殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

スリッパ

2015年06月30日 20時05分22秒 | みりこんぐらし
このところ、夕方になると胸が苦しくなる。

病気知らずのこの身も、いよいよ“お年頃”になったのか。

胸が苦しいとなると、心臓か。

突然お迎えが来るかもしれない。

というわけで遺言を考えてみたが、まったく浮かばず。


仕方がないので、世間で聞く遺言を思い浮かべる。

「ワシの財産は誰それに…」

そんなモン、無いわい。

「兄弟仲良く助け合って…」

いまどきは情に流されて兄弟なんか助けたら、自分の首が締まったりするから

滅多なことは言えんわい。


言い遺すことがゼロというのもザンネンなので

イマワノキワという事態が訪れたなら、子供達に一言だけ言おう。

「野菜食え」。

千秋楽のセリフも決まり、イマワノキワを待つ私だった。


そんなある日、ブラジャーを付け忘れて一日を過ごしたら

決まって胸が苦しくなる恐怖の夕方が、その日は訪れなかった。

もしかして、犯人はブラジャー?


次の日もノーブラを試みる。

やはり恐怖の夕方が来ない。

ブラジャーの犯行と確信。


そういえば昔、年配の同僚が話していた。

「午後3時を過ぎると、引力で胸がガクンと下がる」

「ブラジャーのワイヤーは凶器よ」

それを聞いた私は、ありえん!と笑い飛ばしたものである。


その言葉を体感する時が、とうとうやって来たのだ。

真夜中の丑三つ時(うしみつどき)には

屋根の軒(のき)が三寸下がると言うが

午後3時にはオバンのチチが三寸下がるらしい。


私は従来のワイヤー入りに別れを告げ

伸縮性のあるスポーツタイプのブラジャーに変えた。

苦しみからは解放されたが、洋服のシルエットは台無し。

胸囲の幅が広がり、もっさりと老けて見える。

また一歩、老婆に接近した。



実はもう一つ気になっていることがあった。

それは足のムクミ。

こっちはブラジャー問題より長い付き合いで

夫の実家で暮らすようになった3年前からだ。

ムクみと連動しているのかどうかは定かではないが

夜中に起きるこむら返りも悩みのタネであった。


加齢、ママさんバレーの古傷、病気の前触れ…

そんなことを考えながら過ごしていたある日

生協の宅配カタログに可愛らしいスリッパがあったので注文した。


そのスリッパは、私の好物でできていた。

アイボリーと淡いブルーの組み合わせで、大きな花の刺繍がある。

爪先がスクエアになっているところも好ましい。

しかも二足セットで780円という安さ。


これでも一応、スリッパに対するこだわりは強いほうだ。

激しい家事労働と階段の昇降が頻繁な私のライフスタイルに

スリッパの協力は不可欠である。

実働はたいしたことないが、家の構造に問題があり

何をするにも遠いので、いつも走っているからだ。


自宅アスリートを自負する私にとって、スリッパは大切な相棒。

デザインや価格より実用性を求める。

足入れの良さと走りやすさが選択ポイント。

足音が小さいという条件もはずせない。

そのため、ゆったりして底が薄めのスリッパを選ぶ。

一足を半月から一ヶ月で履き潰すため

常に何足か買い置きして、慣らしながら次々に変える。


今回、色とデザインに魅せられて思わず買ったものの

カカトの高いスリッパは初めて。

彼女?が私の動きに付いて来られるかどうか懸念があった。


ところが彼女、思わぬ能力を発揮したではないか。

細身の作りなので、確かに足入れは良くない。

脱いだり履いたりに時間がかかるし、底が厚いため足音も大きい。

しかし彼女と組んだ途端、脚のムクみとおさらば。

夜中のこむら返りも、それっきり。


靴はぺちゃんこよりも、少しカカトがあった方が疲れないのは経験がある。

新聞のシルバー特集によれば、老人用の靴も見直されているそうだ。

簡単に履けて、弱った足を優しく包む柔らかい物は

足が泳いで疲れるらしい。

しっかりした素材で、甲の部分が少しきゅうくつな物の方が

足に良いと書いてあった。


つらいムクミも、痛いこむら返りも、スリッパに原因があったとは。

灯台もと暗し…失った3年を返せ。


というわけで、せっかく見つけた相棒だが

安値のせいか、二足セットのうちの一足は10日でオダブツ。

今、二足目を履いているけど、じきに破れるのは目に見えている。

早く後任を探す必要があるものの、カカトの高いスリッパというのは

なかなか無い。


そこで生協カタログにあった「ダイエットスリッパ」なるものを注文。

カカトは確かに高いが、土踏まずまでしかスリッパが無い。

これで爪先立ちのようにして歩き回ると痩せる…と言いたいらしい。

まだ届かないが、これはどんな結果を出すだろう。

その名の通りに痩せたら報告します。
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ウグイスの卵・結末

2015年06月22日 09時23分54秒 | みりこん童話のやかた
私はウグイスの卵。

もうすぐ孵化して、ウグイスになる予定。


ママは毎日、私達にウグイスの心得を話してくれるの。

英才教育ってやつよ。

「ウグイスのセリフはホーホケキョ。

漢字にしたら『法…法華経』。

人間のありがたがる、お経に似ているの。

そのために私達は、昔から喜ばれて大切にされてきたのよ。

だから、言葉をきちんと伝えるのが私達の使命。

滑舌(かつぜつ)は大事なの」

…みたいなことね。


でもね、滑舌だけ良くてもダメで、好感度も必要らしいわ。

明るく軽やかに…そして親しみを込めるんですって。

「ああ、いい声で鳴いているなあ」

「春が来たなあ」

「夏が来るなあ」

そう言ってもらえたら、最高の気分なんですって。


タイミングも重要らしいわ。

周りが騒がしい時に、どんなにいい声で鳴いたって無駄。

他の鳥が鳴いていない一瞬を狙う。

ふと訪れた静寂を逃さず、美しい声でホーホケキョ。

これができてこそ一人前なんですって。



私達、ママからいろんなことを教えてもらいながら

青空の下でさえずる日を夢見ていたわ。

そんなある日、ちょっとアクシデントが…。

ここんちのおばあちゃんに見つかっちゃった。


おばあちゃんは巣を家に持って入って、私達をさわったの。

家の人達が、すぐ元に戻せと言ったけど

おばあちゃんたら「だって、かわいいんだも~ん」

って、言うこと聞かなかったの。


やっと元の場所へ戻されたのは次の朝。

ママは嬉しそうに鳴きながら、巣に飛び込んできたわ。

私達は心底ホッとしたものよ。


でもその時、ママはとても悲しそうな顔をしたの。

人間の匂いがついていたからよ。


ママは、卵を一つずつ地面に落としたわ。

虎は我が子を谷に落とす…

ママの口癖だったけど、本当に落とすとは思わなかったわよ。

這い上がれるわけないじゃん。

私の人生、終わったわ。


そもそもさあ、こんないい加減な所に巣を作ったのが間違いだと思わない?

すぐ見つかっちゃうわよ。

どうしてくれるのよ。

クヤシーッ!

来季、頑張ります。
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2015年06月17日 09時42分21秒 | みりこん胃袋物語
その和食屋が開店したのは、7年ほど前だった。

店主の死亡で長い間閉じられていた鮨屋を

ゴルフ場の料理長だった人が借りたと聞いた。


3年前、人に誘われて初めて行き、昼定食を食べた。

品数が多く、どれも季節感を大切にした手の込んだ料理だ。

味はもちろん、器や盛り付けにも確かな技術とセンスが光る。

クラブハウスで味わう非日常を巷で再現している感じ。

しかも8百円から千円前後のリーズナブルな価格帯。

今までどうして行かなかったのか、悔しい気さえした。


すっかり気に入り、ちょくちょく通うようになる。

元が鮨屋なので内装が少々格調高く

気の利いたおいしい物が出て、客層も良いため

昼または夜、誰を案内しても喜ばれ、私は鼻高々だった。


惜しむらくはこの店、土日が休み。

田舎人の外食ライフに合わないので、お世辞にも繁盛している様子ではない。

静かで落ち着いた雰囲気はありがたいが、こう静かだと先行きが心配になる。

詳しい人が言うには、土日に店を開けるよう再三勧めたが

店主は賭け事が好きで、各種レースのある土日は営業したがらないという話だった。


いつも奥の調理場にいて、一度も顔を見たことのない店主に

私は叫びたかった。

「バカじゃないのか!」


一昨年のことである。

夫がその店に取引先を連れて行き、領収書をもらった。

領収書を受け取った経理係の私は、店主の印鑑を見てハッとした。

宇田(仮名)…なんだか聞き覚えがある。

卒業して調理師学校へ行った、高校の同級生だ。


次に行った時、私は調理場をのぞきこんで店主の姿を確認した。

卒業してから一度も会っていないが、すぐにわかった。

やはり同級生の宇田君であった。


「宇田君?」

声をかけると、彼はノロノロと出てきた。

「やっぱり宇田君!私を覚えてる?みりこんよ」


「覚えてるよ…」

高校時代と変わらず、はにかみ屋だ。

「前から時々来てたのよ」

「知ってる…」

「知ってたの?!」

「うん…ずっと前から…」

「何で声かけてくれなかったのよっ」

「フフ…」

下を向いてかすかに笑う、これが宇田君なのだ。

見た目だけなら“組”の人、ハートは小鳥の宇田君なのだ。


天然のクセ毛で、どうしても頭がリーゼントになってしまい

大柄と切れ長の目で誤解を受けやすく

無口と無表情が、かえって恐怖をかきたてる宇田君。

親が買ってきたというヤンキーな学ランを着ていたために

ヤバい男と思い込まれていた宇田君。

本当は彼の作る料理と同じく、優しくて繊細な子なのだ。


賭け事のために土日を休むという話だが

本当は土日に押し寄せる女子供のワイワイキャッキャが

嫌なんじゃなかろうか。

特に土日に連れ立って出歩く田舎のオバさん…

つまり我々のようなのは

彼が最も苦手とする生き物じゃないのか。


経営のために耐えるより、未然に回避。

それが自分の首を絞めることになっても、無理なものは無理。

いかにも彼らしいではないか…

私は勝手に解釈して納得するのだった。


ともあれ店主が彼と知って、私は危機感をおぼえた。

なんだか潰れそうな気がする。


宇田君がどうなろうとかまわない。

潰れたとしても、泰然ひょうひょうとしているだろう。

正確に言うと、感情を表に出さないので、そうにしか見えない。

だが、こんないい店が無くなるのは町の損害だ。

私は同窓会の集まりや友人との食事に、できるだけ彼の店を使ったり

会う人ごとに宣伝して、ささやかな存続運動を行うのだった。


今年の2月からこっち

義父アツシの葬式なんかでノーマークとなっている間に

宇田君の店は改装を始めた。

マイペースの彼にもやっと欲が出たらしいと思い

開店を待ち焦がれた。


先週、ついに開店したと聞き

友人のヤエさんとラン子を誘った。

ここに彼女達を案内したことは無い。

行けばさぞ喜ぶだろうが、幼い孫の面倒を見ているヤエさんと

工場勤めのラン子は、店の開いている平日に会うのが難しく

チャンスに恵まれなかったのだ。

しかし平日のその日、たまたま2人の予定が空いたため

3人で話題の店へ行くことになった。


が、店に着くと、なんだか雰囲気が違う。

名前は以前と同じ純和風だが、アタマにパンと書いてある。

一同、狐につままれたような心境で

格子の引き戸からアメリカンなドアに変わった玄関を

おそるおそる開けた。


「いらっしゃい…」

客はいない。

白衣を着た宇田君が一人立っていた。


長いカウンターにはプラスチック製のバットが幾つか並んでいて

その上にクロワッサンやらベーグルが3~4個ずつ置かれている。

ガラス戸の冷蔵庫にはサンドイッチがパラパラ。

店の半分を占める座敷は

思い切りよくビニールのカーテンで閉じられている。

宇田君の店は、和食からテイクアウトのパン屋に転向したらしい。

宇田君、あきらかに迷走。


初めて見る宇田君に、ヤエさんとラン子はドン引きしている。

「宇田君、ご飯もおいしかったけど、パンも作れるのね?」

店にイーストの匂いがしないため

本当に彼が作っているのかどうか定かではないが

凍りついた空気を払拭する目的で、私は明るく問うた。

彼は「フフ…」とちびまる子ちゃんの野口さんみたいに笑うだけで

ますます深みにはまった。


気を取り直してあれこれ買い

ヤエさんとラン子も無言のままパンを買った。

「夏まで持つまいよ」

店を出た3人は別の店でランチを食べつつ、共通の感想を述べるのだった。


翌朝、ラン子から電話があった。

「みりこんさん、身体、何ともない?」

「身体?」

「昨日のパン屋!」

「…食中毒?」

「ううん、パンはまあまあおいしかった。

どこも痛くないか聞いてんの」

「別に…どこも…」

「私、あれから頭痛がひどくて、肩が重くて死にそうだったのよ」

「何で?」

「あの店で何かに取り憑かれたみたいなの。

絶対あそこよ!変だったもの!」


ああ…と私は答えるのだった。

「あれはねえ…鳥よ…」

「鳥?鳥なんかいなかったじゃない!」

「いたじゃない、閑古鳥が。

ラン子さん、あれに取り憑かれたのよ」

「何言ってんのよっ!霊よ!私は霊感が強いからわかるのよ!」


ギャハハと笑う私に、ラン子は泣き声で言う。

「今朝起きたら痛みは治まってたけど、まだ気分が悪いの。

どうしたらいい?」

「もう一回行く」

「ギャー!」

ラン子、泣きながら笑っていたら元気になった。

宇田君の店が無くならないうちに

ぜひともまたラン子を連れて行きたいと思う。
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ピンキー効果

2015年06月03日 09時12分45秒 | みりこん昭和話
私は子供の頃、アレルギー体質だったように思う。

最初に遭った災難は、4才の頃。

当時は中華そばと呼ばれていた、ラーメンの出前だ。


その頃の私は、大人の食べ物に興味を示すようになっていた。

少しもらって食べた途端、両足のカカトに突っ張るような違和感を感じる。

真っ赤なブツブツがみるみる広がって、痒いのなんの。


すぐに近所の医院へ連行されたものの、診察を受ける頃には跡形もなく消えており

医師には症状が確認できなかった。

母の方も商売人の立場上、近所の店の品物で異変が起きたと口にするのをはばかり

出前の中華そばが原因とは言えなかったので、うやむやになった。


その後、トッピングのシナチクだけ食べたことがあるが

やはりカカトに斑点が発生した。

一つ下の妹も中華そばに同じ反応を示したが

彼女はそれ以前に、冬になると手の指が乾燥して血がにじんだり

いつもヒジの内側やヒザの裏側がかぶれていたため

母は私達を連れて、あちこちの病院巡りをするのがライフワークだった。

半世紀以上前、アレルギーなんて言葉は今のように一般的ではなく

どこへ行っても皮膚病として片付けられていた。

今思えば妹のあの症状は、かの有名なアトピーというものではなかったのか。



やがて私は小学生になった。

中華そばを食べてカカトに問題が起きたことなどすっかり忘れていたし

もう大丈夫かどうか実験するチャンスも無かった。

2軒隣にあった中華そば屋は、すでに店を閉じていたからである。


そんな私に、虫刺されという新たな問題が降りかかる。

この辺りではブト、地方によってはブヨと呼ばれる小さな虫が

私を苦しめるようになった。

幼稚園の頃と違って行動範囲が広くなり

草むらでも遊ぶし、学校の校庭にもたくさんいた。

特に通学路に沿って流れるドブ川は、奴らのパラダイスであった。


ひとたび刺されようものなら、プーッとマンジュウのごとく腫れ上がる。

顔や腕も腫れるが、昔の女の子はスカートなので足の被害が多発した。

引力の関係か、足が一番重症だった。


特に、太ももの内側を刺されたら悲惨。

柔らかいので敵も取り組みやすいらしいが、柔らかいだけに被害甚大である。

縦15センチ、横10センチ、高さ3センチくらいの熱を持った立方体が

突然太ももの大半にへばりつく。


こうなると足の形が変わってしまって、歩きにくい。

腫れた皮膚は真っ赤になるばかりでなく、えらく固い物質に変化するため

足を片方ずつ前に出すという歩行の動作が難しくなるのだ。

一週間ぐらいはガニ股移動。


病院へ行ってもたいした塗り薬は無く、じきに病院をあてにしなくなった私は

問題の立方体にオロナイン軟膏を塗り

その上に薬局で買った冷湿布を貼るという新療法を開発。

こっちの方が早く腫れが引くのだ。


湿布すると、腫れて熱を持った広範囲は楽になる。

ただし、敵に刺された一点は汁まで出てひどく痒い。

しかし湿布をしているため、掻きむしれない。

この世の不条理を感じる日々であった。


毎年これじゃあやっとられんので、そのうち子供なりに色々考える。

そして虫の多い真夏より、身体がまだ今年の毒に慣れていない初夏と

敵が有終の美を飾ろうとする秋がよく腫れることを究明。

真偽は確かではないがそう思い、初夏と秋を警戒して

湿布の在庫管理に余念の無い私であった。


また、敵は黄色を好むらしいのも知った。

帽子の色は黄色に決まっており、雨降りの前のムシムシした夕方なんて

みんなの帽子に群がるからだ。

何とかならないものかと思案したが、帽子を脱ぐと頭をやられそうで

勇気が出なかった。


祖父と父の不仲、明日にも離婚しそうな父母の夫婦関係

母の胃癌、意地悪な同級生…

私は色々なことと戦う子供であった。

だが、ブトのヤツがもたらす熱い立方体とも同じウェートで戦った。



5年生になって、突如として救世主現る。

救世主…それはパンタロン。


当時「ピンキーとキラーズ」というグループの歌が大流行していた。

ボーカルのピンキーがはく「パンタロン」という名のおしゃれズボンも

メジャーとなった。


やがて県内都市部にあるデパートの子供服売り場にも

パンタロンが並ぶようになる。

ピンキーに憧れていた私は、親にパンタロンをねだった。

おしゃれのつもりで入手したパンタロンだが

足全体を布地で覆うことによって、敵の襲撃がピタリと止まった。

刺されてからあれこれやるより、まず隠して刺されないようにする…

あれが予防の大切さを知った最初だったように思う。


こうして私は、図らずも熱い立方体に別れを告げることができた。

中学になると制服がスカートになったので、再び奴らに狙われることになるが

小学生の頃みたいには腫れず、やがて私のアレルギー時代は終わった。

成長して体質が変化したのかもしれない。

しかし私の性根が、ブトよりもっと強い毒を保有するようになったのも

一因ではないかと考えている。
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