殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

親方〜!

2018年09月29日 12時33分26秒 | みりこんばばの時事
貴乃花親方、引退。

残念だわ。

大相撲は神事、土俵は神域‥

貴乃花親方は現役時代も、現在も

それを体現する唯一といっていい人物だと思ってるから。


宮沢りえとの婚約と破局を経て

今の奥さん、景子さんとの結婚‥

当時は軽い男の子だなあと思ってて、あまりいい印象は無かったのよ。

花嫁衣装を着た景子さんの脂ぎった肌や、お腹を目立たせまいと

首を鶴のように伸ばしてるのを見れば一目瞭然なのに

できちゃった婚をひた隠しに隠していたのも

したたかなカップルという感じがしていたわ。


でも親方の大相撲に対する真剣さは、また別のこと。

日馬富士の一件で

日本の国技を守って次世代に繋げようとする決意を

はっきりと言葉に表した時には感動したものよ。


私、引退そのものが残念というより

これほどまでに大相撲を大切にしてきた親方を

何とかしてはじき出そうと画策する相撲界が残念なの。

周りの都合やお金のために、一つの美しい魂が痛めつけられている‥

そう思えてしまうのよ。


先日まで行われてた秋場所中、急に規則が変わって

決められた五つの派閥のどこかへ入らないといけないことに

決まったそうよ。

入らなきゃ、今後の活動はできないんですって。

それを貴乃花親方だけ、知らされてなかったというじゃない。

知らせないということは、入るなということで

入るなということは、相撲界から出て行けということよ。

子供じゃあるまいし、仲間外れのいじめだわ。


日馬富士の問題で、親方が主張してきたことを

事実無根と言って謝ったら仲間に入れてやると言われ続けた‥

これも残念。

事実を事実無根なんて、言えないわよ。


誰かが親方を引退に追い込むために

コトをうまく運んだとしか思えない。

真面目に相撲道を実践されると、そんなに困るのかしら。

朝青龍以来、おかしいわよ、相撲界。

おかしいものをおかしいと言う貴乃花親方が煙たくて

邪魔になったとしか思えないわ。


おかしいものをおかしいと言う人って

子供のように純粋で、不器用な人が多いものよ。

実直に一本道を歩んでいるからこそ

周りがおかしいことに気がつくんだもの。

おかしいと言ったら、自分の立場がどうなるかなんて考えないわよ。

ましてや彼は、伯父さんの代から大相撲一族の血統書付き。

人の機嫌をうかがいながら、うまく立ち回ることなんて

できないと思うわ。


だけどうまく立ち回るって、結局のところ

一番立場の弱い人に泣いてもらうことなのよね。

相撲界の場合は弟子だわよ。

親方、それはできない。

だから親方は、一人で袋叩きになるしかないのよ。


私、心配なの。

貴乃花親方、秋場所中に倒れたでしょう。

本当は体調が良くないんじゃないかと、何となく思ってしまうのよ。

症状がもしも深刻なもので、継続的な治療が必要だったら

場所や巡業に付いて回ることも、弟子を育てることも

今後は難しくなる。

親方のことだから、義務をはたせない自分を許さないだろうし

誰にも黙って、かわいい弟子をよその部屋に託すしかないわよね。


もしもそうだったら、親方を追い出した相撲協会の人たちや

弟子を見捨てただのと、したり顔で好き勝手を言ってる人たち

後味が悪いでしょうね。

憶測や自分なりの常識で、滅多なこと言うもんじゃないわよ。

憶測や自分なりの常識で、滅多なことばっかり言ってる

私が言うのもナンだけどさ。

おばさんの取り越し苦労だといいんだけど。


病気じゃなかったら、別の道の模索、希望。

それは政界。

相撲界から飛び出して、もっと広い視野で日本に携わる。

親方は説得力のある話し方だし

なにしろ奥さんがしっかりしているんだもの、向いてるわ。

「本当のことを告発したら、追い出されちゃいました」

これ、国政に打って出るには強い武器になると思うの。


親方が政治家になるかどうかはともかく

正しいことを言った人が、叩かれて終わるのはおかしいわ。

孤高の花で終わるんじゃなく、今の騒ぎを単なる通過点にして

もうひと花、咲かせていただきたいと願ってるわ。

貴乃花だけに。
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カープ優勝

2018年09月26日 22時43分07秒 | みりこんぐらし
カープファンの皆様、優勝おめでとうございます!

いやぁ〜、良かった良かった!

え?あんたカープファンだったっけ?って?

いえ、違います(キッパリ)。

プロ野球に興味はありません。

でも今日は応援していました。

うちの社員のシュウちゃんが、スタジアムに行ったからです。


シュウちゃんは、7月から入社した70才のおじいちゃん。

入った時は69才でしたが、先日誕生日を迎えました。

若い頃、義父の会社で働いていた人です。


人柄の良いシュウちゃんとは

義父の会社を辞めてからも付き合いは続いていました。

うちの息子たちはシュウちゃん、シュウちゃんと慕っていて

どちらが年下かわかりません。


即戦力が欲しかった我々にとって、シュウちゃんは救世主でした。

ずっと現役を続けてきた彼は、ブツブツ言わずによく働きます。

無口ですが、仕事が好きなのが伝わってきます。

年齢がネックとなって解雇されたところを

次男が声をかけて、来てもらうことになりました。

70才にして正規雇用は、老人の星と言えましょう。


シュウちゃんには、身体の不自由な奥さんがいます。

20年ほど前、脳梗塞で車椅子の生活になりました。

シュウちゃんは奥さんをとても大切にしていて

家事はほとんど彼がやります。

一緒に買い物やドライブにも行きます。

奥さんが好きとか、シュウちゃんが優しいというより

二人の暮らしを心から楽しんでいる様子です。


「猿にバナナを買って帰らんといけん」

シュウちゃんがよく言うので、猿を飼っているのかと聞いたら

奥さんのことでした。

バナナは奥さんの好物だそうです。


その猿、いや奥さんは大のカープファン。

一度スタジアムに行ってみたいと言うので

シュウちゃんは今月、車椅子専用のチケットを取りました。

優勝が近いため、9月26日しか空いてなかったそうです。

26日は、予測ではすでに優勝した後。

だから空いていたのです。


それでもシュウちゃんは嬉しそうでした。

野球に興味が無いので、いつだろうとかまわないからです。

休みを取って、奥さんを連れて行くのを楽しみにしていました。


ところが、カープはなかなか優勝しませんでした。

私たち家族は、シュウちゃんが行く26日に

優勝してくれればいいのに、と思っていました。

昨夜はこっそり、ヤクルトを応援してしまいました。


そして今日、シュウちゃんのチケットは

プレミアチケットとなりました。

シュウちゃんも奥さんも、きっと喜んでいるでしょう。

嬉しい夜です。
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慰問の日

2018年09月22日 15時32分32秒 | みりこんぐらし
昨日、夕食の支度をしていたら、ガソリンスタンドから電話があった。

「ヨシキ君(次男のこと)が洗車中にダンプから落ちて

病院に搬送されました」

頭を打っているので、救急車を呼んだという。

夫の携帯にかけたが出ないので、家に電話をしたそうだ。

肝心な時に連絡がつかないのは、夫の常識である。


ここでまず何が最優先かというと、我が子の元へ駆けつけることではない。

ダンプの引き取りだ。

アクシデントというのは、たいてい都合の悪い場所で起きるもの。

早い話が、大きくてかさばる乗り物なので

いくら懇意なスタンドとはいえ、邪魔になる。

乗り手が病院送りになった以上、会社で早急に対処して

よそ様への迷惑を最小限にとどめなければならない。

私は大型免許を持っていないので

ちょうど帰って来た長男と共にダンプを引き取りに行った。


それから長男はダンプを、私は乗って来た長男の車を

それぞれ運転して会社まで行き、改めて病院へ行こうとした矢先

夫から電話があった。

「検査も診察も終わって、今ヨシキと一緒に会社へ向かっている」

夫はガソリンスタンドと連絡がついたので

そのまま病院へ行ったらしい。

入院するほどではなかったので、ホッとした。


家で一人、心配しているであろう義母ヨシコに、私は急いで連絡する。

「大丈夫だったみたいよ」

するとヨシコ

「どうしよう‥こすずがこっちに向かってる」

こすずというのは彼女の娘。

一卵性母子の片割れである。

「なんで?!」

「さっき電話したら、すぐ行くと言った‥」

こすずはその日も3時までうちに居て、帰ったばかりだったのにご苦労なことだが

昔から、何か起こると娘が必要になる母親であり

我々親子に何か起こると、見なければ気がすまない娘なので放置。


幸いなことに、次男はほぼ無傷だった。

でも打ち身が痛そう。

顔色はまだ良くないが、とりあえず安心した。

「猿も木から落ちるそうだが、ゴリラも落ちるらしい‥」

密かにそんなことを考えられるのも、無事だからこそ。


その後、息子たちはそれぞれ自分の車で帰宅したので

夫と私はお菓子屋へ行った。

ガソリンスタンドへお礼に行く手土産を調達するためだ。


礼を言って家に帰り、夕食を済ませると、恒例の家族会議。

「なぜ、このアクシデントが起きたか」

これについて、家族で話し合う。

天皇皇后両陛下の御名が、この会議に登場すると誰が予測していただろう。

はたしてそのお名前は、次男の口から出た。


次男はその日、呉市天応地区の復旧作業に参加することになっていた。

平素、この方角で仕事をすることはまず無い。

7月の豪雨災害以降、何度か行ったものの、それきりだった。


しかしこの日は、たまたま現場が天応。

朝はゆっくりでかまわないということだったので

次男のやつ、前日は夜遊びをして遅く帰ってきた。

ところが翌朝4時に連絡があって、飛び起きる。

「午前中で終わらせることになったから、すぐ出発して欲しい」

急いで詰めた弁当を持って、次男は家を出た。


時間が変更になった理由を知ったのは、現場に到着してから。

天皇皇后両陛下が午後から慰問に来られることになったので

昼以降は町に出入りできないということだった。

慰問は雨で何度か延期され、昨日やっと決行になったのだ。


次男の話では、朝からパトカーが30台ぐらい集まっていて

ものものしい雰囲気だったそう。

「もったいない!ひと目でも見て来りゃあえかったのに!」

「昼で封鎖されるんじゃけん、見られんが」

「それもそうじゃね」

ニアミスといえども、心浮き立つ私。


ともあれダンプから落下するという

ありそうで、あんまり無い出来事に

次男の寝不足が関与しているのは間違いない。

自己責任だ。


けれども身内の欲目で、我々はもう一つの原因をも話し合った。

昨年から我が社に配属されている本社雇いの昼あんどん

藤村営業課長である。


以前いた営業課長の松木氏と同じく

彼も近頃、妙な野心を持つようになった。

うちの息子たちの名前を呼び捨てにして部下扱い

あるいは弟扱いするようになり、仕事では夫を出し抜こうとする。

松木氏ほどスレてないので、騙して陥れる技術は無いものの

自分の言いなりにさせようと必死だ。


彼の引き起こす数々の迷惑の中で、最も困るのが

つまらぬ仕事を勝手に獲ってきて無理やり振ること。

仕事に上下を付けるのは、はばかられるが

ここで言うつまらぬ仕事とは、よそがやらない不利な仕事。

単発で利益が薄く、危険で車両が傷み

裏に暴力団が関与しているスペシャルワークである。


よそが避ける仕事をどこよりも安く請け負えば

誰だって契約してくれる。

落ちているものを拾っただけなのに

それを獲った、獲ったと喜んでいる。

豪雨災害以降、確かに仕事は増加しているが

藤村はそれを自分の実力と勘違いして強気になっているのだ。


「行け!」

彼はそう命令するようになり、我々は

「行かない!」と言い張る。

すると無理なスケジュールを勝手に組み

「穴を開けたら許さん!」と激昂するようになった。


彼は暴君と化したのだ。

この、裸の王様はなんぞや?

私と息子たちは首をかしげたが、夫はこの件について何ら気にしていない。

「糖尿でそのうち倒れる」と楽観的だ。

藤村は血糖値が上がって、おかしくなっているのだと言う。

感情の波が、夫の父親と同じペースだそう。

血糖値に由来するヒステリーは、止めるとひどくなるので

仕事の無茶ぶりを阻止せず、自滅を狙うと夫は豪語する。

それが夫のやり方なので、我々は従った。


そこで当面、我々にできることといったら、会社の信用を保つこと。

藤村が勝手に組んだ単発のスケジュールをこなしつつ

本来の我が社のペースに戻す努力をしていた。

そう言うと聞こえはいいが、要するに休み無しで働いて

今の山を越えるしかない。

その最中に、次男のアクシデントは起きた。

我々はこの原因にぜひ、“過労”を加えたい。


「あんたのせいで労災だ!」

夫は昨日、ここぞとばかりに藤村を責めた。

ついでに、次男が思いのほか重症だと大袈裟に言った。


今日の藤村は、おとなしい。

ちょっと胸がすいている。
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みりこん流・美しい歩き方‥‥?

2018年09月18日 10時22分43秒 | みりこん流

前回の記事『体操夫婦』のコメント欄で

「女の子の歩き方は、躾の盲点」

そんなことをえらそうに述べた。

そしたら、いかどんぶりさんから

「美しい歩き方を教えてください」とコメントが。


もちろん、ぜひお教えしたい。

けれども私が教えられるのは美しい歩き方というより

生まれた家で施された、独自の訓練。

ああ、我ながらおこがましい。

そしてこの方法が正しいかどうかも

訓練の甲斐があったのか無かったのかも疑問ではあるが

お話しさせていただきたいと思う。



私の母親はバレエと体操をかじっていたため、姿勢や歩き方にうるさかった。

もの心ついた時分から私たち姉妹は‥

というより特に私は、彼女の熱心な指導を受けて育った。

妹よりも、バレエや体操に関心があったからだ。


幼児の頃、母親が始めた訓練は

長さ3メートルほどの細い布を使う。

それを床に敷いて、その上を歩くのだ。

布の幅は10センチほど。

平均台の幅と同じという理由からである。

細長い布は、絶対に落ちないミニ平均台というわけ。


「平均台だったら、落ちるよ」

「足元は見ずに、進む先を見て」

「外を歩く時も、ずっと平均台が続いていると思いなさい」

母に言われながら、布の上を歩く。

布が終わったら、ターン。

これを何回か繰り返すだけの短い訓練だ。

ワン・ツー、ワン・ツー‥

母の掛け声と手拍子に合わせ、私は嬉々としてこれをやった。

「細い一本道、外れると落下」を意識して歩いていると

両膝が少しこすれ合い、猫のような柔らかい歩き方になる。

足元を見ないで進む先を見るとなると、自然に姿勢も良くなるわけ。


平均台歩きはじきにマスターし、体操の技を教えてもらうようになったが

お楽しみはここまでだった。

小学校に上がると、母の関心は勉強の方へ向く。

彼女は歩き方の訓練と同じく、熱心に私の勉強を見たが

そのうち癌で寝つき、私が6年生の時に他界した。


さて中学生になると、意地悪なクラスメイトから

私の歩き方が変だと指摘されるようになった。

みんなと違うだの、生意気そうだの、胸を張って歩くのがおかしいだの

言われ放題。

そいつらは私が歩くたびに、数人でクスクス笑い

こちらを見ながらヒソヒソ話をする。


打たれ強い私だが、これにはちょっと悩んだ。

ビデオなんて無い時代、自分の歩き方なんて自分じゃ見えないじゃん。

外見が気になり始める思春期ではあるし

いじめには耐えられても、これはこたえる。

母の教えが否定されたようで、情けなかった。

とはいえ母親という守護神を失ったからこそ

嫁いびりのような意地悪が解禁されたとも言える。

母親が死んで以来、ずっとこんなもんだ。


親に死なれてナーバスになり、何もかも悪く受け止めるからだろう‥

そう思う人もいるかもしれない。

しかし違う。

母という防波堤が決壊した子供は、世間の荒波を丸腰で受ける。

人口の少ない田舎町で、子育て中の母親が死ぬことは滅多に無い。

何十年に一度も出ない子供は確かに同情されるが

そのわずかな同情が、かえって他者の嫉妬を呼び

仕打ちに残虐性が増すことを私は身をもって知っている。


じきに飽きたのか、私の歩き方についてとやかく言う者はいなくなった。

だが、執念深い私はそのことを忘れなかった。

なぜ笑われたのかを考え続けたが、いくら考えてもわからなかった。


しかし中3の秋、突如として原因が判明。

運動会で学校名物の仮装行列をやった時

クラスの女子全員で撮った記念写真を見てわかった。


ブルーマ姿の女子がズラリと並んで立っている写真だから

むき出しの足もズラリと並んでいる。

先生のサービスで、大きいサイズに引き伸ばしてあったため

各自の足が鮮明に写っていた。

それを見て初めて知ったのだ。

私ともう一人以外は、全員O脚。

昔の田舎はO脚率が高かったらしい。


私の歩き方がおかしいと言うヤツは皆、O脚だ。

この共通点に気づいた私は

受験勉強そっちのけで彼女たちの観察を始めた。


O脚さんの写真は両足のつま先がコンニチハをしていて

なんとなく女らしい感じ‥

歩く時は内股でヒョコヒョコ‥

ヒョコヒョコ見えるのは、O脚に猫背率が高いのと

膝を使わずに足の付け根で歩くため、頭が上下に動くから‥

以上、たいした発見ではなかった。


しかし圧倒的多数というのは、時に正義とすり替えられる。

羊の群れに、違う動物を発見したようなものだ。

田舎の中学生あたりの正義は、その程度のものである。

その正義によれば私は異端であり、異端は悪なのだ。

私は彼女たちにとって悪なのだから

あれこれ言われるのは仕方がないと結論付けた。


人間を観察する癖は、この時に付いたように思う。

それまでは、相手の顔しか見えていなかった。

顔だけでなく全身を見て、そこから相手の心や生い立ちをつかみ

瞬時に対応しなければ、すぐ悪人にされてしまう。

とてもじゃないけど、これから世間を渡っていけないと思ったからだ。


美しい歩き方というテーマから、ずいぶんと離れてしまったが

このコンセプトで今まで来た。

私は今でも平均台歩きだ。

歩き方で悩んだ少女時代よりも、かなり太った。

それでも膝から下だけは、猫のように軽やかだ‥多分。


年を取ると自然の摂理で

背骨は縦に丸くなりたがり、骨盤は横に広がろうとする。

平均台歩きを続けてきたせいか、私の頭がおかしいのか知らないけど

骨たちの意思がわかる。

より意識して平均台歩きをすると

彼ら?が改心するような気がするから、おめでたいものだ。


美しい歩き方を心がける‥

これはおそらく美容と健康にいいのではないかと思う。

美容と健康のためにとウォーキングを始め

膝を傷めて整形外科通いになる人は本当に多い。

やたら歩けばいいというものではないのだ。

美しく、柔らかく歩かなければ膝がもたない。


今からでも遅くはない。

美の盲点、歩き方に目を向けて生活していただけたら

日本の医療費が少しは減るのではないかと思っている。

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体操夫妻

2018年09月12日 08時41分51秒 | みりこんばばの時事
体操界、モメてるみたいね。

体操と聞くと、思い出すことがあるの。

私の母チーコは、高校で体操部だった。

平均台や床の話は小さい頃から聞いてて、実技も教えてもらってたわ。

同級生にはそこそこ有名な選手もいたそうよ。

だから私も体操部に入りたいと思ってたの。


でも入学した高校には、新体操部しか無かった。

当時の新体操は文字通り、まだ新しい競技。

新体操部の顧問をやってた先生は体育大出身で

県内のスポーツ界では一目置かれる中年女性だったわ。


彼女、新入生の私に才能?を見いだしたらしく‥

というか、身体つきを見たらわかるんだって‥

顔を見れば「入れ、入れ」と誘ってくれたけど

ボールやリボンを扱うってのが好きになれなくてねえ。

何ヶ月後かに、断ったんさ。


すると先生、怒ったね。

「こんなに言ってあげてるのに、どうしてわからないのっ?」

鬼みたいな顔になって、怖かったわ。

この人、女子の体育の先生でもあったから

授業ではビシバシ目の敵にされちゃった。


「新体操部に入らなかったからだな‥」

バカな高校生でもわかるわよ。

3年間、ずっとよ。

「みりこんは新体操やらないから太った」

とか、他の学年の授業で私の話をしたりさ。

一躍、ブラック有名人よ。


肥満児になったんなら、言われても仕方ないわよ。

だけどガリガリから3キロ増えて娘らしい体型になっただけだから

それ聞いた生徒たちは「どこが太ったんだろう?」ってジロジロ見るわよ。

嫌な感じだったわ。



今騒がれている体操の夫婦、特に奥さんの方を見て

そんなことを思い出しちゃった。

別に辛い思い出でも何でもないわ。

私は体操ならやりたかったけど、新体操はやりたくなかっただけだもの。

ただ、見た目も話し方も、当時の先生と似てるなぁと思った。

機嫌のいい時はあっさりしたおばちゃん。

でも言うこと聞かない相手には牙をむいて、とことん意地悪する。

いるわよ、そういう人。



で、体操界のドンと女帝だけど

そもそも夫婦に権力を与えたのが良くないんじゃない?

現役の頃には、立派な成績をおさめた名士かもしれない。

だけど夫婦セットで権力を握らせたら、王国ができてしまうわよ。

そうなるものなのよ、人間って。


同じ部署に夫婦で勤めるって、あんまり無いじゃない。

社内結婚したら、どちらかが辞めるか転勤するものよ。

それが常識なのよ。

なぜって問題が多くなるからよ。


私の勤めていた公立病院には、同じ庶務課で働く夫婦がいたわ。

民間じゃご法度でも公務員にはあるのよ、そういうこと。

夫婦や親子を別人格として扱う思想ね。

息子が泥棒で逮捕された市役所の職員も、息子が放火魔の保育園長も

私らの町には、ちゃんといらっしゃるわ。

夫婦で同じ部署なんざ、リベラルにとってはどうってことないんじゃない?



でもね、やっぱり厄介よ。

奥さんの方が一つか二つ、年上だったけど

旦那に転勤の話が出ると、女房が大反対しては上に直談判。

これを繰り返して勤続何十年。


旦那はいつもブラブラしてて、いたずらに長身だから

病院内の電球を替えるのも彼の仕事のうちだったわ。

昼あんどんが電球替えるの図。

笑っちゃうわ。


だから厨房の電球も替えてもらったのよ。

すると後で奥さんか怒って来たね。

「うちのマー君(旦那ね)は

あんたらにアゴで使われる人じゃないんだからねっ!」

他の電球は替えても、厨房はダメなんだって。

厨房がダメな理由?見下げてるからよ。


何か用事があって話してると

「ちょっと!今、うちのマー君と何話してたのっ?!」

奥さんが走ってくる。

嫉妬じゃないの。

旦那の身に起きたことは、全て掌握しないと気がすまないのよ。

夫婦が同じ職場だと、自然にそうなっちゃうものなの。

他人の職場で夫婦の王国を築こうとするのは、本能かもしれないわ。


みんなにそうだから、マー君は病院で浮いてたわよ。

やってる仕事といったら、院内のメンテナンスと

あとは週に1〜2回、同系列の病院へ車で1時間かけて行って

給食用の米を分けもらうくらい。


マー君、たいした仕事も無くて暇だから、誰かれなく話しかける。

話しかけられた方は、奥さんに問い詰められるのが嫌で避ける。

マー君はますます孤独。

でも奥さんを愛してるんだか、口じゃかなわないからか

苦にならないみたい。

あれから10何年‥病院の電球もLEDになっただろうし

マー君、ますます暇でしょうね。


このように夫婦で同じ仕事してると、小さなことから面倒くさいのよ。

自営業なら、多少の勘違いは自分の身に返ってくるから

自業自得で済ませられるけど、よそから報酬もらってると

なぜかひどい勘違いをする人が多いわ。

奥さんはみんな、恥も外聞も無い猛女になる。

公私が分けられなくなるのが、原因だと思うわね。


しかも、ある程度の地位があってごらんなさい。

金メダルにゃ、誰も反抗できないわよ。

旦那の金メダルに乗っかって、奥さんが女帝になるのは決定事項ね。


ドンと女帝がニコイチだと、ますます大変よ。

旦那と自分を神格化して、周りが崇めてくれなきゃ気がすまない。

自分ら夫婦の立場を守るためなら、どんな暴言でも吐く。

そんな奥さんに全幅の信頼を寄せるドン。

愛想振りまく必要が無いから、顔の筋肉あんまり動かさなくなって

ホッペが下がり、口がへの字になっちゃった女帝。

この夫妻、森友学園問題で一世を風靡した

籠池夫妻に似てると思わない?

そうよ、みんな、ああなるのよ。


問題自体は、どの世界でもよくあることだと思うわ。

要は夫婦で監督やってる朝日生命体操クラブに

あの女の子を引っ張りたかったんでしょ?

そのためにコーチと引き離したかったんでしょ?

体操界の重鎮という地位を利用して、よその団体にルール変更を伝えなかったり

これまでにも有望な選手を朝日生命のクラブに移籍させようと

脅したりすかしたりしてたんでしょ?

そんでもって目をつけられた子や関係者は、反抗できなかったんでしょ?


よその監督やコーチが手塩にかけた子を

自分たちのクラブに移籍させれば、そりゃ楽だし勝ちやすいわねえ。

その陰で、たくさんの人が泣いてきたと思うわ。

夫婦セットで権力を与えてしまうと、一枚岩になって崩すのが大変だけど

今回、はっきりできて良かったんじゃないかしら。


周りに年寄りがいる人はわかると思うけど

多くの老人は、だんだん自分のことしか考えられなくなるの。

思い通りにならないと、どうしたらいいかを考えるより先に

怒りと復讐心が湧くものなのよ。

チヤホヤされてきた人は特にひどいわ。

そりゃもう、あからさま。

老害というやつね。


昨今のスポーツ界は、いろんな問題が浮上してきてるけど

老人絡みが多いみたい。

居心地が良くて長居をし過ぎたせいで

せっかくの輝かしい経歴が台無しになって

晩節を汚すのはもったいないと思うのよ。

戦後の日本に希望を与えたとして、もてはやされてきた人たちに

引き際が訪れているのかもしれないわ。
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釣り釣られ

2018年09月10日 09時03分55秒 | みりこんぐらし
夫の姉カンジワ・ルイーゼの一粒種

通称『おみっちゃんちゃん』がこの夏、結婚した。

『おみっちゃんちゃん』とは、ルイーゼが彼を呼ぶ時の名称。

本名は最初に「み」がつく。


ルイーゼは昔から、うちの息子たちを呼ぶ時は「マコトッ」「ヨシキッ」

と呼び捨てだが、自分の子は甘ったるく「おみっちゃんちゃん」と呼びなさる。

ベースの「みっ」に“お”と、“ちゃん”の二乗まで添えるゴージャスぶり。

女の本能マル出しのこういうとこ、カツオやワカメは呼び捨てで

自分の子供だけ「タラちゃ〜ん」と呼ぶサザエさんぽくて感じ悪い。

あ、だからカンジワ・ルイーゼだった。


おみっちゃんちゃんは、うちの長男より一つ年下の36才。

ルイーゼの方針で、幼少時から複数の学習塾に通う一方

サッカーにも熱心だった。

こんなに勉強して、サッカーも頑張っているんだから

将来は文武両道の立派な大人になること間違いなし‥

私を含めた誰もがそう思っていた。


が、子供というのは親が思った通りには育たないもの。

うちのバカ息子ですら選択肢に入れなかった高校を経て

そこを出たら就職は無いと評判の高い大学へ進学し

お決まりのワーキングプアとなった。

現在は母親譲りの伊達こきを活かして、小さな男性ブティックに勤めている。


しかし本人は飄々とした気のいい子。

毎日里帰りして、一年の半分は実家泊まりの一卵性母子

ルイーゼとセットなんだから

彼も赤ん坊の頃からうちで育ち、私が世話を焼いたようなものなので

彼を可愛く思っている。


叔母の欲目で言うと、ワーキングプアでありながら

都会で自活しているところが立派だ。

うちで育ったにもかかわらず、祖父母が落ちぶれた途端

一切顔を出さなくなった変わり身も、いっそ清々しい。

おみっちゃんちゃんをことのほか可愛がり、将来に期待して

何かと援助していた義父アツシが死の床についても

約5年間、一度も見舞わなかった。

この、なかなか真似のできない徹底したドライも好ましい。

建て前や常識にとらわれずに突き抜けると、小気味よいものだ。



そのおみっちゃんちゃん、去年からカノジョと同棲を始めていたが

入籍したのだ。

うちの子たちと一緒に、さんざん面倒を見たおみっちゃんちゃんが

嫁をもらったというのだから感慨深いものがある。



先週、おみっちゃんちゃんの祖母の一周忌があり

この日が事実上、新妻のお披露目となった。

結婚式の方は未定。

彼の祖父、つまりルイーゼの舅が虫の息で

いつどうなるかわからないため、正式な日取りを決められないからだ。

はっきり言えば「爺やが片付いてから」というのが、義姉夫婦の本音である。


法要はルイーゼ夫婦の自宅で営まれる。

一周忌に先駆けて、ルイーゼは大量の茶器を我が家から運び出した。

去年、お姑さんが亡くなった時も、四十九日もそうだった。

来年は三回忌、そうこうしているうちにお舅さんの仏事も始まるのは決定事項。

いい加減、買っておけばいいのにと思うが

どこまでもタダを貫くのがルイーゼらしいところ。


その一周忌に、我ら一家も呼ばれて出かけた。

自分ちのお茶っ葉で、自分ちの湯のみに注がれたお茶をよその家で飲む‥

その味は格別である。


お坊さんが来る前、ルイーゼたちは

30人ほど集まっている親戚の人たちに嫁を紹介して回った。

おみっちゃんちゃんより5才年下の奥さん、マヤちゃんは

カーディーラーに勤めている。

両親は元々こちらの地方の人で

お父さんは東京の中学で校長、お母さんは専業主婦だそう。

ルイーゼは以前、マヤちゃんのお父さんのことを

「東京大学出身」と自慢していたが

「東京の方の大学出身」の間違いだった。


マヤちゃんは、とても可愛い。

あたりの空気が浄化され、胸がスーッと爽やかになるような美しさである。

親にきちんと躾けられ、明るく育ったのがわかる上質な女の子だ。

美しいものに甘い私は、初対面のお嫁さんを見て

おみっちゃんちゃんは砂漠でダイヤモンドを見つけた果報者だと思った。


しかし本人に対面する前から

我々一家はマヤちゃんの上質を把握済みであった。

その理由は茶菓子。


ルイーゼがこういう席で出す茶菓子ときたら

激安スーパーの大袋に入ったバサバサの安物と決まっている。

だから誰も手をつけない。

ルイーゼはそれでいいのだ。

残った物は、彼女の亭主のおやつになる。


が、その日は違った。

菓子器にはルイーゼが用意したバサバサ菓子を席巻するがごとく

高そうなマロングラッセが燦然と輝いているではないか。

これはどうしたことだ!

うちの息子たちもこの異変に気付いたらしく、大喜びで食べている。

親戚の人たちも、今までと食いつきが違う。


やがて入手した情報によると、マロングラッセはマヤちゃんの手土産と判明。

「やっぱり‥」

我々は顔を見合わせてうなづき合ったものだが、これで大方のことがわかった。

季節にふさわしい栗を選ぶところ‥

高級な物をたくさん用意する器量‥

若い娘になかなかできない芸当だ。

我々一家は食べ物に釣られ、一発でマヤちゃんが大好きになったのであった。


会食後、おみっちゃんちゃん夫婦はうちへ来て

息子たちと4人で釣りに出かけた。

なんとマヤちゃん、釣りが趣味だそうで

休みの日は一人で磯釣りに出かけるという。

釣り好きの息子たちと話が合い、すっかり仲良くなった様子。


子供の頃はおみっちゃんちゃんとうちの息子たちの3人で

毎日遊んでいたものだ。

長年の隔たりはあったが、今度はマヤちゃんも加わって

従兄弟同士の交流が復活したのは嬉しいことである。



余談になるが、去年の四十九日で私に宗教の勧誘をした

義兄の親戚の男も、この一周忌に来ていた。

当時、私はその場で断ったが

「また言ってきたら、どうするか‥」

これは一周忌を迎えるにあたり、ルイーゼ夫婦と義母ヨシコ

そしてうちの夫や息子が抱えてきた大きな懸念であった。

ルイーゼ夫婦とヨシコは、私が義兄の身内とモメるのを恐れており

夫と息子たちは、私からボロクソに言われた後の

男の精神状態を案じていた。


しかし私の思いは異なる。

仏事の席で異端の宗教を持ち出すという、死者への無礼が気に食わない。

なぜ静かに故人を偲べないのだ。

そのような宗教が、まともであるはずがない。


再起不能にしてやろうと楽しみにしていたのに

ルイーゼの家でも、場所を移しての会食でも

明らかに私を避けていたため、チャンスは無かった。

残念だった。
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手抜き料理・シーフードカレー

2018年09月06日 08時24分14秒 | 手抜き料理
関西方面を直撃した台風21号、ひどかったですね。

そして今朝は北海道の大きな地震。

それぞれの地方にお住まいの方、怖かったと思います。

大丈夫だったでしょうか?

お見舞い申し上げます。



さて、ここでカレーに触れるつもりはなかった。

だってカレーは、思い入れの強い食べ物。

実生活では、どなたも自分のレシピが一番おいしいと思っているし

カレーだけは、男性まで参戦してくる。

人心をかき乱してまで、ウンチクをたれるつもりはないからだ。

それでも話してしまうのは、こんなに早くて簡単な料理を

黙っておくのが惜しいから。


普通のカレーは、肉を柔らかくするために長く煮込む。

これに時間がかかる。

が、ここでご紹介するシーフードカレーは煮込み時間が短い。

さらにジャガイモもニンジンも入れない。

野菜は玉ねぎだけ。


ジャガイモとニンジンの皮をむくのは、けっこう時間がかかる。

時間はかかるのに、たいした栄養価はない。

ことにジャガイモはデンプンの塊。

つまり糖質の宝庫である。

カレーに付き物のごはんと合わせたら

糖質てんこ盛りを覚悟しなければならない。

糖質はある程度必要だが、過剰な摂取は望ましいとは言えない。

イモに取り組む時間があったら

付け合わせのサラダに労力を注いだ方が賢明である。


『シーフード・カレー』

①市販のシーフードミックスを袋ごと、水に浸けて解凍する。

②玉ねぎ2〜3個を荒いみじん切りにし、フライパンでしっかり炒める。

③玉ねぎを鍋に移して湯を注ぎ、カレーの素を入れて5分煮込む。

④玉ねぎを炒めたフライパンで、解凍したシーフードミックスを1〜2分炒める。

⑤シーフードミックスから水分が出て、半生程度になったら

汁ごとカレーの鍋に入れてひと煮立ち。

以上。


あっという間にできて、本格派を装える。

煮込み時間が短いので台所が暑くならないため、夏にもおすすめ。

油やバターを使わないので、カロリーも抑えられる。

カレーのルー、うちはジャワカレーの中辛

または業務用の大きいジャワカレーを切って使う。


シーフードミックスはボールに張った水に突っ込んでおくと

短時間で柔らかくなる。

エビやイカなどの海鮮は、水で解凍するとプリプリした弾力が残るのだ。

これは魚屋さんに聞いた。


シーフードカレーが敬遠されがちなのは

シーフードミックスをレンジで解凍し

その上、玉ねぎと一緒に炒め、さらに煮込んでしまうという

三段階の過剰な加熱を行うからだ。

するとルーの中に何やら浮いている、固くて小さくて生臭い物体に成り下がる。

シーフードミックスは、煮込んじゃいけないのだ。

軽く火を通す程度にとどめて、柔らかさと弾力を残していただきたい。


解凍は、完璧でなくていい。

カチンコチンでなくなれば、OK。

シーフードミックスを炒める時に出る水分は

良いダシになるので必ず入れていただきたい。


辛いのをご所望、または海系の匂いが苦手な人は

シーフードミックスを炒める時、カレーの粉末を少々ふりかけるといい。

ただし多過ぎると、じゃがいもなどの野菜でごまかしてない分

味がクリアで激辛になるため、自己責任で調節していただきたい。


水での解凍と、煮過ぎないことに気をつけさえすれば

早くできて、安い材料費にもかかわらずおいしい。

忙しい人、料理が苦手な人、給料日が待ち遠しい人の

強い味方になってくれると思う。


余談になるが、私はシーフードカレーを作る時

玉ねぎを6個、7個と多めにみじん切りして、全部炒めておく。

そのうち何割かをカレーに使い

残りの玉ねぎはジップロックに入れて冷蔵、または冷凍する。


その玉ねぎは翌日、ミンチ肉と合わせてハンバーグにする。

すでに炒めた玉ねぎがあるのだから、ハンバーグはすぐできる。

この時、ミンチはなるべく多めに使い

人数分のハンバーグを丸めたら、ハンバーグのタネをわざと余らせる。


その余ったタネをジップロックに入れて、冷凍。

せんべいのように平たくしてから、冷凍庫に入れる。

こうすると素早く冷凍できるし、解凍がしやすい。


この冷凍したタネは、いずれ自然解凍して

ミンチカツやスコッチエッグ、肉団子になる。

このように献立を回す技を覚えると、忙しい時やかったるい時

料理がグンと楽になる。



余談ついでに話すが、シーフードではないカレーを作る時

うちでは生のピーマン半分、バナナ3分の1、水少々をミキサーにかけ

仕上げの隠し味として入れることがある。

おいしい!と言うほどではないが

人によっては個性的な香りが癖になるかもしれない。


これは何十年も前、テレビでカレー屋を営むお爺さんが公開していたレシピ。

企業秘密なんて言わず、終始ニコニコとやって見せた。

お爺さんの店では、このカレーに生々しい目玉焼きを添えていた。

「孫に食べさせると喜ぶから、店を続けている」

お爺さんはそう言って、目を細めるのだった。



そうそう、お爺さんといえばボランティアのプロ

大分県日出市の尾畠春夫さん78才。

山口県で行方不明の幼児を発見した人だ。

彼は現在、7月の豪雨で被害の大きかった呉市天応町にいる。


この町に仕事で入っている同業者から聞くところによると

二つのテレビ局が毎日、張り付いて撮影しているそうだ。

しかし彼は気にも止めず、黙々とボランティアを続けているという。

そのうち特番が放送されるかもしれないのはさておき

「生きながら神様になれる人がいる‥」

これを知った私は、日本の未来が少し明るくなったような気がしている。
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影が薄い

2018年09月03日 09時12分29秒 | みりこんぐらし
本社の傘下にある支社のうち一社が、7月の豪雨で被災。

そこで本社、支社、支店、営業所の各社員は交代で復旧作業に努めた。


団結して汗を流す社員の姿に感動した社長は

温泉に一泊しての慰労会を発案した。

対象は全社員。

費用は社長のポケットマネー。


注目されるのは行き先だが

我が社へ出入りする本社の人々の話によれば

社長はなぜか、我々の住む町のはずれにある温泉ホテルに決めたという。


そこは地元で唯一、高級と呼ばれているホテル。

それでも都会や観光地に比べて安いのと

貸し切りが可能なことから選ばれたのは想像がつくものの

単なる社長の気まぐれではない気がする。

これは我が社を意識したに違いない‥我々はそう思った。


というのも我が社はこのところ、断捨離候補の常連。

本社は明治後期から、本業である建設業のかたわら

合併や吸収を繰り返して規模を拡大してきた。

うちもその中の一社である。


社長の最近のマイブームは「効率の良いタイトな経営」。

そこで過去、合併や吸収をしてきた会社の見直しを始めた。

つまり、いらない会社は切り捨てるってこと。


これを渡りに舟としたのが、永井営業部長。

夫と性格の合わない彼は、以前から我が社の断捨離を主張していた。

彼が大抜擢で取締役に就任して以降、その発言は重く扱われるようになり

社長もその意見に賛同し始めた。

それを我々のボスである河野常務と

永井部長をこころよく思わない専務が止め

保留に持ち込むことを幾度となく繰り返していたのだ。


その間、我々はどうしていたかというと、相変わらずマイペース。

合併当初から、いつどうなってもいいように

心づもりをしてきたので、どうってことない。

合併は、会社同士の結婚だもの。

うまくいかずに離婚することもあるし、意地悪な小舅だっているものだ。


このマイペースが、永井部長を刺激しているのはわかっている。

彼は、我々が泣き叫んで命乞いをし

ひれ伏して服従を誓うのを待っているのだ。

この感触は義父と私の間に長年存在していたので、手に取るようにわかる。


けれどもそのような田舎芝居は、下賤の民にお任せしよう。

プライドとは、こういう時に使うものだ。

一生懸命働いている者を切れるもんなら切ってみろ‥

我々はそう思っているし、また、切られた時には

「今まで、よく持ったねえ」と笑うだけである。



そんなある日、支社の被災だ。

シロウトが集まって土砂をかき集めても、泥の山ができるだけ。

プロが積み、プロが運び、プロのルートで処理しなければ

復旧はできない。

その点で、我が社は早期の復旧に多少の貢献をしたと自負している。


社長も同じ気持ちだったようで

「非常に心強かった」という感謝の言葉と共に

「貴社の必要性を改めて感じた」

「今後も引き続き、地域の復興に尽力してもらいたい」

という旨が我々に伝えられた。

ここから推測するに、我が社の断捨離はとりあえず白紙になった模様。

支社が被災しなければ、遠からず消滅していたかもしれない。


ついぞ豪雨の前日まで、切る切らないを考えていた社長が

慰労会の会場を決めるにあたり

我が社の存在が皆無であったはずがない。

この措置は社長の誠意‥我々はそう受け止めた。

他の人にとっては遠出でも、うちらにとっては裏山だ。

わざわざ町内へ泊まりたがる物好きはいないが

「行きたくないけど、ここは参加せねばなるまい」

皆でそう話し合った。



そして8月最後の土日、全社を挙げての慰労会が行われた‥

らしい。

全社といっても実際に復旧作業をした社員とその上司が

主な参加者だったので、総勢80人余りだった‥

らしい。


そう言うしかない。

なぜなら、慰労会の案内が来なかった。

イベントの連絡係が、うちだけ忘れていたらしい。

さすが人材の墓場。

今さら驚きはしない。

つまり我々は、目と鼻の先で行われたイベントに呼ばれなかったのよ。


行きたくないと言いながら、呼ばれないとなると腹が立つ。

我々は『眠れる森の美女』に出てくる魔女のような心持ちで

「どうせ影が薄いんだ‥」と、ふてくされるのだった。



後日、本社営業部の野島君がやって来て、慰労会のことを話してくれた。

夫は彼に、案内が来ていないことを話したが、口止めしていた。

公にしたら、連絡係が責められるからだ。


野島君が言うには、宴会が始まってほどなく

河野常務はうちの社員が誰も来てないことに気がついたそうだ。

彼は何人かに事情をたずね、連絡ミスと判断した。

もちろん大激怒。

宴会はもう始まっているので、今さら呼ぶわけにもいかず

常務は終始不機嫌だったという。


そしてトドメはエアコンの故障。

深夜、複数の部屋のエアコンが故障して、多くの社員がつらい夜を過ごしたそう。

部屋を替えて欲しいと頼んだが、空いてないと言われ

暑い部屋で苦しむしかなかった。

「地獄でしたよ!

帰りたくても送迎バスだから帰れないし!」


暑がり揃いの我々は、それを聞いて震え上がった。

「行かなくて良かった!」

「影が薄くて良かった!」

野島君が帰った後で、夫と息子たちは心から言うのだった。



ところで影が薄いといえば、最近の松木氏。

本社が採用した我が社の元営業課長で、現在は生コン工場の工場長をしている。

彼は、うちに配属されている頃から仕事をしなかった‥

と言うより、仕事の仕方がわからない様子だった。


その代わり、嘘と演技がアカデミー賞並みにうまい。

この嘘と演技で本社の中途採用に潜り込んだのだ。

商工会や協会主催のレジャーには這ってでも行くが

ゴミ拾いや奉仕活動の時は、身内がコロコロとよく死んだ。

今の工場でも同じらしい。


彼は支社の復旧作業に駆り出される直前

胃の検査入院を理由に休みを取ったが、誰も信じる者はいなかった。

作業が嫌で仮病を使ったに違いない‥

我々を含めた誰もがそう思っていた。


それから何日か経って支社が復旧した途端、松木氏は出勤を再開した。

けれども間もなく、本当に胃の調子が悪くなったようで

改めて病院へ行ったら胃癌発覚。

そのまま入院して、内視鏡手術を受けた。


退院した彼は先日、久しぶりに我が社を訪れた。

私はいなかったので会ってないが

夫は彼の影が薄くなっているのに驚いたと言う。

「前は、悪いなりにオーラみたいなものがあった。

それが全然無いんじゃ」

夫は首をかしげる。


松木氏は事務所に残っていた私物を片付け、静かに帰ったという。

「長くないかも‥」

夫はポツリと言った。

それが松木氏の社会人生活についてなのか

寿命についてなのかは、聞きそびれている。
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