、手始めはグラタン。

昔はせっせとホワイトソースを作っていた。

例の料理辞典の教えに従い、ローリエの葉っぱなんか入れてさ。

女って、赤ちゃんにお乳を与える可能性のある間は

こういう乳臭い物が好きなのかもしれない。


近年はどうでもよくなり、滅多に作らない。

しかもインスタントの方がよっぽどおいしい。

鶏肉と玉ねぎを炒めたフライパンに

グラタンの素と水と、付属の乾燥マカロニを入れてちょっと煮たら

すぐにベースができてしまう。


私が長年やってきたのは何だったの?

という腹立たしさはともかく、家族が多い場合

バターを塗った人数分のグラタン皿にベースを取り分け

パン粉やチーズを載せてオーブンで焼くなんざ

手間がかかってしょうがない。


火葬の順番待ちをするグラタン皿なんか見ていたら

目まいがしそうなので、私は長方形の弁当箱みたいな

ホーロー製のタッパー1個にフライパンの中身を全部入れ、一括で焼く。

食べる時は各自が取り分ける。

下に木製の鍋敷きを置けば、熱々でも大丈夫。

取り分ける際には、広島名物お好み焼きに欠かせない相棒

ステンレス製のヘラが活躍する。


入れ物にバターは、面倒なので塗らない。

昔のグラタン皿は、先にバターを塗っておかなければ

汚れが取れにくかったようだが、今はそんなことはない。


耐熱皿でも普通の皿でもいいけど、とにかく深型の長方形がいい。

なぜならオーブントースターや魚焼きグリルに入るから。

ちゃんとオーブンを使おうとするから、構えてしんどくなるのだ。

今朝パンを焼いたオーブントースター

さっき魚を焼いたグリルを使えば、気軽に作れる。


インスタントの素を使う

長方形の入れ物を使う

一括で焼いて取り分け形式にする

グラタンはこの3つで、スピードおかずに成り下がる。

一緒にごはんを混ぜて焼けば、ドリアだ。

「ママ特製」と言い張りながら、残りごはんの処理をする。



『ナポリタン』

素を使ったサツバツ料理が続くが、我慢してもらいたい。

ナポリタンはレトルトを使う。


ただし、レトルトは湯煎しない。

スパゲティをゆでながら

隣のコンロでレトルトを温めたあかつきには

熱い鍋を二つ洗う羽目になる。

これはものぐさ族にとって、案外面倒臭い。


事前にフライパンで玉ねぎ、ピーマン、人参など

この際、家族に食べさせたい野菜を細切りにして炒める。

あればベーコン、ハムなどの肉っ気も入れる。

炒め終えたら、そこへ湯煎しないレトルトの中身を入れる。


ここまでしておいてから、スパゲティに取りかかる。

ということは朝やっておいて

昼や夜にスパゲティをゆでてもいいわけ。

何もかも連続してやろうとすると洗い物が多くなるし

慣れないと疲れる。

次の食事の準備がほぼできていれば、余裕が生まれる。

余裕が生まれるとおかずが一品増え、笑顔も増えるというものだ。


スパゲティがゆであがったら、炒めた具とレトルトの入ったフライパンに

箸でせっせと移す。

洗い物を増やしたくないから、ザルは使わない。

ザルを使わないと、スパゲティの湯切りができないので

ゆで汁も多少入るが

レトルトとスパゲティを馴染ませるためと

野菜を足した分、薄らいだ塩分を補うために必要なので気にしない。


スパゲティを入れたら、混ぜながらひと煮立ち。

粉チーズをかけて、ママ特製ナポリタンのできあがり。


結局はスパゲティをゆでる鍋とフライパン

2つの洗い物が生まれるじゃないか‥そう思うだろうが、違う。

ザル未使用というポイントは高い。

さらに輝かしい作品が鎮座するフライパンは

料理を作る過程で生まれる下積みの洗い物とは身分が異なるため

さほど苦にならない。



『肉じゃが』

いにしえより、お袋の味と呼ばれ

意中の男を落とす最善の料理として名高くなった。

そのため神格化してレシピが複雑になり

かえって敬遠されている気配の肉じゃが。


うちの近くには、じゃがいもの産地がある。

この地方のじゃがいもは、最盛期が夏と冬の年2回。

その都度、箱でもらうじゃがいもを消費するため

私も肉じゃがに興味を持たざるをえない。

本も読んだし、料理番組も見たし、年寄りにも聞いて

試行錯誤を重ねてきた結果

手をかけるほど残念な仕上がりになると判明。


お袋の味と言うけど、そのお袋が現役の頃

肉や芋を油で炒める習慣は定着していただろうか。

たかが肉じゃがに、当時は贅沢品だったと思われる酒やみりんを

惜しげもなく注ぐだろうか。

そんな疑問から、行き着いたのがこれ。


生肉とじゃがいもと人参と玉ねぎをひたひたの水にぶち込んで

顆粒の昆布だし、砂糖、醤油を適当に入れて煮詰める。

以上。


炒めないからこそ、とろけるじゃがいも。

みりんを入れないからこそ、蛋白凝固の機会を逃した柔らかい肉。

これほど簡単な手抜き料理があろうか。

よその家は知らないが、うちではこれが一番評判がいい。


なぜ昆布だしか。

じゃがいもとカツオだしは、合わないから。

なんだかんだ言ったって

相性の悪いじゃがいもとカツオだしを仲良くさせるために

油炒めや下煮なんかの手間が必要になるのだ。

昆布だしを使えば、どうあがいてもおいしい肉じゃがになる。
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手抜き料理・2

2018年05月06日 10時24分43秒 | 手抜き料理
前回の記事、『手抜き料理』が好評(モモさん1名)だったので

すっかり気を良くして続編を綴ることにした。

このカテゴリは手抜きがコンセプトなので

栄養面や身体への良し悪しには目をつぶっていただきたい。


早くて安くて簡単なスピード料理を作るのに

特別な技術や知識はいらない。

ただし、発想の転換は少々必要だ。

多めに作った料理や下ごしらえした素材をタッパーやジップロックに入れ

名札をつけて冷凍庫にずらりとストック、なんてのじゃない。

そんな余裕がある人は、料理で悩まない。


『炊飯器』

うちの食生活は炊飯器2台、冷蔵庫2台、冷凍庫1台の協力によって

営まれている。

社会人と年寄りの5人家族は食材がたくさん必要だし

食べる時間がまちまちだからである。


ことに炊飯器2台の活躍はめざましい。

主婦なら誰しも経験があると思うが

全員の食事が終わると同時に炊飯器もカラになる状況は

滅多と無い。

うちの家族は三食ごはん党なので、米と取り組む回数が多く

米研ぎはもちろん、残りごはんの始末を考える機会も多い。

炊飯器をカラにしなければ、次のごはんが炊けないのは

当たり前だと思っていた。


そんなある日、新型の炊飯器を人からもらった。

夫婦だけなので小さいのを買ったからと、新品を箱ごとくれたのだ。

新型を試してみたくて、従来の炊飯器の横に並べ

ごはんを炊いてみた。


今使っているのと、たいした変わりは無かったが

ものぐさな私は新型炊飯器を再び収納するのがかったるくなり

そのまま交互に使うようになった。

するとどうしたことか、食事の支度が急に楽になった。


残りごはんを消費するために、チャーハンやおにぎりを作る必要がない。

化石になるとわかっていながら、冷凍保存することもない。

熱々の釜を涙目で持ち上げて、流しへ運ぶこともない。

年寄りは、残りごはんに対する思い入れが強いものだが

捨てているのを見られて、ひと悶着起こる心配も無い。

残りごはんを無視して、次の米が炊ける‥これは楽だ。


以前は大家族の番組を見て

複数の炊飯器が並ぶ台所にゲンナリしていたものだが

大変な時短になると知った。

食事の支度が大変な人は、まず主食から見直してみるのも手だと思う。

まあ、炊飯器2台を活用する生活が適合する家庭は

そう無いと思うので次に進もう。


『刻みネギ』

怠け者でいい加減な私が

唯一継続して行っているのは刻みネギのストック。

料理屋では常識だ。

病院の厨房でもやっていた。

ネギを洗って水分を拭き取り

小口切りにしてタッパーに入れておく。

水分を拭き取るのは、長持ちさせるため。


ネギの出番は多い。

切って冷蔵しておくと汁や納豆、その他のおかずに

いつでもたっぷり使える。

使う機会が無くて古くなりそうだったら、卵焼きに入れて一掃する。

ネギを切る作業は面倒だし、思わぬ時間がかかるものだ。

暇を見てやっておくと、料理をする段階になって慌てることが無い。


『ラーメンスープの素』

よその地方にあるかどうかわからないが

《ヒガシマル・ラーメンスープの素》は、手抜き料理の強い味方。

これを一袋、湯に溶いて麺を入れたら

一人前のラーメンができるという粉末だ。

見当たらなければ、似たようなラーメンスープの素をどうぞ。

私は天津飯や八宝菜、チャンポンをよく作るので

中華ダシは色々試してきたが

ラーメンスープが一番使いやすくて味がいい。


例えばチャーハン。

野菜や肉などの具を炒める時、塩胡椒と共に

「少し多いかな?」と思う程度を入れて混ぜ

それからごはんを入れる。


最初に味を決めてしまうのが、サッと作る基本。

ごはんを入れてから味付けに取り組むと時間がかかり

仕上がりがべとつくのでチャーハン作りが苦行になるのだ。

肉が無くても、カマボコやチクワ

魚肉ソーセージとよく合うため、チープさを感じにくい。


こうしてできたチャーハンの上に

焼いた卵を布団のようにかければオムライスになる。

事前にケチャップ入りのチキンライスを作ろうとするから

大変になるのだ。

上からケチャップをかければ、見た目はオムライス。

皆、だまされる。


元々がスープの素なので、ネギやゴマ、千切りにした大根

豆腐、パクチーなど思いつく浮き実を入れて中華スープもできる。

また、醤油味の一般的なおでんに隠し味として入れると

プロっぽい香りとコクが出て上級者を装える上

長時間かけて煮込んだフリもできる。

カレーもしかり。

ここぞという時に、試して損はないと思う。


『チキンライスの素』

どうしてもチキンライスでオムライスを作りたい人は

ケチャップを使わずにオムライスの素を使うといい。

永谷園だったと思うが、粉末が売られている。


そもそも水分の多いケチャップでは、シロウトにはうまく作れない。

人数の多い家の主婦から、炊飯器でケチャップライスを炊く話も

聞いたことはあるが、匂いの残った炊飯器を洗う手間を考えたら

そうまでしてチキンライスを作る必要性があるかどうか疑問だ。

粉末だと綺麗でおいしいチキンライスが簡単にできる。

鶏肉や野菜を足せば、手作りと言い張れる。


『寿司酢』

このように手抜き道は、すでに調味料選びから始まっている。

酢もそうだ。

各種の酢の物、南蛮漬け、酢豚、シメサバ‥

私は酢を使用する大半の料理を寿司酢で済ませる。

甘酢は酢に砂糖を合わせて作るんだから、同じこと。

酢の物用の合わせ酢も売ってはいるが酸っぱいし、寿司には使えない。

寿司酢なら全部一本で済み、味付けが早い。


え?寿司酢は糖分が心配?

な〜に、味を見ながら砂糖を足していたら

舌がバカになって結局甘くなる。

料理本の通りに計量したら

子供、下戸の男、年寄りは酸っぱがって食べない。

どっちもどっちなら、早い方がいい。


純然たる酢を使うのは、長芋を触って手が痒くなった時と

天ぷらの時くらいだ。

酢で手を洗うと、痒みがおさまる。

天ぷら粉を水で溶く時、酢を少し入れるとカリッと揚がる。

長くなったので、実際のメニューは次回に。
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手抜き料理

2018年05月03日 08時18分55秒 | 手抜き料理
ゴールデンウィーク、いかがお過ごしでしょうか?

私は例年通り、家やその周辺でタラタラ。

そこへ同級生の友人ユリちゃんとLINEで交わす

料理談義が加わりました。



ユリちゃんはお寺の嫁。

行事の多い宗派なので、その打ち合わせや準備のため

月のうち半分は檀家さんが集まっている。

その人たちに食事を出すことも頻繁だ。

こんな時、以前は賄いを買って出る有志がいたが

病気や死亡で減少し、今年からユリちゃんの仕事になってしまった。


ユリちゃんは困っていた。

だって彼女は料理が苦手。

この子のお母さんは料理教室を開くほどの腕前だったが

親がそんなだと、子供は案外やらない。


そのまま結婚したユリちゃんを待っていたのは

料理をしなくていい環境。

毎日のように誰かが来て何か作ってくれるし

旦那のモクネンは多忙かつ夜遊び好きのため

家で食事をすることはほとんど無く

子供がいないので、わざわざ作って食べさせる必要も無い。

料理以外の仕事を人一倍頑張ることで

何ら問題なく30年余りを過ごしていたのが

ここにきて、料理が彼女の前に立ちはだかったのだ。


当初は買った物を並べたり、身内に頼んでいたが

さすがに毎回というわけにはいかない。

ユリちゃんの悩みは切実である。


その切実は、苦手なことをする辛さだけではない。

彼女には、お寺の奥さんとしての矜持がある。

お寺の奥さんには、カリスマ性が必要。

「奥さんが頑張っていらっしゃるから、私たちも付いて行こう‥」

檀家にそう思ってもらわなければ、頻繁な行事はこなせない。

妙な物を出して、笑い者になるわけにはいかないのだ。


だからといって出前や、準備の簡単な焼肉というわけにはいかない。

予算の都合があるし、お寺は質素がモットー。

出前持ちがたびたび出入りすると目立つ‥

ニンニクぷんぷんも困る‥

贅沢をしていると思われたら、お寺の求心力に支障が‥

コンビニ弁当は誠意が伝わらずサツバツ‥

というわけで手作りが無難、手作りしか無い。


「私のような初心者でも作れる料理を教えてくれない?」

思い余った彼女は、窮状を私に打ち明けた。

“安くて早くて簡単で格好がつき、おいしければなおいい”

それがユリちゃんの望みである。


これを高望みとは思わない。

お寺とは、それほど大変な所なのだ。

「食べなきゃいい、寝なきゃいいのよ」

これはユリちゃんの名言。

人と同じように座って食べたり

横になって寝ようとするから忙しいのであって

食べない、寝ないと決めたら

時間的に不可能なことでも何とかやれるというのだ。

この言葉の壮絶に、大いなる感銘を受けて以来

自分の暮らしにも適用しているが、気が楽になってなかなかいい。


そんな中で食べられたり寝られたりすると、幸運を感じる。

幸運を感じると同時に、ユリちゃんの壮絶へと思いを馳せる私の方は

彼女の望む『安くて早くて簡単な料理』を毎日大量に作っている。

格好がついておいしいかどうかは疑問だが、それが仕事のようなものだ。


ついでに私はウグイスとして、選挙事務所の食事を知っている。

ユリちゃんが望む数々の条件は、選挙事務所のそれと全く同じ。

その経験が手助けになるとしたら、これほど嬉しいことはない。

ユリちゃんの申し出を快諾した私だった。

近くなら飛んで行って作るけど、遠いのがもどかしいところよ。


いっそ大人数の時は人手があるし、カレーやおでんで乗り切れるが

彼女が最も困っているのは、6〜7人程度の分会で出す料理だという。

最初はユリちゃんの自称する苦手が、どのランクなのかを把握するため

『鶏ササミの塩胡椒焼き』を提案した。

ササミをそのまんま焼きながら、裏表に塩胡椒するだけ。


が、ユリちゃん、早くも難色を示した。

「ササミって、スジを取らないといけないよね‥苦手‥」

そこからかい!

私は一瞬ひるんだものの、すぐに気を取り直す。

「大丈夫!生協宅配の国産若鶏スジなしササミがある!」

彼女も私と同じく生協の宅配を利用しているのだ。

ササミは好評だったそうで

私は手抜き料理の指南役として、すっかり信用を得た形になった。


最近のヒットは麻婆豆腐。

麻婆豆腐の素を使えば、あっという間にできる。

「丸美屋の中辛が安くておいしい」

「大量の刻みネギ投入で手作り感を粉飾」

などと伝える。


禅寺と豆腐は相性がいい。

案の定、中華にすると珍しがられ、喜ばれたそうだ。

信仰厚き檀家さんたちの語らいは

豆腐のルーツである中国四千年の歴史に及んで盛り上がったという。

ユリちゃんの方は麻婆豆腐より、粉飾の仕方が気に入った模様。


『旭松のこうや豆腐』も初心者の味方。

近年は水で戻す手間がいらず

味付けの粉末が付いているものが発売されている。

鍋に水と粉末と、固いままのこうや豆腐をぶち込んで煮詰めたら

自動的にこうや豆腐の煮しめができる寸法。


禅寺とこうや豆腐の縁も深い。

含蓄のある食材選びでイメージアップ‥

味付けをたずねられたら「母の秘伝」とうそぶくのじゃ‥

と添える。


季節柄、味噌汁にはお寺の庭にある山椒の葉を一枚ずつ入れて

ありがたみを演出‥

ミツバや大葉を多用したら、デキる女と思われる‥

サラダと汁の充実で、メインのおざなりを隠蔽‥

近頃は、手抜きをごまかす粉飾に重点が置かれつつある。

料理というより詐欺に近い。

しかしユリちゃんには、この方が覚えやすい様子。

いたずらをしている気分で、楽しいと言う。


少し上達してきたので、次は粉飾寿司でも教えようかと思っている。

みりこん命名の粉飾寿司は、ちらし寿司の仲間。

寿司飯の中に何も入れないのが特徴である。

そもそも寿司飯の中に、甘辛く煮た具を混ぜ込むから大変になるのだ。


その点、粉飾寿司は早い。

白い寿司飯を大皿に薄く敷き、その上に買ったゆで海老

買った干し椎茸の佃煮、買った卵焼きを置いて

仕上げにミツバの葉っぱと、ほんの少しイクラを散りばめる。

作るというより飾るだけ。

それでも皆の目はイクラに集中し、細かいことは感じなくなる。


実はこれ、ひと回り年上の友人ヤエさんの十八番。

彼女は私の住む町で、ユリちゃんと同じ宗派のお寺の総代をしている。

料理好きの彼女は、お寺の集まりでこの寿司を提供しているため

掟破りではないはず。


料理上手というヤエさんの評判、寿司というネームバリュー、美しい色彩

そして燦然と輝くイクラに、私も当初は錯覚したクチよ。

が、たびたびお相伴にあずかるうち

トッピング形式だと量が少しで済むため

意外に手間と経費がかからないことを発見するに至った。

だからヤエさんは、作品を惜しみなくバンバン配れるのだ。


ヤエさんはトッピングの材料を一つ一つ手作りするけど

それらはスーパーでも売られている。

買い集め、切って載せればいいのでユリちゃんでも大丈夫。


この寿司をふるまう時、ヤエさんはいつもきっぱりと言う。

「私、寿司飯にゴチャゴチャ混ぜるのは好きじゃないの」

それは食べる側の「?」を瞬時に解消する説得力があった。

この手で行くつもり。

しかし何回もやったら、あんまりおいしくないことがバレてしまう。

そこが難点である。
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