殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

フグ

2009年10月30日 08時38分59秒 | みりこん胃袋物語


秋も深まってきた。

冬が近い。

フグの季節がやってくる。


大好物のフグ…。

その中で最も愛する白子…。

この味を九州の仲居時代に覚えてしまった。


私の居た地域は価格も手ごろで、扱う店も多かった。

皆さん焼き肉と同じノリで、わりと気軽にフグを食す。

一介の仲居とて「勉強」と称してフグを食べに行った。


勤めていた店でも出していた。

フグのさばかれるありさまは痛々しい。

イケスから連行され、まな板の上に寝かされた彼(彼女?)…。

これから訪れるであろう運命を甘受するかのような

そりゃもういさぎよい横たわりっぷり。


まず何をされるかというと

突き出たお口をバッサリ切り落とされる。

歯が鋭いので、まず板前の安全を確保するらしい。


イテテテ…思わず自分の口に手を当て、つぶやいてしまう。

絶対フグに生まれたくない…強く願う。

すまんのぅ…フグ。


それから各部位に分けられ

ガーゼに包まれて、冷蔵庫へ安置。

困った部分は鍵のついたステンレスのケースへ。

ヒレは大きな板に標本のように貼り付けられる。

乾燥させてヒレ酒になるのだ。


おっと!ヒレ酒もこたえられん!

陶器のコップの底にヒレを数枚…

そこへ熱燗をなみなみと注ぎ、塩をひとつまみ。

対のフタをして、飲む前に開け

すかさずマッチで火をつける。

ポッ…と一瞬酒が燃える。

適度にアルコールが抜け、口いっぱいにひろがる香ばしさとうまみ。

カ~ッ!日本に生まれてよかったばい!


白子に戻ろう…

白い明太子みたいな形状をまるごと火葬…

いや、塩焼きにしてもらう。

そっけないほどクセの無い、とろりとした食感、滋味、甘み。

本来の役割りをかんがみれば

これほど期待を裏切ったまろやかな美味があろうか。


フグ刺しから少し遅れてご登場まします

荘厳かつシンプルなお姿に、思わずコウベを垂れるワタクシ。

主役を引き立てながらも、しっかり個性を光らせて引き締める…

そうね…まるでアイドル主演ドラマの脇を固める市原悦子。


こちらは白子どころか、フグそのものがあまり出回らない。

いくら好きだと言っても

スーパーのパック入り刺身や鍋セットは買わない。

もどきはいやじゃ。

気休めはいやじゃ。

目指すは天然トラフグじゃ~!


よって、免許のある料理屋に頼んで取り寄せてもらい

食べに行く。

家で通販という手もあるが、せっかくのフグ…

プロの手でふるまわれたい。

日頃つつましく暮らしているのだ…それくらいは許されるはずだ。


もちろん現地へ赴くに越したことはない。

だがセコい私は、旅費でもう1~2回食べられると考える。

今年も無事に生き延びて、フグと再会するんじゃ。


惜しむらくは、同行者。

家族はフグに興味を示さないので、相手は友人となる。

できればあんたじゃなくて、ステキな男性と座敷でしっぽり…

なんてことになりたいものだ…

いつもそう言い合う。

しかもそのおかたのオゴリであれば、言うこと無し。


フグの時だけは、なぜかそう思う。

フグの身の清廉な白さが

生々しさを昇華してくれるような気がする。


しかし貞淑な私は心配でもある。

フグの精巣(せいそう)という一種ハシタナげな食品に

目の色を変えて飛びつくワタクシをごらんになって

そのおかたは何とお思いになるであろうか。

スッポンを食べるのと、どっちがモンダイであろうか…。


“妄想に 胸を痛める 秋の空    

      そんな心配 デキてからしろ”  



あ、仲居の時、お座敷で作っていましたけれど

フグちりの後の雑炊は

少なめのごはんをサッと水洗いするのがコツです。                                 
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長い疑問

2009年10月27日 20時42分27秒 | 検索キーワードシリーズ


ずっと疑問だった。

検索キーワードの中の

『今夜の妻味』 『今晩のお妻味』

…これがコンスタントに増え続ける。

人食い人種?

いやいや、それとも夜な夜なお味見したい

よっぽど魅力的な奥様?

きゃ~!


ところが先日、ついに疑問は解消された。

『今夜のお妻み』というのがあったからだ。

ツマミだ…ツマミ…酒の肴。

“ツマアジ”としか読めなかったので

そりゃもう不気味だったど~。


『かえる姫、あなたに親はいないの???私の親が理不尽なの感じる???』

おそれながら、かえる姫様とそのお友達に申し上げます。

親ってのは程度の差こそあれ、そもそも理不尽なモンです。

まったく理不尽でない親というのを私は見たことがありません。


理不尽なんて言葉がもうわかるのですから

自立の日も近いと思われます。

現状を嘆くより、未来のために時間を使いましょう。


余談ですが我が家の場合、セガレも成長しますと

「こんな変な家に生まれてきたくなかった」

などといっぱしのことを言いおりました。


「何を言う!

 ここの子になりたい~生んでください~生んでください~って

 泣きながら頼んでたじゃないか」

「ええっ?」

「あれ?覚えてない?会議があったじゃん」

理不尽でしょ。


『浮気夫と暮らす』

なかなかいいもんですよ。

少々ホコリがあろうが、ごはんがまずかろうが

後ろめたいから文句言いませんもん。


自分の立場の悪さをごまかすために

居直って不機嫌期や逆ギレ期もありますが

一過性のものです。

いつまでもギャーギャー言ってたら

疲れて浮気どころじゃなくなりますから。

ずっとうるさい場合は、たいてい病気の前兆ですね。


『職場不倫を暴く方法』

わざわざ暴かなくてもすぐわかると思いますよ。

そういうことする男女って、見せたがりだから。

一つ「あれ?」と思ったら、たいてい当たってるもんです。


以前職場でうまく隠してるつもりの二人がいたけど

連休明けに一目瞭然。

同じ日焼け具合だし、二人とも両手首から先が白い“逆シャム猫”。

男性の趣味である沖釣りに行ったんですね~。

手だけ白いのは、釣り竿持つときにグローブしてたから。


乗馬でわかったカップルもいたっけ。

乗馬に行ったと話していたのは男性だけど

女の子もガニマタでワニワニ歩いてたもんで。


職場不倫する男って、周囲の同性に見せびらかしたいみたい。

秘密、秘密と言いながら

モテるんだな…いいな…

とか思ってもらいたいんでしょうね。

でも周囲は案外冷ややかに見てまっせ。


女のほうも「いよいよお披露目なのね!ドキドキ」

勘違いして、ノコノコついて行く。

二人っきりじゃ間が持たなくなってきたのも知らないで。

バカ二人、笑われてりゃいいんです。


暴いて何になりましょう。

そっとしといてやりましょうよ…

観察してるほうが、ずっと面白いですよ♪


もし検索したのが奥さんだったら…簡単です。

ボロい靴下や下着を着せていれば、そのうち終わりますよ。

「旦那の格好だけはきちんと…」

「妻としてのツトメが…意地が…」

そんなこと考えるから、シンドくなるんじゃ。

盗っ人に見栄張ってどうするんじゃ。


職場でタダでそんなことするのは、どうせろくな男じゃないです。

ボロがお似合いよ。ほほほ~!
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みりこん塾

2009年10月25日 11時26分01秒 | みりこんぐらし


夫が帰宅するなり、大きなため息をつく。

めんどくさいので放置。

昔はうっかり「どうしたの?」なんて聞いては

とんでもない事態に巻き込まれ、バカを見ていた。


「登れ、登れと女房を屋根に上がらせては

 ヒロシは下から火をつける…」

九州の親戚母娘は、我々のことをそう言ったものだ。

何十回も繰り返せば、さすがにニブい私でも学習する。


待っても反応がないので、夫は自ら話し始める。

姉のカンジワ・ルイーゼの言動にほとほと疲れた…

な~んだ…フツーの内容。


ルイーゼはこのところ

連日のように「会社をたたもう」と父親に進言しているという。

先の見通しも暗いし、余力のあるうちにケリをつけようと

強く主張する。


「あいつの魂胆はわかってる。

 親やオレたちを退職で片付けておいて

 タイミングを見て自分が引き継ぐつもりなんだ」

わたしゃず~っと昔からそう言ってるのに

今まさに自分が大発見したかのような口ぶりだ。


両親、夫、ルイーゼ…

働かない4人で、少ない利益を取り合うから大変なのだ。

利益を一点に集中させれば、まだ勝算はある。

55才になる亭主の定年が間近に迫り

ルイーゼは勝負に出たのだった。


本当にたたみたいなら、生き甲斐である“女性経営者の会”を

先に辞めるはずだ。

あの見栄っ張りが任期途中で

「会社をたたんだので副会長を辞任します」

なんて死んでも言うもんかい。

今日も張り切って町内の祭に参加…焼きソバの屋台出してるぞ。


私はいっこうに構わない。

おかげさんで子供も無事成人した。

一人になって、どこか遠い土地に流れるのも魅力的だ…うっとり。

しかし夫は、次男と二人で働く老後を夢見ており

年老いて判断力の鈍った父親が、娘の言葉で揺れるのを案じる。


よそで使い物にならない姉弟2人

いがみ合い、奪い合う繰り返しから、ええ加減卒業せぇ…

とも思うが、ケッタイな肉親というのは

悪魔のような他人よりヤッカイなのであろう。

また私のおセッカイが芽吹いてしまうではないか。


口べたな夫のため

「次にまたルイーゼが辞めようと言ったら」の設定で

ロールプレイング教室を開講…と言えば聞こえがいいけど

まあ、悪態塾だ。


おまえだけ辞めい!…ハイ!続けて!

「…おまえだけ辞めい…ハイ」

夫はマジメに言う。


“ハイ”は言わんでよろしい…

おまえの亭主を連れて来い!話はそれからだ!…続けて!

「…おまえの亭主を連れて来い…話はそれからだ…」


ルイーゼの亭主…つまり義兄は、妻の実態を知らない。

実家帰りを認めながらも、そのペナルティと称して家計を握る

抜け目ない銀行員でもある。

ルイーゼにとって唯一の泣き所だ。


ルイーゼの結婚に際して、毎日実家へ帰りたい娘と

毎日実家へ帰らせたい両親の心が熱く一致し

彼らは断りもなく(あるわけないか)

新婚間もない私の頭を大義名分にした。


何年も経ち、それは私の知るところとなる。

浮気中の夫が私にダメージを与えるためにぶちまけたし

「見た目はわからないのに、かわいそうに」

と義兄の両親が私を見てつぶやいたからだ。


弟の嫁の知能に問題があるため

妻はしかたなく実家に通っている…

その時説明されたとおり、義兄はいまだにそう思い込んでいる。


以前に一度だけ

抱いたら「ミャー」と鳴く人形を私にくれた。

気の毒な義妹への旅のミヤゲであった…。

めったに会うこともないので

彼の思い込みを裏切らないよう振る舞う

サービス精神旺盛な私よ。


…この塾が役に立つとは、とうてい思えない。

しかしこれを口実にビシバシ鍛えるのは

なかなか痛快である。
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フィギュアスケート

2009年10月22日 17時17分28秒 | みりこんぐらし


老体にも容赦ない夏の暑さをようよう乗り越え

マフラーやコートが気になる季節を迎えると

私の心は騒ぐ。

大好きなフィギュアシーズンの到来だ。


スケートは紀元前…中学生の頃

一度だけおデートで行ったことがある。

何人かのグループで、電車で2時間かけてはるばる出かけた。


スケート靴をはいて床が普通に歩けるのに驚き

「オラって天才?」

などといい気になっていた。


さっそうと氷の上に立った途端、すってんころりん。

ひ~!パンツまでビショビショじゃわ!

床の上は誰でも歩けるのね…。

一緒だった男もナンだったが、自分にスケートは向いてないことを悟る。


以来テレビでフィギュアスケートを見るのが

好きになってしまった。

自分には絶対無理なことを軽々とやってのける

世にも美しい若者たち…

ああ…素晴らしい!


個人的には伊藤みどりのキレのある滑りが好きだった。

ここ数年は、何と言ってもマオミキであろう。


マオとキム・ヨナのライバル関係もステキなんだけれど

腐ったオバサンとしては、同じ日本チームという

狭い囲いの中での色々のほうがソソラれるのじゃ。

巫女(真央ちゃん)とキャバ嬢(美妃ちゃん)…といった対比も

おお!好ましい。


特にミ○(今さら伏せ字)とあのコーチ…

組んだ頃からナンカありそうと踏んでいたが

やはり噂があるそうではないか。

今後を見守りたい。


“中○○○里”

白くて美しい。

画面からも優雅で柔らかい雰囲気が伝わってくる。

きっと性格もいいのだと思う。


私にとって最大の見どころは

得意技のドーナツ・スピンではなく、ジャンプ。

回転する時、足が数字の4の字になる

彼女特有のスタイルだ。

まあ、早い話が「シェー」のポーズ。


「おまえがやってみい!」と言われたら困るが

もしあれを修正したら、もうちょっと点数が上がるのでは?

などと、常々しろうと頭で身勝手に考えていた。

本人も気にしているのか、最近はシェーが減ってきている。

増やしてほしい。


“キャ○○○○・○ャン“

世界で彼女しか出来ないというパール・スピン。

真珠が好きな私は、パールと聞くとつい反応してしまうのよ。

パール・スピン…なんと美しい響き…うっとり。

これを見ずにおらりょうか。


楽しみはもうひとつ。

体の柔らかさも世界一らしく、ジャンプの前に体をひねる。

ひねった反動を利用して回転する。

竹トンボみたいな子だ。


飛び上がる寸前に、いったんグラッとよろめく感じで体が沈む。

「おっかさん…おキャロは頑張ります…」

痛々しいほどの可愛らしさ、けなげさに涙が出てくる。


“キ○・○ナ”

可愛い!うまい!…そして強い!

もう賞賛はあちこちで謳われているので省く。


しかし先週のフリーで、ちょっとびっくり。

ああっ!マ○ちゃんの見せ場…

連続ジャンプの2回目で、ひょいと片手を上げる技。

あれをやっているではないか!


もう一つ…昨シーズンの最初の頃、フリーでマ○ちゃんがやっていた技。

負担が大きかったのか、シーズン途中でやらなくなったやつ。

スピンしながら上体を上向きに倒し、両手を頭のほうへ持って来て

「困ったな」みたいなポーズ。

あれも取り入れているではないか!


「ふふん…どう?」

なんて言われてるみたいで、なんか複雑な私よ。


“ジョアニー・ロシェット”

ジャンプで着地した時にパッと両手を広げ

「どうだ!」みたいなポーズをするのも

かっこよくて見逃せない。


“チョッキ”

演技前と、演技が終わって採点を待つ時

日本の選手は皆、衣装もムードも台無しの

黒い変なチョッキを着せられる。

スポンサーだからしかたがないのだろう。

あんまりだ…などと思いながら見るのも

また楽しい。


スイマセン…勝手なことばっかり言って。

応援してます。
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十八番(おはこ)

2009年10月19日 20時53分09秒 | みりこんぐらし


初対面の人によく言われる。

「絶対O型だよね」

「焼き肉に生ビールで、カラオケ歌いまくるタイプでしょ」

勝手に決めんな!


A型です…和食とワインが好きです…

カラオケボックスなんて、仕事のつきあいで

生まれて4回しか行ったことないですっ!

…昔はムキになって否定していたような気がするが

今はどうでもいい。

「あら、わかりますぅ?」

と言っておく。


長く生きていると、だんだんわかってくる…

初めて言葉を交わした相手に

そんなぶしつけなことを平気で言うようなヤツと

今後長いつきあいになることは、まず無い。


目の前で事故に遭い「この人の血液型はO型ですっ!」

と言われる心配は無用なのだ。

焼き肉が好きだったと言われ、仏前に供えられる懸念は必要ないのだ。

よってプロフィールが少々違ったってかまわん。


しかしカラオケ!

最近時々やるのじゃ。

バンドのメンバーで集まる同級生の店に置いてあるからじゃ。


こないだは「マドンナたちのララバイ」を歌ってしまった。

喝采?に気をよくし「時の流れに身をまかせ」

さらに一番お得意の「ハリウッド・スキャンダル」まで。

不覚…。

しかもこの次は「涙そうそう」を歌うつもりになっている。

危険じゃ…。


新しい歌より、やっぱり昭和歌謡が盛り上がる。

昭和の人ばかりだから当たり前か。

気の置けないメンバーなので、気楽に選曲できる。


職場の宴会では、年長者が退屈せず

座の盛り上がるものが私の第一条件。

内輪の遊びならいざ知らず

こういう場で何も考えずに自分の歌いたいものを歌うのは

ガキの所業と軽蔑しているからだ。


民間企業に勤めていた頃は、皆若く

歌の得意な宴会係が何人もいた。

私の番が来たら、ユーミンのモノマネで

お茶を濁しておればよかった。


しかし病院は勝手が違う。

こちらは身分がすべて…ドクターと管理職が歌う時以外は

雑談タイムになる。


判で押したように石川さゆりや吉幾三…

若いモンは、実力無視の新しい歌…

まばらな拍手の中、頬を染めて小走りに席に戻る「歌手」。

私なら耐えられない。

シモジモである給食には、歌う番すら回ってこなかったので

たいへん楽であった。


ところが管理職が変わり、給食も誰か代表で出す決まりになる。

人前で何かすることに慣れてない者ばかりゆえ

醜いなすり合いになるわけだが

あんまり長引いても無粋なので、私が名乗り出る。


よそう、よそう…と思っていても

つい芸人の血が騒ぐ。

曲は山本リンダの「狙い撃ち」。


もちろんオーバーアクションの振り付けあり。

なにせ歌のほうがサッパリなので、この路線でごまかすしかない。

芸でなく、選曲だけでウケを狙う横着モンの私よ。


…次の宴会からは看護課長に十八番を奪われ、万事休す。

前回どえりゃ~盛り上がったので、取られちまったのさ。

誰がやってもウケる、とっても便利な曲だった。


私の番が回ってきたので

少ないレパートリーの中から

しかたなくフィンガーファイブの「学園天国」を

アキラになりきり歌う。

この曲もそこそこ盛り上がるのだ。


大事な所ではパッパラパーなのに

しょうもない所で妙に気を使うのが私の悪い癖。

よってカラオケは精神的に疲れるから苦手であった。

カラオケなんて…とどこかバカにしていた部分もあった。


いまさらハマることはないと思うが

ちょっと楽しくなってしまったぞ。

歌の上手い人って、気持ちよく歌えて楽しいだろうなぁ。


皆さんはいつも何を歌われますか?

よかったら教えてください。
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ゾウキンのてんぷら

2009年10月17日 07時41分09秒 | みりこんぐらし


義母の通販生活は相変わらず快調だ。

先日「今なら2週間分のサンプルが、なんと千円!」

とCMしているサプリメントを買っていた。

でもテレビで見る小さい袋とは違って、箱が届いている。


「電話したら、病気の悩みを親身に聞いてくれてね…

 深刻な状態だし、サンプルじゃあすぐ無くなるから

 夫婦で3ヶ月続けて飲んでくださいと言われた…」

“深刻”と言われ、満足そうな義母。


サンプルが欲しくて電話する者は、体調になんらかの悩みがある。

カウンセリングしてから押せば

家族の分まで簡単に買ういいカモだ。

千円のサンプルは、ほんの“まき餌”。

義母が値段を言わないところを見ると、高かったらしい。



「もしもし…ヤマダですけど

 ヨシキ君いらっしゃいますか?」

一昨年あたりからだったと思う。

たまに若い女の子から次男に電話がかかることがある。

明るくフレンドリーに言われると

ガールフレンドだと思って、うっかり取り次ぎそうになる。


しか~し…

親しいそぶりなのに、いまどき家の電話というのも怪しいけど

こんなハキハキした塩のきいてそうな女の子が

うちのユルオなんぞ相手にするはずがない。

母がシャットアウト。


だが毎回防ぐのはさすがに無理。

時には最初から次男が電話に出ることもある。

セールスの仕事でランダムに電話をかけた…彼女は言う。

でもおしゃべりしてるうちにすっかり次男を好きになり

会ってみたくなったとおっしゃるそうだ。

運命の出会いというやつ。


今、展示会の最中だけど

抜け出すから何時にどこそこで待ってて…

などと言われ、会う約束をする。

彼女が働いているのは、絵や宝石の展示会。

これが最終目的だ。


「オレ、ビッグマックが好きだからさ~

 ポテトと一緒に2個買って来てくれる~?」

次男は言う。

「わかった。じゃあ、マクドナルドの袋が目印ね!」

そして約束の時間…彼は行かない。


長男にはまったくその現象が起きないところを見ると

ポイントや特典の類が好きな次男は

あちこちで個人情報を垂れ流しにしているからだと思う。



そんな会話をしていたら

話に入りたくなったのか、夫がポツリと言った。

「出会い系も今頃はそんなのが多いらしいな」


何度かメールのやりとりをして盛り上がり

会おうという話になる。

しかし多忙な彼女は、なかなか時間が取れないとおっしゃる。

そこである名案を思いつくらしい。

自分の会社で扱うプリペイド・カードを買って欲しい…

ポイントも付いてお得だと。

「そしたらカードを渡す口実で、仕事中に会えるでしょ」


出会い系で知り合ったのがたまたまカードの売り子…じゃなくて

最初から業者が介入しているサクラなんだそうだ。

メールの相手も、本当に女かどうかわかりゃしない。


「買わない」と言ったらそれっきり。

買うと言ったらどうなるであろうか…

「先に代金を振り込んでくれたら、カードを持ち出せる」

とかなんとか言うんだろうな。

どっちにしてもそれで終了だ。


「いや、人から聞いた話だけどね」

夫は急いで言う。

「だからお前たち、気を付けろよ。

 ゾウキンのてんぷらが増えてるからな」

笑いをこらえ、うなづく子供たち。


体裁と実態に落差があることを

夫は昔から「ゾウキンのてんぷら」と表現する。

衣をまぶして揚げれば、エビだかゾウキンだか

パッと見で判別できないという意味だ。


「ダ~メダメ…あいつはゾウキンのてんぷら」

そう言い捨てる対象を見ると、実に当を得ている。

他人のことはよくわかるらしい。


「あんたはどうなのさ」

と言いたいのをこらえる必要はあるものの

いつも感心してしまう。


…ところで先日の誤送信もそれか?と聞いてみたかったが

武士の情けじゃ…深追いはよそう。
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妖怪カタリ

2009年10月15日 10時44分04秒 | みりこんぐらし


そいつは、夜にやって来る。

寝ようとすると、忍び足でやって来る。


いつの間にか私の部屋に入り込み

おごそかな儀式のように

ピシャッ…

パタン…

ドアや窓を閉めて、部屋を密室にする。


テレビが消され

部屋はにわかに夜半の静けさに包まれる。


煌々と灯る明かりの下

そいつは私の顔をのぞき込んでニヤリと笑う。

そして低い声でこう言う。

「さあ…奥さん…語ろうか」


「語ろうか」と言っても

しゃべるのはほとんどそいつだ。

とりとめのない話が延々と続く。


うつらうつらすると、お腹の肉をつまむ。

「奥さん、このアブラミはどうするつもりだね?ええ?」

と厳しく追求される。


「今日の弁当にゆで卵が入ってなかったぞ」

苦情も忘れない。

おまえは板東英二か…。


ひとしきり語ると、何か食わせろと要求する。

せっかく片付けたキッチンへ行き

しぶしぶ夜食を作る。


食べ終えると

「じゃ」

と言って立ち上がり

悠々と去って行く。


週に一度はやって来る。

妖怪カタリ…次男のことである。
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どっちもどっち

2009年10月13日 11時05分09秒 | みりこんぐらし


時期はまだ先だが、我が市の市長選が予定されている。

昔から、市長には金持ちのボンボンがなることに決まっていた。

そこに群がる魑魅魍魎が、身内や知り合いを優遇した市政を展開する。


誰が市長になろうと関係ない。

なりたい人がなる。

我々一般市民は、それが当たり前だと思っていた。

世の中も、それでつつがなく回っていた。


ところがここに来て平成の大不況。

市は順調に衰退の一途をたどり

トップにもリーダーシップや経営能力が問われる時代となった。


どこも似たようなものであろうが

人口も税収も減り、雇用先もほとんど無く

上向きなのは老人比率だけ…

我が市の状況を考えると、名誉だけ欲しがるお人形を

おおらかな心で据えておくのは難しくなってきたかもしれない。


最近、連続当選中の市長に異議を唱える者が出て来て

この分だと次の市長選は、市を二分しての一騎打ちになりそうだ。

無能だが身辺の清い市長と、やり手だが女癖の悪い対立候補。

どっちがいいだろうか。

どっちもどっちか。


「このさい女癖には目をつぶったらどうだろうか…」

こういうことには甘い夫。

「家庭ひとつ平和を保てない者が市どころの話では…」

奥さんも現愛人も知り合いの私。


結論が出ないので、取り巻きの顔ぶれを見る。

「あっ!市長の方はオレの大嫌いなHがいる!」

前の選挙を手伝ったことで出世し

勘違いしている横柄な嫌われ者だ。


「あっ!対立側にはもっと嫌いなSが!」

自分ちの商売がさっぱりなので、この機会に起死回生を狙う

これまた嫌われ者。

どっちもどっちだ。


夫と政治談義をするのは、なかなか面白い。

なにしろヒマなので、若い時から選挙カーの運転経験が豊富。

田舎では、自営業の2代目は選挙活動に駆り出されるのが常識なのだ。

よって候補や陣営の人となりには、私より詳しい。

政策すなわち人であり、人すなわち取り巻きであるという面では

意見が一致している。


夫のみならず、私もうぐいすとして

それぞれ選挙活動に深く関わる機会が

人様より少し多い。

しかし、それによって得をしたことが一度も無いのが

かすかな誇りである。

いやむしろ、選挙で得をする人間にだけはなりたくないと

強く思っている。


昔のようにはいかないが

非日常的な興奮状態の中、おいしい話のひとつやふたつ

転がっているのが選挙だ。

それを目当てに集まって来る者も多い。


日当をもらっておきながら、この上

商売や就職などで世話になろうという根性が嫌なのだ。

男でも女でも、必ずいる。

候補にはもちろん、そこで知り合った誰かに取り入るヤツが。


だから選挙は、終わった後が面白い。

のこのこ転職して、何年か後に風向きが変わると冷や飯…

なんてのを見るのも楽しい。

誰かの世話になったら、楽しめないじゃないか。


話が来ても断る。

そして自分で探した病院なんかに就職してエライ目に遭う…

我ながらバカだ。


夫なんて、日当ももらわないことが多い。

義父は、支援する候補に息子を差し出すのが喜びらしい。

もちろん、それで仕事上良かったことは何ひとつ無い。

あったら経営はもっとマシであろう。


差し出される夫のほうも、選挙が好きなのか運転手が向いているのか

声がかかると喜んで行く。

やっぱりバカだ。

夫と私…どっちもどっちである。



さて、文末で恐縮ですが

私のお粗末なブログも、今日でちょうど1周年となります。

コメントしてくださる皆様、読んでくださる皆様

いつも本当にありがとうございます。

感謝しています…ぺこり。
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フレッシュさん

2009年10月10日 12時31分50秒 | みりこんぐらし


『うん訳あって離婚したよ
 
 実は奥さんが…好きな人ができて…

 うちの小姑との喧嘩が原因でさ~

 僕が二人の間で上手く立ち回れなくて…(^_^;)

 別れた奥さんとは 今は 友達として話をしてるよ…』

こんなメールが前置きもなく届いたら、皆さんはどうされるであろうか。

夫から…。


ことの起こりは昨日の朝。

いつになく夫とメールのやりとりを2回した。

仕事のことで「8時着なのか、8時発なのか」が

夫の説明ではよくわからず、着か発かをたずねた。

電話すれば早いのだが…ホンネを言おう…声が聞きたくないんじゃ。


揚げ物をしていた私は、3度目の着信音が鳴ったので

夜勤から帰った長男に見てもらう。

長男…大爆笑。

「奥さん、これは自分でごらんになったほうがいいと思いますよ」


悪いことはできないものである。

そのやりとりの合間に、別件のやりとりもあったらしい。

例のごとく、夫は送信先を間違えたのだ。

こんな時、私は神の存在を感じる…ぷぷぷ。

 
「ねぇねぇ、なんて返そうか…」

長男に相談する。

「オレに返信させて!死ねって送ってやろう…」


よしなさいよ…ギャハハハ!

などと大笑いしているうちに、次のメールが届く。

『どう?かあさん 

 さっき○○工業のナガノが来て 離婚したと言ってたから 

 かあさんの ブログのネタにならないかなあと思って』


…おまえがなぁ、いつも色々やらかしてくれるから

 ネタには困らねぇんだよ…


「あわててるよ…」

また長男と二人で笑いまくっていると、さらに次が届く。

『変な送り方したから 勘違いしたかもしれないけど

 ナガノに聞いた話だからね』


どこまで笑いを提供してくれる男だろう。

ブラボー!夫!

秋風と共にツルコとは終わり、新しい相手を見つけたようだ。

こんにちは!フレッシュさん!


ここまでは楽しいのだが

自分でミスっておいて居直るのが夫の悪いところ。

ま、逆ギレするのが一番楽であろう。

帰るなり荒々しい素振りで怒鳴る。

「おいっ!本当にナガノが会社に来たんだからなっ!」


「ナガノ君、大変だったんだねぇ」

と笑顔でサービスするが、夫はまだ安心できないらしい。

今度はハイテンションでしつこくしゃべる。

「あのおとなしそうな女房が、まさか不倫するとはね」

「ナガノ、これからどうするんだろ」  


…まだ言ってら

 猿芝居に人の名前を使うなとあれほど注意しただろがっ…


残念ながらナガノ君は婿養子。

どう頑張ったって、女房と小姑との間に立って苦悩する立場にはなれない。

優しい!私は、もちろんそんなことを突きつけてなじったりしない。

かわりにおだやかに言う。

「見苦しいで」

やれやれ…静かになった。


メールがあった時、笑うのは早めに切り上げて

忘れないうちに返信しておけば良かったのだ。

「びっくり!ナガノ君、離婚したの?

 仲良かったのにね。 

 ネタをありがとう♪」

これなら百点だった。

まだまだ修行が足りん。


妻が浮気して離婚した…

小姑との仲をうまく調整できなかった自分にも非がある…

二十何年、夫が使い続けている卑怯な手口だ。

不可抗力によるバツイチを装い、なおかつ自分を責める素振りをすれば

刺激を求める女は殺虫剤みたいにイチコロらしい。


いくら根性が腐っているとはいえ、進歩が無いにもほどがある。

自分の姉を恐れ嫌い、存在自体を悩みのタネにしているのは

私じゃなくておまえだろ。


腹立たしいとか、プライドとかの問題はすでに無い。

ある日突然、一人の男を誰かと共有する羽目になったことから生じる怒りは

単に現状が変化する恐怖と、情報不足からくる不安だと

経験から知った。


妻である自分について、女にいい加減なことを言われても

どうでもいい。

ウソを信じて、舞い上がるだけ舞い上がっとれ。


私に好きな人が出来た…と言われるからには

ぜひとも期待にお応えしたいところではあるが

今のところ、その予定は無い。

この年齢に見合う独身男となると、ろくでもない爺さんか

女一人幸せに出来なかったダメオくらいしかいないし

向こうも迷惑であろう。


さて、風呂から上がると、夫が仏頂面で2万円を差し出す。

「くれるの?」

何も言わないので、ありがたくもらう。

小姑と喧嘩のあげく男をこしらえて離婚した私への慰謝料は2万円らしい。

安っ! 
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台風

2009年10月07日 15時57分14秒 | みりこんぐらし


台風が近付いている。

病院の厨房へ勤めていた時は

台風や大雪はもちろん、事故だろうと病気だろうと

何が起きても…そう…死んでも行かなければならなかった。


一人ないし二人きりで作業することが多いので

「行けません」では済まされないのだ。

雪が降るらしい…台風が来るらしい…そんなことになると

私たち町外からの通勤組は震え上がった。


地元なら這ってでも行けようが、遠い者は文字通り命がけである。

道中で何か起きた時のために、1時間以上早めに出勤する。


「間に合わなかった」ということになれば

地元在住の上司に病院中に言いふらされたあげく

いつまでもネチネチと持ち出されるからだ。

言われるのは平気だが、低賃金・重労働の上に

人間関係がややこしい職場で

長々と面白くない目に遭うのは避けたい。


昔、道路が閉鎖になったことがあり

十数キロを徒歩で出勤した猛者がいたという。

それを引き合いにして

怖いなんて根性が無いと非難するのだ。


ただし、その頃は厨房の皆が公務員だった。

業務に金銭の差を持ち出すのは不本意であるが

この仕事では食べて行けないパートに

そこまでの根性を望むのはおかしい。

もちろん「交代してやろう」ということは一切無い。


私は一度包丁でうっかり腕を切ったことがあった。

あら?おててがぱっくり…血がザーザー。

病院は内科専門だが、幸い器用なドクターがいて

救急パックを使って4針縫ってくれた。


縫ったその足で厨房へ戻り、調理も洗い場もゴム手袋をしてすませた。

ギリギリの人数で回しているので、代わりがいない。

しかも人の出入りが激しいので、相棒はいつも新人。

やり甲斐みたいなものも多少は感じるが

人数に余裕が無いのは、こんな時不便である。


人気者のドクターに縫ってもらった上

治療費をタダにしてもらったことで

上司は長いこと妬けてブツブツ言っていた。


「不注意で他の患者様を待たせてまで…」

などともっともらしく、あらぬ方向へ論点を運ぶ。

そんなにうらやましいなら、自分も切ってみればいいのだ。

なんなら手伝ってやるぞよ。

ま、その程度の職場である。


数年前に大型の台風が来た夜

仕事が終わる頃には外は大変なことになっていたが

なんとか帰れそうなので、病院を出る。


「私、コールド(マッサージクリームの昔コトバね)がもう無いのよ」

同じ町から通う同僚が言うので

帰りに一緒に買物しようということになる。


誰も通らない突風吹きすさぶ海岸線を

2台ぴったりくっついて走る。

こんな時、大きい車の方が前を走って安全を確保するのだ。

前日の夜に遅番だった者は、翌日が早朝勤務と決まっているので

どちらか一人でも生き残り、翌朝の患者食に備える必要がある。


道路が海に向かって一直線に走る難所で

信じられないだろうが、3ナンバーの私のミニバンは

一瞬確かに浮いた。


我が町のスーパーまでたどり着くと真っ暗。

早じまいしていた。

当たり前だ…こんな夜に開いているほうがおかしい。

各自大笑いしながら、そのまま解散。


きれい事かもしれないが

「患者さんが待っている」という強い気持ちがある限り

何かの存在によって、ある程度は守護されていたような気がする。

だから、そんなに怖れるほどではなかったのかもしれない。


今は家に居て、その守護も消滅しているであろうから

じっとしているに限る。

社会の役に立ってない私なんぞ

ノコノコ外へ出たらひとたまりもないだろう。


今回も大型らしいので、皆様、くれぐれも気をつけてくださいませ。

それだけ言いたかったの。
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幸福詐欺

2009年10月06日 18時23分49秒 | 前向き論


結婚をエサに金品をだまし取り、結婚しない。

それを結婚詐欺と言う。


では籍さえ入れれば、ウソをついてあざむいたり

金品をだまし取ったり、不幸のどん底に突き落としてもいいのだろうか。

それも詐欺ではないのか。

ぶら下げるエサの種類で名前が決まるらしいので

これはさしづめ幸福詐欺か。


それとも籍を入れると

「少々だまされてもいいですよ」と許可したことになるのか。

なるらしい。

血が出た…息をしていない…などのわかりやすい結果とならない限り

詐欺師はシャバでのうのうと暮らし、罪を重ねる。

詐欺師のくせに。


が、仕方がない。

「必ず幸福にします」という言葉を額面通り受け止め

詐欺と見抜けなかったほうも悪いのだ。

見抜けないまま婚姻という契約を結んだ

無知の罪というのは、あると思う。


「幸福にしてもらおうなんて思っちゃいない…

 せめて害を与えないでくれ…」

幾度思ったかしれない。

あ、これ、全部私のことですからね。


夫と知り合った経緯は、まだ話していなかったと思う。

出会いは高校3年の夏であった。

受験勉強に忙しい時期ではあるが、私はこの期に及んで

まだ将来のことをはっきりと決めかねていた。


進路の決まったクラスメイトの中には、アルバイトをする者もいた。

その子が「用があるので1日だけバイトを代わってくれないか」

と言った。

何人も断わられ、たいして親しくもない私に回って来たのだ。

バイト先は喫茶店。

家に知れたらぶっ飛ばされるだろうが

バカな私は人助けをしたつもりでいた。


そこで夫と会ったんじゃ。

常連客として店に入ってきたその男を初めて見た瞬間

「あ、結婚相手だ」

とわかった。

一目惚れとか、そういうのではないんじゃ。

極めて事務的な感情であったと記憶している。


熱烈なアプローチに引き気味ではあったものの

紆余曲折を経て、結局そいつと結婚する。

プラッシーを飲ませてくれるのも確かに大きかったが

優しくて一途なのが最終判断の材料だった。

優しくて一途が自分だけに向けられていると思い上がっていた

青い私よ…

それが誰にでも適用される彼特有の症状と気づかなかったのが

敗因である。


この結婚の危険性を早くから察知していた祖父は

私が白無垢を着込んで実家の玄関を出る瞬間まで

「考え直せ」と言い続けた。


「おじいちゃん、もう無理ですよ」

「あきらめて、笑って送り出してやってください」

両親がたしなめる。


白無垢のスソを握って

「今ならキャンセル出来る…ワシが全部する…」

追いすがる祖父。

「そげんこと、できんわっ!」

バーッとスソひるがえして振り払い、実家を出た私。


花嫁支度をする時、着付師の着たドレスが

ストーブに当たって炎上した。

激しい結婚生活を暗示していたのかもしれない。


結婚してすぐ、前につきあっていた女性と別れていなかったことが発覚。

出会いの場となった喫茶店のママのペットだったことも発覚。


さらにバイトを交代したクラスメイトとの交際も発覚。

彼女は後から現われた私が夫を奪ったと恨み

結婚後も実家を連絡先にして会っていた。

義母ヨシコや、夫の姉カンジワ・ルイーゼがこっそり取り次いでおり

何も知らないのは私だけであった。


新婚時代は両親と別居だった。

たまたま夫の実家で夕食中、電話に出たルイーゼが夫に耳打ちした。

その様子がいかにも意味ありげだったので、夫より先に電話に出てやった。

…とんだところで同窓会。


即離婚!といきたいところだが、お腹にはハネムーンベイビーが…。

祖父を振り切って嫁いだ手前、意地で水に流すしかなかったのである。


では私は、呪われた結婚生活に耐えた立派な妻と言えるのか…。

言えやしない。

長男を妊娠中、25キロ太った。


夫の秘密を次々と知るうちに、食欲に走ったと言いわけもできようが

私はしない。

自己管理を怠ったのだ。

ただ食った…食いまくった。

167センチ50キロだった身体は、みるみる膨らんだ。

やがて夫よりも愛する対象が生まれ

私の中でそれは、夫の結婚前の問題が片付いたという扱いになる。


「詐欺だ!」

そんな私に夫は叫ぶ。

「オレは確か夏目雅子みたいな女と結婚したはずだ!」

(あばたもエクボの類と思っておくんなせぇ…)

夏目雅子は、サナギからブタに変身したのであった。


「結納金返せ!」

詐欺師に詐欺と責められるのも情けないが

いやはや…これも立派な詐欺であろう。
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電話機リース詐欺

2009年10月04日 17時18分22秒 | みりこんぐらし


昨夜、私は例のごとく夫の会社で

いっこうに上達しないアルトサックスの練習に励む。

この日は夫も一緒で、私が練習する横でテレビを見ながら耐えていた。


帰り際、夫の姉カンジワ・ルイーゼのデスクに置かれた

クレジットの申し込み用紙に目を止める。

ルイーゼの字で義父の名前がすでに書き込んであり

印鑑も押して提出するばかりになっている。

しかも連帯保証人、夫になってるし。

夫、知らないって言うし。


この女、いったい何を買うつもりだ?

「ローンは嫌い、カードもイヤ、経営学を学んだからこそ現金主義よ」

なんて日頃言ってるくせに、人の名前だったらええんかい。


こんなものをポンと放置して帰るのがルイーゼじゃ。

しかしなんだか違和感が…。

業者の担当者のサインが、野生のカンを刺激する。

歌手じゃあるまいし、いい加減な崩し書きで絶対読めない。

こんなのにロクな人間はいない。

しかも社名…社判でなく手書き。


月1万7千円ずつ84ヶ月…つまり7年の契約で、計142万円あまりになる。

百万を越える取引で、業者側が社判を用意してないのは非常識だ。

クレジット用紙を持ち歩く営業との信頼関係が無い…

つまり流しの営業なので、あらかじめ押印したものを持たせられないか

この取引をナメているかのどちらかである。

いずれにしてもうさん臭い。


社名の字も汚くて、ナントカ機器(株)としかわからない。

不明瞭な字を書く身の上で、筆記のついて回る仕事につくこと自体

そもそもおこがましくて信用ならんというものだ。


夕方、ニュースで見たばかりだった。

電話回線もデジタルになるので、今までの電話も回線も使えなくなります…

工事は高いので、皆さんリースになさいます…

クレジットにして、経費で落とすのが常識です…

これに変えると、電話料金も安くなります…

そんな手口の詐欺が横行しているらしい。


それで通信費が浮くなら…とうっかりその場で契約してしまうという。

いくら通話料が安くなるといっても、たいして変わるわけではない。

経費が浮くどころか、結果的にはリース料が新たな負担となる。

しかし、今の電話は使えなくなる…と先に言われているので

カモの頭はすでに納得しているのだ。


月々わずかな金額でつつがなくデジタル回線に変更できて

通話料が安くなり、しかも電話機まで新しくしてくれる…

なんだかお得と思ってしまうらしい。


リースは品物ではないので、クレジット会社を通すと

中途解約が出来ないそうだ。

だから連帯保証人が必要なのだ。

契約者に何があろうと、7年間は支払いから逃げられない。


ネットでも調べてみたが、やはりその手の詐欺が増えているとあった。

契約期間はたいてい7年。

事業所を総当たりで回る。


だまされてしまうにはワケがある…NTTの名前を使うからだ。

さもNTTに依託されているように振る舞うそうだ。

実際にNTTの製品を使うそうなので、まんざらデタラメではないのだ。

その用紙にもしっかり

「物件・NTT・電話機・コードレス・数量各1」

「物件・NTT・ナントカ(読めない)料・数量1」と書いてある。

字は汚いくせに、NTTの文字だけははっきり書いてあるのがいまいましい。


その場で捺印させて契約完了に持ち込むのが作戦だが

さすがルイーゼ、会社の電話番号を家と書き間違えていた。

送り返されたものを書き直して訂正印を押し

向こうが取りに来る前に私が発見する展開になったと思われる。


営業に来たのは、ルイーゼ好みの男性だったに違いない。

でなければ、ルイーゼが簡単にクレジット契約をするはずがないのだ。

女やブスオが来たなら、たとえ必要な用件でも絶対追い返す。


こいつ…サギられてんじゃん。

まったく危険な女じゃ。

しばって家に閉じ込めておいたらええんじゃ。


業者の住所と電話番号だけはなんとか読めるので

電話して文句言ってやろうとしたが

いや待て待て…自分の会社じゃないし…と思い直す。


後の処理は夫に任せて、この件はこれにて終了。

何度痛い目に遭っても、そこは姉弟…

バカだ、オトコ病だ…などと最初は一緒になってワイワイ言ってるのに

そのうち夫は機嫌が悪くなるからだ。


身内の恥ではあるが、こちらに来てくださる方に被害が無いよう

公表させていただいた。

え?今さら恥も外聞も無いだろうって?

その通り!ププッピドゥ~♪
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他人のそら似

2009年10月01日 10時59分08秒 | みりこんぐらし


この間スーパーに行った時、高校の同級生を発見して駆け寄った。

「ヤマシタさんっ?」

久しぶりね~!ここで働いてるの?などとしゃべりまくる。


ものすごく嫌そうに

「私、ヤマシタじゃありません」

と冷たく言われ、謝ってとぼとぼ帰る。 


道でガムを踏んづけたようなあの表情…たびたび間違えられていると察する。

だって、生き写しだったのだ。

この世にはそっくりな人間が、自分を含めて三人いると言うが

そのうちの一人に違いない。


私の場合は、すでに残り二人に出会い済み。

この世どころか、ごく近くでだ。

いくらありふれた顔といっても、ほどがある。


顔はありふれているが、身体がありふれていないところに問題が生じる。

身長167センチ・体重62キロ…これが私のイレモノである。

反応に困る微妙な数字じゃろ?

ま、繊細(せんさい)可憐(かれん)華奢(きゃしゃ)地区からは

ずいぶん遠い村に住んでるわけよ。


田舎でこのサイズの中高年女性は、まだ少ない。

自慢じゃないが…自慢にならんか…以前はもっと太っていた。

メイド・イン・ジャパンのありふれ顔に

縦も横もデッカちゃんの特徴的な身体がくっついていることによって

同じ人物と認識する機能がより強力に働くのではないかと推測する。


一人は以前暮らしていた隣の市。

やり手で、いろんな所に顔を出す人らしく

狭い町のあちこちでしょっちゅう間違えられた。


挨拶くらいならどうっちゅうことないけど

「あの話、どうなりました?」なんてたずねられても

「な…何の話?!」である。


町のイベントで、何かの代表として舞台に上がった本人を見て納得。

顔もそうだが、背格好、声…まっことよく似ている。

出しゃばりな性格もそっくりだ。


しかし私と違うところがただひとつ…言うことがことごとくご立派。

マジメな性格らしい。


その後は間違えられそうになると

「○○さんじゃないですよ~」と先に申告。

面倒な時は、妹になりすました。

彼女に妹がいるかどうかは知らない。


もう一人は、どこかよその土地から我が町に来て

とある趣味の店を出した女性。

このおかた…独身で男遊びがお盛んなのだ。

店でじっとしていてくれればいいものを

昼はデート、夜は酒場

そのうち男性限定の料理や書道の教室までおっぱじめる。


田舎のおじさんたちをとっかえひっかえ遊び歩くもんだから、当然目立つ。

いつのまにか、一部でそれは私ということになっていた。


「昨日、男と一緒のところを見た」「すごく遊んでるって本当?」

などと知り合いに言われる。

知らないおじさんが手を振る。

「いくらご主人がああでも、あなたはお母さんなんだからね…」

よそのオバサマに説教される憂き目にも遭う。


取り巻き男性の奥さんだと思う…いきなり怒鳴られたこともあった。

「人の亭主を誘惑するな!ろくでなし!」

ろくでなしは認めるけど、よその亭主を誘惑したおぼえは…

よその女を誘惑する亭主ならうちにいるけど…。


こんなのは厄介だ。

しょっぱなから強気に出た手前、なかなか認めようとしない。

「とぼけたってダメ!逃げられると思いなさんな!」


しかしまあ、その気持ちはわからないでもない。

亭主に遊ばれ、おまけに人違いで怒られたのでは立つ瀬がなかろう。

それにこういう場面、嫌いじゃないしさ…。

出来るだけやんわりと対応…免許証を見せてようやく解放される。

しかも捨て台詞…「まぎらわしい!」


♪そっくりで~ごめんなさいね~♪大江裕「のろま大将」のフシでどうぞ。


さすがにこれは危ない…いきなり刺されでもしたら痛いで…と思い

せめて髪型だけでも変えようと、かなり短くする。

似てるからおとなしくしてろ…なんて言いに行くわけにもいかないじゃん。

そしたら、彼女も切っているではないか。

じゃあ…と伸ばす。

そしたら彼女も伸ばしているではないか…わ~ん!


そのうち店の経営が行き詰まり、彼女は町から去って行った。

ホッとした。
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