殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

この機に乗じて『思い出』・1

2017年03月31日 08時58分02秒 | みりこんばばの時事
前回の記事「今騒がれていること」に

たくさんのご訪問をいただき、誠にありがとうございました。

森友学園問題への関心の高さに改めて驚きました。


この記事、私は確かに一生懸命書きました。

無い頭を振りしぼりつつ書いたものを

多くの方にごらんいただけて、非常にありがたかったです。


が、実際のところはうちの常連さん、モモさんが

大御所ブロガー「まるぞうさん」の所で紹介してくださった様子で

お越しくださった方々の大半はそちらからという、まるぞうさん特需。

大樹のお情けをいただき

まるぞうさんと、その読者の皆様に心より感謝申し上げます。

ありがとうございました。


そしてモモさん、ありがとうございました。

ご本人に確認すらせずにそう思い

その上、お名前まで出して申し訳ありません。


お陰様でお読みくださる方が一時的に増えましたが

すぐに私の変わり映えしない日常を描く

オバンの日記に戻るため、元どおりの状況になる予定です。

その前に、この機に乗じて

以前からいつか書こうと考えていたことを

一つだけ書き残したいと思います。

タイトルは「思い出」とでもしておきましょう。


最初にお断りしておきますが、私のブログは

『みりこん童話のやかた』のカテゴリー以外

全て事実に基づいて記述しております。

これからお話させていただくことも

私の家に起きた、まぎれもない事実であることを申し添えます。



『思い出』

戦争中、私の祖父母と母は広島市に住んでいた。

戦争中の広島在住者となれば、原爆は避けられない。

祖父母は離れた自宅にいたので無事だったが

当時13才だった母は学徒動員の作業で爆心地の近くにいたため

瀕死の火傷を負った。

母が生命の危機から脱すると

一家は壊滅状態の広島を出て農村部に移った。


陸軍で物資輸送の仕事に就いていた祖父は

当然ながら戦争が終わると無職。

近くの町の企業で働いていたが、52才で脱サラを思い立つ。

ある業種を選んで競争相手のいない町を探し、小さな田舎町に決めた。


その町の駅前に土地を買い、移り住んで起業したのは昭和32年のことである。

2年後の昭和34年、一人娘の母に婿養子を迎えて私が生まれた。

ありふれた昭和絵巻は、ここで終わる。


祖父が買った駅前の土地の半分は事務所を兼ねた家屋で

もう半分は空き地のまま駐車場にしていた。

そのうち何か建てる予定だったが

仕事は忙しくなるわ、年子で赤ん坊は生まれるわで

数年間そのままになっていた。


そこに目をつけたのが、いずこからかやって来た在日朝鮮人のAさん。

「空いている土地を売ってくれ」と言った。

駅前でパチンコ屋を始めたいという。


何度も断ったが、Aさんはあきらめなかった。

Aさんに同行するお仲間の人数はだんだん増え

「売らなければ朝鮮総連を連れて来てデモをする」

と祖父を執拗に脅迫した。


頑固者の祖父は、脅しに屈する性質ではない。

けれども昔の人の多くがそうであるように

在日朝鮮人と呼ばれる人たちの性質をも知っていた。

ひとたび魅入られたら

引っ越すか、渡すしか道は無いということである。

祖父は苦渋の決断により、Aさんに土地を半分売った。


幼児だった私は、A夫婦と4人の子供たちがすぐにやって来て

小屋を建てて住んでいたのを覚えている。

煮炊きは外で行い、小屋の入り口にはムシロがぶら下げてあった。

希望に燃えて移り住んだ新天地が、早々にこの有り様。

祖父母と両親の心中が、穏やかであろうはずはなかった。


そのうち新築工事が始まり、住居を兼ねたパチンコ屋ができた。

土地のことでもめたA一家と我が家だが

隣同士で住んでみると、心配したほどではなかった。

Aさんの奥さんがさっぱりしたいい人で

両家のクッションのような役割をしていた。


ただし、我が家ではニンニクと焼肉は禁止。

結婚するまで食べたことがなかった。

ある日突然、土地に目をつけられ、せがまれ、脅され

泣く泣く譲った無念と

さんざん脅しておきながら、望みが叶えばニコニコと乗り込んで来る

理解しがたい民族性に向けた、せめてもの抵抗であった。


《続く》
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今騒がれていること

2017年03月27日 10時40分04秒 | みりこんばばの時事
愛子様に触れ、稲田防衛大臣と総理夫人に触れておきながら

森友学園問題に触れないのは片手落ちのような気がするから

ナンカ言っておこうと思う。


これは私の生息する建設業界に、ちょっとばかり関わりのある話。

籠池氏と昭恵総理夫人の関係や

100万円の寄付金ばかりがクローズアップされているが

この一連の出来事を業界人の目で眺めてみたいと思う。


まず渦中の籠池氏。

「悪い人じゃなさそうだけど、なんか胡散臭い雰囲気」

というのが多くの人の印象だと思う。

業界人から見ても、胡散臭い。

その理由は彼本人の印象ではなく、もっと現実的なものだ。


彼の運営する学校法人の名前は「森友学園」

私立幼稚園の名前は「塚本幼稚園幼児教育学園」

建設中の小学校の名前は「瑞穂の国記念小學院」

つまり名前がバラバラ。

それぞれにもっともらしい命名の由来があるとは思うが

一貫性の無さは否めない。


強い信念を持っての運営であろうに

その時その時で気分が変化するのか

スポンサーが変わるのか

それとも別の理由があるのかは知らないが

盤石な安定性は感じられず、業界人の嗅覚では

資金繰りに問題ありとみなす。

もしも彼からの仕事を直接、または下請けで請け負うとしたら

現金か月末〆の翌月振込限定で

約束手形は受け取らないと考えるのが常識であろう。


次に建設中の小学校だが、業界では9億ナンボの地価から

残土処分代を8億ナンボ差し引いたって誰も驚かない。

そこが様々な問題や制限、またはいわく付きで

誰も見向きもしない土地でも

国有地であるからにはバーゲンセールをするわけにはいかないのだ。

周辺の地価に影響が出るからである。

設定金額を周囲に合わせ、あとは交渉で決めるのは珍しいことではない。

それを野党とマスコミが騒ぎ立てているだけだ。


土地に埋められたゴミやガレキの問題があり

空港が近いため、高い建造物が建てられない制限もあり

元が沼地だったからにはジメジメしているはずで

お世辞にも優良物件とは言えまい。

何やかんや、ろくでもない物を延々と廃棄できた環境であれば

当時の周辺治安も推して知るべし。

悪条件がてんこ盛りのそこを買って

文教方面の上品路線にレベルアップしてくれるというのだ。

問題解決にかかる金額を交渉で差し引くのは当然であろう。


値下げ金額が太いところだけをあげつらい

さも悪いことのように印象操作をする野党とマスコミだが

残土処分は一般の人が考えているよりずっと高くつく。

残土処分業者の所へ大型ダンプで運び込むと

うちらのような田舎でも、1台分約9トンで8千円から1万円の実費がかかる。

ただし、それは純粋な土砂の場合。

大きなガレキやゴミであれば、1台につき2万円前後を支払う。

ずいぶん前に産廃法が厳しくなって以来

正規のルートを踏まずにいい加減なことをすると、簡単に手が後ろに回るのだ。


以上は廃棄するだけの料金で、処分場までの運搬費用は別物。

処分場までの距離で算出された運賃が加算される。

これがのべ何百台、あるいは何千台必要か。

都会だと、物価は高いし処分場は遠いだろうから

田舎料金の倍はかかるのではなかろうか。


運んで捨てるお代だけではない。

地面を掘り返してダンプに積み込む複数のパワーショベルと

それを操作するオペレーターの日当もいる。

地面を掘り返してガレキを捨てたら

今度は掘り返した分をマトモな土で埋め戻しをする整地作業。

これまた気の遠くなるような資金と労力がいる。

小学校が作れる広さと、元が沼地だった深さをかんがみれば

残土処分と整地に8億ナンボかかるというのは

まんざらかけ離れ過ぎた金額ではない。


この国有地払い下げに安倍首相の夫人、昭恵さんが

便宜を図ったのではないかと糾弾する野党。

便宜どころか、業界人なら避けて通りたい悪物件を

1億ナンボも出して買わされた籠池氏をむしろ気の毒とすら思う。

仮に昭恵夫人に便宜を図る権限や能力があれば

無料、またはお土産付きにしてやることだろう。


ともあれ土地の件で、籠池氏をずる賢い悪人へと仕立てる計画に

ひとまず成功した野党は、争点を100万円の寄付金に移す。

安倍首相からの寄付金が、昭恵夫人から籠池氏に渡された‥

いや、渡してない‥の水かけ論。


主婦の私に100万円は大金だが、建設業界人としては不自然に感じる。

「一人でやらせてごめんなさいね」

と、一蓮托生を匂わせる謝罪を添えて渡すには少なすぎる。

寛大な籠池氏は感謝して受け取ったと言うが

私が籠池氏なら、ムッとすること請け合い。

どちらが嘘をついているのかは知らないが

裏に感情のもつれと、何らかのバーターが存在する香りは否めない。


直近の展開は、昭恵夫人と籠池夫人のメール公開により

図らずも民進党の辻元清美議員の暗躍が露見したところ。

国会を休んでマスコミを引き連れ、塚本幼稚園へ行ったことを始め

残土処分をちゃんとしてないと作業員に言わせたはいいが

3日間だけ潜り込ませた内通者であることが判明した。


目的のためならどんな手でも使う危険性を

世に知らしめる結果となり、急に勢いを失った野党。

総理の夫人を証人喚問に引きずり出し、夫の面前で追求するという

韓流罰ゲームのごときショーの目論見は消滅に向かっている。


今後、森友学園問題がどうなるかに興味は無い。

針ほどのことを棒のように言い立て、騒ぎ、扇動する

民進党とマスコミの手口はどこかの国とそっくりで見苦しい。


安倍首相はこれからも昭恵夫人と手をつないで

飛行機のタラップを昇降するだろう。

「バカな子ほどかわいい」という向きではない。

相棒が巻き起こした危機を乗り越えるには、内心はどうあれ

周囲に変わらぬ愛を見せるのが最良の方法。

その効用は「不適切な関係」で進退きわまるクリントン大統領を救った

ヒラリー夫人の前例をもって顕著である。
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やられたわ〜!

2017年03月22日 13時24分10秒 | みりこんばばの時事
『今後の方針を見極める一つの峠となるはずなので

何日だっけ‥と思っていたんですよ。

ありがとうございます。


注目されているご卒業とご進学の問題をうやむやにするための

激やせ報道だと踏んでいるので、どうお出になるか

楽しみです。

腫れ物に触るな方式を選ばれて、なしのつぶてか

お得意の隠し撮りふう合成写真か

裏をかいて、いっそしっかり出演か‥

しかしながら新しい技の開発も拝見したいところです』




3月10日にアップさせていただいた「ロイヤル病」の記事で

しなもんさんがくださったコメントにお返しした私の返事です。

卒業式が22日と教えていただいたので

どの手段でくるかを予想した内容です。


ご一家は第3案の「裏をかいて、いっそしっかり出演」を

選択されたに見えますが、私の予想ははずれました。

しっかり出演と新技の混合だったからです。

お出ましになったのは、お痩せになった愛子様ではなく

新人採用でした。


お元気になられ、体重もお戻りになった

無邪気な愛子様‥

今後はこの愛子様で行く方針が決まったようです。
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弱点

2017年03月17日 13時37分09秒 | みりこんばばの時事



稲田防衛大臣、お洋服のコーディネートは娘さんがなさってるそうよ。

つとめて着用なさる網タイツは、地盤の特産品ですって。

元弁護士で頭はいいはずなのに、外見がザンネン。

突けば崩れるって丸わかりよ。






総理夫人、とても美しい足をお持ちなの。

ご主人の足を引っ張らないようにお願いします。



今のとこ、このお二方が安倍内閣の弱点かしら。

でもね、少々の弱点はあった方がいいの。

完全無欠の方が、もろいものよ。

逆を言えば野党、特に民進党は

この弱点しか発見できてないのよね。

そんな観点で眺めると、攻防がより楽しめると思います。
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ロイヤル病

2017年03月10日 11時05分00秒 | みりこんぐらし
『愛子様18キロやせの深刻・ダイアナ元妃、キャサリン妃

ロイヤル病の繰り返す苦しみ』

今朝の新聞に載ってた『女性セブン』今週号の見出し。


ロイヤル病だとよ。

素敵な病名に、ついうっとり。

つまり、やんごとないお宅の女子は痩せちゃうと言いたいらしい。


ダイアナ元妃が痩せたのは、ご主人の不実が発端じゃないのか。

夫に結婚前から愛人がいれば、そりゃ痩せる。

子供を産んで年月が浅ければなおさらだ。


ここで自分の体験を引っ張り出すのはおこがましいが

夫の浮気が引き金となり、2ヶ月で13キロ痩せたことがある。

ごはん、つまり米が砂の味になって食べられんのだ。

次男を産んで子育ての真っ最中だったし、嫁舅、嫁姑、嫁小姑もあった。

現状の厳しさと将来への不安が、魔法のようにごはんを砂に変えた。


食事は進まないけど労働量は同じなので、面白いほどに痩せたが

体はモデル並みになっても、ちっとも嬉しくなかった。

顔のメンテナンスが、痩せる速度に追いつかんのよ。

ま、私のことだから、いつの間にか元に戻った。


ダイアナ元妃はご長男の時も、ご次男の時も、出産翌日には退院された。

妊娠のために膨らんだ子宮がまだ縮小しておらず

ワンピースの中にボールを入れたようなお腹に

血の道を心配してハラハラしたものだ。


ご次男出産後、徐々に妃の苦難や

奔放な異性関係が世界中の知るところとなる。

産後というのはホルモンの分泌が変わり、気鬱に陥りやすい。

それが何年も続く人もいる。

妃の美貌と性質もあろうが、男でも作らにゃ、やっとれんだろう。


一方、妃は結婚当初から

「鉛筆のような体型になりたい」と公言しておられた。

子育て中の家庭は泥沼、良くも悪くも世界中から注目される身で

鉛筆を目指せば、痩せ細るのは必然といえる。



ダイアナ元妃のように貴族の出身ではなく

一般人から王室へ上がられたキャサリン妃の方は

亡き姑、ダイアナ元妃をかなり意識しておられるのと

親が出しゃばりで、若夫婦の住まいにほぼ同居状態ぐらいしか知らない。

こういうとこ、いかにも庶民らしい。

世界中の注目を浴びながら、身分違いの結婚

夫のためにダイアナ元妃のような存在になろとする意識

親の干渉、産後とくれば、誰でも痩せるだろう。



ここへ何で、結婚も出産も未経験の愛子様を引き合いに出すのか。

生まれながらの皇族の青少年を

痩せちゃったお嫁さんの集合体に入れようとするのか。

あくまでも「いわゆる愛子様とされる少女」を

ロイヤルのくくりに入れ、責任や重圧で痩せたことにしたいのか。


愛子様をロイヤル病というなら

よそから嫁がれて責任と重圧を感じ続けられ

長年苦しまれているお母様の雅子様が

まず罹患すべきであろうに、丸々となさっておいでではないか。

片手落ちにもほどがある。


‥と、見出しだけで勝手に思った次第。


新聞広告が今日出たということは、女性セブンがうちへ届くのは明日。

義母ヨシコは毎週、女性セブンを購読しているのだ。

女性セブンに限らず週刊誌って

皇室に関する記事は見出しだけ立派で、オチはうやむや。

売れればいいんだもんね。

読むまでもないので、ヨシコに読んでもらって概要を聞こう。
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メロン問題

2017年03月08日 09時13分51秒 | みりこんぐらし
去る2月19日は、亡き舅アツシの三回忌だった。

死亡から丸2年、あっという間だった。


去年、一周忌を迎えるにあたり、義母ヨシコはきっぱりと言った。

「来年の三回忌は、元気に迎えられないと思う。

この一周忌で親戚に最後のお別れをしたい」

ヨシコのフィナーレを飾る会食は、町内のホテルで盛大に行われた。

その前日にアツシの妹が亡くなり、我々一家を含む参加者の半数は

会食が終わったその足で通夜に駆けつける慌ただしさではあったが

親戚とのお別れは和やかに終了。


が、ヨシコ、今年もバリバリに元気だ。

去年はまだ気が弱っていて、もう死ぬだの生きられないだのと

さんざん言った手前

「三回忌は家族だけでひっそり」を強調するので

我々一家と義姉一家だけで営むことに決めた。

家でお経の後は墓参り、その後外食に流れて解散のカジュアルコースだ。


そこへアツシの妹、ヒロミおばさんから電話が‥。

「兄貴の三回忌、いつ?何時から?」

こう言われると断れず、ヒロミおばさんも参加することになった。

苦手な小姑が来ることになって、緊張するヨシコ。

たとえ一人でも他家の人間が加わると、一応の「型」がいる。

口さがないヒロミおばさんであれば、なおさらだ。

カジュアルコース、取りやめ。


「寿司でも取って、家でやったら?」

息子たちが提案し、私も賛成した。

法要の会食は、一度やってみたかったのだ。

総勢たった9人、酒を飲まないので簡単だ。

「家でやるのは変わっていて、いいわね」

ヨシコもやぶさかでない様子なので、シミュレーションに入る私だった。


ところでアツシの死後、ヨシコと夫の姉カンジワ・ルイーゼは

彼の面影を追い求める行脚(あんぎゃ)をライフワークとしている。

アツシが出入りしていた店や、ゴルフ場を訪ねるドライブである。

母娘で出向いては名を名乗り、店主や支配人と思い出話をするのが目的だ。


名前を聞いて「はは〜!」とひれ伏してもらうのが目標らしいが

アツシが動けなくなり、宴会やゴルフに行かなくなって年月が経過している。

忘れ去られていたり、人員が変わっていたりで思い通りにはいかない。

そんな時は、帰ってから機嫌が悪い。


この2年で、店やゴルフ場をほぼ回った母娘は

やがて忘れていた1ヶ所を思い出す。

亀山荘(仮名)。

アツシの墓の近くにある、この辺りでは高級なホテルである。

ここはライオンズクラブが開く大きな行事の時に

夫婦で訪れていた思い出の場所だ。

さっそく母娘で行った。


後でヨシコから聞いた話によると、フロントで支配人を呼んだものの

別人が出て来たので驚いたそうだ。

経営者が変わってスタッフが総入れ替えされており

知っている人は誰もいなかったという。


引っ込みがつかなくなった2人は、三回忌の下見を装った。

が、世慣れぬ母娘がうまくすり抜けて帰れるはずもなく

その場で予約させられてしまう。

1人1万円コース。


責任を取る形で、この支払いはルイーゼがすると言い出した。

「あったりめえじゃ、どこへでもノコノコ顔出すからじゃ‥」

そう思いながらも、一応ケナゲを装って申し出る。

「それでは申し訳ないから、せめて半額払う」

一度言い出したらきかない頑固なルイーゼは、案の定、固辞。

「しめしめ‥」

と、茶の子の代金を受け持つことにした。


茶の子は、ヒロミおばさんが法事に参加することが決まった時点で

ヨシコが注文済みである。

今回はメロン。


三回忌はよく晴れた暖かい日で、食事もおいしかった。

が、問題はメロン。

ルイーゼご一行が持ち帰ったメロンのお尻が、柔らかかったそうだ。

翌日、そのことは母親に伝えられ

「腐りかけていた」「傷みかけていた」

ヨシコからの迫害が始まる。


うちのもお尻が柔らかかった。

ヒロミおばさんのも、おそらく同じコンディションと思われる。

お尻が柔らかいのを「食べ頃」というのではないのか。


実はヨシコ、メロン初心者。

ずっとメロン嫌いで通していたが、去年、急に好きになった。

ヨシコの脳内で、メロンはカチカチに硬いものと認識されている。

箱入りのまま何日も放っているうちに忘れて腐り

やがて気がついて捨てる物‥

それが何十年もの間、ヨシコにとってのメロンであり

食べ頃や熟成のワードは存在しない。


何週間か経った今も、メロンの迫害は続く。

「亀山荘の食事は良かった!

でもメロンは腐りかけで、残念だったわ」

ゼニを出したばっかりに、言われ続けている。

娘の大出費をさらに押し上げるため、嫁の小出費を下げるのもあるが

これで嫁姑の溜飲を下げているフシもある。

4年後の七回忌にも、茶の子はメロンにするつもりだ。
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秘密の言葉・6

2017年03月01日 11時03分01秒 | みりこんぐらし
偶然の展開により、永井部長の執拗な干渉が止んで

夫は再び元気を取り戻した。

私は「国の為」が効いたと自画自賛し、夫は自身の強運を賛美する。

いずれにしても、田辺氏という援軍のお陰なのは確か。

夫はこの恩を仕事で返そうと張り切る。

こうなると面白いもので、仕事がどんどん入ってくる。


入ってきた仕事の中に、発注元がスーパーゼネコンという

本社の大好物が紛れていた。

これは都市部にある小さな建設会社、E社が下請けとなり

そこから依頼された仕事。

このことは本社に報告済みであった。


永井部長、おとなしくなったとはいえ

これだけは素通りできなかったらしい。

「E社の植村工事部長と僕は、兄弟のような付き合いです。

少し前に下話は済ませてありますが

僕は表には出ず、ヒロシ社に振りました」

役員の一人として我が社の予定表を見た彼は

取締役会議でこう付け加え、社内でも触れ回った。


「兄弟のような」は、彼の常套句。

今までに聞いただけでも、彼の「兄弟」が2ケタは存在する。

あとは「少し前に下話」と「表には出ない」で

縁の下の力持ちを装うのが彼の手口である。


永井部長は、得意満面で我が社にもやって来た。

「そういうわけだから、しっかりやってくださいね!」

しかし偶然の神は、ここにも降臨していた。

夫は無表情に答える。

「E社の植村は、ワシの従兄弟じゃ」


本当なのだ。

植村工事部長は義父アツシの妹の息子、カッちゃん。

年が一回り以上離れているので兄弟のようではないが

まぎれもない身内である。


「たまたま転がり込んできたけど

この手の工事はやったことがないけん、ようわからん」

カッちゃんは電話で夫に相談し、そのまま依頼された。

むやみに「兄弟」を増殖させると、こういうこともあるのだ。


驚いて固まる永井部長。

変わらず無表情の夫。

やがて永井部長の口が開かれた。

「そのこと、もう誰かに言った?」

そこかい‥。

「いや、誰も‥大丈夫よ、言わんけん」

夫が答えると、ゴニョゴニョ言いながらそそくさと帰って行った。


「腐り切っとるのぅ」

永井部長とは面識が無いことを

カッちゃんから聞いていた夫はあきれはて、私は私で

「ヤツの弱味を握った」

とほくそ笑んだ。



‥とまあ、全部話したら長くなるので、大半は省略して

ユリちゃんに話したわけよ。

「みりこんちゃん、自分の為から子供の為に進んで

親の為を過ぎたら、とうとう国まで行っちゃったのね‥」

「うん。

自分や子供や親の為って、対象が人じゃん。

誰かの為って、力は出るけど長続きせん。

人の為って書いたら“偽(にせ)”になるんよ。

誰かの為、為って、あんまり思ってると

どこかでニセ、イツワリが生じて行き詰まるんだと思う。

その点、国はいいよ ‥物だもん」

「人の為と書いて偽‥

これ、檀家さんに話してもいい?

私も人のことどころじゃないんだけど、悩んでる人がいっぱいいるのよ」

「いいよ〜、私も人から聞いたんだもん」

「国の為かぁ‥

私には子供も親兄弟もいないし、旦那はあんなだし

自分は何の役にも立たない人間だと思うと、すごくつらくてね。

でも、私にも存在価値があるんだと思っていいのかしら」

「何言うとんね。

お寺の奥さんとして、日本国民の心の平穏に大いに貢献しとるが。

モクネンの代わりにお経を唱える人はおるけど、ユリちゃんの代わりはおらん。

カリスマ性が必要な、特殊な職業じゃが」

「アハハ!そう考えるのね!」



隣ではけいちゃんが、マミちゃんを相手に

15年だか16年だか前に離婚した理由を延々と説明している。

別居の姑がウンヌン、嫁に行った小姑がカンヌン‥

年の離れた旦那は考えが古くて冷たかった‥

離婚の報告をするために帰省したら、親が私を離してくれなくて‥

大阪へ残した子供とは生き別れ‥

そりゃもう苦労に苦労を重ねてきた‥。


同級生の間では「天然」と呼ばれる、お嬢さん育ちのマミちゃん

ふん‥ふん‥と熱心に聞いている。

これをマンツーマンで聞き終え、内容に感動して賞賛の言葉を贈らなければ

けいちゃんから友達として認められない。

マミちゃん、やっと昇格か。

病院の厨房でけいちゃんと一緒に働いていた頃

私も繰り返し聞かされたので暗唱できる。


ちなみにユリちゃんには、まだ行われていない。

自分より厳しい環境の人には遠慮があるのか

お寺の娘でお寺の嫁のユリちゃんに、抹香臭いことを言われたくないからか

けいちゃんの方が避けている様子である。

「辛い時に受け入れてくれた親がいることに感謝したら?」

ユリちゃんに話すと優しく諭され、キレるに違いない。

一番楽しみな集いが変化したら困るので、安易に話さない方がいい‥

幹事の私は思っている。

《完》
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