近所の小学校では、今、運動会の練習をしている。
運動会が秋から春になって、もう7~8年になるだろうか。
3学期じゃなくて2学期制になった都合らしい。
「きれいな円を作るんですよ!」
「指先まできちんと伸ばして!」
「姿勢!姿勢!」
先生がマイクでガンガン叫ぶ。
厳しい指導の元、小学生は頑張っている。
私も小学生と一緒に叱られている気分だ。
洗濯物を干すのに、つい背筋と指先を伸ばしてしまう。
昔の子供は、運動会が大好きだった。
私もその一人である。
幼稚園の時は、ぜひとも赤組になりたい病にかかっていた。
小学校に上がってもしばらくは赤組病が続き
身長順で分けられる都合で、白組になった年は悲しかった。
高学年になると「花笠音頭」を踊る決まりがあった。
金色の紙を貼った笠に、ピンクのチリ紙で作った花が飾ってある。
それを持って、民謡を踊るのだ。
私はなぜか、これが嫌でしかたがなかった。
花笠音頭を踊らなくていいなら、一生、白組でも構わないと思った。
中学になると人数が増えるので、運動会もゴージャス感があった。
私の大好物、シャリシャリがたまらない、お祭アイスの屋台が来る。
味噌田楽の屋台も来る。
串に刺した三角のこんにゃくに、甘い味噌を塗ってくれるのだ。
田楽の屋台の女主人は、中学の同級生のお母さんだった。
ひそかに、そこの子になりたいと思った。
おんぶヒモで背中に結わえられた赤ん坊の弟や
隣で手伝う幼児の妹達をながめつつ
一人ぐらい増えたっていいんじゃないかと、こっそり考えた。
アホな子供の考えることは、およそ決まっている。
味噌田楽が毎日食べられると思ったからだ。
しかし、中学でも鬼門はあった。
“ゴーゴー”じゃ。
あれは何と言う曲か、歌詞にやたらと「イェイ」と「ハッピー」が登場する
そら明るいメロディで、女子全員で踊ることに決まっていた。
ゴーゴーというのが、恥ずかしくて仕方が無い。
腰を振り振り、グーにした両手を胸の前でグルグル回すのだ。
花笠音頭どころではない。
いっそ思いっきり古いよりも
「ちょい古」のほうが恥ずかしいと知った最初であった。
あれから何十年…
恥も外聞も無いオバタリアンになり果てた今なら
花笠音頭でもゴーゴーでも、いくらだって踊ってやるのに…
と思うが、すでにお呼びは無い。
運動会が秋から春になって、もう7~8年になるだろうか。
3学期じゃなくて2学期制になった都合らしい。
「きれいな円を作るんですよ!」
「指先まできちんと伸ばして!」
「姿勢!姿勢!」
先生がマイクでガンガン叫ぶ。
厳しい指導の元、小学生は頑張っている。
私も小学生と一緒に叱られている気分だ。
洗濯物を干すのに、つい背筋と指先を伸ばしてしまう。
昔の子供は、運動会が大好きだった。
私もその一人である。
幼稚園の時は、ぜひとも赤組になりたい病にかかっていた。
小学校に上がってもしばらくは赤組病が続き
身長順で分けられる都合で、白組になった年は悲しかった。
高学年になると「花笠音頭」を踊る決まりがあった。
金色の紙を貼った笠に、ピンクのチリ紙で作った花が飾ってある。
それを持って、民謡を踊るのだ。
私はなぜか、これが嫌でしかたがなかった。
花笠音頭を踊らなくていいなら、一生、白組でも構わないと思った。
中学になると人数が増えるので、運動会もゴージャス感があった。
私の大好物、シャリシャリがたまらない、お祭アイスの屋台が来る。
味噌田楽の屋台も来る。
串に刺した三角のこんにゃくに、甘い味噌を塗ってくれるのだ。
田楽の屋台の女主人は、中学の同級生のお母さんだった。
ひそかに、そこの子になりたいと思った。
おんぶヒモで背中に結わえられた赤ん坊の弟や
隣で手伝う幼児の妹達をながめつつ
一人ぐらい増えたっていいんじゃないかと、こっそり考えた。
アホな子供の考えることは、およそ決まっている。
味噌田楽が毎日食べられると思ったからだ。
しかし、中学でも鬼門はあった。
“ゴーゴー”じゃ。
あれは何と言う曲か、歌詞にやたらと「イェイ」と「ハッピー」が登場する
そら明るいメロディで、女子全員で踊ることに決まっていた。
ゴーゴーというのが、恥ずかしくて仕方が無い。
腰を振り振り、グーにした両手を胸の前でグルグル回すのだ。
花笠音頭どころではない。
いっそ思いっきり古いよりも
「ちょい古」のほうが恥ずかしいと知った最初であった。
あれから何十年…
恥も外聞も無いオバタリアンになり果てた今なら
花笠音頭でもゴーゴーでも、いくらだって踊ってやるのに…
と思うが、すでにお呼びは無い。