病院に勤めていた時のバイト栄養士。
40前で、中学生のお母さんなんだが、この人がすごい。
根性もすごく腐っているが
もっとすごいのは、夏のお姿。
紫外線防御の装備がすごいんじゃわ。
黒い帽子…常識。
黒いサングラス…常識。
黒い長手袋…常識。
黒いマフラー…常識。
そして黒いスカーフで、鼻と口を覆い隠す。
さらに駐車場から職場のドアまで10メートルの距離を
黒い日傘をさして移動。
見る度に、わかってはいてもギョッとする。
最初の1年は、センエツながら
「夏の太陽に当たったら良くない、深刻な体の事情があるのだろう」
と思っていた。
わけを聞いてはならぬと気を使い、よっぽどのことだと気を回した。
しかし翌年、たまたま耳にしたところによると
ただの美白の一端だと言うではないか。
性格が悪いのも、仕事ができないのも
体が弱いからだと思い込み
何かとかばって我慢したことを一同後悔する。
しかも「なぜそこまで?」とたずねた同僚に、ヤツはこう言い放った。
「あなたたちとは違うから」
その「なぜ?」は
“そこまでの美肌でもなかろうに…”のニュアンスを含んだものであるが
彼女にはそう聞こえなかったらしい。
ご自慢の、某有名通信会社勤務の旦那様と
習い事のスケジュールでいっぱいの優秀なお子様たちに囲まれた
セレブな暮らしの自分とおまえらは、はなからスタンスが違うのだ…
とおっしゃられたのであった。
心で思うのは自由だが、口や態度に出したら
とたんにお里が知れてしまう。
ま、思うから日々の言動に出てしまうのであろうが
その程度で鼻にかけると
かえってハングリーな育ちを連想させるものだ。
以来、ひそかに「すけきよ」と命名。
“犬神家の一族”に出て来る登場人物だ。
そんなに白いのがよけりゃ、すけきよの名をくれてやる。
その形状から「マイケル」でもいいようなもんだが
ヤツにこの名前はもったいない。
すけきよの夏は、出勤時の脱皮と、退勤時の装着で忙しい。
その情熱を少しでいいから仕事に向けてほしいものである。
思うに、そうまでして守るほどのご器量でもないおかたに限って
紫外線対策が激しいような気がする。
元々浅黒いあんたの肌が少々黒くなったって、誰も気づきゃせんわいね…。
ちょっと焦げたくらいが
黒い腹とマッチして、ちょうどいいんじゃないかしら?
本当に日焼けが怖いなら
金欲しさに、のこのこ仕事に出て他人に迷惑をかけるより
家で静かに隠れておればいいのだ。
あの心境はもしや、気を付けている自分が好きなのかもしれない。
守るに値する肌であり、器量であると世間にアピールし
おのれの価値を自力で上昇させようとたくらむ。
ご苦労なことじゃ。
40前で、中学生のお母さんなんだが、この人がすごい。
根性もすごく腐っているが
もっとすごいのは、夏のお姿。
紫外線防御の装備がすごいんじゃわ。
黒い帽子…常識。
黒いサングラス…常識。
黒い長手袋…常識。
黒いマフラー…常識。
そして黒いスカーフで、鼻と口を覆い隠す。
さらに駐車場から職場のドアまで10メートルの距離を
黒い日傘をさして移動。
見る度に、わかってはいてもギョッとする。
最初の1年は、センエツながら
「夏の太陽に当たったら良くない、深刻な体の事情があるのだろう」
と思っていた。
わけを聞いてはならぬと気を使い、よっぽどのことだと気を回した。
しかし翌年、たまたま耳にしたところによると
ただの美白の一端だと言うではないか。
性格が悪いのも、仕事ができないのも
体が弱いからだと思い込み
何かとかばって我慢したことを一同後悔する。
しかも「なぜそこまで?」とたずねた同僚に、ヤツはこう言い放った。
「あなたたちとは違うから」
その「なぜ?」は
“そこまでの美肌でもなかろうに…”のニュアンスを含んだものであるが
彼女にはそう聞こえなかったらしい。
ご自慢の、某有名通信会社勤務の旦那様と
習い事のスケジュールでいっぱいの優秀なお子様たちに囲まれた
セレブな暮らしの自分とおまえらは、はなからスタンスが違うのだ…
とおっしゃられたのであった。
心で思うのは自由だが、口や態度に出したら
とたんにお里が知れてしまう。
ま、思うから日々の言動に出てしまうのであろうが
その程度で鼻にかけると
かえってハングリーな育ちを連想させるものだ。
以来、ひそかに「すけきよ」と命名。
“犬神家の一族”に出て来る登場人物だ。
そんなに白いのがよけりゃ、すけきよの名をくれてやる。
その形状から「マイケル」でもいいようなもんだが
ヤツにこの名前はもったいない。
すけきよの夏は、出勤時の脱皮と、退勤時の装着で忙しい。
その情熱を少しでいいから仕事に向けてほしいものである。
思うに、そうまでして守るほどのご器量でもないおかたに限って
紫外線対策が激しいような気がする。
元々浅黒いあんたの肌が少々黒くなったって、誰も気づきゃせんわいね…。
ちょっと焦げたくらいが
黒い腹とマッチして、ちょうどいいんじゃないかしら?
本当に日焼けが怖いなら
金欲しさに、のこのこ仕事に出て他人に迷惑をかけるより
家で静かに隠れておればいいのだ。
あの心境はもしや、気を付けている自分が好きなのかもしれない。
守るに値する肌であり、器量であると世間にアピールし
おのれの価値を自力で上昇させようとたくらむ。
ご苦労なことじゃ。