「うぐいすの準備…座布団、毛布、手袋」
昨夜、ポスター貼りの係と、選挙カー搭乗員が集合して
最終的な打ち合わせをした。
爺婆だらけの陣営に似合わぬ、渋いイケメンが1人いると思ったら
このブログでお馴染みのカリスマ美容師、珍珍丸氏であった。
おおかたの人々が帰った後、私は候補と、出陣式の式次第の打ち合わせをする。
すでに届いている祝電を預かったので、忘れてはならぬと
裏の台所に置いた自分のバッグへ入れに行った。
そこで私は見たざんす。
事務局長と、消耗軍団のメンバーである清美が
薄暗い台所に、2人きりでたたずんでいるのを。
私が来たのを知ると、2人はパッと離れた。
事務局長は、そしらぬソブリで食器棚とにらめっこ
くるりと後ろ向きになった清美は、肩を震わせてすすり泣いているではないか。
「ごめんあそべ…」
すすす…と後ずさりをして、台所を出た私は
一応、うぐいす仲間のラン子に問う。
「あんた、清美に何か言わなかった?」
潔癖症のラン子は、だらしない清美が大嫌いで
髪をなんとかしなさい…きちんとした格好をしなさい…などと
いつも口うるさく注意していたのだ。
「何も言ってないわ…だって、口きいてないもん」
「泣いてたぞ」
「知らん、知らん、今日は無実よ」
じゃあ、あれはやっぱり…
私はその時点でやっと、すべてを理解した。
あの光景は、淫靡(いんび)というより、むしろコント。
なにしろ事務局長は、推定120キロ超の醜い肥満男
清美はざんばら髪の、暗くて薄汚い女だ。
力士と幽霊の組み合わせは、意外性のほうが大きい。
見てはならぬものを見てしまった、この喜びをなんとしょう。
この非常時に、ホワイトデーだ、事務局長の誕生日だと騒いでいたのも
どんなにモメたって、消耗軍団を優先してかばうのも
消耗軍団を追い出さずに、2階の一角を陣取らせたのも
数日で何事も無かったかのように、皆が階下へ降りていたのも
消耗軍団のうぐいす女の名が、いつの間にか選管への提出書類に記入されていたのも
み~んな、事務局長のしわざだったのね。
事務局長の口癖「みんな家族」は、こういうことだったのね。
「一つになろう」って、こういうことだったのね。
ギャオ~!
清美は、子だくさんの未亡人。
昔から地味でおとなしく、年は私より3つ下だ。
いつも金魚のフンのように消耗夫人にくっついている。
数年前まで、ある商店主の愛人だったのは、周知の事実だ。
落ち目になった彼氏の商売のために
自殺した旦那の保険金を巻き上げられたという噂は、私も聞いていた。
いつもポーッとしているが、爺でも何でも、とにかく男と談笑する時は
「ホホホ…ホホホ…」と、耳につく甲高い声で長笑いをするので
事務所の女性達の人気ワースト1である。
私ら女から見たら、ただの小汚いオバサンだが
男はえてして、こういうネットリとした影のある女を好むものだ。
特に、かわいそうや気の毒、ボンヤリやパーは、モテない君の好物である。
不倫とまではいかないにしても
こいつらは選挙じゃなくて、青春をやっていたらしい。
というわけで、明日から選挙戦に入る。
なんだか初黒星がつきそうな予感。
でも頑張りま~す!
あ、選挙カーの運転手は、事務局長でぇ~す!
昨夜、ポスター貼りの係と、選挙カー搭乗員が集合して
最終的な打ち合わせをした。
爺婆だらけの陣営に似合わぬ、渋いイケメンが1人いると思ったら
このブログでお馴染みのカリスマ美容師、珍珍丸氏であった。
おおかたの人々が帰った後、私は候補と、出陣式の式次第の打ち合わせをする。
すでに届いている祝電を預かったので、忘れてはならぬと
裏の台所に置いた自分のバッグへ入れに行った。
そこで私は見たざんす。
事務局長と、消耗軍団のメンバーである清美が
薄暗い台所に、2人きりでたたずんでいるのを。
私が来たのを知ると、2人はパッと離れた。
事務局長は、そしらぬソブリで食器棚とにらめっこ
くるりと後ろ向きになった清美は、肩を震わせてすすり泣いているではないか。
「ごめんあそべ…」
すすす…と後ずさりをして、台所を出た私は
一応、うぐいす仲間のラン子に問う。
「あんた、清美に何か言わなかった?」
潔癖症のラン子は、だらしない清美が大嫌いで
髪をなんとかしなさい…きちんとした格好をしなさい…などと
いつも口うるさく注意していたのだ。
「何も言ってないわ…だって、口きいてないもん」
「泣いてたぞ」
「知らん、知らん、今日は無実よ」
じゃあ、あれはやっぱり…
私はその時点でやっと、すべてを理解した。
あの光景は、淫靡(いんび)というより、むしろコント。
なにしろ事務局長は、推定120キロ超の醜い肥満男
清美はざんばら髪の、暗くて薄汚い女だ。
力士と幽霊の組み合わせは、意外性のほうが大きい。
見てはならぬものを見てしまった、この喜びをなんとしょう。
この非常時に、ホワイトデーだ、事務局長の誕生日だと騒いでいたのも
どんなにモメたって、消耗軍団を優先してかばうのも
消耗軍団を追い出さずに、2階の一角を陣取らせたのも
数日で何事も無かったかのように、皆が階下へ降りていたのも
消耗軍団のうぐいす女の名が、いつの間にか選管への提出書類に記入されていたのも
み~んな、事務局長のしわざだったのね。
事務局長の口癖「みんな家族」は、こういうことだったのね。
「一つになろう」って、こういうことだったのね。
ギャオ~!
清美は、子だくさんの未亡人。
昔から地味でおとなしく、年は私より3つ下だ。
いつも金魚のフンのように消耗夫人にくっついている。
数年前まで、ある商店主の愛人だったのは、周知の事実だ。
落ち目になった彼氏の商売のために
自殺した旦那の保険金を巻き上げられたという噂は、私も聞いていた。
いつもポーッとしているが、爺でも何でも、とにかく男と談笑する時は
「ホホホ…ホホホ…」と、耳につく甲高い声で長笑いをするので
事務所の女性達の人気ワースト1である。
私ら女から見たら、ただの小汚いオバサンだが
男はえてして、こういうネットリとした影のある女を好むものだ。
特に、かわいそうや気の毒、ボンヤリやパーは、モテない君の好物である。
不倫とまではいかないにしても
こいつらは選挙じゃなくて、青春をやっていたらしい。
というわけで、明日から選挙戦に入る。
なんだか初黒星がつきそうな予感。
でも頑張りま~す!
あ、選挙カーの運転手は、事務局長でぇ~す!