殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ろくちゃんの恋

2010年03月31日 08時13分14秒 | みりこんぐらし
夫の会社の社員、ろくちゃんは57才…未婚。

ゆるキャラのおじさんだ。


40代の頃に一度、夫の会社に勤めていたことがある。

夫の姉カンジワ・ルイーゼにおじょうずを言えないろくちゃんは

ルイーゼに目の仇にされ、いびり出されたのであった。

辞めてからは、同業者のところを転々としていたが

その間にお人好しにつけこまれ、だまされて

親から譲り受けた家を失い、病気で内臓もひとつ失った。


去年、夫と私は、町外れにある「年金岬」の近くを通りかかった。

年金岬とは、家で邪魔にされる身の上の定年退職者が

せめて晩のおかずでも釣ろうと群がる岸壁である。

無職になって、生活に困窮していると聞いていたろくちゃんも

そこで釣りをしていた。


「あ、ろくちゃんだ!晩メシ釣ってる」

     「ねえ、今、社員を募集してるじゃん。

      ろくちゃんに戻って来てもらえば?」

「え~?ろくちゃん?トロいからな…」


夫はそう言うけど、本当はまたルイーゼと

世渡りのヘタな彼との板挟みになるのが嫌なのだ。

でもお気に入りの若手が辞めてから

ルイーゼの社員に対する情熱も、薄れつつあった。

今回は安全だと思われる。

 
     「だって、ほら、あんなに痩せ細ってるじゃん…このままだと死ぬよ。

      あの人だったら明日からでも来れるし、経験者がいいわよ。

      行きなさいよ!」 

夫はシブシブ車を停めて、近付いた。

「お~い、ろくちゃん、ウチ来るか~?」

かくして、ろくちゃんは翌日から再び会社に戻ってきた。


車中で交わした失礼な会話をろくちゃんが知るよしもなく、たびたびこう言う。

「あの時、釣りをして専務に会ってなかったら、ワシは飢え死にしとった」

夫は夫で、ろくちゃんの命を救ったような気分を味わい

ろくちゃんはろくちゃんで、たまたま釣りをしていたおのれの強運に酔いしれる。

ま、似た者同士というところか。


そのろくちゃんに、彼女が出来たらしい。

彼女いない歴57年にして、初の快挙である。

我々夫婦は、それらしき現場をたまたま目撃していた。


あれは2ヶ月前…

日曜の朝、ファミレスへモーニングサービスを食べに行った時である。

ろくちゃんが一人で、足取りも軽く店に入って来た。

我々を見つけ、見たこともないような満面の笑みで手を挙げる。


少し遅れて、30代後半くらいの地味な女性が、彼の席に座った。

フードの付いた黒いコートのくたびれ加減は

いかにも子育て中のお母さんという感じだ。


「女と会っとるが~!」

ファミレス、女、恋…ろくちゃんから一番遠いところにありそうなモノ。

彼にも、やっとこさ遅い春が…?

夫と顔を見合わせ、斜め後ろの席に全神経を集中させる。


ろくちゃんは、ちょっと気取って「コーヒー」と注文し

「ドリンクバーですね?」と言われて、うろたえる。

必死に笑いをこらえる我々。


「保険だ、保険」

夫がささやく。

女性がバッグから、パンフレットや書類を出していた。

なんだ、そういうことね。

コートを脱がない彼女に、やっつけ仕事の雰囲気を感じたが

ろくちゃんは嬉しくてたまらない様子。


大病してるから、高額な生命保険は無理だろう…

財産も無くなったし、少なくともだまされて何か失うことは無い…

軽い失望と安堵が入り交じった心持ちで、我々は店を出た。


そして先週…夫婦でちょっと遠出をした。

トイレ休憩のために立ち寄った道の駅で、ろくちゃんの白い軽自動車を発見。

助手席にいたのは、なんとあの女性であった。

「続いてたんだ…」

こんなに遠くまでドライブする仲になっていたとは…

などと言いながら、こっそり立ち去る。


そして昨日、ろくちゃんが言ったという。

「専務…ゴールデンウィークはいつから休みになるかなぁ。

 ワシ、彼女と日本海へ旅に出るのさ~」


社員の私生活には無関心な夫だが、この時はさすがにたずねたと言う。

「こないだの保険屋さんだろ?

 年が離れてるみたいだけど、大丈夫なんかい?」

大丈夫、大丈夫…と、ろくちゃんはニコニコしていたそうだ。


「何が大丈夫なんだか…。利用されてるんじゃないかなぁ。

 万が一うまくいっても、子供がいたらいきなり父親だしなぁ。

 うちの給料じゃ、養えんぞ」

夫はしきりに心配する。

わかるよ…あんたも生保レディには苦い思い出があるもんねぇ。

自分も入って、知り合いも紹介して、人脈が尽きた頃に捨てられなすったわねぇ。

他人のことより、自分の心配をしたほうがいいと思うけど。


「親戚とか紹介してるようだから、一応、ほどほどにしとけよ…とは言った」

夫の案じる通りかもしれない。

しかし、たとえそれがまやかしであっても

今、彼のハートに明るい光が射していることは確かだ。

とっかえひっかえの夫と違い、思い出は彼の中で輝き続けるだろう。

ろくちゃんから目が離せない春である。
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不倫キーワード

2010年03月28日 10時15分06秒 | 検索キーワードシリーズ
『不倫相手の亭主 職場に乗り込んで』

人の奧さんと不倫して、その旦那さんが会社にやって来たということでしょうか。

男のヤキモチは、女よりひどいと言いますからね。


私も似たような経験があります。

いえ、自分が不倫したんじゃなくて、知り合いの女性です。

ある選挙で知り合い、終わった後も時々みんなで集まっていた中の一人で

個人的に親しいわけではありません。


ある日、彼女のご主人が私の職場をたずねて来たんです。

最初は、どこの誰かもわかりませんでしたよ。

汚い格好をした、そりゃもう気持ちの悪いおじさんでねぇ…

女房の交遊関係を調べて、しらみつぶしに訪問していたようです。


「下着が派手になって、自分の目を盗んではよく出かける。何か知らないか?」

女房の下着を見るんかい…。

いきなり見知らぬ見苦しい男が来て

すごい剣幕でそう言われたら、気分が悪くなっちゃいますよ。


その女房、当時40代後半だったでしょうか…

色黒でガリガリの、クモみたいなおばさんでした。

自分からペラペラしゃべっていたので、不倫中というのはみんな知っていたんですよ。

ザンネンさんほど、こういうのが嬉しいんですね。


「旦那に携帯を取り上げられたから、誰か貸してくれない?お金払うから…

 と言って、みんなに白い目で見られてた…」

なんて教えてあげたら、卒倒するかも。

面白そうだけど、余計なことは言わずに、知らぬ存ぜぬで押し通し

早めにお帰りいただくのが賢明というものです。

何回も来たり、逆恨みされたりして、こっちが危ないです。


お天道様に顔向け出来ない人とは、つきあうもんじゃないな…と

その時に思いましたね。

どんな迷惑をこうむるか、予想がつきませんもん。

迷惑は自分の家だけでたくさんですよ。


『よいダブル不倫 50代同士』

よい不倫なんて、ありませんから。

全部悪いです。

たまたま日本の法律では罰せられませんが、万引きと同じ犯罪です。


こんなのに限って言うんですよ~。

「いつまでも、ときめいていたい…」なんてね。

そんなにときめきたけりゃ

心臓に特別あつらえのペースメーカーでもつけたらどうですかね。

うんと早く、しかも激しく動くやつ。


『知り合いの妻との不倫告白』

あの~、そんなの面白くもなんともないですから。

小汚い者同士のちちくり合いをわざわざ吹聴して、他人様のお耳を汚さないように。

黙っててください。


『不倫相手との登山』

山をナメたらいかんぜよ。

山は神聖な場所です…多分。

人智の及ばぬ精霊のお住まいになる所です…多分。

腐った男女が嬉しげに足を踏み入れて、穢(けが)してはなりません。


人に言えない関係の者どもが、行ってはいけない場所というのはあるんです。

我が身にふさわしい、うらぶれたホテルや

さびれた飲食店にコソコソ出入りしとけばいいんです。

そんなに大自然がよけりゃ、樹海へどうぞ。


『旦那のダブル不倫 子供にどう伝えるか』

よしなさい、よしなさい。

お父さんが泥棒だと聞かされて、嬉しい子供がいるでしょうか。


話を素直に聞いてくれ、秘密が漏れにくく

興味本位の他人と違って苦しみを共有してくれ

なおかつ味方してくれそうな相手…その面で、子供は条件にぴったりです。

お母さんは、たとえ小兵でも味方が欲しいものです。

「真実を伝えておきたい」「一緒に闘うために」とかなんとか

立派な理由をつけて、お父さんがどんなにひどい人かを話したがります。

子供を仲間に引き入れるのは

旦那憎しの心境であるお母さんには都合がいいでしょうけど

子供の幸福を一つ奪うことになります。


あれだけお父さんの悪口を言ってたのに、晩ご飯はお父さんの好物だった…。

今日は一緒にお風呂入ってる…同じ部屋で寝てる…。

お父さんは罪人のはずなのに、今日は優しくしてくれた…。

子供は矛盾感に日々戸惑い、親への信頼を失っていきます。

生まれた意味を見失い、その絶望感がつきまとって、ずっと人知れず苦しむのです。

むしろ、どこまで隠しおおせるかに努力を払ってください。

自然にわかるまで放っておきましょう。


質問されたらどうするかって?

質問しません。

「なんでお父さんは帰ってこないの?」ぐらいは言うでしょうが

そこで我が意を得たり!と、マトモに答えてはいけません。

不穏な空気を感じてはいても

真実をつきとめて、ぜひともお父さんを軽蔑したい!と願う子供はいませんよ。

「ははは~、そうだね~!お母さんだけでいいじゃん」と言っていればいいのです。


亭主の浮気より、子供が苦しんだり

手に負えなくなるほうがよっぽどつらいですよ。

亭主は離婚すれば他人になれますが、我が子はそうはいきませんからね。

子供に甘えず、気をしっかり持って、りりしく生きてください。

それが我が子を守るということです。

健闘を祈ります。
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魔物退治

2010年03月25日 08時17分03秒 | みりこんぐらし
「オレはもうダメかもしれん…」

先日、夫が沈痛な面持ちで言った。

あ~ら、元々ダメオじゃ~ん…と思うが、優しい!私はそんなことは言わない。


このところ彼は、毎晩ひどくうなされている。

いつも決まって、どう猛なケモノに襲われる恐ろしい夢を見るという。

得体の知れないケモノは、決まって首に噛みつき、離れないという。

要するに首が痛いのだそうだ。


寝不足で憔悴しきっている夫。

夫も寝不足かもしれないけど、私達も寝不足だ。

行いが行いなので、昔からよくうなされる男だったが

今回はさらに尋常でない騒ぎよう。

断末魔の叫びは、男性でもソプラノになると知ったほどである。

毎日通っているお気に入りの整体院で

どうにかしてもらえばよかろうに、ちっとも改善されないそうだ。


子供達は言う。

「魔物だ…たたられているんだ…今までのツケがきたんだ…」

夫が恐怖に怯えた表情をすると、ますます言う。

「取り憑かれて、もう連れて行かれるんだ…僕にはわかる…」

「僕もそう思う…人間は、いつまでも絶好調じゃないんだ…」


まっもっのっ!まっもっのっ!…二人は声を揃えてはやし立てる。

私も加わり、エムエー!エムオー!エヌオー!チャチャッ!

夫を取り囲んで、かけ声に手拍子で魔物音頭(急遽命名)を踊る。


まあ、いつまでも踊っていてもしょうがないので、私が魔物退治をすることに。

なんてことはない…マッサージだ。

五十肩で苦しむ私は、ここにコメントしてくださる皆様にずいぶん助けてもらったが

夫にも世話になった。

あれが良いと聞けば手に入れてくれ、これが効くと言われれば試してくれた。

まるで夫婦のようだった…当たり前か。

そこで、せっかく伸ばした爪を切り、ひとまずここで恩返しだ。


触ってみると、確かに首の左側が硬い。

しかし「頸椎を傷めているかも…」という夫の主張には賛同しかねる感触。

首から肩、腕と下がって、左ヒジの関節の内側をギュッとつまんだら

「ギャッ!」と叫んだ。

お腹を押さえたら鳴く人形みたいで、ものすごく楽しい。


力を入れてつまむのを繰り返して楽しみ

飽きたら今度は、左手の親指の根元にある

ふくらんだ所をギュッと押さえる。

「ギャ~!痛いっ!」

夫を苦しめる魔物は、どうやら親指に潜(ひそ)んでいるらしい。


夫は痛みに関しては、かなり我慢強いほうである。

片足を引きずって歩いているので、どうしたのかと聞くと

「おととい縫った」と言ったこともあった。

朝食を食べないので、どうしたのか聞くと

「今日は胃カメラ」「大腸検査」ということもよくある。

普段、腰が痛むとは言うけど、現在起きている現象に対して

「痛い」と反応するのは、もしかしたら結婚以来、初めてかもしれない。


クリームをつけて、夫の親指の付け根をガンガンもみ

もだえ苦しむ珍しい反応をしばらく楽しむ。

腱鞘炎の一歩手前というところか。

もんだら悪化するかもしれないけど、かまうものか。

もう私には、魔物の正体がわかっていた。


マッサージを終えたら、夫は

「すごく楽になった!」と嬉しそう。

首のコリも柔らかくなっている。

その夜からうなされることはなくなり、静かになった。

やれやれだ。


この次、また首が痛いと言い出したら、言ってやろうと思う。

「愛人とメールするのを減らしなさい」

ラブラブメールで傷めた指や首をもまされるのは

なんだか馬鹿馬鹿しい気がする。


夫は左手でメールを打つ。

でっかい手で、小さい携帯に向かって頻繁にするから無理がくる。

一度好きになったら、それこそ魔物かナンカに追い立てられるようにメールに励む。


ここにきて、長年の無理が表面化したのだと思う。

向こうも返してくるから、延々と続くんだろうけど

愛人ちゃんの親指は、大丈夫だろうか。
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サングラス

2010年03月23日 07時43分26秒 | みりこんぐらし
ずっと通販で買っている化粧品が何点かある。

肌の調子が良くない時は、内容を変更してもらうために時々電話をかける。

このメーカーはオペレーターの教育が行き届いており、人柄が良い。

たくさんいるらしいけど、誰が出ても「心から対応している」という姿勢が

ありありとわかる。


先日も電話をして、ついでに他のシリーズについて質問した。

「そうですね~…みりこん様は敏感肌でいらっしゃいますので

 やはり従来のもののほうがよろしいかと思います」

    「あ~、そうですか~。

     ツラの皮は厚いのに、肌だけ敏感というのがねぇ!

     いつもワガママ言って、ごめんなさいねぇ」


一瞬の沈黙…そして

「そんなことはございません…

 あの…みりこん様、お声が優しくて、控えめで温かい雰囲気が

 お電話からも伝わってまいります…

 ツラの皮が厚いだなんて、そんな…」

ものすごく一生懸命…むしろあわてている。


「あら、やっぱり?」と言えるわけもなく

おほほ…と笑ってごまかすしかない。

聞き流してもらえない相手に向かって、自虐ネタを口にしてはいけないのだ。

また善良な人を苦しめてしまった。

自責の念にかられる私であった。


昨日は、毎年恒例の春の行事、サングラスを買いに行った。

春は風や陽射しが目にしみて涙が出やすいので、サングラスは必需品だ。

化粧が取れるからだ。

毎朝丹念にこしらえる仮面を

涙の一滴や二滴で台無しにしてなるものかっ!


昨シーズンは、息子のはからいで偏光グラスを使っていた。

釣り道具屋で買うのだ。

太陽光の反射が無いので、川の中の石ひとつひとつまではっきり見えて面白い。

でも機能優先のためにレンズの色が濃くて、とっても人相が悪く見える。


若い知人の店に行き、地味なデザインで薄い色のレンズを探すことにした。

しかし今年は、さりげない自然な感じのものが少ない。

年々増してゆく紫外線と黄砂から

年寄りこそ目を守らなければいけないというのに

若者しか出来ないサングラスが増えてもらっては困るのだ。


「みりこんさん、やっぱり今主流の大ぶりなのがいいと思うよ」

プラスチック素材で、大きな黒いレンズの派手なデザインだ。

戦時中の空軍みたいなのや、昔のナントカ組の姐さんみたいなやつなら

いっぱい並んでいる。

     「え~!私、似合わないわよ~!

      すごく意地悪そうに見えるもんね」


この手のサングラスは、白く小さい顔のために存在すると私は思っている。

インパクトの強いサングラスであればあるほど

強調されてしまう鼻と口、フェイスラインは

すっきりと格好良くなければならない…

そしてはずしたら、そこには美しい目があって当然でなければならない…

着る物だって、それなりでないといけない…。


若けりゃ勢いでなんとかなるし

「若気のいたり」で片付けてもらえる可能性もあるが

中高年の無理とちぐはぐは社会悪…とすら思っている。

つまり田舎に住むカタギのオバサンには、難易度の高いものなのだ。


「そんなことないよ~、絶対似合うよ~」

と言われたのに気をよくして

     「元々意地の悪いのが、さらに強調されるのよ~」

黙ってりゃいいのに、そんなことを言いながらかけてみる。


やはり一瞬の沈黙を経て、知人とそばにいた店員は同時につぶやいた。

「…ほんとだ…」

付近に気まずい雰囲気が漂う。


これじゃまるで、タチの悪いトムキャット(知っとるけ~?)

加齢でたるみ、くすんでいる分

根性の悪さといやらしさがにじみ出ているではないか。

“ふられ気分でRock’n Roll”どころか

“たるみ気分でRock’n Roll”歌っちゃうぞ。


20代の彼らは、まだ人間が練れていないのだ。

見たもの、感じたものがストレートに出る。

ひととし取ってくると、その気持ちをおし隠して誠意で対応する技能というか

思いやりが身についてくるのであろう。

人は…いやオバサンは、その誠意に対して金銭を支払うのかもしれない。

もちろん、サングラスは買わずに帰宅した。

沈黙は金なり。
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女性経営者の会

2010年03月20日 11時36分06秒 | みりこんぐらし
私がなぜ、夫の姉カンジワ・ルイーゼの所属する

女性経営者の会を面白がるのかをしたためておこうと思う。


とある団体が主催する個人事業主の集まり…元祖・経営者の会は昔から存在した。

人口減少、高齢化、景気低迷のあおりを受け、その会員数はジリ貧であった。

会員が減れば、会費が減る。

これは主催者側にとって、ゆゆしき問題だ。


そこで目をつけたのが、経営者の息子達である。

後継者の育成という建て前で、青年経営者の会が発足した。

この会費で当面はしのげたが、代わりに勘違いした跡取りが多数生産された。


高度成長期に裕福な環境で甘やかされて育ち

田舎に残って親の小商いを引き継ぐ男の子に、塩の効いた者などいようはずがない。

さんざんおだてられて一時は威勢が良かったものの

勘違いしているもんだから、商売よりも自己アピールに重点を置く。

お決まりの勢力争いと分裂により、やはり会員数も活動も尻すぼみとなった。


ちなみに我が夫も若かりし頃に入会していたが

活動が忙しくてデートに支障をきたすので、早々に退会した。

下戸の夫は、活動のたびに行われる飲み会も苦痛だったようだ。


そこで今度は、会社や商店の女達にスポットが当てられた。

お父ちゃんや坊ちゃんがダメなら、嫁や娘というわけだ。

この発足に関与し初代会長になったのが、義父の元愛人、トヨ子である。

民主党の田中真紀子と、社民党の辻元清美を足して2で割って

自民党の小池百合子をふりかけたあげく

田舎に設置したような女性だと思っていただきたい。


その昔、義母ヨシコが二人の関係を疑い、もめたこともあるが

トヨ子はしれっと釈明に現われた。

さすがに一人では心細かったのか、やはり似たようなオバサンと家に来た。

「私、心が男だからさぁ!」

…男なら、ええ年してパンツが見えそうなミニをはいては、いかんぞなもし。


この時の釈明で、義母もルイーゼもすっかりだまされたが

私はあらぬ方角から事実をつかんでいた。

昔、義父とトヨ子は、ハワイでゴルフを楽しみ

夫婦として同じ部屋に何度か宿泊していたのだ。

たまたま留学中だった私の友人が

そのリゾートクラブで働いていて、知るところとなる。

でも面倒なので、ずっと黙っていたのじゃ。


そのうち景気が悪くなり、トヨ子は義父を見限った。

以後、トヨ子はその時その時で景気のいいオジサンに取り入り、現在に至る。

男を使ってのし上がるのなら、それはそれで立派なもんだが

嫁ぎ先の会社を現状維持するだけってぇのは、何と言えばいいのか。


彼女とは、選挙で間近に接触したことがあるけど

すぐキャンキャン吠える幼い女性であった。

選挙事務所では出納を受け持ち、自分を「事務方」と呼んでいた。

優秀な女と思わせたくてしょうがないタイプである。


トヨ子は、会の人数集めのために

元愛人の娘である夫の姉カンジワ・ルイーゼを入会させた。

ルイーゼは、自分を何かと気にかけてくれるトヨ子をあがめたてまつっている。

トヨ子にすれば、昔の男の娘…当然であろう。

ルイーゼが父親とトヨ子の本当の関係を知っていたら、入会しなかったと思う。


会長を退き、参与となった今でも、トヨ子の権力は継続している。

自分が操りやすい人間しか入れないので、会員は自然と似たような女ばかりになる。

正体を見破られる心配の無い、ぬるいのを集めては周囲にはべらせ

田舎風味のカリスマ性をいかんなく発揮しているのがトヨ子なのだ。


かくして主催する団体は、会費の収入を三たび確保し、勘違いした婦女が増加した。

そんなのばかり集まって、町のためにいったい何ができるというのだ。

本来はどこでも通用する人間が、能力を生かすのが自営業であろうが

この近辺では、よそで勤まらないから家業に携わる人がほとんどである。


町を変える、変えると豪語するが

変わるべきなのは町でなく、彼女らである。

「奥様でござい」「お嬢様でござい」と威張っていられるのは

親の代に築かれた信用と、商売人に優しかった昭和の時代背景という遺産に

あやかっているからこそ。

世間や時代が味方でないことをまず認識し、ゼロから起業したつもりになって

顧客第一で商道に励むべきである。

親や旦那の虎の皮を着込んで遊ぶヒマは無いはずだ。


何より迷惑なのは、私が入会していると間違えられることだ。

事務員のルイーゼが女性経営者の会に入り、副会長をする不自然さに加え

何につけ旧姓を名乗って社名を出すので、他人はそれを取締役の私だと誤解する。

私はそんな恥ずかしい集まりに入って、町おこしだの寝言を言うヒマは無い。

家でゴロゴロしないといけないから忙しいのだ。

迷惑をこうむっているのだから、少々悪口を言ってもいいような気がする。

とはいえ、もちろん今の活動を改善してもらっては困る。

楽しみが減る。


会の今年のテーマが婚活であることは、以前お話した。

人口流出に歯止めをかける究極かつ有効な対策だそうだ。

この発想もなかなか笑えるが、前回登場したルリコは

その話を得意げにしていて、同級生に

「人口減少に歯止めをかけるなら、まず雇用でしょうよ!

 婚活なんて、何になるのよ!

 あんた達、おかしいんじゃない?」

と厳しく突っ込まれていた。

大学3年で就活中の子供を持つ母親である。


自意識の高さから、妙な勘違いとプラス思考であらぬ方角へ向かう女…

不倫をする女性というのも、その傾向があるからこそ見ていて面白いが

集団になると、もっと面白い。

西へ東へ群れさざめきながら迷走するさまは、さながらヘタな獅子舞のようだ。

まさに私好みの会なのである。
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視察

2010年03月17日 20時04分51秒 | みりこんぐらし
「あ、その日は無理…視察が入ってるから」

ルリコである。

夫の姉カンジワ・ルイーゼが副会長を務める「女性経営者の会」の一員となった…

先月、変な店に一緒に食事に行った…

あの同級生のルリコ様である。(3月3日「相互協力・1」)


ルリコはこの間、うちらのライフワークである同級生バンドにも入ったのだ。

「やりたい」と言う者を「ダメ」とは言えない。

冒頭の言葉は、練習日程を決める時に発せられた。

「女性経営者の会で、工場視察なのよ」

我が町にある重工業系の工場に行くと言う。


物心ついてから今まで、こういうのって「見学」というんだと認識していた。

「視察」は、官僚や政治家のする

なにげに上から目線の出張みたいなもん…と思っていた。

鼻持ちならないオバサンが、ヒマつぶしに群れて見に行くのも視察って言うのね。

知らなかったわ~…あ~ら、びっくり。


会を主宰する団体も、うまいことを考えたものだ。

こうして無意味なイベントを次々と企画しては

さりげなく持ち上げ、プライドをくすぐって会費をせしめるのね。


10年ほど前まで、町の人はこぞって、その工場に入社したがった。

給料が、本社のある関東ランクで、福利厚生も充実しており

たとえヒラの工員といえど、そこに入りさえすれば家が建ち

子供を大学にやれた。

言うなれば、一発逆転ができたのだ。


飲食店を始め、町の経済はその工場に左右されている部分があり

「うちは○○社のお客さんが多いから…」

というのは、そのまま安定を指していた。

数百名の社員も、自信と誇りに満ち溢れていた…

悪く言えば、そこの社員や家族というだけで

威張り散らす者も少なくなかった。

不況の今はその名残りもないが

言うなれば、女性経営者の会が視察するにふさわしい勘違い工場なのだ。


先週、工場内で火事があった。

ISOだ安全ナントカだと騒ぐわりには

何年かおきに爆発やら火事やら起きる。


去年だったか一昨年だったか、工場にある高い煙突を利用した社員の自殺が

一ヶ月のうちに3件続いた。

仕事中に煙突の下を通りかかるなり、すすす…と登って

あれよあれよと言う間に飛び降りたという。

配置転換とリストラが原因とささやかれた。

まったく、私好みのすばらしい工場である。


ルリコは言う。

「女性経営者の会に入ってから、自分が変ったような気がするの。

 もっといろんなことに積極的に参加して、社会貢献するべきだと思ったのよ。

 すごく勉強になる」

変ったよ…確かに…真逆だよ。


今まで隠れていたはずの女性特有の虚栄や優越感が

何らかの刺激でいったん引き出されると

潜伏期間が長かった分、限界知らずの数値を示す。

朱に交われば赤くなると言うけど、後から来て染まったほうが

元の朱よりさらに赤くなるのは、世の常である。


「視察が済めば、私もちょっと体があくから」

ルリコは眉間にシワを寄せて、スケジュール帳と我々を交互に見ながら言う。

いっそすがすがしい気取りっぷりに、他の者は顔を見合わせた。

その様子をながめ、ひそかにほくそ笑む私。


ルリコはますます調子に乗る。

「来月の予定もびっしりだから、合間でお願いね」

別にあんたが練習に来んでもかまわんし…。

商売のために女性経営者の会に入会したんだろうに

こう忙しくては、いつ商売するのであろう。

「都合のいい日はね…○日と、○日と…あ、この日はまた視察だわ…」


そんなに視察ばかりして、何の役に立つのか聞いてみた。

「まず実態を見るのよ。

 見なきゃ何も始まらないでしょ。

 それが視察じゃないの」

見て歩いてるうちに、人生終わってしまうような気がするけど…

そうよね…私のようなシモジモには理解できないわね。


いいぞ…ルリコ…どんどん登ってくれぃ…。

サスペンス・ドラマに出てくる女社長みたいで、かっこいいぞ。

ドラマでは、高飛車な女社長はたいてい早めに殺される。

その死因は刺殺でどうだろう。
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縁(えん)

2010年03月15日 18時44分25秒 | みりこんぐらし
温泉に行ってきた…な~んて言ったら聞こえがいいけど

このところ、ややマシになってきた五十肩の完治を目指して

湯治だ…湯治。


温泉へ赴く道すがらに、立派な美術館がある。

いつもは素通りだけど、今日は寄ってみようかと夫が言う。

「行か~ん」

私が即答したので、夫はいぶかしげだ。


なぜ行かないか…ここが私の気むずかしいところ。

普段はチャラチャラしてるくせに、たま~に変な部分に引っかかる。

そこには、とある著名な芸術家(故人)と

その妻(人生続行中)の作品が展示してある。

この芸術家の作品は私も好きなんだけど、女房が気に入らんのじゃわ。


ワケありらしく、略歴から都合の悪いことは抹消されている。

色々あって、双方が年配になってから後妻に収まったと

まことしやかにささやく人もいるけど

そんなのは芸術家によくあること…どうでもよい。

私にとっての問題は、彼女が旦那の知名度を利用して

自分の趣味である手芸というか工芸の類を一緒に展示してあるところだ。


アートという広い意味では同じ分野かもしれない。

いまどきは、作詞や作曲ができて歌さえ歌えれば

それがどんなシロモノであろうと「アーティスト」と呼んでもらえるのだから

その門はかなり広い。

しかし極端な例であるが、旦那の造ったミロのビーナスと女房の縫ったパッチワークを

夫婦というだけで同じランクとして並べて、美術館が成立するだろうか。


旦那に金があるので材料費をいとわないし

名が知れ渡っているので、何かと優遇されることも多かったはずだ。

「趣味の域を越えた芸術」と賞賛された大作をいくつか見たことがある。

確かに美しいものであったが、金と人手さえあれば可能であるし

胸を打つほどのものでもなかった。


芸術家亡き後、出身地に美術館を…という気持ちが起こるのはわかる。

しかしそこにおこがましくも自分の作品まで並べる女房や

それを許した町の人々の神経までも疑ってしまう。

そんなところへ高い見学料なんか払わんわい…と一人憤慨してしまうのである。

いみじくも○○作家と名乗るからには、旦那とセットじゃなく一人でやれ…

と思うのは、やはり私がひねくれているからだろうか。


夫はこの考えがよくわからないと言う。

「旦那のネームバリューを利用するのは、妻として自然なことじゃないかな?

 一般庶民の勘違いじゃなくて、日本でもメジャーな人なんだから」

などと言う。

ああ、そうでしょうとも。

私はあんたの悪名のおかげで、利用どころか世を忍んできたもんね…

と言いたいが、言わない。


美術館の中には、洒落たレストランがあるらしい。

本当は行ってみたい…。

このめんどくさい性格ゆえ、人生の楽しみを2割ぐらい捨てているかもしれない。


そこへメールが届く。

うっかり開けたら、息子の受験でワーワー言ってた

男子同級生からだ。(2月10日「目障り」)


ずっと無視していた。

時々そっと開けてみたら、だんだんエスカレートしていて

「みりこんの声が聞きたい」だの「顔を思い出している」だのになっていき

ますます嫌気がさしていた。

こんなのに乗っかって、電話するとでも思っているのか。

バカタレが。


今回は「息子は大学受験に失敗しました。家族で落ち込んでいます」

という内容であった。

「これから息子とどう接しようと悩んでいます…」

ひ~っひっひっ!

わたしゃ大喜び。


私の持論であるが、あんまり心配していると

わりとそのとおりになっていくのだ。

ああなりたい、こうなりたいという願望は叶いにくいのに

絶対そうなりたくないと日々思い続けていると、簡単にそうなっちゃうのさ。

悩んだり心配を始めた時点で、そっち行きの列車に乗ってしまうのだ。


試験に落ちるのも、浪人も第二志望校も、すべて縁だ…

今回涙を飲んだ分、必ず「これで良かった」と思える日が来るから

気にすることはない…

普通はこう言ってなぐさめる。

いや、なぐさめでなく本当にそうなのだ。

でも、こいつには絶対言わないもんね~。


すっかり上機嫌の私。

温泉を堪能し、山奥でなぜかシメサバを食べる。

ここのシメサバは絶品なんじゃ。

昔は山奥ゆえに新鮮な魚が手に入りにくく

それで加工の工夫が発達したのではないかと思う。

それも縁…楽しい湯治であった。

宿の名は「縁(ゆかり)」という。
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不倫相撲

2010年03月11日 20時48分22秒 | 前向き論
いつも楽しみな検索キーワード…依然として不倫関係多し。


『不倫 結婚 勝利』

不倫にのめりこむ女性って、ほんと勝ち負けにこだわる人が多いですね。

思考の基準が勝ち負けなのは、生まれた家も本人も

どちらかといえば「負け」の多いザンネンな環境だったといえます。


その中で自分なりのわずかな「勝ち」

顔がまあまあ、頭がそこそこ、親の勤め先はどこそこ…

みたいな事柄をチマチマと探しては比較する。

その癖が染みついているんですね。


それじゃしんどかろう…と思うけど、本人、案外そうでもないらしいです。

なぜなら、勝ってると思う時だけ比較するからです。

よって、本人的には連戦連勝…こうして勘違いしていくのさ。


勝利と言うからには、男が奧さんより自分を選ぶことを指しているのでしょう。

しかし残念ながら、そもそもそれは勝負ではありません。

中古と新品なら、しかも新品のほうがタダなら

誰でもとりあえずは新しいほうを望みますよ。


女房子供には生活費がかかります。

そこへ低コストの自分が躍り出て大バーゲンしてちゃ、対戦は成立しません。

土俵に上がってもいない人間と、一生懸命勝負しているわけです。

誰もいない土俵で一人相撲…同じやるなら、ぜひ大銀杏を結ってくださいね。


『一回こっきりの不倫』

回数は関係ないです。

一回でも半回でも、水の中にイカ墨を一滴落としたのと同じ…

すべてはもう黒く染まっています。

よその結婚の床に割り入るというのは、そういうことです。

元の自分には二度と戻れませんから、いまさらじたばたする必要はありません。


『不倫してる旦那 苦しめる方法』

不倫中は麻酔を打ってるのと同じなので、苦しみませんよ。

苦しめるなら、麻酔が切れた後を狙いましょう。

なぁに、すぐですよ。


『妊娠がわかって変貌する浮気相手』

浮気相手というからには、ダブル不倫ですかね。

逆に喜ばれても不気味でしょう。

どっちの子か、わかりゃしないんだから

子供は生んでくださいね。


『職場不倫 周囲 知ってる』 『職場 不倫の色ボケ』

こういうのはね~、二人の間に独特の空気が流れるので

すぐわかっちゃうんですよね。


OLの頃の話ですが、管理職とパート事務のおばちゃんMさんが

そういう関係だったそうです。

私はその管理職が左遷されてすぐに入社し

相手のMさんも不倫による職務怠慢を理由に退職が決まっていて

引き継ぎのために数日一緒に働いただけですけど。


Mさんの退職後、過去の書類を整理していたら

女子社員が週一で管理職に提出していたレポートが出て来ました。

“仕事が大変だったので、Mさんに助けてもらいました”

“Mさんがワープロで打ってくれた書類がとても役に立ちました”


「Mさんって、そんなにデキる女だったの?」

女の子たちに聞くと、口を揃えて言いました。

「全然!でも書かないとボーナスの査定に響いてたのよ」

Mさんの賞賛を書かない子は、昇給もボーナスの額も

あからさまに低くなったそうです。

一部上場企業でもこんなありさまですね。


ああ、残念!もっと早く入社していたら

きっとすごく楽しいことになっていただろうに!

私なら何をするかって?フフフ~。


『同級生と不倫』 『不倫 高校の同級生 ホテル』

職場不倫と同じで、同級生は出来れば避けたい鬼門ですね。

一事が万事でね…ちゃんと頑張って生活してる人は

そんなよこしまなことは考えませんよ。


手近で妥協したお手軽感が、冷めてみると恥ずかしいというのをよく聞きます。

同級生同士って、普通に結婚しても色々あって難しいようなので

不倫だとなおさらね~。


『不倫 損する女性』

わかっているならやめることです。

妊娠や病気のリスクもですが、運に見放されるので大損です。


始めの頃はのぼせているのでわかりませんが

生活の中にキラッとする良いことが減り

自分や家族にちょっとした病気、事故、誤解が増えていきます。

友人知人の前でも愚痴かのろけ話しかできず

聞いてても楽しくないので、人がだんだん離れていって孤独になります。


この面で、女と男は対等ではないのです。

畳の上で死ねないって、男には言いますが、女にはあんまり言いませんね。

そう…男にはゆっくり、女には早く結果が出るものです。

男は忘れた頃にツケがドカンと回ってきて

女は早くからチビチビ返済していくのです。

大変ですね…ご愁傷様です。


『男もつらい不倫』

アホか。

そのつらさはすべてお金で解決できるものです。

つらいのは、お金が無いからです。


本来なら各種支払い義務が生じるところを

いじましく無料で続けたいもんだから、うまくいかなくてつらいのです。

お金が無いばっかりに女がつらがるから、自分の貧乏を棚に上げて

一緒につらがっているだけです。

そんなヒマがあったら稼げ。

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バラの女

2010年03月08日 10時33分54秒 | みりこんぐらし
先日、とあるパーティーに行った。

まあ、庶民の私のことだから

宴会に毛が生えたようなものだと思っていただきたい。


こういう派手派手しい所、以前は好きだったけど

今はもうどうでもよい…出来れば行きたくない。

着飾ったって、変り映えしない年齢になったということだ。

しかし義理があって断りにくい相手だったので

友人のカズミを誘って行くことにした。


カズミは昔の私のようにハイテンションで

「何を着よう、何を履こう」と燃えていた。

夜なので、肌を露出したものもよかろうが

なにしろわたしゃ五十肩じゃん…湿布のアトやらお灸の焦げ目やら針の穴やら

都合の悪いものがイロイロあるわけよ。

冷やすと痛むしさ。


しかも私のたくましい肩には

子供の頃、妹と大げんかしてかじられた歯形が残っている。

海や山ならいざ知らず、ホテルのボウル・ルームでは気が引ける。

これまでは、胸元や背中は出しても

なにげに肩は隠れるデザインのものでごまかしてきた。


ああいう所で最新のドレスを着こなし、顔だけでなく体も綺麗な人を見ると

今までよく無傷でいられたものだなあ…と感心するが

よく考えれば、セレブは人を噛むような妹は持っていない。

しょせん私には場違いなのだ。


カズミは海外で買ったまま

チャンスがなくて着てないというワンピースを見せに来た。

総ラメで、胸を深く切り込んである大胆なデザイン。

着たのを見ると、白い肌によく映えて美しい。

    「あ、すごく綺麗!」

「そう?これにしようかな」

    「すてきよ!」


でも…とカズミは言う。

「ノーブラじゃないと着られないよね」

    「いいじゃん、ノーブラで」

「透けてない?」

    「うん、大丈夫」

こういうデザインは、若いピチピチでは着こなせない。

ほどよくアブラの乗った肌に

豊かな胸がちょっと垂れたぐらいが、ちょうどいいのだ。


透けるのが心配な時は、胸にシールみたいなのを貼るが

ここらにそんなしゃれたモンは売っとりゃせん。

気になりゃバンドエイドでも貼るだろうと思った。


久しぶりに賑やかな場所へ出たような気がするが、それなりに楽しかった。

いつも思うが、パーティーに必要なのは傷の無い肩でもドレスでもない。

エスコート役のカッコイイ男だ。


どんなに美しくオシャレしても、女だけだと格好がつかない部分というのはある。

ドレスは用意できても、男は用意できなかった…というところ。

男女一対で初めて絵になる。

ハナから絵になるつもりのない我々は、ひたすら食べることに専念さ。


お金のかかったステキな衣装や宝石を見るのも楽しいけど

ちぐはぐなのを眺めるのは、もっと楽しい。

ペラペラのチャイナドレスで場末のおミズみたいなの…

古くさい総スパンコールのタイトなロングドレスで大きな鯉と化したの…

売れない演歌歌手もどき…

以前は必ずそういった、別の意味で人目を引くおかたがいたものだ。

最近はそういうのも減って、ちょっと淋しい。


そこで私は懐かしい顔にバッタリ会った。

紀元前に知り合いだった男性…深いおつきあいではない。

某企業の息子で、当時は御曹司とかジュニアと呼ばれていたが

今はトップになっている。

年は取ったけど、メタボなんてどこの国の言葉?みたいなスレンダーを保ち

育ちの良さがにじみ出て相変わらずステキ。


この人とは15年くらい前にもやはり偶然会ったことがあり、その時言われた。

「結婚を考えた時、なぜか君のことが頭に浮かんだんだ。

 でも君はもうとっくに結婚していたよね。

 僕には薔薇より、自分と同じ蟻(アリ)のほうが向いてるんだと

 自分に言い聞かせたんだよ」


    おお!ピエール!(なぜかここはピエール)

    そんなにまでワタクシのことを…


薔薇に例えられて、ちょっくらいい気分だったわよ。

なんで早く言ってくれなかったんだ…と惜しかったわ。

が、後で考えると

私は大企業の社長夫人にふさわしくないということかい。

  
この夜紹介された蟻夫人は、控えめでとても感じの良い人だった。

蟻ってさ~、上品で清楚なことだったのね…

華奢な体で夫を支えるけなげな妻ってことなのよね…

彼の賢明な選択に心の中で賞賛をおくる

バラはバラでもバラ肉と化した私であった。


さて、悲劇は翌日起こった。

カズミが涙目で、パーティーの写真を持って来たのだ。

「私、もう生きて行けない…」


写真を見てびっくり。

カズミの胸に、大ぶりな二つの黒いマルが…。

肉眼ではまったくわからなかったのに

フラッシュをたくと、ノーブラだとはっきりわかる。

シャンパングラスを持つ楽しそうなカズミ。

ローカル有名人の隣で、すまして微笑むカズミ。

ほとんどの写真に黒いマルがふたつ。


「透けてないって言ったじゃん!写真撮った時、気がつかなかったのっ?」

     「気がつかんかった…」

子供を3人、母乳で育てた母の実態を甘く見ていた。

申し訳なく思ったが、すべてはあとの祭。

「ウワ~ン!」

おそるべし…フラッシュの威力。
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相互協力・2

2010年03月05日 10時38分54秒 | みりこん胃袋物語
こじんまりした店に到着。

中に入ると、真っ赤っかの打ち掛けがお出迎え。

スソに傷み除けの白いガーゼが巻いてある。

会友である貸衣装店から拝借した、流行遅れの貸衣装であることは一目瞭然。

これも相互協力というやつだ。


小柄で金髪ショートが印象的な初老の女性…

昭和のトンでる美容師みたいな女将が、ノロノロと出てくる。

「いらっしゃい…」

ニコリともせずに言うが、それはルリコだけに向けられたものだ。

この人見知り加減…さすがはあの会のメンバーである。


さらに私をチラリと見て「うわっ」と小さくつぶやく。

ハイヒールを履いた私の身長に対するものであろう。

世の中がオマエみたいなのばっかりじゃないわい…チビッコめが。


「友達?」

ぬらぬらとした唇をとがらせて、女将はルリコに尋ねる。

「うん…」

ルリコはあくまでこの方針を貫く所存らしい。


ルイーゼがなぜ食事券をくれたか、この時理解した。

女性経営者の会は、勘違いしたお山の大将で構成されている。

この女将はそれに加えて、ルイーゼと同じ雰囲気…

自分流のオシャレへのこだわりと強い先入観

さらに無愛想、つっけんどん、冷ややかさが備わる。

性格があんまり共通していると、お互い安全のために避けたくなるのであろう。


他の客は、身内らしきおじさんがカウンターで一人飲んでいるだけ。

何が「今日なら多少はゆっくりしてもらえるかも…」じゃ。

もったいぶりやがって。


コンクリ打ちっ放しの壁と、黒を基調にした内装は

よくある和モダンもどきというところか。

背伸びして気取った雰囲気を演じているものの、割り箸が粗末なのに驚く。

きれいに割れず、ホカ弁のほうがよっぽど上等だ。


料理の趣味が高じて店を出した…という触れ込みであったが

お刺身、卵とじ、天ぷら…

とりわけおいしくも、珍しくも、食器に凝っているわけでもなく

この分だと早晩閉店であろう…とほくそ笑む。


感動したのは、女将は料理をテーブルに運ぶだけで

一人一人の面前に置く手間は省くところ。

4人分の料理が載ったお盆をドンと置いて、あとは客のセルフだ。

小上がり座敷の下座に座った私が回すことになるが

よくある総柄プラスチックの椀ものを配ろうとして、逆鱗に触れる。

「向きが違うっ!」


「フタで見えないけど、中の料理に前と後ろがあるのよっ」

      「おやおや…そうですか…すみませんねぇ」

だったらてめぇが配れ…と言いたいが、おとなげないので我慢する。

そもそも商売に向いてないのだ。

だからこそ、器じゃない女が器じゃないことをしたがるあの会にいられる。

マトモだったら無駄や矛盾に気づいてしまい、とても会員ではいられない。

さすが…こうでなくっちゃ。


怒られてまで手にした椀は

しんじょと手毬麩が汁の中に沈むありきたりなものであった。

あえて前後を問うとすれば、2枚の木の芽であろうか。

わたしゃ木の芽のために怒られたのね…。

さらに「食べるのが早いから忙しい」とボソッと文句を言われる。

少ないんだよ…量が。


食事が終わり、私は食事券とお金をルリコに渡して

とりあえずの支払いを頼んだ。

    「ルリちゃんちの店の名前で領収もらえば」

優しい!私は、ルリコに相互でなく一方協力してやる。

ルリコ様にお引き回しいただいてる3人組を

エピローグまでしっかり演じきるのよっ。


支払いするのを見ていると、案の定しかめっ面でブツブツ言われてる。

「うちの食事券?あの時、誰に当たったっけ?あの人?この人?」

いまさら出所を確かめたって、どうにもなるまいに。

「食事券があるんなら、予約の時に言ってくれなきゃ…」

現金じゃないので、機嫌が悪い…フフフ…。

ここらへんが、私の底意地の悪さだと思う。


ルリコは文句を言われながらも、食事券の出所は明かさず

最後まで客を連れて来た会友を立派に演じた。

相互協力のためには、義理もスジも無いのだ。

このまま相互協力しながら堕ちて行け…。


夫は聞こえよがしに「ガスト行こうぜ、ガスト」などと言う。

夫なりの復讐だ。

「ちょっと~、よしなさいよ~」などとたしなめるフリをしながら

笑みは隠せない。


私は少々のことでは、その場で顔や言葉には出さない。

今後も表向きは、そのまま変わりなく付き合っていく。

そして本人の自業自得で没落の道を辿るさまを眺め

ひそかに喜ぶのはとても楽しい。


この後、ルリコを送ってから、3人で本当にファミレスに行った。

やっぱりこのトリオが落ち着く。

「あの会はやっぱりバカの集まりだ」と夫。

「びっくり…」初めて会の実情を目の当たりにしたマリ。

「同級生ってだけだからね!友達じゃないんだからね!」内心恥ずかしい私。


この日、マリを迎えに行ったら

春らしいスカーフをプレゼントしてくれた。

たまたま私の着ていたピンクのジャケットにぴったりだったので

そのまま首にかけていた。


帰ってから、夫はそれを指して言う。

「見ろ!マリとあの女の差!オマエの同級生はロクなのがいないな!」

オマエの女もな…と言いたいが、ここは我慢する。

     「ほんとだねぇ…」

「やれやれ!小汚い婆ァどもに振り回された!」

     「ごもっとも…」


その小汚い婆ァの中に、私も入っているかどうかを確認したかったが

聞くのは、はばかられた。

ましてや、何ヶ月かしたらまたあの店を訪れ

どうなっているか見てみたいなんて、とても言えやしない。


                   完
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相互協力・1

2010年03月03日 11時31分39秒 | みりこん胃袋物語
ことの起こりは2月下旬。

なんと夫の姉、あのカンジワ・ルイーゼが

とある店の食事券5千円分をくれた。


こんなことは今までに一度も無い。

何かのワナか?…いったんは疑ったものの

こんな考え方はいけないと思い直し、ありがたく頂戴することにした。


ルイーゼが副会長として活動する

例の女性経営者の会のメンバーが最近開いた和食の店らしい。

ルイーゼは会のイベントのくじ引きで、そこの食事券を当てたのだった。

期限は2月いっぱい。

夫と二人きりも辛気くさいので、仲良しの妹分、マリを誘う。


ちょうどその晩、同級生の集まりがあり

聞いてみたら詳しいのがいた。

飲食とはまったく無関係の事務系自営業の奧さんが開いたそうで

メニューは5千円のおまかせコースのみという話だ。

あの会のメンバーで、この畑違い…絶対ナンカありそう。

私の胸は期待にふくらむ。


それを聞いていたルリコが「私も行きたい!」と言い出した。

マリと夫と三人で食事券を消費しようともくろんでいた私は、うろたえる。

     「とりあえずうちらで行ってみるから、また今度…」

やんわり断るが、聞きやしない。


まあ、無理もない。

実家が商店を営むルリコは、去年、あの勘違い女どもの巣窟…

女性経営者の会に入ったばかりである。

新参者としては、メンバーの店にいち早くかけつけておきたいのだろう。


シブシブ承諾したものの、ルリコは「私が予約を入れる」と言う。

     「いいよ、他の子も誘ってるし、私がするわ」

「ううん!私に任せて!」

店主にいい顔がしたいのだ。


元々はオドオドしたおとなしい子だけど

このところあの会に毒されて、妙な選民意識をチラつかせるようになった。

すぐ会の話に持って行き、いかに地域に貢献しているか

いかに活動が忙しいかを自慢する。

けれども話を聞く限り、やっぱりこの子、会で浮いてるみたいだ。

「いいけど、今月中だから早めにしてよ…」ということで任せる。


ルリコから連絡が無いまま5日が経過したので、こっちも焦って催促する。

「ごめん…まだなのよ。私も昨日までは都合が悪かったから」

ムッとしたが、我慢する。

     「忙しいんなら、私がするけど?」

「ダメッ!私がする!」

すごい勢い。


「何時がいい?」

     「そうねぇ、7時頃は?」

「OK!7時ね。私は少し遅れると思うけど」

     「はあ?じゃあ7時半でいいじゃん」

「だったら7時半ね」

キー!いら立ちを押し隠し、私は耐える。

まあ、いつも親と一緒で他人に揉まれてないし

子供もまだ小さくて、こういうことに慣れていないのだ…と自分に言い聞かせる。


予約が終わると、折り返しまた電話があった。

「今夜なら多少はゆっくりしてしてもらえるって。

 3人連れて行くと言ったら、喜んでくれたわ」

そう来たか…。

会員同士でお互いの商売を助け合うのは勝手だが

人の計画にまで割り込み、客を紹介する位置まで寄り切る。

こうして女性経営者の会のコンセプトである「相互協力」が遂行されるのだ。


ルリコ…あんたがいくら頑張ったって、太刀打ち出来る人たちじゃないわよ…

見た目、性格…幼稚園の頃から彼女を知り尽くしている私は、そう言いたい。

でもルリコは、会の人々に振り向いてもらいたい一心である。

ということは、本人にも同じ資質が確実に存在するってこと。

自分から舟を漕いで、あちら側へ行ったのだ。


その前日、一本の電話がかかっていた。

「経営者の会のオガワですけど、ルイーゼさんいらっしゃる?」

    「いえ、うちには…」

「そんなはずはないわっ!そこ、○○さんの家でしょ?」

    「はあ…ですが…」

「いるの?いないのっ?」

    「ルイーゼは実家にいます…ここは弟の家なので」

「実家?番号は?」

教えてやると「まぎらわしくて困るわっ!」だってよ。

たまにこういうことがある。

要するに、こんなんばっかりの集まりなのだ。


夜、マリを拾い、店に向かう途中で携帯が鳴る。

「悪いんだけど、迎えに来てもらえない?」

出る前に「迎えに行こうか?」と聞いたら

「主人が送ってくれるから大丈夫」と言ったではないか!


運転手の夫に頼み、10キロほどのルリコの家に向かう。

夫は行く前から、ルリコの参加で機嫌が悪い。

まずルイーゼと同じあの会のメンバーというのが「油断ならん」と気に入らず

ルリコが予約すると聞いて「スジが違う」と怒っている。


私もそう思う。

仕方なくルリコを加えたはずなのに

いつの間にか私達が相互協力のミヤゲにすり替わっている。

スジだの筋肉だの、理解出来ない者に言ったところでせんないことなので言わないが

老化か、性格が悪いのか、こういう細かいことに腹が立つ。


着く頃になって、またルリコから電話。

「来てもらうのも悪いから、タクシーで行くわ」

     「早く言いなさいよ。もう着くよ」

「そう?じゃあよろしく」

出かけ慣れない者への怒りに、身もだえする私であった。


                  続く
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